中小国同士の海戦だから描写もこれくらいでいいですわよね?(労力削減)
「取舵いっぱーい!」
「取舵一杯、アイ!!」
迫り来るヒスパニア艦隊の戦列を前に、コロンビア艦隊は一斉に取り舵を切り旋回を開始する。近代海戦に於いて、相対距離1万でのこの大回頭は前例がない為、両艦隊には動揺が走る。
しかし、無敵艦隊を名乗っているだけあって対応は早い。即座に旗艦エスパーニャ含めた第一戦列の6隻が発砲を始め、他の戦列に加わる戦艦や巡洋艦部隊も呼応して射撃を開始する。
15〜30cmクラスの砲弾が次々に付近に着弾し、コロンビア艦隊の周辺には多数の水飛沫が上がる。
中でも戦列の先頭を進んでいたアルミランテ・パディーヤは回頭直前から複数の砲弾に被弾し、多数の損傷が見受けられたが重要区画への被弾は免れていた関係で戦闘力を維持していた。
アルミランテ・パディーヤが初撃の砲撃を一身に受けた為、他の戦艦は多少の被弾はあれど回頭中に大した被害を負うことはなかった。6隻のコロンビア戦艦群はよく訓練されており、初めての砲撃戦の最中でも大した混乱も起こさず、所定の位置と距離を保ち続けている。
「左舷要員右舷に移れ!」
「左舷要員右舷に移れぇ!!」
パディーヤの回頭終了と同時に後続の艦では要員の配置変えと主砲の旋回が始まる。当然目標はヒスパニアの無敵艦隊だ。
全ての戦艦が回頭を終え、照準と砲口を無敵艦隊に合わせる。先頭を進むパディーヤの砲戦準備が完了し、続く戦艦達を待っている。
「各艦回頭終了!!」
「距離 7200!」
「よし、射撃を開始しろ」
「はい……撃ち方始めぇー!!」
司令長官からの号令が艦内へと行き渡る。
通信士は各艦へ電報を送り、艦内電信や伝声管を通して射撃指揮所や艦橋からの指令を送り、最後まで間違いはするなと艦内放送まで行う。
未だ主砲クラスの直撃は免れているが、いつ被弾するか分からない恐怖の中で甲板要員は作業を続ける。
彼らは訓練で叩き込まれた一連の動作を割り振られた役職ごとにぎこちなく、しかし確実にこなしていく。弾薬庫から砲弾を運び、装填し、照準を合わせる。初めての実戦でここまでしっかりやれるのなら上出来と後に提督は評価している。
統率の取れた行動を行えていた事は彼らが日々の訓練や指導でシゴキを耐え忍び乗り越えた成果である。
「右舷15cm試し撃ち方! 距離 7200!撃ち方始めぇー!」
《右舷15cm試し撃ち方!距離 7200!撃ち方始め!!》
「距離7200! 試し撃ち方!」
「装填良し!」
「照準良し!!」
「撃ぇ—————ッ!!」
パディーヤ含めたアルミランテ級の副砲が一斉に火を噴く。発砲して数秒後に敵艦隊の手前、極めて至近に一斉に着弾する。
射撃指揮所の観測手がすぐさま距離と誤差を計算し、修正射撃へ移る。
「誤差修正 7185!」
《誤差修正 7185!》
修正値を入力し、いよいよ主砲による射撃が行われる。衝撃波警戒の警報が数秒響いた後、砲塔内要員は次の砲弾の発射体制に入る。
「距離よし!」
「照準良し!」
「撃てぇ!!」
15cmとは比べ物にならない衝撃波と爆音と共に、30cmの炸薬マシマシの砲弾が放たれる。
アルミランテ級4隻とアントニオ・ナリーニョ級2隻による一斉射撃は、対峙していた無敵艦隊の戦艦群の戦列に殺到する。放たれた主砲弾の殆どは外れたものの、2発が戦列先頭のエスパーニャに被弾し、右舷副砲塔群が吹き飛び艦中央部で火災が発生する。
両軍共に30cmの同口径を有し防御も同等かと思われる戦艦同士だが、コロンビア海軍の戦艦群はヒスパニアの戦艦群と比べると相違点がかなり存在する。
コロンビアが運用するアルミランテ級とアントニオ・ナリーニョ級は元々日本海軍の秋津洲型と敷島型である。
設計自体は古く(当社比)、旧式化(当社比)も否めない艦であるが、装甲と主砲弾は欧州列強と比べても同等かそれ以上のものだった。
ニッケルやクロムをふんだんに使った均質圧延装甲は遠距離から飛んでくる砲弾に対し被弾時に割れにくく、又角度によっては砲弾を跳弾させる事すら可能だった。
また主砲の30cm砲弾も、製法や技術の進歩により砲弾に使われる鋼鉄の強度を保ちながら薄く加工する事が可能になり、その分砲弾内に
また、15cm砲も同様であり副砲ではあるものの主砲が装填中の間は貴重な火力源となり、総合火力でコロンビア側が優っている。
「命中!命中!」
「次弾装填、急げ!」
「次弾装填急げ!」
《目標!先頭のエスパーニャ!急ぎ撃て!!》
「目標エスパーニャ急ぎ撃て!」
主砲が撃ち終わっても絶えることのない15cm砲弾の雨は、着実に無敵艦隊にダメージを蓄積させている。
副砲とはいえ自軍戦艦の装甲を凹ませ上部構造物に甚大な被害を与える射撃に、無敵艦隊はだいぶ堪えている。そんな中、射撃が先頭を走る旗艦エスパーニャに集中し始める。
そして2度目の主砲斉射。爆音と共に放たれた砲弾は吸い込まれるようにエスパーニャの船体に着弾し、火災を発生させていく。
被弾によって速力が低下していたエスパーニャは、新たに被弾することによって更に速力低下に追い込まれ、落伍し始める。エスパーニャが先頭だったのもあり、ヒスパニア側の戦列が大きく乱れる。
またエスパーニャの後ろを航行していたアルフォンソは、回頭指示が遅れた為か回避し切れずエスパーニャの艦尾に衝突する。
まともな艦隊運動が取れない事は艦隊戦では致命的であり、現に追突したエスパーニャとアルフォンソには次々に主砲弾が命中し、両艦は大量の黒煙を上げながら炎上。
ハイメ1世、サンタ・マリアは衝突した2艦の回避運動に入った為無視され、代わりに後列のサン・フアン、サン・マルティンに砲火が集中。瞬く間に被弾しサン・マルティンに関しては機関部にクリティカルヒットした為、大爆発し船体が真っ二つになるという大惨事だった。
所謂轟沈である。
「おぉ!!」
「まだだ!敵のラッキーパンチに注意しろ」
「パディーヤ速力低下の為戦列離れまぁす!」
「メスティーソ前に出ます!」
提督が歓声を抑えた直後、無敵艦隊前列の後方に居たサン・フアンの主砲斉射から数秒後、アントニオ・ナリーニョの船体が大きく揺れる。
艦橋の士官達の余裕は一気に無くなり、艦内電信には各所の被害が舞い込んでくる。
「何があったぁ!?」
《後部射撃指揮所に被弾!負傷者あり!!》
《後部主砲にも直撃弾!》
「それだけか!!」
《不発弾です! 砲弾が砲塔上面に突き刺さってます! 念の為隔壁閉鎖と弾薬庫に注水後退避します!!》
《スクリュー機関共に異常なし!!》
《右舷後部副砲塔群に負傷者あり!》
「速力変わらず!」
「当該砲塔要員は右舷後部副砲要員と交代しろ! ダメコン班は不発弾の処理だ!! 各砲塔射撃は継続させろ! 目標サン・フアン急ぎ撃て!!」
「目標サン・フアン急ぎ撃て!」
士官達の動揺を他所に司令長官は指示を飛ばし、艦要員は素早く指示をこなしていく。
号令の直後にナリーニョを筆頭に全艦が主砲を発射。艦隊右方に大量の砲煙が発生し、一時視界不良になるレベルであった。
パディーヤは離脱、旗艦アントニオ・ナリーニョも被弾したものの、主力艦の多数と旗艦が機能不全に陥り、統率の取れない無敵艦隊はバラバラになり、航行不能状態の2隻以外のエスパーニャ級に5隻分の砲弾が降り注ぐ。
特にサン・マルティンの爆発の煽りをモロに受け、前後のマストは折れ曲がり、サン・マルティンの爆発の破片を浴び艦内が混乱していたサン・フアンはコロンビア艦隊の第二斉射の時点で戦闘力を喪失。
何度目かの主砲発射による轟音が響き渡り、回避運動を終えたハイメ1世とサンタ・マリアに攻撃が集中。形勢不利の中でも抵抗し、コロンビア艦隊に多数の直撃弾を与えるも砲門数と艦艇数で負けている上、装甲の質が違う為に思った以上の戦果を引き出す事は出来なかった。
コロンビア艦隊の何度目かの一斉射撃の末にハイメ1世は上部構造物全損の上操舵不能、サンタ・マリアは弾薬庫と機関部にそれぞれ直撃弾を受け轟沈した。
2度目の轟沈を受け、コロンビア艦隊の士気は最高潮であり、士官達は自分達の勝利を確信した。
しかし抵抗してくる艦も存在する。特に最初に衝突で航行不能として後回しにされたエスパーニャとアルフォンソだ。
「エスパーニャとアルフォンソ撃ってきます!」
《後部砲塔より、不発弾の処理が終わりました!もう暴発に怯える必要はありません!!》
「よし!撃ってくるなら沈めるぞ。パディーヤ以外の3隻と残存駆逐隊で装甲巡と一等巡を追撃させろ!
本艦とシモン・ボリバルは掃討戦に移行する!!」
「目標!エスパーニャ及びアルフォンソ、急ぎ撃て!」
《目標エスパーニャ及びアルフォンソ急ぎ撃て!》
アルミランテ級が駆逐隊を引き連れ離脱する。本来ならこの手の仕事は巡洋艦部隊の仕事だが、アルミランテ級は日本海軍時代に主缶や主機関の換装が行われており、特に石炭専焼から石炭重油混焼ボイラーへの変更に伴い、タービンも強化されている。
高馬力から生み出される速力は前弩級戦艦の部類では高速の部類であり、ヒスパニアの一等巡洋艦、装甲巡洋艦相手なら余裕で捕捉することができる。
追撃艦隊を尻目に最後まで抵抗するエスパーニャとアルフォンソにトドメを刺す為、アントニオ級の一斉射撃が行われた。
止まっている艦程当てやすい標的はなく、多数の30cm砲弾が直撃したエスパーニャは今度こそ沈黙。アルフォンソは浸水が止められなかった為、被弾後急速に沈降しカリブ海の海底に沈んでいく。
「エスパーニャ沈黙! アルフォンソ沈降して行きます!」
《射撃指揮所より、ハイメ1世から白旗が上がってます!》
「宜しい、本艦はこれより人命救助に当たる。くれぐれも丁重に扱えよ!!」
旗艦を失い、戦闘力も失った無敵艦隊主力にはコロンビア艦隊に対抗する力はなく、残存艦艇は降伏の道を選ぶ。
まだ海戦自体は分離したコロンビア艦隊がヒスパニア艦隊を追撃している関係で続いているものの、主要な戦いは決着がついた。
主力艦を喪失し、残存艦艇も戦艦の追撃により壊滅しかかっているヒスパニアのカリブ艦隊に継戦能力はなかった。
新造戦艦とその艦隊を一瞬にして失ったヒスパニア海軍は、カリブ海での制海権を喪失。
キューバへのシーレーン防衛の為に追撃戦から生存した残存艦艇と本土の艦艇を糾合し新たに艦隊を編成したが、コロンビアとの防衛協定に則って合衆国がコロンビア側で参戦。
コロンビア艦隊に惨敗したヒスパニアには合衆国の戦艦群に対処できる力はなく、又協商の盟主であるエディンバラがヒスパニアを糾弾。陣営から追放し、ナシオンとサルディニアを引き連れヒスパニアに対し宣戦布告。
ヒスパニアは最後の手段として帝国連合への助力を求めたが、大枚叩いて買い上げて泣く泣く自費で涙ぐましく運営していた開拓地がやっと軌道に乗って使い物になり始めた時期に、起こっている戦争の経緯が経緯なだけに東ヨーロッパ帝国は「巻き込むんじゃねえよ」とシカトした。
海軍
「敵は我が艦隊を撃滅し残存艦を追い回し壊滅させることに成功いたしました。
北方では防衛協定で参戦した合衆国艦隊がハバナを奪取しました。そしてそのままキューバに向かって前進しております」
陸軍
「便乗参戦した同盟国のベネズエラ軍はグラビアとセサールの間の北縁で行動しておりましたが、同地のベネズエラ軍は動員されたコロンビア軍に粉砕され、メリダまで交代しています」
ヒスパニア王
「新大陸嫌いのエディンバラの支援で何もかも秩序を取り戻すだろう」
経済省
「国王陛下……
エディンバラは……」
外務
「協商は今回の戦争で我々を陣営から追放し宣戦布告してかており、帝国連合には完全にシカトされています。
我々は欧州で孤立しています」
ザワザワ…
ザワザワ…
ヒスパニア王
「以下の者は部屋に残れ。海軍、陸軍、外務、そして経済省だ」
ガヤガヤ…
ガヤガヤ…
ガヤガヤ…
バタンッ(迫真)
ヒスパニア王
「開戦したのだぞ!
諸省の情報を信じての開戦だったんだぞ!!
いったいどこのだれが、私に虚偽の報告をするなどという大それたことをしようというのだ!
そこまでのことをしようというとは、軍部は私を欺いていたのだ!
だれもが私を欺いていた!
軍や政府全体が、卑劣な、忠誠心のない、卑怯者の塊以下の存在だ!
貴様らが士官学校や大学院で学んだのは、テーブルマナーとナイフとフォークの使い方だけか!!?」
陸軍
「陛下、貴方のために血を流している将兵にそのような…」(話題逸らし)
ヒスパニア王
「実際そうではないか!!」(事実)
経済省
「そうでなくても、陛下のおっしゃることはとんでもないことです!」
ヒスパニア王
「将兵はそうだろうが貴様らは揃いもそろってヒスパニア国民のカスだよ!!」
チクショーメー!!!
ヒスパニア王
「貴様らは貴族だなんだと言って偉ぶって、ただ大学院や士官学校を出たというだけだ!!
そこで何をしていたかというと、ナイフとフォークでお食事のお稽古をしていただけだろうが!!!
私が作戦や方針に苦言を呈せば、一言二言には心配ないだの臆病だのと私の発言をひたすら妨害してきたしな!!
貴様らが頭で考えることといったら、私の歩く道に邪魔ものを置くことだけだ!!
it's 判断力足らんかったァ!(自己分析)
こんなことなら私ももっと早く、高級士官や官僚どもをみな粛清しておくのだった!アキツシマの将軍のように!!」
ザワ…
ザワ…
ヒスパニア
「私は国王だ…
この腐りきった国をここまで立ち直らせ、まともな国家の部類に押し上げてきたのだ!
裏切り者め……
最初の最初から、私は裏切られ欺かれていたのだ!
おっぱいぷる〜んぷるん!!(発狂)
ヒスパニア王
「これは途方もない裏切りだ。ヒスパニア国民への裏切りだ……
しかし!貴様ら裏切り者どもは、みな報いを受けるだろう。
貴様ら自身とヒスパニア国民の血で償うことになるのだ……貴様らは自分自身の血の中で溺れることになる!!」
ガヤ…
ザワ…
海軍中将
「スン……スン…」(自国初の戦艦が全滅で精神崩壊)
内務局
「陛下はきっと御乱心なのよ……」(精一杯の擁護)
ヒスパニア王
「私の命令は、平時も戦時も風の中にささやいているようなものだった……
…もはやこの状況をどうにかしようなどというのはもはや不可能だ
おしまいだ、戦争は負けた」
ザワザワ…
ザワザワ…
ヒスパニア王
「しかし諸君、私がマドリードを捨てるだろうなどと思っているならば、それはとてつもない間違いだ…
そんなことをするくらいなら、私は自分の頭に銃弾を打ち込む!
……君たちは自分がしたいようにしたまえ」
ヒスパニア
最近調子が良かったせいか諸省が暴走し、そんな中で運河利権を手に入れるために戦争を起こしたが、予想以上にコロンビア海軍が強力だった為敗走。
18世紀から王の権力が弱体化していたことが起因しているらしい。馬鹿じゃねぇね?(ナポレオン3世並感)
結局当初の攻勢から守勢に回るつもりだったが、防衛協定を結んでいた合衆国が参戦。合衆国海軍相手に守勢の構えも無意味になる(購入戦艦と新造戦艦20隻の群れ)
その上コロンビアと友好関係にあった西の大帝国からの報復を恐れた協商陣営、発足後初めて反対意見のない全会一致でヒスパニアを追放。同時に格付けチェックを行いヒスパニアは国家として存在する価値なしとしてヒスパニア解体の為宣戦布告。
ちなみなヒスパニア領モロッコでは独立運動が活発化し、とある島国から話を持ちかけられたポルトガルはガルシア地方を欲しそうにチラチラ見ている。
なお、西の大帝国は突如始まった西哥戦争とヒスパニア解体ショーを見て困惑している
コロンビア
「俺の勝ち!なんで負けたか明日までに考えといてください!(猶予)
そしたら何かが見えて来るはずです」(皮肉)
合衆国
「ヨーロッパのド貧民貧乏野郎が帝国ぶってんじゃねぇぞ!」(ネバダ級の群れ)
協商
「俺らは繁栄と防衛の為の陣営であって侵略と破滅の為の陣営じゃないんだわ」(正論)
帝国連合
「死ぬなら1人で死ね」(直球)
ヒスパニア王
「んほ〜!」(東西南北中央(内憂)が敵しかいない)
連邦
「いや、知らん……怖…」(欧州情勢複雑怪奇)