不死身チート貰うとかサイボーグになるしかないよね! 作:らんくまっちょ
さて。謎の異能に目覚めてからもう二日……母との約束通り、私は病院に検査に来ていた。
検査、なんて言ってもそういう類の能力や、魔法を使用できる人間にささっと見てもらうだけであり、そう時間はかからない。
残念ながら母は急に仕事が入ってしまったので、急遽父に来てもらっている。
待合室にて、小さい声で父が喋る。
「いやぁ、にしてもまさかお前が異能に目覚めるとはな。父さんビックリしちゃったよ。母さんも私も、異能なんて縁が無かったのになぁ」
……異能、というのは二種類のタイプ、発生の仕方がある。
両親、又は片方の親が異能を所持していた場合、そこそこに高い確率で子供も同じような異能を持って生まれる、家伝型。
特に、極めて強力な異能を持った人物は何故だか子供に引き継がれる確率が高く、
そんな人間が作り上げた異能一族とでも言うべき家も存在する。
もう一つが、完全に異能に縁の無かった両親から生まれる、突発型。こっちが私に当てはまる。
突発型には、特徴らしい特徴は無く……しいて言えば過去に類を見ない、独特な異能を持った人物が多い、との事。
あと、異能は基本的に幼いうちに目覚める、というのが通例だ。
両親も驚いただろう。16歳という、完全に異能が目覚める年頃から離れた息子が急に
発現したのだから。
「俺もマジで驚いたよ、まあ、傷が治るだけの異能だったからちょっとがっかりもしてる、けどね」
「いいじゃないか、あるだけ得だし、細かい傷が絶えない仕事とかにも適性が高そうな良い異能だよ」
「そうだけど、さぁ」
やんややんや、父と今日の昼飯何を食うか、異能をどうやって活かすか、なんて話をしていると―――
「
部屋の上部のスピーカーから、私の名前が呼ばれた。
「んじゃ、行ってくるわ。多分そんなにかからないから」
「はいはい」
二番診断室……は、此処か。
デカデカと白い扉に青文字で書かれている為、非常に分かりやすい。
扉を開けてみると、そこに居たのは狼の獣人と思わしき、白衣の老人。
粗めの白衣の繊維の隙間から、ぴろぴろと毛が出ているのが少し面白い。
「翁長さんで合ってる?」
「ええ、はい」
「いやぁ~、にしても珍しいねぇ。今年で16なんでしょ?その歳より上で目覚めた人、私五十年はここで異能診断やってますけれども数人しか見たことがありませんわ」
「そんなに、ですか」
「ええ、まあとりあえず見させてもらいますよ」
……目が。人の良さそうな笑みの中に、赤い目が爛爛と光る。
鑑定異能ってこういう感じなのかー、なんて。ボーっと眺めていると。
「不死身、やねえ」
「…………はい?」
不死身、と言ったか。
前後の文脈、いや異能を鑑定して貰っていた私に、そう言うって事は……えぇ?
「不死身、ですか。私の異能」
「うん、しかもただの不死身じゃないねえ」
いやただの不死身ってなんだよ。
「君の体が不死身という性質を持ってるんじゃなく、君の魂が体を不死身にしているんだよ」
「えー、すみません……ちょっと分からない……」
「まあ良く分からないとは思うが……まあ、不死身だからと言って老衰できない訳じゃないし、
永遠に体が変わらない訳じゃない、って事だけ覚えてればいいと思うよ。」
「不死身の異能って、ある程度居たりするんですか」
「いや?私自身見たことは無いし、そういう人間が居るとも聞いたことは無いなぁ、多分世界初じゃない?」
その後、幾つかの問診……らしき事をして、検査はこれで終わりだと伝えられる。
病院から出て、父と家に向かう車の中二人きり。
「そういや、結局異能は何だったん?」
「不死身やって」
「ええやん。事故とか怖くないなぁ。ちょっと羨ましいわ」
「まあ、そうかもね。少なくともこれから死ぬ心配はしなくていい訳だ」
「……それにしても、不死身だからって
「……うん。ちゃんと、生きようとするよ」
ちなみに、昼飯は某オレンジの牛丼チェーンで済ませた。やっぱり、安定して美味い。
家に帰って、課題を終わらせて。晩飯を食べて、寝る準備を済ませ。いつも通りに筋トレをしてから風呂に入って布団で就寝。
………
いつも、寝ると前に考えてしまう。もう、私は夢を追えないのかと。
サイボーグ。強化外骨格や、乗り込むロボットも格好いい。ただ、成りたいのはサイボーグだった。
持っている才能。資産。環境。友達。全てを総合して、今からサイボーグを目指せるかを毎夜毎夜考えていた。
今までは変わらなかった、条件。日々僅かにしか変わらなかった、自らの肉体。
急に変わり、不死身となった自分の肉体。
考えること二十秒弱。
「……ギリ、成れるか……?」
不死身というアドバンテージ。医者の言った
もし、体が金属を拒んだりしないのであれば。無制限の人体実験を可能とするこの体ならば。
……取り敢えず、明日から本気出す。今日は寝よう。