好き勝手生きて何が悪い   作:バタートースト

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皆様今年はありがとうございました


熱量の違い

 

 人生って山あり谷ありというが最近俺の人生は谷底に真っ逆さま。

 それもこれもこのアホに出会ってからこんなことになっている。

 こいつはひょっとして疫病神なんじゃなかろうか。

 

「…で、アインハルトの事黙ってたってことね?」

「はいそうです」

 

 現役執務官に現在進行形で詰められてるのもアインハルトのせいだ。

 たった3年で犯罪者も顔真っ青な執務官になったんだなぁお前。

 

「まあまあ、クロウもアインハルトのことを思ってのことだしその辺にしてあげようよ」

「スバルはこいつに甘い!」

 

 俺の味方はお前だけだよスバル。

 

「すべては私の責任です。なのでクロウさんをあまり叱るのは…」

「良いアインハルト?こいつは甘やかしたらすぐ調子に乗るんだからシメる所はシメとかないといけないの」

 

 お前もいつかシメてやるから覚悟しとけよ。

 

「あんたはいつもいつも無茶して!」

 

 それから10分くらいクドクドと説教された。

 そもそも巻き込まれても逃げればいいとかもしものことがあったらどうするとか普段からダラダラしすぎとか。

 いや最後の関係なくね?

 

「今日の主役はヴィヴィオとアインハルトだ。その辺にしといてやれよ」

「しょうがないわね…次なんかあったらちゃんと言いなさいよ」

「はーい」

「クロウ先輩ってティアナさんに頭上がらないんですね」

「上がりまくるわ八重歯へし折ってやろうか」

「こわっ!」

「リオに八つ当たりしないで」

 

 アインハルト関連全部ティアナに投げちまうか。

 執務官だからこれくらいできるもんなぁ!?

 あとリオは俺の中で立ち位置決定したからな。

 やっぱ癒しはコロナだけだ…

『拗ねるな』

「拗ねて無い」

 

 ていうかなんでナカジマ姉妹が一挙大集合してんだよ。

 いねぇのギンガだけじゃね?いや居たらティアナの3倍は怒られるからいて欲しく無いんだけど。

 

「お前ら暇なのか?」

「陛下をお守りするのが務めですから」

「陛下って呼ぶのやめろっつったろ」

「陛下は陛下です」

 

 ダメだ会話にならいなこいつら、まあヴィヴィオが良いなら良いか。

 個人的にはかなり遺憾だが。

 

「高町ヴィヴィオです!ミッド式のストライクアーツやってます!ところでウチの兄とどう言ったご関係ですか?」

「ベルカ古武術、アインハルト・ストラトスです。彼を守ることが私の使命です」

 

 相変わらずアインハルトは何言ってるかわからないんだけど。

 何をそんなにお前が駆り立てるわけ?

 しかもなんでヴィヴィオはちょっと喧嘩腰?

 

「あんたアインハルトに何したのよ」

「俺が聞きたいわ」

「ふーん」

「またクロウがやったのか?」

「多分な」

 

 ティアナとスバルがジト目で見てくるが誤解だからね。

 何もしてないからね?いや何もしてないわけじゃ無いけど守るとか言ってる意味わからないからね?やめてねその軽蔑の目。

 あとチンクとノーヴェは何ヒソヒソ話してんだやめろ。

 

「まあつべこべ言うより殴り合ったほうがいいだろ?お互い準備して早速やろうぜ」

「そうだね!よろしくお願いします!アインハルトさん!」

「こちらこそよろしくお願いします」

 

 今時殴り合って分かり合うとかベタじゃ無い?

 

「じゃ、俺帰るわ」

「待たんかい」

 

 帰ろうとしたところを何故かティアナに捕まれる。

 なんだよ説教なら済んだだろ。

 

「いや、普通この流れで帰る?あんたの妹今からスパーリングするのよ?」

「こんだけオーディエンスいるなら俺いらなくない?」

「いるよ!何帰ろうとしてるのさ!ちゃんと見てて!」

「自由なのですね…」

「お前マジで言ってんのか…」

『兄として最悪だな』

 

 ヴィヴィオは怒るしノーヴェとティアナには呆れられた。

 アインハルトはなんかしみじみとしてた。

 だって危険無さそうだし帰りたいし眠たいし。

 アイズはゴミ箱に投げ捨てた。

 

『私を捨てるなー!』

「クロウさぁ、もうちょっとこう興味持ってあげようよ」

「格闘技バカはお前とギンガだけで充分なんだよ」

「今先輩デバイス捨てましたよ!スルーなんですか!?」

「俺はお前らちゃらんぽらんと違って忙しいの。じゃな」

「そうなんですか…クロウさんにいろいろ教えてもらいながら見たかったんですけど…忙しいならしょうがないですよね…」

「しょうがねぇな今回だけだぞ」

「「「「「コロナにだけ甘く無い!?」」」」」

 

 うるせぇなコロナは可愛いからいいんだよ。

 よーしコロナは俺とアイス食べようなぁ。

 

◇◇◇

 

 ヴィヴィオとアインハルトとのスパーリングが終わり俺とヴィヴィオは家に帰ってきた。

 めずらしく落ち込んでたからしょうがなく俺の部屋で話を聞いているのだった。

 アインハルトはとりあえずティアナとスバルに頼んだ。

 結論から言うとあのスパーリングはアインハルトが途中でやめたとはいえヴィヴィオの負け。正直に言ってしまえば当然の結果、格闘技歴も違えば向こうは先祖の経験っていうものがある。

 来週もう一度ということになったが一週間でどこまで迫れるかってところだな。

 

「一回負けたくらいでクヨクヨすんなよ。来週もやるんだろ?」

「負けたのはしょうがないよ。けどさ…私弱いから不愉快にさせちゃったのかなって…」

「不愉快ってわけじゃ無いだろ。たぶんこう…熱量の違いってやつだ」

 

 ヴィヴィオは格闘技をあくまでスポーツとして楽しんでやってる。

 逆にアインハルトの格闘技は強くなるため、祖先の無念を晴らすための手段だ。

 聖王がどんなやつだったのかは知らないし興味もねぇがヴィヴィオと聖王は違う。そのギャップでいろいろ思うところがあったんだろう。

 

「お前が真面目にやってないってわけじゃ無い。ただスポーツと命のやり取りって違うからさ。あいつは多分めんどくさい先祖に押し付けられた戦争の記憶に囚われてるんだろうよ」

 

 古代ベルカ人ってのは自分勝手なやつばっかりだ。

 自分の子孫に、残された人間に自分の勝手な無念を押し付けて強要して、それであいつらがどんだけ苦しむかも想像もしないで。

 普通残された人間には笑ってて欲しいって思うはずだろうが。

 イングヴァルトもエレミアもてめぇの無念はてめぇの代で晴しやがれ。

 そういえばあいつ元気にしてるかな、どっかで行き倒れてなけりゃいいが。

 

「本当はあんなポーカーフェイスじゃなくてもっと明るいやつだろうに…」

「詳しいんだねアインハルトさんのこと」

 

 ジトっとした目で俺のことを見るヴィヴィオ。

 なんだその目は。やめなさい、いたたまれないから。

 

「成り行きで話聞いただけだよ」

「私の話は聞いてくれないくせに」

「なんだやきもちかぁ?可愛いなぁヴィヴィオちゃんは」

「うるさいっ!」

 

 的確に脇腹を攻めてくるヴィヴィオはさっきまでと違ってぷんぷんと怒っていた。やっぱ辛気臭い顔してるよりそっちの顔の方が似合ってるよお前。

 

「よしっ!悩んでても仕方ないよね!クロウ!スパーリング付き合って!」

「なんでそうなるんだよ。やだよ」

「アインハルトさんと本気でぶつかりたいの!だからやれる事は全部やりたいの!おーねーがーい!」

 

 俺の手を引っ張って駄々をこねるヴィヴィオにため息が出る。

 4年前から変わらねぇなこいつは…

 

「クロウはアインハルトさんのお願いで戦ったんでしょ!なら私のお願いも聞いてよー!」

「お願いじゃねぇ襲われたの。状況が違うの」

『二人ともー?ご飯出来たよー』

「今行きまーす。ほらご飯だってよ」

「あっコラ!まだ話の途中だよ!」

 

 ギャーギャー言うヴィヴィオを無視しながら一階に行って晩飯を食べ始める。ヴィヴィオはまだ納得いってないからねと言わんばかりに俺を見つめてくる。照れちゃう。

 

「なんかヴィヴィオ元気無いね?どうしたの?」

「練習相手にボロ負けしたんですよ」

「ボロ負けじゃ無いよ!」

「で、一週間後にその相手と再戦するからスパーリング付き合えってうるさいんですよ。なんとかいってくれません?」

「ヴィヴィオ?気持ちはわかるけど、クロウのことも考えてあげなきゃだめだよ?」

 

 

 なのはさんは何故かニコニコとしていた。

 そうだそうだなのはさんの言う通り俺のことも考えろ。

 

「だってクロウが…」

「構ってほしいのはわかるけどクロウにはクロウのやりたいことがあるからね?」

「ち、違うよ!勘違いだよ!」

 

 そうそう俺にもやりたいことがたくさんあるんだぞ。

 ゲームとか昼寝とか睡眠とか。

 

「私も昔そうだったからわかるよ。丁度ヴィヴィオくらいの歳の頃だったかなぁ。翠屋でバイトしてた魔導師のお兄さんが居てね?構って欲しくて魔法の練習に付き合ってってよくせがんだなぁ…」

 

 しみじみと昔話を語るなのはさん。

 魔導師のお兄さんってなのはさんの出身管理外世界じゃなかったでしたっけ?

 

「そ、そんなんじゃ無いもん!やっぱり一人でする!ご馳走様!」

 

 ヴィヴィオは怒って飯を食い終わったら速攻で庭に出てトレーニングを始めてしまった。なのはさんを見ると可愛くウィンクしてくれた。

 可愛い。じゃなくてヴィヴィオがこう反応するって分かってたんだな。

 これで好きなだけ寝れる。

 

「もうあれから4年か…」

 

 ヴィヴィオに出会ってからすでに4年。

 歳月っていうのは早いって聞くけど本当なんだな。

 歳を追うごとに年々早くなっていくというが俺ですら早く感じるのになのはさん達大人はどれくらい早く感じるんだろう。

 まあ俺が感じる事はないが。

 

「早く大人になってほしいような、まだ子どもであっていて欲しいような」

「それ私のセリフだよ」

 

 ふふふと笑うなのはさんに俺もそうですねと笑う。

 最初はこんなふうに笑い合う仲になるなんて思っていなかった。

 人生って何があるかわかんないもんだ。

 

「そういえばそのお兄さんってどんな人なんです?」

「あはは、それ聞いちゃう?そうだね、もう顔も名前も思い出せないんだけど、大事なことを教えてくれた人なんだ」

「なんすかそれ」

 

 顔も名前も覚えてないのに大切な人って意味わかんねー

 

「怠け者で口が悪くて、それなのに律儀で。それから、私の寂しさを埋めてくれた人。魔法を知った私を助けてくれて、子どもは子どもで良いんだよって、ゆっくり大人になれば良いんだよって教えてくれたの」

「そんな奇特な人がいたんすねー」

「そうだね。フェイトちゃんもはやてちゃんも同じこと言うから、きっと変な人だったんだろうね」

 

 なのはさんの行動原理ってそいつから来てるのかも知れねぇな…

 お説教はほどほどにって言うのも付け足していてくれよ。

 

「それってもしかして初恋っすか?」

「大人をからかわないっ」

「へへへ、すんません」

「もう…でも初恋かぁ…ひょっとしたら…まだ続いてるかもね」

 

 うわぁ〜青春してる〜!

 そりゃそうか。なのはさんも大人って言うけどまだ20代前半だし、本来ならまだまだ独り身でのんびりしてるはずだもんな。

 これ以上聞いてたら砂糖出てきそうだわ。

 

「俺は部屋に戻ります。ご馳走様でした」

「ちゃんと宿題するんだよ」

 

 俺は適当に返事をしてその場を去った。

 ひぇ〜ひょっとしていまだに男の影がチラつかないのってその人が原因なのかね。かわいそうに…ユーノさん…おいたわしや

 

『失礼だろ』

 

お前いたのか。

 

 

 

 

 

 




良いお年を
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