~白羽視点~
お風呂に入り、皆寝静まった所。
でも、ちょっと眠れない。
眠くなるまでスマホでも弄っていようとしていた。
白羽「…?あれ…?」
隣には黒ちゃんの布団がある。
でも、肝心の本人がいない。
外にでもいるのかと思い、サンダルを履いて出た。
~真黒視点~
僕は今、浜辺に座り込んでいる。
夜の海は心地良い。
静かに流れる白波、そして肌を擽る涼しい潮風。
やっぱり、海って良いなぁって思った。
「こんな所にいたんだ。」
後ろから声が聞こえた。
しーちゃんだった。
真黒「うん、ちょっと眠れなくて。そっちは?」
白羽「同じ笑」
しーちゃんは僕の隣に座った。
真黒「綺麗だね…。」
白羽「…うん。」
真黒「やっぱり来て良かったよ、海。」
白羽「そ?良かった♪」
しーちゃんは僕に笑顔でそう言った。
幼馴染の笑顔には、どこか幼さもあって可愛らしく思えた。
白羽「…今日はありがとね、黒ちゃん。」
突然、しーちゃんからお礼を言われた。
真黒「ん?」
白羽「海に行こうって、アタシの我儘に付き合ってくれた事。それと、昼間助けてくれた事。」
そういう事ね。
そういえば、昼間ちょっとトラブルがあったっけ。
真黒「別に、しーちゃんの我儘に振り回されるのは慣れっこだよ。それに昼間なんて、当たり前の事しただけだから気にしないで。」
白羽「…やっぱり優しいね、黒ちゃんは。」
微笑みながらそう返すしーちゃん。
女の子からそう言われるのは、未だ慣れない。
真黒「……僕がこんな人間になれたのは、しーちゃんのお陰でもあるんだよ?」
白羽「…え?」
突拍子も無くこんな事を言ったか、しーちゃんは目を丸くしていた。
真黒「あの時、しーちゃんが声をかけてくれなかったら、僕は今日の昼間みたいに止められなかったかもしれない。ずっと一人ぼっちで、内気で、何をするも気が気でなかったと思う。」
白羽「……。」
真黒「それを変えてくれたのは、君だよ。しーちゃん。」
微笑み返し、僕はそう言った。
僕がこんなに前向きになれたのは、間違いなくしーちゃんがいたから。
そうなってから、僕は色んな事に挑戦した。
料理とか、バイトとか、その他諸々…。
しーちゃんが心を開いてくれたからこそ、できた事だと思う。
白羽「や、やだなぁ!急にベタ褒めとか照れるじゃんか///」
やや焦り気味でそういうしーちゃん。
そういう所が、しーちゃんだなって思える。
真黒「だからさ、しーちゃん…。」
真黒「……ありがとね。あの時、僕に声をかけてくれて。」
繰り返し、しーちゃんにそう伝えた。
白羽「うん!こちらこそ、友達になってくれてありがとね!」
しーちゃんはそう返した。
白羽「……でもいつか、友達以上の関係に……///」
真黒「…?何か言った?」
白羽「ふぇ!?///いや、ううん!何でもない!//////」
何だかあたふたしてるけど、大丈夫かな?
白羽「アタシ、そろそろ寝るね!黒ちゃんは?///」
真黒「ん、僕はまだここにいるよ。そのうち眠くなるし。」
白羽「そ、そっか///じゃあおやすみ!//////」
そう言うと、しーちゃんは颯爽と戻って行ってしまった。
真黒「……友達以上の関係か……。うん…、なれると良いな……///」
…ごめん、実はさっき少しだけ聞こえちゃった。
しーちゃんがいないこの隙に、これだけは言いたかった。
真黒「しーちゃん……、僕もいつか、友達以上の関係に……//////」
~白羽視点~
聞こえたり…、してないよね?
もし聞こえちゃってたら恥ずい…///(※聞こえてました)
黒ちゃんを思うと、胸がドキドキするのがわかる。
黒ちゃんは、ずっと可愛い男の子だって、そう思っていた。
だけど最近になって、その可愛い男の子の事を考えると、胸が高鳴っていってるのを感じた。
やっぱりアタシ、黒ちゃんの事が好きなんだ。
別れてからも、ずっと……。
『もししーちゃんが成長して、こんな感じの水着着てたらって、そう思っちゃって、それで……//////』
『ダメだよ…。僕達、まだそういう関係じゃないんだから……//////』
天然バカだけど、そんな所が可愛いアタシの幼馴染。
弟みたいな子だけど、今となっては大好きな男の子。
いつか、結ばれる日が来たら良いな……。
白羽「大好きだよ、黒ちゃん……//////」
~真黒視点~
~翌朝~
あれから僕はしばらくして、眠気が来た為布団に戻って眠っていた。
そろそろ起きる時間だ……と思い、体を起こす。
……はずだけど……。
真黒(ん…?なんか体が動かない…?)
そう、体が思うように動かないのだ。
別に体調が悪い訳では無い。
けど、何かおかしい。
金縛りにでも遭ったように、身動きが取れないでいる。
真黒(それに何か柔らかいし、良い匂いする……。)
マシュマロのような柔らかい感触、香水のような甘い香り……。
……はい、これでもう察したでしょう。
真黒(これってまさか……。)
しーちゃんに抱き枕にされてるううううう!!!???
なんと、しーちゃんに抱き着かれていたのだ。
しーちゃん、寝相悪いのは前から知ってたけど、まさか今になってもここまでとは…。
真黒「ひ、ひーひゃん…!おひて……!!(し、しーちゃん…!起きて……!!)//////」
白羽「ん~…♪」ムギュウゥ
あ~すごいやわらか~いさいこ~……ってそうじゃない!!!
しーちゃんの大きなモノが僕の顔を包んでいる為、上手く喋れない。
じたばたしようが、爆睡しててなかなか気付いてくれない。
それどころか、窒息しそうな勢いで抱き締められてる。
「白羽ー!真黒ちゃーん!起きろー!朝だぞー!」
襖の向こうからおばさんの声が聞こえる。
……あ、これ詰んだかも。
ガラッ
若葉「朝飯できたからさっさと起きろ…よ……。」
真黒「……。」
若葉「……………。」
拝啓、お父様、お母様。
あなた達の息子は幼馴染に抱き締められている所を、幼馴染のお母様にお目にかけられてしまいました。
この羞恥心を、どうかお許しください。
若葉「……………。」
ピシャンッ
挙句の果てには無言で襖を閉められる始末。
真黒「おばふぁん!!たふけてくらはいよぉ!!!(おばさん!!助けてくださいよぉ!!!)」ジタバタ
白羽「ごめん黒ちゃん!まさか抱き枕にしてたなんて!」
真黒「いや、もう、良いです……。はい……。」
あれからしーちゃんは無理矢理おばさんに引き剥がされ、僕は何とか起きれた。
抱き枕にしていた事は完全に無意識らしく、気付いた時は死ぬほど恥ずかしかったんだと…。
あれをやるのは小さい頃だけだと思ってたよ…。
若葉「まったく、お前はいつまで経っても寝相悪いままだよな。挙句の果てには真黒ちゃんを抱き枕にするなんてよ笑」
白羽「もうやめてぇ!!//////」
顔を真っ赤にしながらそう言うしーちゃん。
……まあ、嫌ではないんだけどね。
真黒「それじゃあ、お世話になりました。」
白羽「ばーちゃん!また来るからね!」
頼子「こちらこそ、昨日は手伝ってくれてありがとねぇ。またいつでも遊びにおいでぇ。」
朝食を済ませ、僕らは帰る事にした。
若葉「よし、忘れもんねえな?」
白羽「うん!」
真黒「大丈夫です。」
そして僕らは車に乗り、海を離れていったのだ。
車で移動中、おばさんからこんな話をされた。
若葉「そういや、今夜西公園で夏祭りやるんだってな。真黒ちゃんは夏祭りには行かねえのか?」
真黒「夏祭りですか?今日だったんですね。」
若葉「ああ。せっかくこっちに戻ってきたんだし、白羽と行ってみたらどうだ?」
───と、唐突にそんな話が。
それにしても夏祭りかぁ。
白羽「ちょ、ママ!?アタシと行く前提!?」
若葉「何だよ、せっかくだし2人で行ってきたら良いじゃねえか。白羽は嫌なのか?」
白羽「嫌じゃないよ!ただ、急だったから…///」
あたふたするしーちゃんだけど、何で顔赤くなってるんだろ…。
真黒「僕は行きたいな、しーちゃんと。」
白羽「えっ…!」
真黒「夏祭りなんて行く機会殆ど無かったし…、思い出作りというか何と言うか…。」
ぎこちなくなってしまったが、僕は夏祭りに行きたいな。
どうせなら再会した幼馴染と行きたい。
白羽「ま、まあ、黒ちゃんが良いなら行ってあげなくもないけど?うん!」
真黒(歯切れが悪いなぁ笑)
やや頬を赤らめながらもそう言うしーちゃんだが、どこなく歯切れの悪さを感じる。
まあ、そういう所もしーちゃんっぽいかな。
…夏祭り、楽しみだな。
~夕方~
その日が暮れる頃、僕はしーちゃんが来るまで持ち物を確認していた。
一応、しーちゃんには準備ができたら家に来るようにと伝えてある。
真黒「財布よし、ハンカチよし……。」
会場も暑いと思うから、入念の準備はしておこう。
西公園だから、遠い所なのは確かだ。
ピンポーン
真黒「…と、来た来た。はーい!」
そうこうしているうちに、しーちゃんが来たみたいだ。
ガチャッ
真黒「しーちゃん、待ってた…よ……。」
玄関を開けると、しーちゃんがそこにいた。
うん、それは良い。でも、目の前にいたしーちゃんは…。
なんと浴衣姿だったのだ。
白羽「ごめんね~!浴衣なんて滅多に着ないから時間かかっちゃって…汗」
真黒「……………。」ポケー
白羽「…?黒ちゃん?どったの?」
真黒「あ、いや、ううん!何でもない!!///」
ヤバい、しーちゃんの浴衣姿すごく似合ってる。
いや、似合ってるとかのレベルではない。
セミロングの銀髪を束ね、紫色の布に白牡丹の柄が入った浴衣を着ていたしーちゃん。
モデルみたいで驚いた。
真黒「と、とりあえず行こっか。」
白羽「え?うん。」
真黒(ヤバいヤバいヤバい…!!浴衣姿のしーちゃんすごく可愛い…!!女の人って普段と浴衣でこんなに印象違うの!?//////)
……表では冷静を装っても、心の中では情緒不安定でした。
~会場~
地下鉄を使って、西公園に着いた。
屋台や飾り等で賑わっていた。
真黒「わぁ、結構混んでるね…。」
白羽「まあ夜は花火もあるしね。その為だけに来てるって人もいるだろうし。」
花火…と言ったら、小さい頃家族と一緒に見ていたな。
あの頃は突然の音でびっくりしたけど、そこに広がる空には、煌びやかとした光景があった。
今思えば、あれも良い思い出だな。
……って、最近僕小さい頃の事ばかり思い出してるな…。
白羽「ねえねえ、花火までまだ時間あるし、屋台覗いていかない?」
真黒「良いよ。小腹も空いてきたしね。」
そういう訳で、お祭りの屋台を見回る事にした。
色んな食べ物もあるし、ゲームコーナーもあって、どこに行こうか迷う。
真黒「しーちゃんは何か食べたい物あるの?」
白羽「焼きそば!焼きそば食べたい!♪」
真黒「本当に好きだね笑」
もう既に焼きそばの屋台が見えたからなのか、即答だった。
なんかこのやり取り、入学式の日の夕方を思い出すな。
真黒「今日は僕が奢るね。」
白羽「え?良いよ、悪いし。」
真黒「ううん、いつもしーちゃんに頼ってばかりだからさ。」
白羽「そこまで言うなら…、今日は甘えようかな。」
そんな訳で、今日は僕が奢る事にした。
バイトで貯めたお金も、必要最低限のものを買う時にしかほぼ使わないしね。
こういう時の為に貯めておいて良かったかも。
白羽「ん~!美味しい!♪」
しーちゃんは幸せそうに焼きそばを食べている。
一応、僕の分もと思って2つ買っておいた。
真黒「美味しそうに食べるね笑」
白羽「本当の事だもん!は~至福♪」
まあ、しーちゃんが満足するならそれでいいか。
真黒「あ、僕かき氷も食べようと思ってるけど、しーちゃんもいる?」
白羽「いる!苺が良い!」
真黒「了解。」
しーちゃんって、本当にお祭りが好きなんだな。
ギャルなんだし、多少は好きなのかな。
それから屋台を色々見て、夜になった。
もうすぐ花火が上がる時間かな。
真黒「そろそろ花火見に行こうか?」
白羽「うん!そうしよ……。」
白羽「…痛っ!」
突然、しーちゃんはかがみ込んだ。
真黒「…!どうしたの!?」
白羽「あはは…、靴擦れしちゃったみたい…。下駄履くのまだ慣れてなくて…笑」
しーちゃんの足の指の間が赤く染まっていた。
真黒「見せて。」
白羽「え?良いよ!軽傷だし!」
真黒「そう言って無理する方が僕は嫌なの。」
白羽「あっ…。」
止むを得ず、しーちゃんの足を治療する事にする。
うん、血は出てないね。
これなら消毒液と絆創膏だけで大丈夫。
真黒「…これで良し。治療した後も無理しないでね。」
白羽「……//////」
真黒「…?しーちゃん?」
白羽「あ、うん!ありがと…//////」
真黒「???」
顔赤いけど、どうしたんだろ?
でもまあ、これなら安心かな。
(↑※そういう所だぞ)
~白羽視点~
靴擦れして、黒ちゃんに治療してもらったけど…。
正直、まだ恥ずい。
足を掴まれて、冷静で入れる方が難しい。
真黒「絆創膏、剥がれてきたら言ってね。こういう時の為に常備してるから。」
白羽「う、うん…//////」
でも、何だろう。
恥ずいけど、嫌じゃない。
相手が黒ちゃんだからかな。
…黒ちゃん、本当に優しい子に成長したんだね。
陰ながらそう思えた。
真黒「あ、丁度ここでも見えそうだよ。」
黒ちゃんは空を見上げてそう言った。
本当は高い所に行こうか話してたけど、黒ちゃんは気を遣ってくれたのか、しばらく動かずにいた。
そして、花火が上がる─────。
~真黒視点~
ドーーーンッ!!
花火が上がる時間になったみたい。
色鮮やかに夜空に咲いた。
白羽「綺麗……。」
顔を綻ばせながら、花火を見るしーちゃん。
その赤い瞳には、鏡のように花火が綺麗に映り込んでいた。
白羽「どったの?」
真黒「あ、いや、何でもないよ!」
白羽「?」
危ない、つい見惚れてしまった。
相手は幼馴染以前に女の子なので、どうしても意識してしまう。
その後も、花火を楽しんだのである。
花火が終わった後、しーちゃんが買い物したいと言っていたので付き合う事にした。
来たのはしーちゃん行きつけの駅付近にあるアクセサリーショップ。
しーちゃんはお会計中なので、戻ってくるまで商品を色々眺めていた。
真黒(しーちゃん、ここでいつも買い物してたんだなぁ。)
流石常連さん。
でもしーちゃん、今でも十分派手だし、他にアクセサリーを買うなんてあまり想像付かないけど…。
白羽「お待たせ!」
しばらくすると、しーちゃんが戻ってきた。
白羽「黒ちゃん!プレゼント!」
真黒「え?」
突然、紙袋を渡された。
プレゼントって、何の事だろう?
白羽「ほら、靴擦れを治療してくれたお礼!」
真黒「ああ、そんな事か。別に大した事してないから気にしなくて良いのに。」
白羽「それでもお礼はしたいの!受け取って!」
まあ、本人がそういうなら仕方ない。
僕はしーちゃんから紙袋を受け取った。
真黒「……開けてみても良い?」
白羽「それは帰ってからのお楽しみ!ね?」
可愛らしくそう言うしーちゃん。
それなら、楽しみに取っておこうかな。
白羽「今日は色々ありがとね。」
帰りのバスに乗って、しーちゃんはそう言った。
真黒「僕がしたかったからしただけだよ。それに前も言ったけど、しーちゃんの我儘に付き合わされるのはもう慣れてるし。」
白羽「…そっか。」
夜の街を眺めながら、しーちゃんはそう返す。
そんな横顔に、思わずドキッとした。
今のしーちゃんは、紛れもなく“美少女”だ。
昔とは大違いで、幼さが残りながらも、大人っぽい。
僕は、そんな女の子とまた一緒にいられる事が、本当に幸せだ。
女の子として意識しちゃう事もあるけど、昔に戻ったような感じもした。
しーちゃんといられる時間が、このままずっと続いたら良いのに。
~自宅~
しーちゃんから貰ったプレゼント、そろそろ開けてみる事にした。
真黒「これは……。」
中に入っていたのは、三日月の形をしたネックレスだった。
そういえばしーちゃんも、形は違うけど普段ネックレスを着けてたっけ。
Shiroha♡『プレゼント、気に入ってくれた?』
……と、しーちゃんからメッセージが届いた。
マクロ『うん。すごく綺麗。ありがとう。』
Shiroha♡『良かった!ちゃんと大事にしてね?』
マクロ『わかってるよ笑』
最後におやすみと送り、僕は寝る事にした。
このネックレス、僕に似合うと良いな。
浴衣がありませんでした……汗
あなたの好きな登場人物は?
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秦野真黒
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江波白羽
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鷺沢アヤネ