好き勝手生きて何が悪い   作:バタートースト

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更新が大幅に遅れてすみません。


消された存在

 

 昼飯が終わって自由時間、ヴィヴィオとアインハルトのアホは水切りし過ぎて筋肉痛とかいうバカをやらかして身体がカチカチだった。

 俺?俺は胃の中のもの全部自然に返したから元気だったよ。

 で、大人達は引き続きトレーニング。俺は管理局員じゃないからチビたちと一緒にのんびりと過ごす事になった。

 

「あらクロウ、暇してるの?」

「まあな、お前らは?」

「ルーちゃんが見せたいものがあるってついて来たんです」

 

 ダラダラ歩いてるとルーテシア、そしてコロナとリオが居た。

 なんでも書庫に見せたいものがあるんだとさ。

 ついでに洗い物でも終わったのか、ヴィヴィオとアインハルトも合流して一緒に行く事になった。

 

「助かりました…話すことがなくて困ってしまって」

「トレーニングバカ同士筋トレの話でもしとけよ」

「聞こえてるからっ!」

 

 書庫でそんな喧嘩してるとルーテシアが古い本を持ち出してきた。

 本の題名はなになに?クラウス・イングヴァルトの回顧録?

 

「わぁ!覇王の回顧録!」

「なんだそれ、くっだらねぇ」

「なんて事言うのクロウ!」

「そこに動く、喋る、DX覇王ちゃまが居るだろうが」

「お、おもちゃ扱いですか!?」

「税込1280ミッド」

「安過ぎます!」

 

 パラパラーと中身を見てみるとクラウスの反省だったり肖像画、あとは聖王オリヴィエとの関係がツラツラと書かれていた。ていうか、途中オリヴィエのことしか書いてねぇじゃねぇかよ。

 

「なぁ、これクラウスの嫁さんのこと書いて無くね?」

「そうなのよ。子孫がいるってことは必ずお嫁さんがいるはずなんだけど・・・」

「写本だから載ってないんですかね?」

「どうなんですかアインハルトさん」

 

 全員がアインハルトを見るとうつむいてプルプルと何かをこらえるように震えていた。

 なにやってんだ?と思っていたら、急に顔を上げ机をバンッとたたいて吠えた。

 

「その写本は不良品です!!全く事実と異なっています!」

「あ、アインハルトさん落ち着いて」

 

 ヴィヴィオが諭すと、我に返ったアインハルトは顔を赤くして椅子に座って小さくなってしまった。俺以外の全員が気にしてないこといったところで、アインハルトはポツリポツリと話し始める。

 

「すいません、よく見てみると全く異なるというわけではありませんでした」

「じゃあ嫁がいるのに聖王とイチャついてたのはほんとだと」

「ち、違うんです!お、オリヴィエとクラウスは決してやましい関係だったわけではなくてですね!?ただともに笑い、ともに武の道を究めんとする同志であったわけでして!クラウスはそれはもう妻一筋で愛妻家と評判だったんです!本当なんです!この通りです信じてください!」

「アインハルトさん!?なんでクロウに縋り付いてるですか!?」

「なんだかアインハルトさん、奥さんに浮気ばれた旦那さんみたい・・・」

 

 俺の体をホールドして胸でさめざめと泣くアインハルトを俺はどうすればいいんだよ。

 こいつずっとうわごと話してるんだけど。

 ちがうんだクレエ・・・オリヴィエとは本当にそんな関係じゃ・・・って。そんなこと俺に説明してどうするんだよ。

 しばらくすると、ノーヴェに誘われ俺以外の奴らは全員なのはさんたちの訓練を見に行ってしまった。

 さーてゲームでもしながらだらだらすっかな

 

 

◇◇◇

 

 あれから時間が経ってすっかり夜。

 俺は環境が変わると眠れないタイプなので夜のカルナージを散歩していた。

 ここは確か、昼にヴィヴィオたちが水斬りしてた湖か。

 昼間とは違い、月明かりが水面に反射してキラキラと輝いている。

 まあでも、やっぱり夜はあんまり好きじゃないな。

 

「クロウさん?」

「おお、アインハルト。お前も寝れないのか?」

「はい、目が覚めてしまいまして」

 

 それからしばらく二人で何をするわけでもないが、ただのんびりと湖を眺めていた。

 考えてみれば、アインハルトと会ってからよく二人きりで話すことが多くなった気がする。別に胸がときめいたとか、そんなことがあるわけじゃない。

 ただ最初話した時にも感じたが、なぜかすごく懐かしい感じがするんだ。

 

――――私、あんまり夜は好きじゃないわ。

――――僕は好きだな。ずっと君と過ごすことができるから。

――――オリヴィエといちゃついてたくせに

――――だ、だからそれはだね!

 

 なんかまた幻覚見えてきたな。

 そろそろお迎えか?

 そういえばこいつ、俺と会った時女の名前言ってたな。

 

「なあ、お前と初めて会った時言ってたクレエってさ。覇王の嫁さん?」

「ええ、クレエ・イングヴァルト。覇王の妻であり、あなたと同じ複造眼を持っていました」

 

 なるほど、だから複造眼なんていうマイナーな物知ってたのか。

 

「でもなんで回顧録には書いてなかったんだよ。仲悪かったのか?」

「いえ、二人はとても仲睦まじく過ごしていました。ですがその、古代ベルカでは・・・魔眼は不吉なものとして忌み嫌われていたのです」

 

 魔眼

 複造眼を含めた特別な目のことをそう呼ぶ。

 複造眼以外にも魔眼はいくつかあるが、そもそも保持者自体が少ないから俺も詳しいわけじゃない。

 ただ、過剰な精神的ストレスで開眼するとしか生態がわかっていないのが現状だ。

 

「クラウスは反対を押し切り、無理やりクレエと結婚しました。しかし、家臣の中には彼女を快く思わない人間がほとんどだったようで・・・」

「クラウスの死後、クレエの存在は抹消されたってわけか。とんでもねぇ話だなぁ」

 

 アインハルトは暗い顔でうつむいてしまった。

 きっとクラウスは本当にクレエのことを愛していたから、その記憶を持っているアインハルトは回顧録を見てショックを受けたんだろう。

 そうでなくても、聞いたら胸糞の悪い話だ。

 

「ん?でもなんで俺と会ったときそのクレエの名前が出てきたんだ?その時は複造眼は見せてないだろ?」

「それは・・・あなたが、クレエに似ていたからです」

 

 俺が覇王の嫁と似てるって?なんの冗談だよそれは。

 

「あれか?雰囲気が似てる的な?」

 

 少し目を閉じた後、アインハルトはゆっくりと答えた。

 

「全てです。まるで、クレエがこの時代によみがえったかの様に」

「ま、まっさかぁ・・・大げさだって」

 

 俺はそうやって茶化してごまかしてみるが、アインハルトの目は俺の姿を捉えて離さない。

 そうか、こいつがちょっと病的に俺の心配をするのはそういうことだったのか。

 複造眼を持った覇王の嫁が俺と瓜二つ?そんなバカな話あんのかよ。

 

「・・・俺を守りたいって言ったのはそれが原因か」

「分かりません。それが私の気持ちなのか、クラウスの気持ちなのか」

「・・・まぁ、ゆっくり考えりゃいいって言ったのは俺だしな。せいぜい考えな」

 

 俺はアインハルトに背を向けて、一言だけ言う。

 

「でも忘れんな。俺はクレエじゃない、お前もクラウスじゃない。昔は昔、今は今。先祖に引っ張られすぎるな、俺もクレエとして扱われるなんて真っ平だからな」

「はい、肝に銘じておきます」

「よし、なら帰ろうぜ。明日は大変だろ?」

 

 俺はアインハルトと並んで夜のカルナージを歩く。

 その時、頭にジジジとノイズなものが走ると、一瞬だけ別の光景が浮かんだ。

 

―――黒い髪の女と、緑色の髪をした男が仲睦まじく歩いている姿を。

 

 これは幻覚だ。

 きっと最近疲れているからこんなものをよく見るだけ。

 俺は別に特別な家系に生まれたわけじゃないし、ヴィヴィオみたいにクローンだったわけでもない。

 ましてや生まれ変わりや転生なんてあるわけがない。

 人間なんて、死んだらそこまでなんだから。

 

 だからこの記憶は、ただの幻だ。

 

 

 

 




またのんびりと書いていくので気長にお待ちくださると幸いです。
オリジナル小説の執筆しようかなと思いまして・・・
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