脱社畜を目指してパルデア1のブラック企業に勤める話 作:永久冬眠
私生活のほうでいろいろあって更新止まっておりましたが、安定してきたのでできる限りで投稿再開します。
毎日更新とはいかないかもしれませんが仕事の合間を縫って書いていきたいと思います。
かなり間が空いての更新なので、文章の癖などが変わっているかもしれませんがご容赦ください。
同時にオリジナルの小説も現在執筆中なので興味がある方は是非。
以上、よろしくお願いいたします。
煌々ときらめくその光がバトルステージを照らす。
コヨミは、頭上に結晶化した風船のようなオブジェを乗せたドドゲザンを見やる。
”あれが、噂に聞くテラスタル……メガシンカとも違う不思議な現象…”
「コヨミさんはご覧になるのは初めてでしたね、これがテラスタル……この輝きの間、ポケモンはそのタイプを変えることができるのです」
”へえ~……ずるくね?”
「さてここで問題です。ドドゲザンは今何タイプになっているでしょうか?」
「はい、は~いわたくしわかりますの~!」
「うん、ちょ~と待ってな、今おにーさんが答えるさかい、ポピーちゃん、スマホロトムでも見て暇つぶそか」
遠くでなんか聞こえるがいったん無視して考える。
もし、コヨミの推測が間違っていないのであれば、あのドドゲザンというポケモンは、はがね・あくタイプの複合タイプ。
テラスタルでタイプ変更をしたということは、インファイトが致命打になりえたということなのだろう。少なくともどちらかのタイプは含まれているはずだ。
そして、変更後のタイプについては……
”かくとう技を耐えた、それにあの頭のオブジェ……安直だけど……”
「……ひこうタイプ、というわけですか」
「ふふふ、ご名答です……さあこちらの手の内は明かしましたどうされますか」
”どうされますかってもねえ……正直タイプ相性的に不利ってわけでもないし、このまま戦ってもいいんだけど……”
とそこまで考えてコヨミはルカリオのほうを見る。
視線に気づいたルカリオは目線だけこちらに向け小さくうなずく。
”っま、ですよね~。せっかくチャンピオンが相手してくれてますし?”
そう心の中で得心したコヨミは右手の手首、服の袖口に隠れた腕輪に触れる。
ルカリオはドドゲザンから大きく距離を取り、コヨミの前方へ帰ってくる。
”大人になってからそうでもなくなったかと思ったけど、やっぱり負けず嫌いだ……”
「お前も……俺も」
コヨミもルカリオも目を合わせ、ふっと口元を緩める。
そして静かに、それでいて力強く呟くのだ。
『メガシンカ』
瞬間、テラスタルの輝きを飲み込まんばかりの光がルカリオを覆う。
「……ほう」
そう小さく呟いたオモダカの口が三日月に歪むのが見えた。
数舜の後、ルカリオを包む光が砕け、中から装い新たにしたルカリオが姿を現す。
「なるほど、そちらが噂に聞きしメガシンカ、ですか…」
その姿を目にしたオモダカはそう言って息をのむ。
テラスタルによっては同タイプの技の威力を高める効果があったりするが、テラスタルの本質はあくまでもそれがポケモンにもたらす
だが一方で、メガシンカはその名の通り、ポケモンとトレーナー、その絆によって一時的にその存在自体をより高次へと至らしめる純然たる
「実際に目にするのは初めてですが……中々どうして、これほどとは……」
「さあ、続けますか?」
「……ええ、ええ、もちろんですとも」
一瞬瞠目して動きを止めていたオモダカにコヨミが声をかけるが、そこは一地方を治めるチャンピオン、興奮冷めやまぬといった様子ではあったが、すぐさま気を取り直して意識を切り替える。
「では……ルカリオ、バレットパンチ!」
コヨミが叫ぶと同時、腰を落としてこぶしを構えていたルカリオは弾丸となってドドゲザンに肉薄する。
「はがね技……的確にダメージを与えるという魂胆ですか……ですが、しんそくでもよかったのでは?」
「いえまあ、その通りなんですが……相手はあなたですし、二度も見せた技は警戒しているかなあと……」
「!……ふふふ……イイですね、ええ…本当に」
オモダカがコヨミとのバトルを通して感心しているのは何もポケモンの練度だけではない。
トレーナーとして真に感心するべきはこの狡猾さである。
常に考えを巡らせ、あの手この手で手を変え品を変え、相手に初見を強い続ける。
”ああ、ほんとうにいやらしい戦い方をする……!”
オモダカは内心そう考えていた。もちろん褒めているのだが、あらぬ誤解を招きそうなのでギリギリ残っていた理性でその言葉を食い止めた。
さて、戦局に話を戻すがドドゲザンはルカリオのバレットパンチを受けたがまだピンピンしている。
ドドゲザンはひとまず体勢を立て直さんと一歩後ずさるが、その隙を見逃すコヨミではない。
「ルカリオ!下がらせるな!コメットパンチ!」
「まだ余裕はあります。受け止めなさいドドゲザン」
オモダカの指示を聞いたドドゲザンはすぐさま腕を交差させクロスガードを組み、その上に重なるようにルカリオの拳がぶつかる。
ドドゲザンの腕に凄まじい衝撃が伝わってくるが、耐えられないほどではないと思ったのもつかの間。
ドドゲザンの腕に打ち込まれていたルカリオの拳にさらに力が籠り、勢いを増した拳がドドゲザンの腕を押し返さんとねじ込まれる。
「————!ドォゲッ!!??」
これにはドドゲザンが驚きの声とともに、ガードの上から後方へと弾き飛ばされる。
「おや、
「いいえ、それも実力のうちですよ」
「どうも、では遠慮なく……インファイト!」
吹き飛ばされたドドゲザンにとどめを刺さんとさらにルカリオが迫っていく。
「立て直しなさい、ふいうちです」
吹き飛ばされながらもオモダカの声を聴いて、無理やり体勢を整えたドドゲザンは迫りくるルカリオの顔面にふいうちを打ち込む————
「かまうな!そのまま打ち込め!」
————が、ルカリオはコヨミの言葉通り、顔にぶつかるドドゲザンの拳を首をひねって受け流し懐に入り込む。
ドドゲザンが意識を失う前に眼前に広がったのは、迫りくる鋼の拳だった。
「ド、ドドゲザン戦闘不能、勝者コヨミはん……マジか」
動揺が隠し切れない様子のチリが審判として判定を下すと同時にコヨミは肩の力が抜けほっと息をつく。
元の状態に戻ったルカリオとハイタッチして彼女をボールへと戻す。
「……やったな」
ルカリオの入ったボールをなんのきなしに呟いたコヨミにオモダカたちが寄ってくる。
「本当に素晴らしいバトルでした……久方ぶりに、胸が躍りましたとも」
小さく拍手をしながらそう言ったオモダカがコヨミを労わる。
「いやはや、僕は
「いいえ、とんでもない……それに、
「あ、悪いとは思っとったんですねトップ……」
「すごくわるいかおしてましたの」
「おや、そうでしたか?……いけませんね、ふふ」
ところで…と、やいのやいのと騒ぐポピーとチリを横目にオモダカはコヨミに尋ねる。
「これだけの腕をお持ちなのです、シンオウ地方ではリーグのご経験が?」
「え?あーいえ、若いころはジムバッジも集めてましたけど、結局リーグには挑まず終いでしたね。僕なんて全然ですよ、全然」
「はて?そうなのですか……それだけの腕があるのならばもしや、と思ったのですが……シンオウ地方は魔境か何かなのでしょうか」
「ん~、なんっか引っかかるような……シンオウ……シンオウ…」
コヨミとオモダカが話し込んでいると、何やら顎に手を添え考え込んだ様子のチリがコヨミの顔を見ながら何ぞ呟いている。
「?どうしました、チリ。彼に何か……」
「あああぁぁぁ!!!」
何事かとオモダカがチリに言いかけたところでスマホロトムでニュースを見ていたポピーが叫び声をあげた。
「うお!?どないしたん?急に……」
「チリちゃんこれ!このニュースの人おにーちゃんとおんなじ顔ですの!」
ぴょんぴょん飛び跳ねながら、チリに向かってスマホロトムの画面を向けるポピー。
チリは腰を落とし、しゃがみ込んでポピーの見せる画面を目を凝らしてのぞき込む。
そして、何かに気づいた彼女は目を見開き叫ぶ。
「ああ!!??これや!!……ちょっ、トップ!これ見てや!このニュース!」
「ニュース……?いったい何を……言っ…て」
チリもポピーもオモダカも食い入るようにスマホロトムの画面とコヨミの顔を交互に見返す。
異常な様子に居ても立っても居られないコヨミはちょっと失礼と、三人に交じってスマホロトムを覗き見る。
『熱愛発覚!?シンオウチャンピオンのお相手の正体は!?』
「…………………あー、ッスー」
次回コヨミ死す!?デュエルスタンバイ!!