愛ほど歪んだ呪いは有らず   作:カバー

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愛ほど歪んだ呪いは有らず その2

 

 

 

落ち込んだ雰囲気の中、わざと惚けた声で楽厳寺さんがとんでもない爆弾発言をした。

 

「そうじゃ。お主の同級生の一人の三輪じゃがの、折角なので一緒に食事をすることにした。もう居間におるよ。」

 

「はあ…そうですか…って、え、?」

 

待て待て。今彼はなんて言った?ドウキュウセイガイマニイル?

マジで?は?私まだ心の準備が…

 

「いやいやいや…私まだ覚悟というかなんというか…」

 

「ほっほっ…なに、お主なら大丈夫じゃよ。ほれ、飯に行こう。あまり待たせるのも悪い。」

 

「う、あ〜…確かにそうですよね…」

 

そう言いながら、私は恐る恐る楽厳寺さんの後ろをついていく。

居間の扉を開けると、そこには…美少女がいた。

綺麗で艶のある青髪に、お人形さんみたいに綺麗な顔。そして均整の取れた魅力的なスタイル。

眩しい。眩しすぎる。

 

「ほれ、挨拶せんか。」

 

「あっ、は、はい!神楽輪です!はじめまして!よろひくお願いします!」

 

「あ、ど、どうも。三輪霞です。こちらこそよろしくお願いします。」

 

噛んだ。噛んでしまった。最悪だ。最悪のシチュエーション。これで一緒にご飯食べるの?嘘でしょ?

3人揃って食事に入る。

 

「えっ、うそ、鯛?朝から鯛?」

 

そう三輪ちゃんが煮魚の料理を見て驚いている。

…鯛嫌いだったのかな。

 

「ほっほっ…今日はお主たちの入学じゃからの。その祝いじゃ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

そう二人で言って、食事に手をつける。三輪ちゃんは涙を流しながら食べている。…そんなに喜んでると、微笑ましくなる。

…どうやらじっと見ていたのが気になったようで、三輪ちゃんがチラッとこちらを見る。

あ、しまった。気を遣わせちゃったかな。

話しかけるか。

 

「そういえば…三輪さんは、いつから術師やってるんですか?」

 

「あ、別に敬語じゃなくていいですよ。同年代なんだし。」

 

「そ、そう?…難しいな。同学年とあんまり接したことなかったから。」

 

「はは…そうなんですか。学校とかあったんじゃないですか?」

 

「あー…私は楽厳寺さんに拾われてから術師として修行してきたから。三輪さ、…ちゃんは学校とか行ってたの?」

 

そう言うと、彼女は少し緊張が解けた感じで答えた。

 

「はい。一応中学までは。でもうちが貧乏で…だから稼ぎたくて、呪術高専に来たんです。術師になったのは、つい最近です。」

 

「そうか…偉いね。三輪ちゃんは。立派だよ。私なんかと違う。」

 

「え、いやいや、神楽さんの方が長い間術師の修行やってたんですよね?私なんかよりずっと立派じゃないですか。」

 

「…立派じゃ、ないよ。私には選択肢が無かっただけ。」

 

そう。私には選択肢が無かっただけだ。親からの都合で生まれ、親の都合で親を呪殺した。そんな状態の私に、呪術で人を救うという道を提示されたら、もうその道しか残っていないようなものだ。

 

「は、はあ…」

 

場の空気が重くなる。その空気を和ませるように、楽厳寺さんがまたわざと明るい声で話に入ってくる。

 

「ほっほ…輪は昔からこうなんじゃよ。あまり気を遣わんで接してやってくれ。…というよりも三輪、お主も同学年なのに敬語使うんじゃな。」

 

「えっ、あ…そ、それもそうですね…!つい。」

 

「えっと…じゃあ、改めてよろしくね、三輪ちゃん。」

 

「はい…あ、うん。よろしくね、輪。」

 

こうして私は、初めての同級生と知り合うことができた。

 

「「「ごちそうさまでした。」」」

 

三人が食事を終えると、いつものように私が食器を持って洗い場に行く。

 

「あ、手伝うよ!」

 

そう言って、三輪ちゃんも洗い場にくる。優しすぎない?この娘。好き。

彼女は慣れた手つきで皿を洗っていく。普段から家事をしているのだろうか。

 

「三輪ちゃんは、普段から家事とかしてるんだ。すごい手際がいいね。」

 

「えっ、そうかな?…まあ、うちは色々大変だから。貧乏だし、弟も二人いるし、私は手伝わなきゃ。」

 

ますます感心する。家族のことを真剣に思って身を削っている。素晴らしいの一言だ。

 

「本当に偉いんだね三輪ちゃんは…尊敬する。」

 

「えっ?そ、そうかな…ありがとね。」

 

そう顔を赤くして三輪ちゃんが照れる。可愛いなあ…。

少しは距離が縮まっただろうか。初めての級友。仲良くしたい。

皿洗いを片付けると、楽厳寺さんから制服を貰う。薄い藍色の制服だ。触ってみた感じ、動きやすそうで良い。私のは三輪ちゃんのと違い、パーカーで顔がすっぽりと覆うようになっており、厚着だ。私の日光への脆弱さを考えてくれているのが伝わった。

三輪ちゃんと一緒に袖を通す。うん。良い着心地だ。

 

「いやー…ついに始まるんだね。呪術高専生活。」

 

そうしみじみと三輪ちゃんが言う。

楽厳寺さん曰く、同級生は三輪ちゃんと後二人居るらしい。少人数だが、それは気楽でいい。変に人数が多いと何を喋れば良いかよく分からなくなる。

 

「じゃあ、これから三年間、よろしくね。三輪ちゃん。」

 

「うん!よろしくね!輪!」

 

どうやら私の学園生活は、良いスタートを切れそうだった。

 

「そういえば三輪ちゃんはなんでうちでご飯食べることになったの?」

 

「…うちは貧乏だから…お祝いもできないって愚痴ったらご馳走してもらいました…」

 

 

 

 

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