「…………何処だよ、ここ」
父さんに謎なロストロギアで転移させられたのは、真っ暗な森の中だった。
対象者が望んだ場所に転移させるとかって効果だったらしいけど、望んだ対象者ってのは父さんなのか俺のどちらだったのだろう?
少し寒いけど、ひとまず気温とか空気とかが人が生きられる環境だったのは助かる。
水とか食料とかは一応ストックがあるけど、空気とか環境がヤバいとどうしようもないからなぁ。
「イモータルハート、周囲の偵察頼んでいい?」
『承知』
デバイスを簡易起動して子機を飛ばして周囲の偵察をしてもらっている間に持っている荷物の確認をする。
デバイスは3つとも問題なさそう?一応自己点検プログラム走らせるか……最後にメンテしてからそんなに経ってないけど、よくわからん場所に飛ばされてんだし。
水は濾過出来る器具があるし、食料は生存に必要な栄養だけを重視した味の悪い保存食が2週間分くらいか。
服は今着ている分を合わせて3着か……最悪バリアジャケットを応用した物で何とか出来るけど、先々のことを考えると魔力はむやみに使いたくないなぁ。
転ばないように気を付けながら周囲を歩き回って、状況を確認。
夜の森ってことで暗いけど、木々の隙間から明かりが見えるから近くに町か何かがあるっぽい。
人が住んでる場所に近いなら明るくなったら情報収集するのもありか、言葉が通じる所だといいなぁ。
「ん?」
魔力の反応がした、ということは誰かが魔法を使ってる?
魔法が使える存在がいる場所なのか、デバイスの子機を飛ばして周囲の偵察をさせたのは早まったかも。
「子機を飛ばしてる魔力から、こっちに気付かないと良いけど」
俺はとびっきりの時空犯罪者に造られた存在なので、俺の存在や情報はあんまり表に出てないと思うけど……崩壊したとはいえ、管理局や聖王教会の生き残りには遭遇したくはない。
スカリエッティの関係者だと知られたら、どんな目に合うかわからんしなぁ。
とはいえ、とりあえず情報を得るしかないので一番背が高そうな樹を探し、わずかな凹凸に手足をかけ登っていく。
こちとら基礎スペックがやたら高い
「ベルカ式、それも
てっぺん近くのなるべく太い枝に腰を下ろし、魔力反応がした方に目を向ける。
ここから結構離れてはいるが、明りに照らされたそこそこ発展している街並みと、その先には海が見える。
そして、そんな街と海の一画をどでかい結界が包んでいる。
結界張った術者かなりの手練れだなぁ、古代ベルカ式であの規模の結界だと聖王教会にいる古代ベルカから血を真っ当に継いでる騎士並みの実力がないと無理でしょ。
そんなんがいるとか、この世界は一体どこなんだろうか?
『帰還』
「お疲れ様。何かわかった?」
結界の方をしばらく眺めながら考察をしていると、イモータルハートの子機が帰って来たので報告をしてもらう。
『周囲の環境を過去のデータから検証した結果、第97管理外世界:地球の可能性が極めて高いです』
ここ地球なのかよ!?マジか、こんな形で地球に来るとは思ってなかったぞ。
「ん?過去のデータからって、レイジングハートのデータ?」
『是。
えぇ……海鳴って母さんの出身地じゃなかったっけ?なんでそんな所に飛ばされてんのさ。
やっぱ対象者が望んだ場所って、俺じゃなくて父さんが望んだ場所だったんじゃないかこれだと。
『それと―――――』
「どうしたの?イモータルハート。他にも何かあったの?」
イモータルハートが言葉を濁すなんて珍しんだけど?何があったんだろ。
『周辺の地形情報並びに、展開された結界の構成や魔力、結界内の術者の情報をメメントモリを共有―――検証した結果』
『闇の書事件の際、高町なのはが守護騎士に襲撃された時と状況が酷似しています』
………………は?
闇の書事件って、あの闇の書事件のこと?
時空犯罪組織を見つけると即座に強襲して投降を一切許さず情報を片っ端から引っこ抜いたら、人も物も等しく更地にしていく狂騎士一家の八神家が管理局に所属する原因になったっていうあの闇の書事件だよね??
10年近く前の事件と状況が酷似してるって、どういう事??
『来ます』
得られた情報にうんうん唸っているとイモータルハートの言葉と共に結界が罅割れ、結界を割り砕きながらぶっとい桜色の魔力砲らしき光が天に昇っていく。
結界破壊効果が乗った魔力砲撃って、また脳筋極まりない珍しいものを使う人がいるんだな。
結界を壊すだけならそれ用の魔法を使えばいいのに、砲撃魔法の威力を上げて貫通効果や破壊効果を高めた魔法なんて珍しいにもほどがある。
『長距離観測開始、魔力光、魔法構成を検証――――――――――――マスター。いえ、
「は?」
母さんの存在を確認って、どういう……。
『主。メメントモリと検証をした結果』
『我々は、御父上が使用したロストロギアにより約10年前、闇の書事件初期の第97管理外世界:地球、海鳴市に時間を遡り転移した可能性があります』
シオン・T・スクライア
ジェイル・スカリエッティに魔改造されたプロジェクトFの遺産から造られた高町なのはとユーノ・スクライアの息子。
ミドルネームのTは高町のT。
瞳の色は父親から遺伝し、髪色や顔つきは母親から遺伝している。
父親譲りの中性的な雰囲気も受け継いだり、長期の逃亡生活で髪を長いこと切ってなかったりするせいで、腰近くまで伸びた髪を持つ高町家の長男と次女を足して割ったような顔した少女()に見えるとかなんとか。
高町家に見つかると士郎の隠し子ではないかと桃子に疑われ、士郎の尊厳が死ぬ。
見た目は8~10歳くらいだが、実年齢は4歳。
培養液で5歳程度まで成長させられ、培養液から出されてからの年齢しか数えていないので自己申告4歳らしい。
造られた当時、やたらテンションが高かったスカリエッティがとある因子をぶち込んでみたりと色々やらかしたので肉体的にも頭脳的にもかなりのハイスペックな仕上がりになっている。
魔力光は薄い紫、魔力量はかなり多く得意魔法は砲撃系と補助系と両親からいいとこ取りしてたりする