好き勝手生きて何が悪い 作:バタートースト
今回のオフトレ旅行のメインイベント。
大人と子供入り混じっての模擬戦が始まることとなった。
もちろん好き好んでやりたくはなかったが仕方ない。
「なのはさんとフェイトさん、あとはクロウとギン姉を分けてから決めたんだね」
「ああ、ちなみにチーム入れ替えでもこの四人はチーム固定だ」
「あのー、なのはさんとフェイトさんが別チーム固定なのはわかるんですけど、なんでクロウ先輩とギンガさんも固定なんですか?」
リオのその疑問に対しヴィヴィオ、コロナ、アインハルトも不思議そうにしていると、管理局メンバーたちが微妙な顔をした。
「クロウとギンガを分けたというよりなのはとクロウを分けたというか・・・」
「俺となのはさんが組んだら模擬戦にならないからだよ」
「クロウそれは話盛りすぎだよ。ねぇなのはママ?」
なのはさんは気まずそうにしながら目を逸らした。
何目逸らしてんすか、あれに関してはなのはさん共犯ですからね。
「あれはもう、ねぇ」
「クソゲーよクソゲー」
「んだよティアナ、まだ根に持ってんのか」
「あたしよりフェイトさんのほうがトラウマでしょあれ・・・」
「言わないで・・・」
あれは機動六課時代、たまたまメンバー全員で模擬戦をした時の話だ。
スターズ隊、ライトニング隊関係なくチーム分けをしてやった時、俺となのはさんは同じチームだった。
俺はチーム全員で打ち合わせし、試合開始と同時に相手チームのCGだったティアナを転移魔法で拉致。
拘束した後、CGの居なくなった相手チームをなのはさんの全力砲撃で殲滅。
んで、向こうの残存戦力を人数で囲んで撃破。
試合時間なんと8分。
いやほんと、中途半端に生き残ったフェイトさんとシグナムさんかわいそうだったもん。
奇麗に決まりすぎて俺となのはさんちょっと気まずかったからね。
「で、戦力を分配するとこの4人は固定にしたほうがいいってわけだ」
「あれ以来私とクロウは分けるようにしたんだよ」
「なのはさん良識ぶってますけど気持ちよくぶっ飛ばしてましたよね?」
「さ、さぁ!話はこれくらいにして始めよっか!」
無視かよ。
ちなみにチーム分けは以下の通り
レッドチーム
FA ノーヴェ アインハルト
GW 俺 フェイトさん
WB コロナ
CG ティアナ
FB キャロ
ブルーチーム
FA ヴィヴィオ スバル ギンガ
GW エリオ リオ
CG なのはさん
FB ルーテシア
「んで、作戦どうすんだ?」
「序盤はたぶん同ポジション同士の1on1。あとはあんたの分身をノーヴェとアインハルトに付けて。二対一の状態で突破するわ。あとあれよろしく」
「いいけど多分無理だぞ」
「いいのよ、どこにいても間合いだぞって示すのが大事だから。他は均衡が崩れるまで自分のマッチアップ相手に集中ね」
俺たちの作戦も決まったところで、いよいよ試合開始の銅鑼が鳴った。
◇◇◇
試合開始の少し前、なのはは自陣中央で相手がどう動いてくるかを予測していた。
相手は突破力の高い前衛に、フェイトとクロウという高機動魔導師が居る。
特にフェイトとクロウがコンビを組み、同時攻撃されるとひとたまりもないだろう。
優先してこの二人は落としたい。
さらにクロウはレプリケーションで分身し、人数有利を作ってくる。
『それじゃあ試合開始〜』
試合開始の銅鑼が鳴り、全員が戦闘態勢に移行する瞬間。
控えていたなのはの真上に、クロウが現れた。
「スパイラルブレイク!」
ガガガガガガッ!と凄まじい音が響く。
試合が始まった瞬間、クロウが転移魔法で奇襲を仕掛けてきたのだ。
まさに電光石火の早業。
並の魔導師ならこれで決まっていただろう。
「やっぱりそう来るよね!」
しかし、なのはは奇襲を予想して防御魔法を展開。
さらにそのまま後方へ飛びつつ拘束魔法を放った。
クロウは魔法をギリギリで避け、転送魔法で素早く自陣へと戻る。
(危なかった。分かってても対処がギリギリだったよ)
防御魔法を展開したが、それはガラスのようにあっけなく突破された。
咄嗟に後方に飛んで距離を取って居なければ痛手だっただろう。
しかしそう安堵した時、右腕にズキっと痛みが走る。
なのは LIFE2500→2000 damage500
(カスっただけで500!?相変わらずとんでもない魔法だなぁ)
クロウの魔法、スパイラルブレイク。
魔力を手のひらで乱回転させ、圧縮して相手に打ち込む魔法。
ドリルのように相手の防御魔法、バリアジャケットを掘削して削り取り、体にダメージを与える強力な魔法だ。
それがノーモーションノータイム、さらにどこから仕掛けてくるのかわからないのだから油断を許さない。
「全員!クロウの奇襲に気を付けて!どこから来るか分からないよ!」
なのはの号令とともに本格的に両チームがぶつかり合った。
◇◇◇
戻ってきたクロウはレプリケーションで分身を生成しFAの二人に随伴させた。
「悪いやっぱ無理だった」
「いいえ、ばっちりよ。これで相手はあんたの奇襲を意識せざる負えなくなるっ!?」
ティアナの声が突然驚きの声を上げる。
正面を見ると、ギンガが正面を突破してまっすぐこちらへ向かってきているところだった。
「下がってろティアナ!」
クロウは瞬時に魔力のナイフを2本、ギンガへ投擲。
それに対し、2本とも弾きながら飛び込んできたギンガ。
瞬間、クロウは予定通り。と言った表情を浮かべる。
2本の魔力ナイフがクロウへと変身したのだ。
双方ともに黒い大きなライフルをギンガへと構え、射撃魔法を撃ち込んだ。
銃口から放たれるビーム、魔法弾の弾幕。
ギンガは身を捩り、全ての攻撃に対して完璧に対応しながらクロウへ肉薄する。
「ちょっと精度落ちたんじゃない!?」
「うるせぇ!」
クロウはギンガへ突撃し、彼女の拳を避けて腰へとタックル。
二人はスバルが発動したウィングロードから空中へ投げ出される。
そしてクロウはナイフになったアイズを投げ、もつれ合いながら転移した。
「お兄さんっ!」
「おうコロナ、悪いな邪魔して」
その場にはすでにコロナとリオがぶつかっている所だった。
「これで2対2!負けませんよ!クロウさん!コロナ!」
クロウとコロナはお互い見合い、ニヤリと笑う。
コロナはゴーレム創成を発動し、地面が姿を変えて彼女の僕であるゴライアスが生成される。
それと同時に、クロウはレプリケーションで分身を2体出現させた。
「2対2?5対2の間違いだろ?」
「かっこいい!」
「それなら、私もちょっと本気出さないといけないかしら?」
ギンガが少し笑った後、雰囲気が変わる。
プレッシャーのようなものが、コロナを後ろへ吹き飛ばそうとするかのように押し寄せる。
その時、ポンっと何かがコロナの背中に触れた。
それはクロウの手。
彼がコロナの背中をポンっと、軽く叩く。
大丈夫、なんとかなるさ。
そう言っているかのように、クロウはコロナに微笑む。
そうだ。
始まる前に言われたばかりだ。
自信を持て。
私はなんだって出来る。誰にも負けない。
そう心の中で声を出す。
「行こうぜ、コロナ」
「はい!」
勝負はまだ始まったばかりだ。