好き勝手生きて何が悪い 作:バタートースト
「クロウがなのはママとフェイトママに怒られて拗ねちゃってさー」
「大変だねクロウさんも」
いつも通り学園生活を送るヴィヴィオ達。
今日は聖王教会にイクスのお見舞いに行こうと思った彼女はクロウを誘おうと彼の元へ向かいっていた。
中等部の校舎に入ってしばらくするとクロウの姿を見かけ駆け出した時だった。
クロウの隣に緑色の髪をした女子生徒が歩いていた。仲睦まじそうに手をつないで。
「わぁー綺麗な人だねー」
「もしかして彼女さんだったり...」
「ないよ!」
コロナの顔を両手で掴み迫真の顔で彼女に詰め寄る。
「いいコロナ!クロウはおバカでちゃらんぽらんで甲斐性無しで性格悪いんだよ!?彼女なんてできるわけないじゃん!バカなこと言っちゃだめだよ!!」
「ご、ごめん」
あまりの迫力に顔を引き攣らせるコロナとリオをよそにヴィヴィオはグルルと唸りながら二人を睨んでいた。
◇◇◇
少し前
「今日くらいは早めに帰って大人しくしとくかなぁ〜」
『それが正解だろうな』
「クロウさん」
今日のめんどくさい授業が終わって放課後。
今日くらいはさっさと帰って昼寝でもしようかなんて考えていると前から昨日の覇王が歩いてきた。
「無事に帰れたみたいだな」
「おかげさまで」
そう言ってお辞儀をするこいつの所作を見るにどこかのお嬢様なんだろうか。いやまあ先祖が王族だからってのもあんのかね。
「昨日は申し訳ありませんでした。そしてありがとうございます」
「別に、俺なんもしてねぇよ」
「あっ、あの!」
そう言って帰ろうとする俺に珍しく大きな声を出すイングヴァルト。
びっくりするからやめなさいよ。
「良ければですが、一緒に下校してもよろしいでしょうか」
「えっ?なんで?別にいいけど」
「そうですかっ…!では参りましょう」
そう言ってイングヴァルトは嬉しそうに俺の手を取って歩き出す。
なんか仲良く手を繋ぐと言うか俺エスコートされてるみたいになってんだけど。逆じゃない?
「あのーイングヴァルトさん?」
「学校ではアインハルト・ストラトスと名乗っています」
「じゃあストラトス」
「アインハルトで構いません」
指定が細かいよお前…
「なんで俺エスコートされてんの?」
「転ぶと危険ですので」
「いやいや、役割逆じゃない?」
「いえ、これでいいんです」
「なぁ…恥ずかしいんだけど離してくんね?」
「せめて学園を出るまではこのままです」
ちなみにこいつマジで学園出るまで俺の手離さなかったからね。
もう途中諦めて無心で歩いてたわ。
「で、どこまでついて来んの?」
「ご自宅までお送りしようと」
「俺の家管理局最強が二人も住んでるんですけど、お前襲撃犯なんですけど」
「多少の危険は気にしません」
全然多少じゃないんですけど。
まあ流石にこの時間になのはさん帰ってることはないか。
フェイトさんは仕事行ってしばらく帰ってこないだろうし。
「ここがクロウさんのご自宅ですか」
「そーだよ。エスコートご苦労さん」
「いえ、当然のことなので。それではまた休み明けにお迎えに上がります」
「おー、はぁ?えっ?なんて?おーい!?」
俺の声を気に止めることなくアインハルトはそのまま帰って行った。
休み明けにお迎えに上がりますって何!?えっ!?あいつ毎朝迎えに来んの!?
『良かったな。美少女が毎朝迎えに来てくれるそうだぞ』
「中身が濃すぎるだろ胃もたれするわ!」
『そんなことよりも良かったのか?襲撃を止めるように言わなくて』
お前に取って俺の生活ってそんなことよりなの!?分解するぞお前!!
「もう大丈夫だろ。あいつも負かされた次の日に襲撃するほどバカじゃねぇって」
『だと良いがな』
さーてなのはさん帰ってくるまで昼寝でもしよーっと。
◇◇◇
二日後
朝からヴィヴィオの悪質タックルに起こされて歯を磨いていた時のこと。狭い洗面所で歯を磨き終わったくせにニコニコとしながらヴィヴィオがテンション高く話していた。
朝から元気だなぁこいつ。おじさん歳だからそんな元気ないですわ。
「それでね!今日ノーヴェから新しく格闘技やってる子と練習しないかって言われてるんだ!」
「だってよーアイズ、なんかコメントしろ」
『力を入れすぎると歯を傷つけることになるぞ』
「誰が俺の歯磨きにコメントしろっつったよ」
「もー!真面目に聞いてよ!」
「うるせぇな朝からガーガーガーガー。歯磨きしてんだからママに話してこい」
べぇー!と舌を出してなのはさんのところへ行ってしまった。
可愛くねぇガキだな全く。
『たまには優しくしてやったらどうだ?大人になったら兄になど構ってくれないぞ』
「あいつが大人になった時俺はもう居ねえんだよー」
『ブラックはコーヒーだけにしろ』
ブラック苦いから嫌い。
ダラダラ歯磨きしてたらインターフォンが鳴った。
こんな朝早くに誰だよ全く…
「クロウー!ちょっと出てくれるー?」
「あいあいさー」
めんどくさいから歯磨きしたまま扉を開けてた瞬間俺は口の中の歯磨き粉を飲み込むことになった。
「おはようございますクロウさん。お迎えに上がりました」
玄関にはアインハルトが立っていた。
ごめん5秒間だけ待ってくんない?
『おい、あまり呆けてるとヴィヴィオかなのはさんが来るぞ』
それだけは非常にまずい!!
「3分待ってろ」
俺は扉を閉めて自分の部屋に駆け上がり制服に着替える。
あいつマジで迎えに来やがったやばいやばい!
ヴィヴィオが来る前にあいつ持って行かないと!!
「クロウ!家の中走らないの!」
「誰だったのー?」
「待てぇぇぇぇぇい!!」
扉を開けようとしたヴィヴィオを抱き抱えてダイニングの椅子に投げ入れる。
「なになになに!?」
「宗教の勧誘だったんだ!困るよなぁ!でも大丈夫!うちはもう全次元砲撃教会に入ってますって言っといたから!」
「それ教祖私とか言わないよね」
「なのはさんは神です」
「天罰落とそうか?」
多分教会のステンドグラスにスターライトブレイカーしてるなのはさんが描かれてるよ。
「じゃあ俺行って来まーす!」
「ちょっと朝ごはんは!?」
「帰ってから食います!」
コラー!と言う声を背にして俺はアインハルトの手を掴んで走り出した。
なんで朝からこんな大変な思いしないといけないんですかね!!
「ヴィヴィオ、クロウが学校で何してるか見張ってくれる?」
「分かった」
◇◇◇
「たくっ…なんで俺がこんな大変な思いしねぇといけねんだよ…」
「お水飲まれますか?」
「はっ倒すぞボケコラ」
誰のせいでこんなことになってると思ってんだ。
「とりあえず、朝迎えに来んのはやめろ。頼むから」
「しかし登校中も危険が…」
「一人でなんとかなるわ!」
「いけません」
そう言う俺の手を両手でがっしりと掴んで見つめてくる。
ほんとになんなのこいつ…
「私はあなたをお守りする使命がありますから」
「意味わかんねぇしいらねぇし!俺お前より強いし!」
「数年の間にあなたよりも強くなって見せます!」
「ええい鬱陶しい!離れろ!」
「離れません!」
「分かった!分かったから!そうやって手を繋ぐのやめろ!」
ダメだこいつ人の話きかねぇ…疲れる。
なんで朝からこんなカロリー使わないといけないんだ…?朝飯食ってないんですけど。
「お前ひょっとして暇があったらずっと俺に引っ付いてくるつもり?」
「無論です」
めんどくさ過ぎるんだけどなにこいつ!?
なんでこんなに俺に関わって来るんだよ…もしかして寝首欠こうとしてる!?
「そうだ。本日放課後にお時間ありますか?」
「これ以上俺になにをさせる気だ」
「実は今日ノーヴェさんと言う方から聖王と試合の約束を受けまして…」
「……なんて?」
聖王と試合?聞いてねぇぞそんなこと!
ーーーー今日ノーヴェから新しく格闘技やってる子と練習しないかって言われてるんだ!
さっきヴィヴィオが話してたのこの事だったのかよ!!
「お前ノーヴェとどこで知り合った?」
「二日前クロウさんと同じ様に野試合を…」
おいこいつそこまでバカだったんだけど!!?
なんで負けた次の日とかにすぐ戦いに行くの?こいつバーサーカーなんですか!?いやバーサーカーだったわ!
しまったぁこいつには一から十まで全部言い聞かせるべきだった…
「ノーヴェさんのお姉様やお友達の執務官さんにもお会いしましたが安心して下さい。クロウさんのことは何も漏らしていません」
「そいつら俺の元同僚!やべぇよ絶対バレるよ個人情報ダダ漏れだよ!」
「任せてください!義肢をつけたレプリケーション使いの学生に負けたとしか言っていません!」
「俺なんだよそれ!義肢付けてレプリケーションなんてマイナー魔法使うやつ俺しかいねぇよ!答え漏らしてんだよ!」
こいつがアホすぎる事にびっくりしてたらメッセージが入って来た。
見たくない。見たくないよぉ…
『アインハルトと一緒に来なさい』
やべぇよお怒りだよ…マジギレだろこれ…
「あれだけの情報で特定するとは…執務官は凄い調査力です…」
「おいアイズ、この辺にコンクリートあるか?」
『落ち着け』
なんでこうなるのぉ……
そして私はクルシミマス