人理修復with不死身の杉元   作:死ねない作者

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土方歳三と永倉新八が召喚されたら杉元佐一はどんな反応するんだろうなあ。

チ○ポ先生も英霊になれるかな…。


邪竜百年戦争オルレアン─救国の聖処女─
我々が・刻む・もの


 

 

「──こっちがマリー・アントワネットさん。それでこっちはヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。……それから、ジャンヌ・ダルクさん」

「はい、よろしくお願いします杉元さん」

「マリー、でいいわよスギモト」

「僕もアマデウスと、気軽に呼んでくれ」

 

藤丸の案内でやって来た杉元。

そこに集まっていたのは三騎のサーヴァント。

 

各々が名のある英霊達。杉元も知っている有名な歴史の人物。そんな彼ら彼女らを前に杉元は物怖じすることなく笑顔を見せた。

 

「ああ、よろしく」

「………え、あ、何か…?」

 

杉元が見つめていた先はジャンヌ。

彼女を見ていると彼の脳内に横切る人物がいた。

 

とあるアイヌの少女。年端もいかない小さな少女。

それでもその心は強く、誰よりも高潔な魂を宿した、杉元が尊敬していた……いや、今なおしている彼女の姿が思い浮かんだ。

 

「……いや、なんでもない。悪いなジャンヌさん」

「いえ……」

 

顔を隠すかのように軍帽を被り直す杉元。

そんな中、ジャンヌはふと見えたその表情に確かな優しさと穏やかさが紛れていたのを見ていた。

 

「それでこれからどうするんだ?もう敵陣に攻めるのか?」

『いや、リヨンという街に行くということにしているよ。敵陣営にはサーヴァントが多数いるけどそれ以外にドラゴンがいる。しかも、ファヴニールというビッグネームだ。杉元さんを呼び出す前に倒した敵のライダーからの情報提供でそのファヴニールを打ち倒したとされる竜殺しの英霊、"ジークフリート"がいることが分かった。彼を仲間に引き入れたい』

「……なるほどな。だが、敵の言い分だろ?罠の可能性は?」

「罠の可能性がない、とは言いきれません。ですが私は彼女の言葉を信じてみたいと思います……」

 

リスクを考える杉元。

しかし、そんな中でジャンヌは真っ直ぐな目で杉元の目を見た。

 

そんな様子に見つめ返す杉元。しかし、数秒後、彼の口は笑みを浮かべた。

 

「ジャンヌさんがそう言うのなら、行ってみる価値はあるかもしれないな」

「……杉元さん、ジャンヌと出会って間もないのにすごい信用してますね」

 

杉元のそんな様子に藤丸は横から声をかけた。

 

「似たような人物が俺のそばにいたからな。その名残かもしれないな」

「私に似た人、ですか?」

「ああ、見た目じゃなくてその目や中身がな」

 

真っ直ぐに、疑いを持たずに人を信用しようとする心。

杉元に持ち得ない……いや、捨て去ったそれ。その心はいささか眩しいものであり、彼にとっては尊重したいものでもある。

 

「……いざとなれば敵は俺が殺る。藤丸たちはやりたいことをやればいい。そのための俺なんだろ?」

「杉元さん……」

『……よし、ひとまず休もう。ちゃんと睡眠をとって明日の朝にリヨンへ出発。それでいいかな?』

 

ロマンのその言葉に頷く一同。

気合い十分。そうして杉元は"腰に差した刀"を人無でした。

 

 

 

 

 

 

 

「──あら、スギモト。どこに行っていたのかしら?」

「マリーさんか。ちょっとな、食べ物を取りに」

 

皆が焚き火を炊き寝床を整えている所へ戻ってきた杉元。

 

その手にはリスや魚が入った革袋を持っていた。

 

「……リスを食べるの?」

 

戸惑いと驚きわ顔に表すマリー。

そんな彼女に気まずそうに杉元は頬をかきながら答えた。

 

「まあ最初はそういう反応だろうな…。魚はそのまま焼いて食べるが……リスの方はチタタㇷ゚にする」

「ちたたぷ?何かしらそれは?」

 

首を傾げるマリーノ横を通り過ぎ、手頃な切り株へリスを置く。

慣れた手つきで皮を剥ぎ、内蔵も取り出し下拵えを一通り終わらせていく。

 

「うわあ、俺はちょっと無理かも…」

「何と言うか……残酷ですね」

「ははは、慣れないとそうだろうな」

 

覗きに来た藤丸やマシュもら引いたような様子だ。

だが、これもまた自然の摂理。命を貰い、自分の命を生かしてもらう。だからこそ"いただきます"なのである。

 

「チタタㇷ゚は言ってしまえばミンチにするんだ。リスは骨も小さくてミンチにすると気にならない。それを肉団子にして煮詰める。ちょうどオソマ……味噌はあるからこれで味をつけよう」

 

アイヌの少女から教えてもらった知識。

懐かしさの籠った声で解説しながら慣れた手つきで処理を終わらせていく。

 

そんな様子を藤丸はただ見つめていた。

 

「……チタタㇷ゚はアイヌ語で"我々が、刻む、もの"って意味なんだ。こうして2つの刃物で叩いて、それをみんなで代わり代わりに。だから"我々"なんだ。誰かやってみるか?」

「じゃあ、私がやってみようかしら!」

「お、マリーさん。じゃあこれ持って叩いて。叩く時はチタタㇷ゚って言いながら叩くんだ」

「そうなのね!……チタタㇷ゚、チタタㇷ゚、チタタㇷ゚──」

 

マリーが叩く様子をほのぼのと見る杉元。

いつかの思い出が蘇るようだ。

 

ああ、忘れていた。

手を叩き彼はリスを片手に指でとある物を掬いあげた。

 

「脳みそもこのまま食べられるんだが……藤丸、どうだ?」

「……!?」

 

首を全力で横に振る。

流石に脳みそを生でとは……拒絶反応が出てしまう。

そんな様子を見て、あからさまにガックリしょんぼりする杉元。そんな姿を見られては藤丸もなんだか罪悪感が凄い。

意を決して、震える手で杉元の肩に手を置いた。

 

「ひ、一口だけなら…」

「〜〜!本当か!」

 

嬉々とした表情。

突き出された指。それに乗ったドロっとしたもの。

藤丸は極力それを見ないように、杉元の手を掴み恐る恐る口を近づけた。

 

ちゅるっと口へと入るそれ。もぐもぐと租借し喉を鳴らし胃の中へ。

 

……藤丸は絶妙な顔を浮かべた。

 

「マシュさんは──」

「マリーさん。そろそろチタタㇷ゚変わりますよ」

「あら、そう?」

 

杉元の言葉を遮りマリーの元へ向かうマシュ。

口をすぼめる杉元。周りを見渡し……ジャンヌと目が合った。

 

「ジャンヌさんは?」

「え?……じ、じゃあ一口だけ」

「……無理しなくてもいいと思うんだけど。嫌なら嫌って言うべきだよ?」

 

アマデウスもコイツマジかとばかりにそう注意する。

それを無視してジャンヌはリスを優しく手に取り、脳みそを掬い取り……横から覗く杉元と目が合った。

 

ランランと輝くお目目。そんな眼差しに押され意を決して脳味噌を口の中へ。

 

「……美味しい、とは言いきれませんが、なんか、癖になる味ですね」

「お、分かるかジャンヌさん。俺も初めはそうだったよ」

 

驚くジャンヌに笑う杉元。

元とはいえ一村娘のジャンヌは自然と触れ合う機会も多かった。当然、獣肉を食す機会も多く、存外彼女の口に合ったのである。

 

「アマデウスー!次は貴方もチタタㇷ゚しましょー!」

「……ヤレヤレ」

 

そんな杉元とジャンヌと離れたところではチタタㇷ゚に励むマシュたち。

こんな懐かしい光景に杉元は自然と優しい表情が浮かぶ。

 

 

 

こうして夜が更けていった。




杉元佐一の装備品
・三十年式歩兵銃
・銃剣
・和泉守兼定
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