お久しぶりです。
前回投稿したのが、1年以上前ってのにちょっと驚きでしたわ。
月日が経つのが早すぎる…。
「……………もう、お婿に行けない」
「い、いや、その……本当にごめんなさい」
しくしくと見晴らしの良いお茶会に最適なバルコニーの隅で項垂れる俺に、苦笑いを浮かべた忍さんから謝罪の言葉がかかる。
「まさか、男の子だとは思ってなかったのよ」
確かに母さん似の顔してるし俺は男にしては髪も長いけどさ、そこは本当に気付いて欲しかったよ。
『私』じゃなくて『俺』って一人称使ってたし、抱えられて連行されてる時もメイドのノエルさんに服を脱がされてる時にも「自分一人で出来ますから!後生だから!!」って必死に訴えてたのに「ちゃんと隅々までピカピカに洗って貰うのよー」って感じで全然俺の訴えを聞いてくれなかったじゃないですか。
無理矢理全裸にされ御解禁された俺のアームドデバイスを見て驚き悲鳴を上げたノエルさんの声を聞き、慌てて恭也さんと脱衣所に駆け込んで来たのに「えっ!?えぇっっっ!!??」って感じで驚いただけで、結局ノエルさんへの指示は撤回しなかったし。
最終的に、抵抗するのを諦め疲れ果ててぐんにょりしてる俺をノエルさんがわしゃわしゃ頭からつま先まで綺麗されましたよ。
羞恥なのか顔が若干赤くなった美人のメイドさんに体中洗われるとか、そういう性癖でもない限りは拷問なんですよ。
貴女の横で心底申し訳なさそうな顔をしてる
これで風呂後に用意されてた服が俺が着ても大丈夫そうなユニセックス物じゃなくて、俺と背丈や年齢があまり変わらないっていう妹さんの服とかが出て来てたらマジで泣いてたぞ。
というか、下着がちゃんと男児用で新品だったのだけど……女性しかいないらしいこの家に何故にそんな物があったのだろう。俺が洗われてる間に恭也さんが買いに走ったのだろうか?
そんな事を考えているといい加減話を進めたかったのか、俺はまたノエルさんに抱えられ恭也さんと忍さんのいるテーブルの対面に座らされた。
「それで、結局お前は一体何者なんだ?何故、妹のなのはと似た顔をしている」
あー、うん。これどうしようかな……。
『イモータルハート。これ誤魔化し切れると思う?』
『おそらく難しいかと。確かにこの時期に前マスターである御母上は魔法や管理局について家族や友人に明かしてはいませんでしたが……』
『怪しまれてはいたって感じ?まぁ、9歳や10歳の子供が家族相手に隠し通せる内容ではないよね。闇の書事件のついでに母さんが魔法に関わる原因になったPT事件の報告書もざっくり読んだけど、母さん相当無茶したみたいだし』
『ですので、ある程度情報を絞って事実のみをお伝えすることと、御母上や管理局への口止めも必要かと』
『恭也さんとか下手に嘘を語れば勘で見抜いてきそうだしね。わかった、そうするよ』
どう説明すればいいかイモータルハートと念話で相談をしていると少し恭也さんの雰囲気が硬くなった気がしたのでそろそろ黙っているのも限界っぽい。
「とりあえず、お話をする前に幾つかお願いしたい事があるのですが」
上手く話がまとまってくれるといいんだけどなぁ……難しそうだな。
「………頭が痛くなってきたわ」
「同感だ」
うん。説明したら恭也さんと忍さんに頭を抱えられてしまった。
忍さんの後ろで控えてたノエルさんも茫然としてるし……まぁ、魔法文化がない管理外世界で魔法について話始めて実際に魔法を見せたらこうなるよね。
ちなみに、説明した内容としては……。
自分はシオン・タカマチという名前で、未来から来た高町なのはの血縁であり、ロストロギアという不思議な道具の影響で過去に来てしまった。
という内容を見つかりたくない連中に探知されないよう魔力量に注意しながら実演込みでざっくり語った感じ。
それと、時空管理局やミッドチルダについても説明して、母さんは小学生の時に偶然ロストロギア関連の事件に巻き込まれ魔法という文化に触れてしまい、そこから魔法世界に関わっていったこと。
時空管理局の関係者として、リンディ・ハラオウン、クロノ・ハラオウン、エイミィ・リミエッタ、フェイト・テスタロッサが主にこの時期の高町家と関わっていたっぽいので、それも伝えた。
あとは、未来から来てしまった自分の存在はかなりのイレギュラーであり、自分の存在が過去にどういう影響を与えるか予想が出来ないので、なるべく自分の事は時空管理局の局員には話さないで欲しいというお願いもした。
ちなみに父さんはこの時期は色々あってフェレット形態で高町家と関わっていたらしいので父さんの事は伝えていない……小学生の年齢とはいえ、女の子とフェレット形態で一時期同居してたって聞いた時は「それ淫獣って呼ばれる事案では?」とか思ったけど、父さんが懐かしい感じで語るから突っ込めなかった。
というか、その同居生活の事を聞いていたからスクライアの姓や父さんの名前が出せなかったんだけどね。
何となくだけど恭也さんってシスコンっぽいんだもの。話してる時にも「俺や美由紀の血縁ではなく、なのはの血縁……ということは」とか言ってたし。大事にしてる妹が男と同居してたとか聞いたら父さんが3枚に下ろされそう。
「正直、信じられないことばかりなのだけど……実際に魔法を使う所まで見ちゃってるのよねー」
ノエルさんからお茶のお代わりを貰いながら情報量の多さからか溜め息を吐く忍さん。
ついでに俺もお茶のお代わりを貰う。話してばっかで喉が渇いたし、ノエルさんのお茶美味しいのよね。
「ちなみに、私や恭也はその魔法ってのを使うことは出来ないの?」
んー、母さんの知り合いで地球出身の魔法関係者が八神家の主だけだったっぽいし。多分、無理じゃないかな。
とりあえず、魔法を使うにはリンカーコアという機関が必要だということを説明して忍さんや恭也さんにリンカーコアがあるか調べてみたけどやっぱりリンカーコアはなかった。
ノエルさんもついでに調べます?って聞いたら「私は別にいいです」って言われたので、ノエルさんは調べてない。
「それで、シオンちゃ……シオン君はこれからどうするの?」
いまシオンちゃんって言いかけなかった?俺が男だと理解してるはずですよね??
「正直、どうしたものかなぁとは思ってますよ」
俺が過去に介入すると、どういう事態を引き起こすのかってのが本当にわからないのよね。
現在起きている闇の書事件に関しては正直あんまり介入する気はない。イモータルハートに残ってた記録やメメントモリにあった報告書から母さんが昨夜に蒐集されてはいるけど、ここから破損したデバイスにカードリッジシステムが搭載されたり……なんだかんだあっても事件自体は解決していくと思う。
むしろ、下手に介入して俺まで蒐集されると無事に解決出来るかがちょっとわからなくなる。
ドクターが俺を製造した時に、何か無駄にテンションが上がってやらかした結果らしいのだけど……俺の身体にはとある
ミッド式を使う俺単体だとその因子を十全に使うことが出来ないので、俺の専用機となるユニゾンデバイスの製造と調整がされていたのだが、逃亡生活で調整が進まなかったせいでそのユニゾンデバイスの素体はメメントモリに封印されている。
で、本来の姿から大きく変質し破損してるロストロギアである闇の書がどの程度まで蒐集出来るのかが不明なのだけど……俺が普段使ってるミッド式だけじゃなくて因子の要素まで蒐集出来てしまった場合を考えると、ね。
なので、八神家の騎士たちに補足されたくないので事件に介入したくない。時空管理局に見つかった場合も俺の存在を説明するのが面倒くさいし。
あとは、俺が色々と介入していった結果母さんの運命が変わりこの時間軸で2年後に殉職しなかった場合、タイムパラドックスが起こり俺の存在が消えるかも知れないという懸念がある。
過去に介入した場合は未来が上書きされていくのか、並行世界ともいえる別の世界が生まれていくのか、それとも過去を変えることは出来ないのかが不明で、本当にどうなるのやら。
正直、そっちに関しては別にいい。
時間や並行世界の概念を理解しない限りどうなるかわからないなら、なるようにしかならないからね。
ただ、まぁ……。
「下手に外というか街を出歩けないんですよね。魔法関係者に気を付けなきゃいけないのはもちろんなのですが、俺の顔はかあ……なのはさんに本当に似てるみたいなので」
「そうだな。近くで見たならすぐに気付けるが、遠目だったりぱっと見だけなら本当になのはそっくりだからな」
母さんの実の兄からもお墨付きを貰えてしまう母さん似のこの顔が厄介過ぎる。母さんの地元じゃなかったら街を出歩く程度どうとでもなっただろうに、平日の昼間に地元の人に目撃されたりして学校だったり高町家に連絡が行ったら不審にしか思われん。
「髪型を変えたり眼鏡とかで変装してもダメそうですかね?」
「シオンの方がなのはより髪は長いが、近くで見ないとわからない瞳の色以外のパーツが大体似通っているからあまり意味はないだろうな」
ですよねー。恭也さんくらいの長さにばっさり髪を切るくらいじゃなきゃ意味ないとは思ったけどさ。
「ちなみに、変装の為にシオン君の髪をばっさり切るとか私は反対よ。長い方がシオン君は似合いそうだし」
それは母さんの顔と髪の長さを見慣れているからではないですかね忍さん。
「私は魔法の事とかもっと聞きたいし、恭也もなのはちゃんの事で時空管理局についてもっと詳しく知りたいだろうからシオン君がうちに滞在するなら歓迎するけど、すずかに見つからないようにってなると難しいわね」
あぁ、母さんと同い年っていう妹さんか。確かに見つかったら母さんには間違いなく伝わるよね。
「月村家って資産家っぽいですし、海鳴市内に物件とか持ってません?目立たなそうな場所で」
「なくはないけど、しばらく使ってないから掃除とかしなきゃいけないだろうし、生活必需品を揃えるにも……これから直ぐにってのは無理ね」
ダメもとで聞いてみたけどあるんかい。流石はこんなくそデカい屋敷にメイドまで完備してるだけあるわ。
「となると、その準備が出来るまでは月村家で大人しくするって感じです………ん?」
探知に反応?屋敷内に誰か入って来たっぽいけど……って、やべぇ。八神家の騎士とか管理局に気付かれないように魔力探知の出力をギリギリまで落としてたのが裏目に出た。
インターホンとかノエルさんの取次とか無しに屋敷に入って来れる人物なんて、この屋敷で生活してる人に決まってる。
忍さんと恭也さんはまだ此処に近づいて来てる存在に気付いてないっぽい。むしろ、俺が急に焦りだしたのを不思議に思ってる感じ。
ノエルさんが「あっ」という顔をしたから気付いたかな?主人の家族の帰りを察するとは流石メイドさんだ。
しかしながら、俺が動き出そうにも既に手遅れであり。無情にもその人物は俺たちの前に姿を見せた。
「ただいま、お姉ちゃん。誰か来てるの………って、なのはちゃんっ!?今日学校休んでたのに、何でうちにいるの!?」
俺の顔を見るなり驚きの声を上げたのは忍さんの妹であり月村家の次女である月村すずかさん。
すずかさんの登場に忍さんも恭也さんもまた頭を抱えてしまったよ。わかる。俺も頭を抱えたい。
「……………どうしたものかなぁ。これ」
妹さんも巻き込みますけど、仕方ないですよね?という目線を忍さんに送ったら大きく溜め息を吐かれもう好きにしろという感じで手を振られた。
この後、めちゃくちゃ説明した。
何回か驚きから叫ばれたりしたのだけど、すずかさんに一番驚かれたのが魔法うんぬんより俺が男だって部分だったのが若干納得いかなかった。
久しぶりの投稿だったので、ついでに作品のタイトルとあらすじ少しを変更しました。
ずっと放置していたのですが、何かしっくり来てなかったので。
あ、あと匿名も解除しました。
不定期過ぎる投稿なのに、わざわざ匿名にする必要ないなと思いまして。
次回更新も不明です……気長に待っていただければと。