アウラを人類と共存させてみた   作:やわら烏

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私は渋専だから他所の事がよく分からなくて
"他所の小説サイトを知る"為に旅をしてるんだ
その途中で"ハーメルン"を知ったんだよ


本編じゃない
1.アウラから魔法を取り上げるじゃない


〜勇者ヒンメルの死から28年後〜

-北側諸国 グラナト伯爵領近辺の森-

 

 

「まさか伯爵領の近くにこんな"掘り出し物"があるとはね」

 

 

 

 

七崩賢 断頭台のアウラ

 

彼女は今、グラナト伯爵領から少し離れた森林で見つけた、古代遺跡の内部を物色していた。

 

「小さな遺跡かと思ったけど……"下"はこの何倍も大きそうだわ」

 

鬱蒼とした原始林にひっそりと建つ風化寸前の遺跡。

高さは十数メートル程の三角錐状だが、

その実像は複数の階層からなる塔の様な形状の高層建造物。

かつては高々と聳え立っていたであろう大遺跡も

今は大半が地中に埋もれ、その最上部のみが地表に出る形に収まっている。

 

「遺跡を調べた感じ、建造された年代は凡そ1000年前……」

「噂に聞く、『統一帝国』に縁のある建物なのかしら?」

 

遺跡の壁一面に刻まれた古エルフ語や

今使用されている公用語とは微妙に違う古代文字を眺めながら

アウラは円形状の部屋の中をゆっくり散策する。

 

すると、部屋の真ん中辺りの床が複数階に渡って崩落しており

遺跡の下層まで吹き抜けているのを見つける。

 

「いちいち1階ずつ降りずに済むだなんて、気が利く遺跡じゃないの」

 

飛行魔法で穴の最深部へとゆっくりと降りていき、

それに続く形で彼女の僕である不死の軍勢も飛び降りていった。

 

 

 

 

何の危難もなく、無事に遺跡の最下層まで降りたアウラ。

 

その部屋の中央付近には立派な拵えの台座があり、そこに一本の杖が飾られていた。

 

「(……いかにも『罠です』って感じの置き方ね)」

 

大魔族たる自分がちょっとやそっとの罠で死ぬ筈がない。

そう確信はしていても万が一を危惧しているようだ。

 

「取ってきなさい」

 

アウラに命じられた一体の首無し騎士が台座の方へと駆けていき

その杖を手に取る。

 

ガチャリ

 

これといった罠も作動せず、難なくお目当ての品を掴んだ騎士は

主の元へ杖を献上した。

 

「なんだ、ただ飾ってただけか、心配して損しちゃった………それにしても」

「いざ近くで見ると、中々良さげな杖じゃない」

 

『良さげ』という実にシンプルでざっくりした評価だが

事実その杖は、魔法という分野においては目の肥えた大魔族のお眼鏡に適うだけの価値があった。

 

 

天辺に据え付けられた黒色の水晶

 

持ち手から杖先にかけての見事な曲線美

 

丹念に塗り上げられた漆の光沢

 

所々に嵌め込まれている螺鈿

 

 

素人目で見ても芸術品と分かる品だ。

だがアウラが『良い』と表現したのは外観の美しさではない。

 

「この手の古い杖は無駄に詰め込まれたごちゃごちゃした術式が混線してて醜さ極まりないけれど……"コレ"は違う」

 

「杖の内部に組み込まれた術式構造、実に美しい……」

「複数の高度な魔法を内包しているようだけど、それでいてパズルのように互いがカチッと組み合わさっている」

「魔力を通した際のムラも起きにくそうだし、機能美においてもこれ程使いやすそうな物は見た事がない……まさに傑作ね」

 

魔族は魔法に関連した物品に強い関心を示す習性があり、アウラもその例に漏れない。

芸術性、実用性の両方において大変価値のある逸品。

 

「大魔族の私に相応しい杖じゃない。帰ったらリュグナー達に見せびらかしてやるわ」

 

古代の遺物をこれ見よがしに示す自分と、羨望の眼差しを向けてくる配下の魔族3人。

そんな情景を思い浮かべながらアウラは首無し騎士の差し出した杖を手に取った。

 

 

 

 

 

 

 

取ってしまった。

 

 

ボワッ

 

 

「ヒャッ!?」

 

杖の柄を握った瞬間、魔力に反応した杖内部の術式が作動して杖全体が淡く光った。

その光の一部はアウラの身体へと流れ込む。

突然の出来事にアウラは杖を手放して身構えたが、身体にこれといった異変は起こらず

やがて床に転がった杖の光は次第に薄まり

元の物言わぬ古杖に戻った。

 

「な……なに?今のは」

「魔力を流した覚えはないのに……古いから壊れて……

 

 

 

 

……あら?」

 

 

 

杖に気を取られていたアウラはようやく周囲の変化に気がつく。

 

 

アウラの周囲で一糸乱れぬ隊列を組んで控えていた筈の首無し騎士達。

 

それ等全てが一体残らず地面に倒れ伏していた。

 

「……お前達、何をやってるの?動きなさい」

 

天秤を振りかざして、不死の軍勢の再起動を図るアウラ。

しかし、ただの首無し死体と化した者達はうんともすんとも言わない。

 

 

 

 

「なるほど……やってくれるじゃないの」

 

こめかみをヒクつかせたアウラは感心混じりの悪態を吐き捨てる。

 

「(私の魔法が解除されるだなんて初めてだわ)」

 

「自身の魔法を解除された」、アウラはそう認識した。

古代の遺跡には愚かな侵入者や盗掘者を拒む為に魔法を駆使した罠が仕掛けられている事がある。

アウラもそれを警戒して首無し騎士に代理で取らせたのだが、

 

「ちゃんとした生者にのみ反応する罠……ってところかしら」

「使役したアンデッドに罠を処理される事を想定した解除魔法、中々に底意地の悪い造り手ね」

 

想定外の事態に見舞われたが、アウラは現状を冷静に分析する。

大魔族・七崩賢の魔法を解除するような高度な魔法に遭遇した事に驚きこそすれど、

彼女にとっては使役した配下を潰された……"その程度"の出来事でしかない。

 

「そこそこ気に入ってたコレクションも居たんだけれど……まぁいいわ。そこら辺の人間の街を滅ぼしてまた集めれば」

 

そう言うとアウラは崩落して穴の空いた天井を見据える。

最早興味の尽きた遺跡に用などなく、行きと同じ経路で戻るだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………え?」

 

そして彼女が"その程度"の出来事どころでは無い事に気がつくのに

そう時間はかからなかった。

 

「あ、あれ……?」

 

「飛んで帰ろう」、そう心で念じたアウラの身体は

飛行魔法によって上方に浮く筈であった。

しかし、浮かない。

 

「うそ…………嘘でしょ?」

 

嫌な予感を覚えたアウラはその場からピョンと跳躍する。

 

 

 

スタッ

 

アウラの小柄な身体は重力に従って床に着地した。

 

"飛行魔法"

魔族にとっては魔法ですらない、人間でいえば幼児が初めて立って歩くに等しい初歩的なものだ。

特別な技術など必要ない、魔族なら誰もが当たり前にやっている移動手段。

ついさっきまで出来ていた筈のソレが

何故か、出来ない。

 

 

「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」

 

 

そこからアウラは自身が覚えている限りのあらゆる魔法の行使を試みた。

 

『目の前を眩しくする魔法』

 

『気配が朧気になる魔法』

 

『逃げる時に足が絡れなくなる魔法』

 

本来魔族は一つの魔法を探求し、それ以外の魔法は覚えないし、仮に覚えていても使わない。

しかしアウラは、魔力量で勝る相手と対峙した際、若しくは"服従させる魔法"を発動する暇すらない場合に備え

幾つかの民間魔法を習得している。

 

 

そのどれもが、発動すらしなかった。

 

 

「なんでなんでなんでなんで…………」

 

薄暗い遺跡の深部で、パニックに襲われたアウラの荒い呼吸音だけが響く。

 

 

 

 

 

 

「なんで魔法が使えないのよぉッ!!!」

 

 

 

人知も人の理も超えた、七崩賢の魔法

 

 

今この瞬間、"服従させる魔法"(アゼリューゼ)は失伝した。

 

 

 

 

この世からも、断頭台のアウラ自身からも

未来永劫失われた。




なるほどのう
多機能フォーム起動から整形・置換を用いて
他サイトルビ記法の変換が出来るのか……
複雑な仕組みじゃのう

誤字脱字に気付かずそのままコピペしたら精神的にさぞ辛かろう
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