魔法少女リリカルなのは 追憶の花   作:むつきばな

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なのはさん20周年、本当におめでとうございます!!

20周年プロジェクトの新情報、めっちゃ楽しみ。




おにいさんは、おじさんなの

 

「うぇ。父さんといい母さんといい……9歳の子供が担当する事件じゃないだろうコレは」

 

イモータルハートから過去にタイムスリップしてるんじゃね?っていう衝撃発言から一夜明け、陽が出たとはいえまだ薄暗くて寒い森の中で朝食代わりの味が微妙なエナジーバーをモソモソ齧りながらメメントモリで闇の書事件のレポートを確認してんだが……。

 

なんだこれ、死者こそ出てないが管理局員にリンカーコア持ちの野生動物の被害がぱねぇ。

 

「母さんが次代のエースオブエースになれる人材って言われてたのも納得の戦果だわ」

 

事件の最初こそAAAクラスのベルカの騎士から不意打ちを受け蒐集されるが、デバイス改修後には普通に戦えるようになり事件の本格的な調査を開始。

 

最終的に蒐集を終え暴走状態となった闇の書から死者を出さず、転生機能などを完全に破壊しベルカの騎士に襲われてから3週間程度で事件を解決。

 

これにより、管理局から解決不可能と言われていた闇の書による被害を終わらせた。

 

というか、暴走状態の闇の書と相対した人達が軒並みおかしいんだけど……なんだよ参戦した全員がA以上で空戦可能って、小さな国くらいなら簡単に滅ぼせる戦力だぞ。

 

そう考えると、現役のエースオブエースとエースオブエース候補を墜としたドクターって本当に凄かったんだな。

 

まぁ、ゼストさんは一緒にいた部下を積極的に狙って本人が全力を出せない状況にして、母さんは過労気味で万全の状態じゃなかったらしいけど。

 

「………そういえば、この世界だとゼストさん達はまだ普通に生きてるのか」

 

ドクターに捕まった後にロストロギア使って半死人みたいな状態にされたのに気合で動き回ってたゼストさん。

 

俺の何が気に入ったのか、ドクターのラボで時間がある時に俺に戦闘訓練を付けてくれたり、部下の娘でドクターに拉致されたルーテシアと一緒に遊んでくれたりと、色々と世話になった人だ。

 

部下を助けられなかった事をめっちゃ悔やんでいたから、此処が本当に過去なら忠告したりは出来るかも知れないけど……ドクターの裏をかける気がしないんだよなぁ。

 

ゼストさんも言葉を濁してたからよく知らんのだけど、ゼストさんの部隊が全滅したのって管理局がドクターと繋がっている事を探られたくないからレジアスに指示して調査を止めようとする直前に、ゼストさんがドクターの秘密ラボを突き止めて突入したんだっけ?

 

そもそも、ドクターが管理局から明確に離反したのを表明したのってゆりかごを起こす直前だったから……いまの時期だと管理局とドクターってずぶずぶのはずで、両者にバレないようにゼストさんに接触するとか無理ゲー過ぎる。

 

「まぁ、とりあえずは保留か」

 

というか、俺のデバイスたちもドクターが制作した物だから、状況が落ち着いたら一回変な物を仕掛けられてないか調べておくべきかな?

 

ドクターは自分で造った娘達にぴっちりスーツを着せる変態だけど、天才であることは確かだし。ないとは思うけどドクターにしかわからない発信機とかが搭載されてて、それをこの世界のドクターに補足されるととても困る。

 

未来の自分が造った人間とデバイスとか興味を引くのに十分すぎるから、捕まったらデバイス共々間違いなくモルモットにされる。

 

俺にとっては恩人ではあるんだが、恩義があるのは未来のドクターでこの時期のドクターは面識もなけりゃ恩義もない超ド級のマッドサイエンティストな犯罪者になるので、いろいろと警戒しなきゃならん。

 

「しかし…………ねむい」

 

少しずつ陽が出てきた事で気温も上がってきているので、徹夜明けということもあり結構眠くなってきた。

 

んー、少し仮眠を取ってから動き出そうかね。

 

とりあえず、やるべきことは管理局や騎士達に見つからないようにしながら状況確認の為に現地の調査と資金を確保して、何処かに拠点を設けることかな?

 

最悪、拠点はシークレットベースをテントにして使ってもいいんだけど、携帯食料がなくなる前に食料を確保したい。

 

この時代の日本だと警察とかの機関はそれなりに優秀なはずだから、食料品を盗んだり奪ったりするのは結構なリスクを伴うので、普通にお金で購入する方がいいだろう。

 

だとすると……資金は裏社会の自営業(ヤクザかマフィア)から魔法を使って奪った方がいい。そっちは法に守られてない人達だから警察に通報なんてしないだろうし、管理局に魔法を使ったことがバレなければ問題ないでしょ。

 

隠蔽系の魔法は苦手じゃないし、非合法組織の襲撃とかはナンバーズ達の実践訓練の場として何回か俺も参加してやったことがある。

 

よし、仮眠取ったら現地の調査ついでに裏社会の自営業(ヤクザかマフィア)が居そうな所を探して、夜中にでも襲撃する感じにしていくか。

 

「動くな」

 

背後から首筋に刃物のような物を当てられる感触がすると同時に、寒々とした殺気を込められた声が突き刺さる。

 

ぶわっと、当然訪れた命の危機に全身に冷や汗が出る。

 

『マスター!?』

 

うっそだろ。いくら眠気があったとは首に刃物を当てられるまで全く気付かなかった?管理局や騎士達に見つからないよう魔力消費を減らして精度を落としていたとはいえ、イモータルハートだって常に索敵していたはずなのに!?

 

「忍から敷地内に侵入者がいると言われて来てみれば……あぁ、確保した。背丈は子供に見えるが。これからそっちに連れて行く」

 

誰かと通信してる?ということは、個人ではなくバックアップがいるのか?

 

相手が気になるが、僅かにでも動こうとすれば首に当てられた刃物を鳴らされ、相手に命を握られてることを嫌でも意識させられる。

 

『落ち着けイモータルハート。脅されているだけで薄皮一枚切れてないから』

 

慌てているイモータルハートに念話を返す。気付かなかったことに対する謝罪が聞こえて来たが、気付いていなかった俺も悪いので気にするなと再度返事をする。

 

声からすると若い男の人っぽい。即座に殺すことも出来たはずだが、声をかけて来たってことは俺の情報が欲しい感じか。

 

魔法による拘束ではなく刃物による脅迫ってことは魔導師とかではなく現地民の可能性のが高そうだけど……。

 

いや、なんで管理外世界で魔法なんてないはずの世界の現地民が魔導師やデバイスに気付かれずに背後を取れるんだよ。

 

この人が特別だと思うけど…………特別だといいな。

 

この人クラスの実力者がゴロゴロしてる世界なら計画を全部組み直さなきゃならんし。

 

「まあいい。刃は外すが余計な真似はするな。ゆっくりこちらを向いて被っているフードを取れ」

 

とりあえず指示に従ってれば即座に殺されることはなさそう。隙を見てデバイス起動して逃げだしたいけど、こんな凄腕の暗殺者みたいな人から逃げられるビジョンが全く浮かばない。

 

デバイスを起動した瞬間にばっさり斬られそうだから、逃げるのは無理かも。

 

首から刃物が離れたのを確認し一息つき、指示通りゆっくりと声がした方へ体を向ける。

 

そこにいたのは刀を構えた鋭い目つきをした男性。構えている刀が少し短い気がするから、この場合は小太刀になるのか?

 

まだ未成年にも見えるから男性ではなく青年かもしれないけど、こんな殺伐とした雰囲気を出せる未成年っぽい青年が何で平和な時代の日本にいるんだよ。

 

しかし、この人の顔どっかで見たことがある気が……どこで見たんだっけ?

 

わずかに浮かんだ疑問を放り投げ、被っていたフードを取る。

 

出来れば鬱陶しい長い髪も外に出したいが、いざ逃げ出すときに捕まれる恐れもあるので、余計なことはせず指示通りにフードだけ脱いでおこう。

 

「なっ!?」

 

「ふぇ?」

 

いや、なんでこの人俺の顔を見てデカい声で驚いてるんだ?

 

フード取って顔を出しただけなのに、こっちが予想外なほどに驚愕したから逃げ出すの絶好の隙だったのに思わず見逃したやん。

 

『マスター』

 

まだ驚愕から帰ってこれない青年と、どうしてそんなに驚かれたのか理解できていない俺の間で微妙な空気が流れる中、イモータルハートから念話が入る。

 

『データを照合が終了しました。この青年はマスターの御母上である高町なのはの兄、高町恭也氏です。おそらく、マスターの顔つきから御母上を連想した為に驚愕したと思われます』

 

あぁ、納得。

 

何処かで見たことあると思ったが、俺の顔にも似てるんだ。

 

父さんの話しだと俺の顔は母さんに結構似ているらしいし、フード取って母さんによく似た顔の子供が出てきたら驚いても不思議ではないわ。

 

いや…………ちょっと、待て。

 

実年齢は置いとくとして、俺の見た目は10歳前後の子供で。

 

そんでもって昨夜のイモータルハートの考察が正しいとしたら、闇の書事件の母さんも似たような年齢だよな。

 

問、森の中にいた不審者を尋問したら妹によく似た顔した、妹と同じ年くらいの子供がいた場合の対処法について?

 

「とりあえず、俺と一緒に来てもらうぞ」

 

解、捕縛してもっと尋問して情報を引き出しましょう。

 

「えっと……拒否権とかって、あります?」

 

「あると思うのか?」

 

チャキと小太刀を鳴らされた。

 

『イモータルハート、逃げる隙があると思う?』

 

『かなり警戒されていますので、いまは大人しくしておいた方がよいかと』

 

青年……恭也さんの懐から取り出されたワイヤーで手を後ろで縛られ、小太刀を突きつけられながら歩かされる。

 

小太刀にワイヤーって忍者かな?叔父が忍者ってことは、俺も忍者の末裔になるのかな?

 

『とはいえ、どうするよ。この時期ってまだ母さんは高町家に管理局や魔法の事を話してなかったんでしょ?』

 

『是。先程叔父上が『しのぶ』という名を呼びましたが、こちらもデータにありました。御母上の同級生であった月村すずか氏の姉、叔父上の恋人であった月村忍氏のことだと思われます』

 

「おにいさん、おにいさん。俺は何処に連れていかれているので?」

 

「『俺』?……黙って歩け、すぐに着く」

 

イモータルハートと念話で会話んしながら恭也さんに声をかけてみるが取り付く島はないっぽい。

 

『これ、たまたま転移した先が月村さん家の敷地内で、たまたま月村忍さんの恋人だった高町恭也さんが、たまたま暗殺者顔負けの技量を持っていたから捕まえに来て、月村さん家に連行されてるって感じかな?』

 

イモータルハートから是という返事があった。自分で言っておいてなんだが、どんだけ偶然重なってるんだよ。

 

手を後ろで縛られているので大変歩きにくいのだが、それでも10分程歩かされると建物の壁っぽい物が見えて来たんだが…………なに、この豪邸?

 

ちょっと何このめっちゃ綺麗で大きな豪邸は!?何、月村家って金持ちなの??セレブなの???

 

「きょーやー!!」

 

茫然としていると豪邸の方から声が聞こえ、こちらに近づいてくる二人の姿が見えた。

 

恭也さんと同い年くらいの美人なお姉さんと、美人な……メイドさん?

 

美人なメイドさんまで完備してる月村家って、一体何なんだよ!?

 

美人なメイドさんとかクワットロと結託してチンク姉にメイド服を無理やり着せた偽物のメイドさんしか見たことないのに、本物のメイドさんがいる家って何なんだよ。

 

「恭也、お疲れ様。その子がさっき連絡のあっ…………え?」

 

「まぁ、そうなるよな」

 

豪邸の衝撃からメイドさんの登場に現実逃避をしている俺をよそに、俺を見た美人のお姉さんの反応に思わず苦笑いを浮かべる恭也さん。

 

「な、なんで侵入者がなのはちゃんにソックリなの!?まさか隠し子?隠し子でも拾ってきたの!?」

 

隠し子を拾うってなんだよ。俺は拾われたんじゃなくて捕まったんだぞ。

 

「こいつの事情はわからん。あと、なのはは母さん似だから隠し子の線はないと思うが…………とりあえず、これからこいつの尋問をしたいんだが、部屋を貸してもらえるか忍」

 

「んー、それは別にいいんだけどさ」

 

忍さんはじろじろと頭から足先までじっくりと俺を眺め顔を近づけて来た。

 

なんか、すんすんと匂い嗅いでませんかこの人?不審者をすんすんと匂い嗅いでますけど、メイドがいる家のお嬢様だよね貴女??

 

「ふぅん……面白そうな匂いがするけど、ちょっとくさいわね」

 

は?

 

「うん、この子に話を聞く前にお風呂に入れるわ。ノエル!」

 

「かしこまりました忍様」

 

がしっとメイドさんに抱えられ、屋敷の方へ連れて行かれる。

 

ちょ、ちょっと待って。風呂?風呂って言ったのいま??

 

は?もしかして俺このままメイドさんに無理矢理風呂に入れられる感じですか?

 

いや、逃亡生活続きで風呂にろくに入れなかったから多少匂うのは仕方ないし、風呂に入れるのは嬉しいんだけど。

 

美人なメイドさんに無理矢理入れられるのは違うと思うんだ。

 

というか、俺って無断侵入の容疑者でこれから尋問されるはずだったんだよね?

 

それが何で風呂に入れられる流れになってんの!?

 

た、助けて恭也さん!!

 

あ、こら何だその気の毒そうな目は。さっきまでシリアスな空気出して俺を連行してた恭也さんは何処にいった!?

 

助けてー、とりあえず助けてー。

 

このメイドさん、なんか見た目よりずっと力が強くてバタバタしてもビクともしないんだけど!!

 

本当に誰か助けてー!!

 

 

 





『イモータルハート』

ミッド式カートリッジシステム搭載型インテリジェントデバイス

高町なのはが殉職した事件の際、大きく損傷していたが遺品としてユーノ・スクライアへ渡され保管されていたレイジングハートを某ドクターが魔改造し、シオンへと受け継がれた。

フレーム強度や魔力伝達速度、魔法展開速度に搭載AIなど、基本的な機能を向上させ変形合体機構を搭載するなど男の子のロマンあふれるデバイスに生まれ変わった。

命名はユーノ、意味は「不滅の心」。ユーノの希望により基本コミュニケーション言語が日本語に変更されている。

レイジングハートのデータも残っているが、本人(?)はレイジングハートの後継機であり別人(?)であると認識している。

待機形態はクロスした金色の2本のリングに包まれた緋色の宝玉で、シオンのネックレス代わりに首に下がられている。

基本形態は長杖。近距離戦用に短杖にもなる。

メメントモリとの合体することでベルカ式の魔法も使える。合体した姿はモンハンのガンランス(盾なし)みたいな姿。

超長距離砲撃・広域殲滅の仕様であるデバイス三機合体形態があったりする。


『メメントモリ』

ミッド・ベルカ混合書物型ストレージデバイス

ユーノ・スクライアが無限書庫から見つけてきた古代ベルカ式の書物型デバイスの資料と夜天の書・蒼天の書などのデータを基に某ドクターと創り上げたデバイス。

ミッド、近代・古代ベルカの魔法データだけでなく、ドクターやナンバーズにユーノがシオンに必要だと思った知識や過去に起きた事件などの資料データなどがこれでもかと言わんばかり詰め込まれている。

膨大な量のデータが収まっているがいるが、搭載AIは詰め込まれたデータの整理や検索など、図書館の司書のような方向に特化しているので魔法を使用する為の処理はかなり遅め。

待機形態はキーホルダーサイズの本、イモータルハートと一緒にシオンのネックレスにされている。

基本形態は分厚いA4サイズの書物。

本来はシオンの相棒となるユニゾンデバイスが運用していく予定であったが、時間が足らずユニゾンデバイスの人格形成などが間に合わなかったので、仕方なくシオンが使っている。

ちなみに、制作が間に合わなかったユニゾンデバイスの素体がデバイス内に封印されていて……素体のリンカーコアはシオンと某オッドアイの幼女から精製されてたりする。



『シークレットベース』

ミッド式カートリッジシステム搭載型試作アームドデバイス

多種多様な防御魔法と少々の補助系魔法が入ったラウンドシールドみたいな形したアームドデバイス。

アームドデバイスだが、主な使い方は野宿するときの宿泊用のテント。

もちろん、普通に盾としても使える。

制作は相も変わらず某ドクター。シオンが「野宿が辛いからデバイスとかバリアジャケットの技術を応用して快適に過ごせるテントとか作れない?使用する魔力はカートリッジシステムから補う感じで」ってお願いしたら作ってくれた。

待機形態は黒い金属製に見えるブレスレット。シオンは左腕に付けている。



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