今回の物語はかなり長いので、前編後編に分けて投稿したいと思います。
相変わらず文章がままならない所がございますが、どうか大目に見てくださると有難いです。
それではどうぞ!
7月。
季節の移り変わるこの頃。
もう夏に近付いたせいか、気候はかなり暑い。
時刻はお昼を過ぎており、教室でクラス集会が行われていた。
先生「さて、皆さんに集まってもらったのは、今月開催される体育祭についてです。」
先生が指揮を執り、今回の内容を説明していた。
体育祭かぁ…。
先生「競技についてはシートに書いてある通りです。クラス対抗なので、皆さん頑張りましょう!」
先生も張り切っている。
まあ、先生側からしたら特別な学校行事だもんね。
渡されたシートに書いてあるのは…。
体育祭 スケジュール
○午前
校庭
・200m走
・綱引き
午前の競技終了後、昼休憩
○午後
・ドッジボール
・リレー
・ 結果発表
…といった感じだ。
~下校中~
白羽「体育祭かぁ。楽しみだな!」
しーちゃんはそう言った。
しーちゃんは僕と違って運動は得意だし、張り切るのもわかる。
白羽「黒ちゃんは大丈夫?ちょっと浮かない顔してたけど。」
真黒「まあ…、そうだね。普通って感じかな。」
指で頬をかきながら、僕はそう言った。
中学時代も走るのはどちらかと言えば中の下の方だし。
真黒「しーちゃんは良いなぁ。体育祭も率先して参加しようとするし。」
白羽「水泳やってるし、多少は運動できるよ!」
しーちゃんは自信ありげに言う。
しーちゃんは小さい頃からずっと外で遊ぶような子だし、僕と別れた時からもさぞかし活躍してたんだろうな。
白羽「そういえばさ、クラス対抗って言ってたよね?となれば、あやちーとは対戦相手かぁ。」
真黒「そうらしいね。でも、アヤネちゃんも気合い入ってると思うよ。」
白羽「だね!アタシ達も負けてらんないね!」
それから体育祭で楽しみな競技や、過去にあった運動の話など、楽しい会話が続いた。
おっと、そう話している内にバスが僕らの家近くの停留所まで来てた。
白羽「じゃあ黒ちゃん、また来週ね!」
真黒「うん、また。」
僕らはそう言い、それぞれの自宅へ入った。
~翌朝~
僕は、夏の朝は好きだ。
起きた時、気持ちが良いしね。
真黒(…あ、起きるのちょっと早すぎたかな。)
時刻は5時を回っている。
いつも休日はもっと遅いけど、今日に限ってはかなり早い方だ。
真黒(…今日は走りに行こうかな。)
僕はそう考え、部屋から出て歯磨きして、ご飯を食べて、着替えて、スポドリを作って……。
そして外へ出て、走りに行った。
早朝の道路はとても静か。
朝方はまだ涼しげで、爽快な空気が肌をなぞる。
走っていると、それを感じる事ができる。
僅かに残る眠気も、これのお陰で払拭されるんだ。
真黒「ふぅ……。」
少し離れた河川敷で、僕は休んでいた。
この河川敷は、僕の思い出の場所であり、今となってはちょっとしたリフレッシュができる場所でもある。
「あれ?黒ちゃんじゃん!」
真黒「…ん?」
僕に話し掛けているであろう声の方に、顔を向ける。
───そこにいたのは、しーちゃんだった。
白羽「奇遇だね!黒ちゃんも運動しに来たの?」
真黒「まあ、そうだね。今は休憩中。」
今のしーちゃんはスポーツウェアを着てて、かなり露出度が高い。
改めて見てみると、腹筋が少し割れていたりと、筋肉質な体になっていた。
水泳部の人って皆こんな感じなのかな…。
ただ、しーちゃんの場合は出る所は出ていて、汗もかいてるから普段より色気が出てるような気がする……。
白羽「も~、あんまりまじまじと見ないでよ、エッチ♪」
真黒「ふぇっ!?ご、ごめん///思ったより筋肉付いててつい…//////」
白羽「そ?まあアタシよりもすごい子とかいるけどね。」(ふふっ、黒ちゃん、アタシのスポーツウェア姿に釘付けだね♪)
しーちゃん以上の人がいるのか…。
でも、しーちゃんも十分あると思うな。
真黒「そうだ、しーちゃんはどうしてここに?」
白羽「アタシ?まあ単純に走りに来ただけだけどね。今は休憩終わって家まで走る所!」
なるほど、やる事は一緒だったね。
白羽「せっかくだし、黒ちゃんも一緒に走る?」
真黒「うん、そうさせてもらうよ。」
白羽「一応言っとくけど、ペースを合わせないからちゃんと付いて来てね!」
真黒「う、うん。頑張ってみる。」
渋々そう言って、僕は立ち上がる。
しーちゃんの合図で、2人で家まで走る事にした。
…案の定、しーちゃんが速すぎて前に出すぎてしまった。
それでも僕は、付いて行きたい。
小さい頃も、こうやって追いかけっこをしていた。
しーちゃんが逃げる側、僕は追い掛ける側。
そんな記憶が蘇りながらも、しーちゃんの背中を追い掛けた。
それにしても、しーちゃんは本当に成長したなぁ…。
最初にあった頃もそうだけど、昔と比べると本当に大人っぽい。
しーちゃんってスタイル良いし、肉付きも……。
…って、何考えてるんだ僕は!
我に返って、通常の光景に戻った。
白羽「黒ちゃん!ちゃんと付いて来てるー!?」
真黒「あ…、う、うん!」
白羽「早くしないと置いてっちゃうよー!」
僕らはそうして、家まで走ったのだった───。
~体育祭 当日~
とうとうこの時が来た。
校庭からの空には花火が上がる。
体育祭が始まったのだ。
白羽「体育祭だぁー!」
そんな中、しーちゃんはテンションが高かった。
やっぱりしーちゃんは、こういう行事が好きなんだろうなぁ。
白羽「ほらほら、黒ちゃん浮かない顔してるぞ~?せっかくの体育祭なんだからアゲてこーよ!」
真黒「しーちゃんがテンション高すぎるんだって笑」
しーちゃんは本当に体育祭を楽しみにしてたからなぁ。
テンション上がるのはわかるけど、もう少し落ち着いてほしい…と密かに思っている。
司会『間もなく開会式を実施致します。生徒の皆さんは、校庭中央に集合してください。』
…と、そうこうしている内にアナウンスが入った。
司会『それではこれより、体育祭を開催致します。皆さん、腕を振るって頑張ってください。』
全員
『おぉーーーっ!!!』
すごい熱気だ。
皆やる気満々だなぁ。
僕も頑張らないと。
最初の競技は、100m走。
至ってシンプル。誰よりも早く走る事。
クラス対抗なので、トラックには4列に並ぶ事になる。
そして順位が高い程、貰える得点が多い。
1年生、2年生、3年生の学年順となる。
そして出席番号、つまり名前の50音順で、僕の番は中盤辺り。
「よーい……。」
パァンッ!
ピストルの合図で、最前列にいた人達が走り出した。
お互い同等の人もいれば、前が速すぎて追い付けない人もいる。
だんだん僕の番が迫り、ついに最前列へ進んだ。
実を言えば、少し緊張している。
高校で初めての体育祭というのもあり、同列の人の実力も知らないままここに立っているという訳だ。
白羽「黒ちゃーん!頑張れー!!」
遠くではしーちゃんがそう叫んでいた。
そうだ、今の僕にはしーちゃんがいる。
他人の実力に怖気付いている場合ではない。
最善を尽くそう。
スターターの人がピストルを空に向け……。
「よーい……。」
パァンッ!
……走る!
真黒「はぁ…!はぁ…!」
全力で走る。
しかし、先頭までは追い付けない。
それでも、力を出し切る。
あと半分……。
残り僅か……。
そして、ゴール!
僕の順位は、2位だった。
最悪1位は逃したけど、悪くない順位だ。
やっぱり1位の人はすごいな。
白羽「黒ちゃんすごい!2位だよ!」
真黒「そう、だね…。1位は逃したけど…。」
白羽「ジョーブジョーブ!その1位はアタシが取り返すから!」
司会『続いては女子の出場となります。準備をお願いします。』
白羽「よし、そろそろ行くね!」
真黒「うん。頑張って。」
アナウンスが入り、しーちゃんはトラックへ向かう。
女子も男子と同じで、50音順の順番となる。
しーちゃんは50音だと早い方だから、しーちゃんの番はすぐそこだった。
しーちゃんの番が来た。
静かに深呼吸をしているのが見える。
白羽「…!」
そして、しーちゃんと目が合った。
白羽「…♪」パチッ
真黒「あっ…。」
しーちゃんは僕に向けてウィンクをした。
思わずドキッとしてしまった。
もしかして、「任せて」って言ってるのかな。
勝手な想像かもしれないけど、表情からしてそう見えた。
「よーい……。」
パァンッ!
しーちゃんを含めた最前列の女子が、一斉に走り出す。
しーちゃんは……先頭で走っている。
すごい、もう後ろの人を引き離していた。
日頃から運動しているからなのか。
それにしては、半分も行ってない時点で独走していた。
そして、ゴールしたのだ。
もちろん、しーちゃんは1位だった。
真黒「しーちゃん……、すごいな……。」
僕は小さく、そう呟いた。
白羽「やった!1位取れたよ!」
真黒「有言実行しちゃったね…。本当に取り返すとは思わなかったよ。」
白羽「ふふ~ん♪もっと褒めてくれても良いよ♪」
お世辞抜きですごかった。
まるでしーちゃんは、野を飛び、翔ける隼のように速かった。
腰に手を当て、自信ありげに振る舞うしーちゃん。
……何がとは言わないけど…、おっきいのが前に出てる。
すると、しーちゃんは僕に笑みを零した。
白羽「どこ見てるの?変態さんめ~♪」
真黒「ふぇ!?//////み、見てないよ!何も!//////」
視線に気付いたのか、しーちゃんはからかってきた。
パァンッ!
トラックの方でピストル音が鳴った。
白羽「お?あやちーの番が来たね。」
トラックには既にアヤネちゃんがいた。
アヤネちゃんも負けず劣らずの実力で、選手を追い抜いて行った。
白羽「これは白熱するんじゃないかな~?」
真黒「そうみたい。僕らも負けてられないね。」
3組にはアヤネちゃんもいるし、かなり接戦になる事が予想できる。
2組の足手まといにならないようにしないと…。
次の競技は、綱引き。
合計で6試合あり、僕らは1、3、6試合目(1組vs2組、2組vs4組、2組vs3組)になる。
アヤネちゃんと戦うのは最終試合だ。
白羽「黒ちゃん、相手の力で持ってかれないでよ~?」ニヤッ
真黒「どうしてそうなるの笑 僕はそこまで軽くないよ笑」
まったく、しーちゃんは僕を風船みたいだと思ってるんじゃないか?
バイトもしてるし、これでも体力はある方だよ?
まあしーちゃんより背が低いから、そう思われても仕方ないけど…。
さて、肝心の競技だけど、今から1組との対戦が始まる。
全員、地面に置かれた綱を持つ。
真黒(足手まといにはならないように……。)
白羽(お手並み拝見と行こうじゃん…!)
「よーい……!」
スターターがピストルを空に向け……。
パァンッ!
鳴り響き、一斉に綱を引いた。
真黒、白羽
「うおおおおおおおおおお!!!!!」
雄叫びを上げながら、綱を力一杯引っ張る。
真黒(あ、ちょっと待って、相手結構力強いかも。)
白羽(なかなかやるじゃん!アタシだって…!!)
一瞬の出来事で、かなり持ってかれているのがわかる。
でもそれでも、しーちゃんは笑顔を見せて踏ん張ってる。
白羽「黒ちゃーーーん!!もっと力入るーーー!?」
真黒「問題なーーーい!!」
大声でそう呼びかけながら、負けじと綱を引く。
薄らだけど、中央ラインがこちら側に来ているのがわかる。
このまま引き出せば行けそう!
パァンッ!
ピストルが鳴り、力が弱まる。
次第に腕がじわじわくるのを感じた。
結果は……。
『勝者、2組ーーー!!』
2組
『うおおおおお!!!』
1組に勝った!
白羽「やったよ黒ちゃん!勝っちゃった!!♪」
真黒「うん!」
勝利のあまり僕の手を取り、飛び跳ねるしーちゃん。
まるで子供みたいだった。
タユンッ…タユンッ…
真黒「…!……//////」
喜んでるのはわかるけど、目の前でしーちゃんの大きなモノが上下に揺れてる。
…正直、目のやり場に困る……。
白羽「よーし!この調子で頑張ろー!」
しーちゃんは拳を上げて鼓舞する。
僕も頑張らないとな。
そして時間は過ぎ、最終試合。
この試合は3組との対戦だ。
3組という事はつまり……。
白羽「あやちーとの対戦だね!」
そういう事だ。
向こうにはアヤネちゃんがいた。
ちなみに3組は連勝しており、それもアヤネちゃんのお陰と言っても良い。
しかし2組も連勝している。
つまり現在、同位争いしているという事だ。
真黒「向こうにはアヤネちゃんがいる。少しでも手を緩めたら負けるかもしれない。」
白羽「まあ、そう予想した方が良いよね。」
向こうの最後尾にアヤネちゃんが着いている。
何ともわかりやすい。
こちらは最後尾をカバーするのが僕としーちゃんとなっている。
この並び順は、少し前に遡る─────。
~集会後翌日~
「とりあえず、力が強い人が後ろにいた方が良いよね?」
クラス集会の後の翌日、休み時間を使って綱引きの並び順を決めていた所。
白羽「ねね、後ろの方……アタシでも良いかな?」
しーちゃんが率先して名乗り出た。
「江波さんでいいの?私は構わないけど、一応女の子だし…。」
白羽「ジョーブ!こう見えて力あるし!」
しーちゃんは自信満々にそう言った。
しーちゃんは水泳部に入っているから、筋力や持久力はそれなりにある筈だ。
真黒「じゃあ、しーちゃんの前は僕で良い?」
白羽「おやおや~?黒ちゃんそう言って、アタシの近く行きたいとかじゃないの~?」
真黒「いやいや!そんな深い意味無いよ!」
しーちゃんはそんな風に僕を揶揄う。
すると周りの人達が反応し……。
「え、もしかして秦野君ってそういう…?」
「まさか脈アリ!?」
「カッコつけやがってー!」
そう騒ぎ出したのだ。
真黒「ちょ、皆まで!どうしてそうなるのさ!?//////」
「ま、精々頑張れや!真黒!」
真黒「ちょっとー!//////」
クラス中が僕を揶揄い、並び順どころじゃなくなってしまった。
そうしている内に、教室の扉が開いた。
先生「はーい、騒がない!皆さん、綱引きの並び順は決まりましたか?」
入ってきたのは先生だった。
「大体決まりましたー!」
先生「それでは、皆さんはこの並び順で宜しいですか?異議が無ければ決定致しますよ。」
『異議なーし!!』
紆余曲折があったが、綱引きの並び順はこれで決まった。
~現在~
白羽「黒ちゃん、準備は良い?」
真黒「もちろん。」
これから3組との最終戦が始まる。
深呼吸をして、気を引き締めていかないと。
「よーい……。」
パァンッ!
真黒
「うおおおおおおおおお!!!!!」
白羽
「だああああああああああああああ!!!!!」
全身全霊をかけて、綱を思い切り引っ張る。
が、流石に重たすぎる。
向こうもかなり力ありで、大人数でもびくともしない程。
白羽「やっぱ3組強いーーーーー!!!」
真黒「負けないでーーーーー!!!」
これまで以上に雄叫びを上げ、更に力を振り絞る。
段々、こちら側へと綱が引っ張られてる気がした。
だがしかし。
グイッ!!
真黒「うわわっ…!!」
向こうも負けまいと思ったのか、一気に持っていかれる。
その反動で足を持っていかれた……。
─────その時だった。
真黒(…?体が浮いてる…?)
そう思っていたのだ。
しかし、その事の正体は……。
白羽「黒ちゃん…!無事…!?」
なんと、しーちゃんが転びかけた僕を片腕で支えてくれたのだ。
いや待って、その技術どこで身に着けたの!?
白羽「早く体勢立て直して引っ張って!!あまり長く持たないから!!!」
真黒「あ、う、うん!」
僕は乱れた体勢を直し、再び綱を引っ張った。
真黒、白羽「いっけええええええええええ!!!!!」
全身全霊、馬鹿力を振り絞り、綱を思い切り引っ張る。
パァンッ!
やがて、ピストルが鳴った。
白羽「どうなった!?」
奥の方を覗いてみる。
中央のテープが白ラインより僅かにこちら側……。
という事は……!!
『勝者!!2組ーーーーー!!!』
2組
『うおおおおおおおおお!!!!!』
僅差で僕らが勝った。
3組に勝ったんだ……。
白羽「うわぁ~!!やったよ黒ちゃん!!勝っちゃった!!!」
真黒「うん!やったね!!」
アヤネちゃんには申し訳ないけど、僕らの勝ちだ。
本当に危なかった…。
僕なんて転びかけたもん。
「えええ!?3組に勝っただと!?」
「馬鹿力の鷺沢がいる3組に2組が勝った!?」
「2組すごすぎんだろ!!」
周りが騒ぎ立て、僕達2組に称賛を称えた。
もうね、アヤネちゃんが強すぎるんだよ……。
司会『これより、綱引きを終了します。昼休憩になりますので、各自昼食を取るようにしてください。午後の開始時刻は13時となります。』
そうアナウンスが聞こえ、皆散らばった。
~昼休憩~
白羽「いや~、白熱したね~!」
僕としーちゃんは校庭近くのベンチでお昼を取っていた。
真黒「本当に危なかったよ…。それにありがとね、しーちゃんが支えてくれなかったら怪我してたかも。」
白羽「どういたしまして♪もっとお礼言ってくれても良いよ♪」
相変わらずの自信満々なのが出ている。
褒められて伸びるのが目に見えてわかる。
「よお。」
すると、僕らの前に誰かが来た。
白羽「お!あやちー!」
アヤネちゃんがこっちに来た。
アヤネ「まったく、完敗しちまったよ。お前らには。」
真黒「いやいや、3組も強かったよ。」
最終戦は本当に白熱してた。
お互い頑張った…て事で良いかな?
アヤネ「あ、急に話しかけちまったが、お邪魔だったか?」
白羽「全然!一緒にお昼食べよー♪」
アヤネ「そう。ならシロの隣座るわ。」
アヤネちゃんはそう言って、しーちゃんの隣に腰掛けた。
白羽「そういやさ、順位今どんな感じだっけ?」
真黒「2組と3組が一二争いしてるね。最終的な結果はまだわかんないよ?」
アヤネ「んじゃ、優勝はアタシが貰うわ笑」
白羽「ちょっと!決めないでよ!優勝はアタシらが貰うんだからね!最後まで勝負だよ!!」
アヤネ「ほう?受けて立とうじゃん笑」
なんか2人の間で見えない雷が走ってる…。
しーちゃんって負けず嫌いだから、本気で勝ちに行こうとしてる…笑
昼食を食べ終わった僕は、持ってきたスケジュールを確認していた。
確か次は…、ドッジボールだったね。
アヤネ「んじゃ、アタシは先行くわ。」
アヤネちゃんはそう言うと、スッと立ち上がる。
白羽「ん?もう良いの?まだ時間あるし、もう少し休んでいかない?」
アヤネ「いや、他のダチと会ってくる。お前らも遅れんなよ。」
白羽「んー、そっか。ならまた後で!」
アヤネちゃんは僕らを置いて行ってしまった。
アヤネ(……とは言ったが、本当はあいつらの2人きりの時間を邪魔したくないだけなんだがな。)
白羽「この後どうする?時間までどっかぶらつく?」
真黒「まあ、何もしないよりはそっちの方が暇潰しになるしね。」
そう言い、僕らも立ち上がった。
僕としーちゃんは今、校舎にいる。
というのもしーちゃんの案で、学校紹介の他にまだ見た事ないものがあるかもしれない…だとか。
白羽「なんかこうしてみるとさ、小学校の頃思い出すね♪」
真黒「まあ、そうだね。その時の学校紹介も一緒にいたっけ。」
白羽「うん!あの頃は本当に楽しかったなぁ。」
しーちゃんが思い出話を続ける。
その話をする度に、昔の光景が蘇る。
僕が4年生になって引っ越すまで、しーちゃんと一緒に過ごす事はかなり多かった。
もちろん他の友達もいたけど、しーちゃんといる時が何よりも楽しかった。
僕が引っ越すと決まったあの日。
最後にしーちゃんと会いたいと、両親にお願いしたあの日。
~5年前~
白羽(10)「本当に、もう行っちゃうの…?」
真黒(9)「…うん。残念だけど、もう行かなくちゃいけないんだ。」
白羽「嫌だよ、黒ちゃんともっと一緒にいたいよぉ…!」
真黒「僕もそうしたいよ…。でも、そう決まっちゃったから仕方ないんだ…。」
僕は、泣きじゃくるしーちゃんを宥めるしかなかった。
お互い仲良しだったし、あんな形で離れてしまうのは誰だって悲しい事だ。
真黒「じゃあさ、約束しようよ。」
白羽「…約束…?」
真黒「うん。大きくなったら、また会おうよ。それで、また一緒に遊ぼ!」
白羽「黒ちゃん…!うん!約束!」
泣きながら笑い、そう答えたしーちゃん。
あの時は、やっぱりしーちゃんは笑った方が良いって思ってばかりだった。
今思えば、僕もしーちゃんに甘すぎたんだろうな。
桃介『真黒!そろそろ行くぞー!』
真黒「あ、うん!」
僕は父さんにそう呼ばれた時だった。
白羽「あ!黒ちゃん!待って!」
真黒「ん?」
父さんに呼ばれた為、行こうと思った時にしーちゃんに呼び止められた。
そして─────。
ギュッ…
真黒「…!」
しーちゃんに両手を握られた。
最初は何事かと思ったけど、後からしーちゃんはこう言った。
白羽「おまじないしたの!“黒ちゃんとまた会えますように”って!」
あの時は、余程強く願ってたんだろう。
白羽「じゃあ黒ちゃん、元気でね!」
真黒「うん。こちらこそ!」
僕らはそう言って、別れを告げたのだった─────。
引っ越し先に向かう途中で、僕は両親とこう話した。
さおり「真黒?ちゃんと白羽ちゃんにさよならした?」
真黒「うん。“また一緒に遊ぼう”とも言ったよ。」
桃介「ははは、そうか。また会えると良いな、真黒!」
そんなやり取りしながら、最後の景色を眺めていたのだった─────。
~現在~
今思えば、こうしてしーちゃんと会えたのも、あの時のおまじないのお陰かもしれない。
真黒「ねえ、しーちゃん。」
白羽「ん?」
真黒「あの時、ありがとね。おまじないしてくれて。」
白羽「え?ああ、覚えてたんだ。」
真黒「忘れる訳ないじゃん。本当に嬉しかったんだよ。」
もし、あの時しーちゃんがおまじないをしてくれなかったら、こんな風に会う事すらできなかったかもしれない。
子供のおまじないって、なんだか不思議だな。
真黒「それにね、しーちゃん。僕がこんなに前向きになれたのも、しーちゃんのお陰だよ。引っ込み思案だった僕を外の世界に連れ出してくれて、本当にありがとね。」
白羽「え、何なに?そんなにお礼言われちゃうと困るんだけど笑///」
もじもじしながらそう言うしーちゃん。
少し頬を赤らめているのが可愛らしく見えた。
白羽「…でもまあ、自分で言うのも何だけど、アタシって結構考えるよりも先に行動するじゃん?」
真黒「うん。」
白羽「あの時は寂しそうにしてた黒ちゃんを放っておけなかったのかな。だから今こうして、黒ちゃんと向き合えているのかも。」
しーちゃんはそう言った。
しーちゃんは確かに、そんな子だ。
考える事が苦手な所も、思い付きで突っ走る所も……。
全て、あの時のしーちゃんのままだ。
爽やかな風が流れる校舎の中で、お互い見つめ合う。
風で靡く銀色の髪、少し幼さが混ざった赤い瞳、潤った薄紅の唇、艶やかで焼けた黒い肌……。
そんなしーちゃんの姿に、思わずドキッとした。
僕を連れ出してくれた、その少女に───。
アナウンス『午後の開始予定時刻まで残り5分です。生徒の皆さんは体育館に集合お願いします……。』
白羽「あ!もうこんな時間!」
時刻は12時55分を指し示していた。
少しのんびりしすぎたかな。
白羽「黒ちゃん、行こっか!」
真黒「うん。」
しーちゃんにそう言われ、体育館へ向かった。
僕はこれからも、この先も…。
しーちゃんと一緒にいたい。
それが、僕のたった1つの願いだ。
これからの高校生活も、思う存分楽しめるといいな。
あなたの好きな登場人物は?
-
秦野真黒
-
江波白羽
-
鷺沢アヤネ