服だけ溶かす薬の数十倍くらい下品で低俗です
読まなくても多分大丈夫な奴です
御了承ください
はじめまして、ワシは
この壁画を見ているという事は、ワシが地中深くに沈めて隠した塔を発掘し、
その最深部まで到達したという事になるのか。
皇帝様の即位式で配られた死ぬほど不味い安酒を飲みながらワシはコレを書き記している。
思えばワシはガキの頃から人がガッカリするサマを見るのが好きだった。
その為に魔法の高みを目指してきたと言っても過言ではない。
この間もゼーリエの奴の魔導書を20冊ほど全ページシャッフルして全く別の魔法に組み替えたら
死ぬほどキレられて殺されかけたわ。
多分向こう1000年くらいは顔を合わせない方が賢明だろうな。
誰かにくだらない悪戯を仕掛けたら怒られる。
しかし己の内の燃え盛る童心を捨て切れない。
そこでワシはとある生物に目をつけた。
『魔族』
統一帝国所属のフランメとかいう人間の魔法使いは
あの人類モドキの魔物をそう名付けたそうだが…………"アレ"は良い。
人権なんぞ全くないから何をしようが罪に問われないし
"人類を害する有害な生物"という紛れもない事実はあるから
寧ろ奴らの駆除行為は賞賛される。
あやつらは、人の言葉を上辺だけ真似ているだけだが、感情がない訳ではないのだ。
まぁどいつもこいつも表情の変化に乏しいからそう誤解されがちだが。
その癖魔法に対するプライドだけは一丁前にあるから
そこを刺激してやるとやたらムキになる。
……で、どうやって魔族に悪戯を仕掛けるかについてだが。
実はワシの得意な魔法の一つに、"封魔鉱を生成する魔法"というのがある。
もちろん考案したのは金稼ぎが目的ではない。
"封魔鉱を生成する魔法"は魔力の燃費がすこぶる悪いから
全魔力を注ぎ込んでも漬物石程度の大きさしか造れんから釣り合いが取れないし
下手にデカい鉱石を造ったらワシ自身も魔法が使えなくなっちまう。
そもそも、ワシは蓄えがそれなりにあるから、今更はした金なんぞに興味はないしな。
封魔鉱を生成してそこら辺に転がしておくだけで
同族達は唐突に魔法が使えなくなって
めちゃくちゃビックリする。
この時の驚愕の顔が見たくてこの魔法を生み出した。
しかし、これだけでは魔族をガッカリさせるのには物足りない。
いちいちワシが介入して、1匹ずつ魔族をガッカリさせるのは手間が悪い。
そこでイカすナイスなアイデアを思いついた。
「魔族の魔力を利用してやろう」と
ワシは新たな魔法を作るのに躍起になった。
そして僅か数十年で、『魔族の魔力に反応して自動で魔法を発動する魔法』を完成させた。
あとは簡単。
職人に頼んで見栄えの良い杖を造ってもらい、
そこに2つの魔法術式を刻み込む。
杖を握った魔族の魔力を拝借して、封魔鉱を魔族の心臓付近に生成するような調整も施してな。
この前、さっそくそこら辺に居た、人間を貪ってた魔族にこの杖の効能を試してみた。
見た目は人間でいう20代前半の娘っ子くらいだったな。
するとどうだ?
何の疑いもなく、高級そうな杖をむんずと掴みやがった。
そして暫くすると、己の魔法の一切が使えなくなったと気が付いた奴は慌てふためき出した。
ワシはそこへ追い討ちを掛けてやった。
「お前さんはもう魔法を一生使えんのじゃ!ザマァ見ろ!!」と。
そしたあやつ、「このクソエルフめ魔法を返せぇぇ!!」とか大泣きして殴りかかってきたわい。
齢数百歳のいい歳した人外の小娘が澄ました顔を崩して
幼児のようにピーピー大泣きするのを見るのは実に気分が良かった。
その後はエルフの里に女魔族を引き摺っていった。
里の奴ら、ワシの顔を見るなり汚物でも現れたかの如き顰めっ面をして失礼極まりなかったの。
あまりにも邪険に扱われるものだから
エルフの中でも暇を持て余したワシの同類を何人か引き連れて
里から離れた森の奥で宴を始めた。
磔にされた女魔族を囲って早速蹂躙が始まった。
鞭打ち、角を叩き折る、魔法の的にする……そんなありふれた物は序の口。
"吃逆とくしゃみが止まらなくなる魔法"
"平衡感覚を上下左右逆さまにする魔法"
"なんの価値もないゴミみたいな時間が充実したものに感じる魔法"
各々の得意とする魔法を交互に掛け合って反応を楽しんだ。
前2つの愉快な魔法による苦痛の時間が一番最後の魔法によって何十倍にも引き伸ばされる悪魔のようなコンボには
さしものワシも膝を叩いて感心したわ。
そうそう、エルフにしては性欲を持て余した変態は「猛獣だろうが穴はある」とか言いながら……
……うむ、これは書くのはよそう。
ワシはガッカリする顔を見るのが好きで、目を背けたくなる下品な行いには普通に嫌悪感がある。
これらの責め苦に耐え抜いた女魔族の最期は呆気なかったな。
ミリアルデの奴が、テメェが搔っ食らってた
肛門からアルコールを直に流し込み始めた。
その途端、「ゔゥゥ〜ッ?」とか「あ゛ッ」とか獣みたいな唸り声を発し出し
ガクガクと痙攣し出したかと思えば、ピクリとも動かなくなり
女魔族は塵になって消滅したわい。
どうやら魔族はアルコールをケツから流し込まれるのが弱点らしい。
また一つ、人類の対魔族への知識は一歩大きく前進した。
あの飲んだくれのボーっとした女が何百年ぶりかに笑ってたのは意外だったの。
「この杖を量産すれば、魔王軍とも戦えるんじゃないか?」
この壁画を見た遠い未来の君はそう思うかもしれんが、馬鹿を言うな。
この杖の妙味は『魔族に対する初見殺し』な所にある。
何度も大々的に使っていればいずれは情報共有されて警戒されてしまう。
……というか、そもそもワシは魔王がどうのとか知ったこっちゃない。
他人が不愉快そうな顔をして、ワシが楽しくなりさえすりゃそれでいい。
とはいえ、ワシの珍発明は帝国からも受けが良かったらしく、
「品性は兎も角としてアイデアは素晴らしいから是非、杖の内何本かを買い取りたい」
と仰せつかった。
ワシの気分も何百年ぶりに乗ってきたぞ。
このワクワクを維持したまま、更なる奇天烈なアイデアを出力し、
それで世の中をワシ好みに面白おかしく────
そこでゼーリエは風化寸前の壁画を魔法で修復する手を止めた。
「ゼーリエ様、以上が壁画の文字を解読した内容になりますが……」
「ヒルフェ。この下品な壁画は粉々に打ち壊して捨て置け」
フリーレン「もちろん、この杖に説明書みたいなものは何処にも書かれていなかったから、製作目的は私の憶測に過ぎないけど」
「きっと魔族のことが憎くてしょうがない魔法使いの産物なんだろう……」