好き勝手生きて何が悪い   作:バタートースト

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前見た時400人でわーいだったのに気がつけば600越えとるやないか…


妹の成長は速い

「ううぅ…緊張する…」

「今更どうこう言ったってなる様にしかならねぇだろ。しゃんとしろ」

 

 俺とヴィヴィオはノーヴェとスバルがセッティングしてくれたリング(仮)へ向かっていた。

 なんか救助隊の訓練にも使われるとこらしいけどそんなとこ借りていいのか?スバルのやつ職権濫用してね?

 

「私はクロウと違って繊細なの」

「繊細な奴は朝飯おかわりなんてしねぇ」

「朝は大丈夫だったんだよ!」

「デブ」

「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」

『っっ!っっ…』

『気持ちはわかるぞクリス』

 

 デバイス同士でわかり合ってんじゃねぇポンコツども。

 

「大丈夫だボロ負けしたら盛大に笑ってやるから」

「そこ慰めるとこでしょ!」

「ウチの愚妹、ガチの格闘家にボロ負けで草っと」

「スレ立てすんな!」

『こんなことを言ってるが朝はこいつの方がソワソワして』

 

 海に投げ捨ててやった。

 

『私を捨てるなー!』

「もしかして緊張ほぐそうとしてくれたの?」

「くだらねぇこと言ってねぇで歩けボケェ」

 

 俺はただ一週間付き合ってやったのにボロ負けするのが許せんだけだ。

 

「素直じゃないなぁ〜クロウは」

「だぁぁぁぁぁ!鬱陶しい!離れろ歩きにくいから!」

 

 くっつくな!邪魔くさい!ニヤニヤすんな腹立つ!

 

◇◇◇

 

「全力で行きます!アインハルトさん!」

「受けて立ちます!」

 

 アインハルトとヴィヴィオの再戦が始まった。

 この一週間俺の模倣覇王流とのスパーリングでヴィヴィオのやつ結構ついて行けてるな。

 

「ヴィヴィオ結構いい感じだね!」

「まあ死ぬほどやったからな、覇王流対策」

 

 アインハルトの拳をかわして隙に打ち込む。

 初戦に比べてモチベーションも経験も変身によってリーチも違うからうまいこと立ち回れてるな。

 アインハルトのやつも予想以上の上達に焦りを隠せてない。

 

「ヴィヴィオはアインハルトと比べて格闘経験もパワーも劣る。だからそこで競わずに得意分野で競うように持って行ったんだ」

「なるほど、カウンターか」

 

 ヴィヴィオは人の動きを捉えるのが上手い。

 相手の攻撃をいなして出来た隙に拳を叩き込むカウンター。

 圧倒的な破壊力はないが相手のペースを乱して自分のペースに持っていく。攻めてくる相手にとってはかなりのプレッシャーだ。

 

「ヴィヴィオが勝つ可能性は?」

「…残念ながら5%くらいだな」

「えぇー!なんでですかー!だって、クロウ先輩と特訓したんでしょ!?」

「一週間頑張ったくらいで勝てるわけないだろ。試験勉強じゃねえんだぞ」

 

 一週間死ぬ気で頑張ってもアインハルトに勝つことは恐らくない。アインハルトはヴィヴィオがこの一週間で経験した倍のトレーニングを何年も前からやってる。

 その研鑽に、努力に、たった一週間で届くなんてあいつも思ってはいないだろう。

 

「でも勝たなくていいんだよ。今日の試合はそこじゃないから」

「勝たなくていいって?」

「見てりゃわかるさ」

 

 俺が語るべきことなんて何もない。

 自分の伝えたいことを拳で語るのはヴィヴィオだから。

 なんて思いながら見てたらなんかティアナがニヤニヤしてた。

 

「なに笑ってんだよ」

「別に?ただちゃんとお兄ちゃんしてるなって思っただけよ」

 

 分かってんだよ柄じゃないことくらい。

 そう思ってるとヴィヴィオが踏み出してアインハルトの顔面に渾身の一発をお見舞いした。

 かなり良いのが入ったのは確かだが、それでもまだあいつから一本取るには至らない、それを顔面に喰らいながらアインハルトはヴィヴィオの腹に断空拳を叩き込んだ。

 壁に叩きつけられたヴィヴィオの負け、でもアインハルトのやつも良いのが何発か入ってフラフラみたいだ。

 ヴィヴィオの方は…だめだ完全に伸びてら。

 

「はぁ…はぁ…」

「どうだ。うちの妹も悪くないだろ?」

 

 ふらついた体を支えてやるとアインハルトは真っ直ぐみんなに介抱されてるヴィヴィオを見つめていた。その顔は前の失望した様子じゃない、何かを感じた顔だった。

 

「私はヴィヴィオさんに謝らなければいけません」

「伝わったか?あいつの想い」

「完全にではありません…ですが、彼女とまた戦いたいと思いました」

「そうかい」

 

 俺はアインハルトに肩を貸しながらヴィヴィオの元へ歩いて行った。

 シールドを抜いた様子はなかったから大丈夫だとは思ってたが思った通りヴィヴィオに怪我はないみたいだ。

 そこでこいつは改めてヴィヴィオに名乗り、起きてる時に言えとノーヴェに突っ込まれていた。

 

「恥ずかしいので嫌です…」

「今更何言ってんだよ。俺にはもっと恥ずかしい名乗り方してただろ?覇王流ハイディ・E・S・イングヴァルトです…ふっ。って」

「そ、そんな言い方もポーズもしてません!」

 

 俺のモノマネでティアナ達が吹き出した。

 そりゃこんなの他のやつが聞いたら笑うわな。

 

「覇王を名乗らせていただいてます…ふっ」

『痛いバイザーもつけてたな』

「や、やめてください!と、とにかくヴィヴィオさんをゆっくりできるところに連れて行ってあげましょう」

「俺が担ぐからいいよ。お前も結構良いのもらっただろ。今日はあの痛バイザーつけてないんだから無理すんな…ぶふっ」

「ちょっと…クロウ…やめなさいよ…ふふっ…」

「お、怒りますよ!」

 

 顔を真っ赤にして怒るアインハルトを揶揄いながら俺はヴィヴィオを背負って歩き始めた。

 背中には殴り飛ばされたのに幸せそうに眠る俺の大切な妹。

 人の背中でスヤスヤしやがって…ここ数日お前らのせいで睡眠時間減ってんだぞ?起きたらこいつのシルヴァニアもどきドローンに吊るしてやろ。

 

「重てぇな…」

 

 ちょっと前まで全然軽かったのにいつの間にかこんなに大きくなりやがって。

 いつもピーピー泣いてた癖に今では立派に自分の想いを相手に伝えられる様になってるんだもんな。女の子って成長早いわ。

 早く大人になってくれよ。

 いつまでも俺が守ってやれるわけじゃないから。

 いや…やっぱもう少しだけ子供で居てくれ。

 お前が過ごすこの幸せな日常だけは俺が必ず守るから。

 俺が死ぬまでにお前の日常を、未来を脅かす奴は全部消し去って、邪魔にならない様に消えるから。あとほんの少しでいいから。

 

 今だけはそばに居させてくれ。

 

 




みなさん激重感情大好きなんすねぇ…
俺も好き
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