ワイらがこの先生き残る為には   作:食べる辣油

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仕事初めで憂鬱ですけど頑張りますわ^〜!



【砂漠の戦い】

 

 

《1-2停止、停止!射撃にあっては制圧射、速射撃て!》

 

《1-2、右後方にピール、分ける。1-1からピールするOver》

 

《分隊右後方にピール(剥離行動)

 

 

 横隊の小隊が1名ずつ、射撃と移動を繰り返しながら後方に後退を始める。

 

 ピールとは、射撃と移動を行う分隊戦技である。まず翼端の隊員から1人目が移動を開始し1番手前の隊員に合図を出す、合図を受けた隊員が走りまた別の隊員に合図を出す。

 

 他の隊員はこの間制圧射撃を行い敵を制圧、最初に移動した隊員が目的地に辿り着き敵に射撃を開始、その間に最後尾の隊員が移動、また移動が完了すれば翼端の隊員から移動を始める、というのが大まかな流れになり、これを複数回行う。

 

 なお、これら一連の行動(必中の投石しながら走り抜ける)を1人で行えるのがアキツシマのケツである。

 

 

NE(ノースイースト)に新手、1squad以上!》

 

《トロール主砲撃つ、主砲撃つ》

 

《CP.alpha、前方左制圧射、見えてなくていいOver》

 

《alpha了》

 

 

 部隊の射撃、移動は正確に行われる。ほぼ全ての兵士に無線機が普及した事に加え、連邦軍の高い兵士育成プログラムによってなせる技である。

 

 帝国軍が攻勢が得意な外征用の軍隊であれば、連邦軍は1世紀近く前から何故か仮想敵を帝国軍として来た防衛主体の軍隊。

 

 本来であればここに野戦砲と航空機による火力支援、戦車による機動防御が加わる。

 

 ちなみにこれを例の3人で行うとすると、正面に攻撃と耐久力が馬鹿みたいに高い将軍を配置し、その後ろから高台に登った最低野郎が投石による対空対地支援を行い、機動力を手に入れた鉄屑野郎が側面から敵の装甲戦力だけを絶対に破壊するマンとなる。

 

 連邦軍内でこのフォーメーションは、汚い3種の神器と呼ばれている。

 

 宮内庁

「これマジ?10世紀以上の伝統がある皇族に対しての侮辱だろ……」(事実)

 

 

「歩兵隊はそのままS-3を放棄し、S-5まで防御線を縮小させる。ATは敵戦車を牽制、APC部隊はトロールと合流し引き続き歩兵の撤退を援護せよ」

 

《1-3了》

 

《1-5りょ!》

 

《トロール了》

 

《six 了 Over!》

 

《fives 了 Over》

 

 

 敵が遮蔽から現れれば制圧射が飛び、瓦礫に隠れればIFVの機関砲と対戦車ミサイルが火を噴く。敵の攻勢は激しいものの、その勢いは確実に削がれつつある。

 

 ヤンは敵の攻勢を躱しつつ、徐々に敵部隊を自陣深くまで誘い込んでいた。

 

 今戦っている敵は初戦で破った帝国軍部隊よりも練度も高く手強い、もし相手のペースに乗せられて正面衝突すれば痛手を負う事は間違い無かった。

 

 しかし部隊の絶対数では今度は連邦軍が多く、使える手も豊富だった。これを利用しあわよくば敵部隊の何割かを包囲し、逆撃出来ないかと模索していた。

 

 部隊全体から集まる情報をもとに、相手に気づかれない様自然な形で包囲網を着々と形成させていたが、これを整えるには最後のピースが必要だった。

 

 

「敵に気付かれず、味方の損害を抑えながら包囲の内側に敵を誘い込むか。実際やってみると結構苦労するなぁ」

 

《CP.CP!bravo.2mendown.alphaにあっては3menKIA!》

 

《こちらトロール敵戦車一両無力化!Blake!》

 

《1-2にあっては3mendown!》

 

《1-5、5mendown》

 

「全体、臨時のCCP(傷病者収容所)はsixに行わせる、sixは必要に応じて各隊の負傷者を後送せよ、Over」

 

《six了解》

 

 

 やはり選抜されているとはいえ、練度が高い正規軍が行う非対称戦に対してはまだまだ経験不足。ヤンとしても未知の部分が多く、部隊運用は慎重に成らざるを得ない。

 

 

(こんな時将軍がいたら………いや、駄目だ。アレはアレで規格外すぎて、将軍ありきの作戦ばかり立ててしまいそうだ……いや、味方に損害が出ないならそれが1番いいんだが……)

 

 

 途中までそう考えていたが、すぐに考えを改め自己嫌悪する。

 ただでさえ自分は他人の命で皮算用をやっているのに、損害がない楽な作戦ばかりをやって作戦指揮の腕が落ちるのではないか、こう考えるのは不見識ではないかと。

 

 元は病で働けない母親の為にやむなく軍人になったが、改めて自身の性格には不相応な職場だと再認識する。

 

 

「……しかし、ままならないなぁ」

 

《CP1-2!SE(サウスイースト)新手のUnknown!Over》

 

《1-2.CP確認した、SE110方向にtank視認!tank視認!歩兵の規模にあっては1……いや2!2Squad以上!》

 

《AT用意!AT用意!》

 

「CP.HQ。敵部隊は腕章をしているか?」

 

《CP.HQ、当該未確認部隊にあっては左腕に青の腕章を確認!》

 

《HQ.1-2、tankにあっては帝国軍の物とは形状が異なるOver》

 

「全体、全体。SEの未確認部隊は友軍だ。射撃待て、繰り返す射撃待て」

 

《CP.SE友軍了解.Over》

 

《1-2.りょ!》

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 青の腕章を付けた不明部隊は、ガリア軍諜報部隊による非正規部隊である「ネームレス」である。

 

 何故ガリアの諜報部管轄の非正規部隊が、欧州派遣軍の要請に応えたか。言ってしまえば戦場で起こしたやらかしの落とし前である()

 

 

「あんたらがジョン・ドゥ⁉︎」

 

「そうだ!状況は?」

 

「敵が包囲されてるって気付いて抵抗が激しくなった!思う様に進めない!援護してくれ!」

 

「分かった!」

 

「よし、聞いたな!小隊早駈け用意!」

 

 

 ネームレスが戦列に加わり、連邦軍の攻勢が始まった。防戦続きだった各部隊は擲弾、手榴弾、手持ちの爆薬を一斉に使用し敵を拘束。

 

 その隙に歩兵部隊が前進。相手が顔を出せば装甲車、IFVの重機関銃と機関砲が敵歩兵に対して火力を投射。機関砲と小銃の発砲音は途切れる事なく戦場に響き渡る。

 

 

「contact contact!」

 

『ア゛ア゛ッ‼︎』

 

『ブッ』

 

「2人()った2人()った!」

 

《トロール前進開始 Over》

 

《1-3前進する!Over》

 

 

 突然の逆撃に対し、敵歩兵は対応を取る間もなく殲滅されていく。この一瞬で帝国軍の戦線に亀裂が出来た。

 

 

《S-2にsixとトロールを突っ込ませろ!1-3も突っ込んで機械化部隊を守れ!Over》

 

《CP了解》

 

《トロールりょ!》

 

「グスルグ!前進して敵戦車を牽制、連邦軍を援護しろ!」

 

《了解!》

 

 

 連邦軍の装甲戦力とネームレス戦車が一挙に雪崩れ込む。ネームレス戦車を先頭に連邦の装甲車部隊が続き、舞い上がる砂埃が歩兵を隠す天然のスモークを形成した。

 

 帝国兵がネームレス戦車に釘付けになれば連邦兵が次々と射殺し、ネームレス戦車が帝国軍戦車を正面から相手し、側面からネームレスのNo.1(エース)が肉薄攻撃を仕掛け破壊する。

 

 

「あの嬢ちゃんに全部持ってかれそうなんだが?」

 

「なら歩兵撃てば良いやん」

 

「弾種切り替え、全員HE詰めろ」

 

 

 戦車が居なくなれば連邦軍対戦車兵は、容赦なく対戦車火器を敵歩兵に向けて行使する。敵を遮蔽物ごと撃破するか、榴弾を詰めて歩兵の殺傷に使用。たまらず出てきた敵をIFVや歩兵で始末していく。

 

 

「待てセルジュ!」

 

「あぐッ!」

 

 

 分隊行動中、被弾し倒れる者もいる。

 彼はNo.45、セルジュ・リーベルト。持病が不治の病であることで余命幾許もない事が原因で軍から除隊され、半ば自暴自棄気味にネームレスに志願した珍しい人種である。

 

 病弱である反面、彼自身が自分の病に絶望している為、死に場所を求めて無謀な行動が多い。今回も味方の制圧射に合わせず移動した結果、被弾し負傷する事になった。

 

 

「右前スモーク、一個ずつ頼む!」

 

《smoke out! スモーク展開!》

 

《右前、contact!右前!》

 

「匍匐して匍匐!今行ったら死ぬ。alpha制圧射撃ってほしいそこ、見えなくてもいい Over」

 

 

 連邦兵がスモークを展開し制圧射撃を行い、その隙に負傷したセルジュが遺跡の残骸の影へと隠れる。

 

 

「bravo その位置で制圧射撃、速射継続」

 

《了解、制圧射継続》

 

「私と西村で下げる」

 

 

 援護を受けた連邦兵がセルジュの元へと駈け出す。

 彼の元へと辿り着いた兵士はすぐ様負傷の容体を確認し始める。

 

 

「止めてくれ!」

 

 

 しかしセルジュは拒絶した。

 自身の未来が残り少なく、希死念慮の強いセルジュにとってこの行為はあまり望ましくなかったのだ。

 

 なおそんな事関係あるかと連邦軍女性兵士が思いっきり引っ叩いた。

 

 な、殴ったね⁉︎(幻聴)

 

 

「何故⁉︎」

 

「は?(殺意)

 (助けに来てやったのに)なんやその態度? (次ナマ言ったら)散撒くぞこのやろう!」

 

「あの、梔子さん。そいつ脇腹貫通してるんで丁重に扱って?」

 

 

 連邦兵は激怒した。当然である、同僚が自身の命を危険に晒しながら救助に来たのに、命をかけた献身を拒否されたのだ。

 

 応急措置を始める連邦兵が宥めるが、女性兵士はお構いなく掴み掛かって2度目の手が出る。今度はそこそこ力を込めて殴ったので少し鈍い音が出た。

 

 2度もぶった!(幻聴)

 

 

「あの梔子さん?」(半ギレ)

 

「ごめんちょっとタンマ……テメェ、自分で他人の足引っ張っといてその言い草舐めてんのか?」

 

「ッ!それは……」

 

「お前が死んだら悲しむ奴が出る、お前の代わりに新しい奴が入ってきてそいつが死ぬ、お前さ命粗末にすんなよ」

 

「そんな事分かってる!でも、僕は不治の病で……僕には未来なんてッ」

 

 

 セルジュの口を遮るように女性兵士の拳が飛ぶ。今度ばかりは力いっぱい殴りつけたのでちゃんと鈍い音が出た。3度目の手が出る。

 

 3回だよ3回(幻聴)

 

 

「お前ホンマ!!お前ホッンマ!!!」(ブチギレ)

 

「すんません、あとちょっとなんで………」

 

「貴様何一つマトモに出来んのかァ⁉︎」(にほんへ)

 

 「す、すんません本当にもう少しなんで……テメェ、この戦争で死にたくない奴がどんだけ戦場に駆り出されて、惨たらしく死んでるか知ってて言ってんのか?」

 

「ッ」

 

「不治の病だかなんだか知らんが、ベッドの上で弱っていきたくないなら命粗末すんな。自己満足で死ぬくらいなら戦い抜いて死ね。死ぬまでお前の部隊の為に働い抜いて死ね」

 

 

 感情的になった梔子の勢いが漸く止まり、セルジュは口を紡ぐ。救護しに来たのに何故か負傷兵をタコ殴りにした梔子と違って、共に救護に駈けつけた西村はせっせと涙ぐましい努力で応急措置をしながら、後送準備をしていた。

 

 

「bravo これから下げる!制圧射継続!」

 

《了解、alpha制圧射継続》

 

「smoke展開!よし梔子下げろ下げろ下げろ!」

 

「ウッス!」

 

 

 西村が追いスモークを展開し、梔子がセルジュを担ぎ上げ走り抜ける。再び制圧射による弾幕が形成され、帝国軍は動きを封じられる。

 

 梔子と西村のコンビはセルジュを無事に救助し、味方部隊の元に生還する。セルジュはすぐにネームレスのNo.24、アニカ・オルコットに回収された。

 

 

「救助完了!こちら救助完了!bravo援護感謝する Blake」

 

《bravo 了解》

 

《分隊見える敵撃て!》

 

「救助感謝します!」

 

「気にしない気にしない!あ、たまにそいつ巫山戯た事言うから、言ったらまた殴りに行くって言っといて!」

 

「え?あ、はい!」

 

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

 

 

『後退だ!』

 

 

 帝国兵の誰かがそう叫んだ。

 この一連の攻勢を受け流せなかった帝国軍部隊は、包囲下の部隊を切り捨て撤退を始めた。

 

 ヤンは撤退する帝国軍には攻撃を仕掛けない。敵の撤退が予想以上に巧みだった事と、追撃すれば足止めという敵の目標を叶えてしまうことになる。

 

 

「追撃しなくていい、捕虜を収容し負傷者を後送後、我々は義勇軍部隊の援護に向かう」

 

「宜しいのですか?」

 

「敵の役目はあくまで我々の足止めだ、それに敵は撤退しているが、わざとらしく隙を作り、食いついて欲しそうにしている」

 

「しかし、逆撃の可能性はあります。我々が動けないなら、ジョン・ドゥにでも追撃させるべきでは?」

 

「いや、敵はおそらく中隊規模だ。小隊規模のジョン・ドゥに追撃させたところで、敵の逆撃に遭う可能性がある。それに我々の目的は義勇軍の援護であって、帝国軍の殲滅じゃない。今は素直に帰らせてやろう」

 

「ハッ。全隊に徹底させます」

 

 

 指揮車から降車したヤンは、ブランデーが入った水筒に手を伸ばすが、戦闘中である事を思い出し、手を引く。

 

 そこへ戦闘を終えたネームレス戦車が現れ、ヤンが乗っていた指揮車の真横に停車。車内からNo.7ことクルト・アーヴィング少尉が姿を現し、ヤンへ敬礼を行った。

 

 ヤンはクルトへ答礼、ヤンはクルトへ右手を差し出す。それに応じたクルトはヤンの手を握り返す。

 

 

「援護感謝する」

 

「いえ、そちらの部隊との連携が覚束ない場面もあり、完璧な包囲網を敷く事ができませんでした」

 

「あぁ、アレは敵の指揮官が少しばかり上手で、私が十分な部隊運用が出来なかっただけだ。だから、気にすることはないさ」

 

「……分かりました」

 

「まぁそれより、どうだったかな?クルト・アーヴィング少尉、ウチの隊員達は」

 

「次元が違いました。分隊行動、分隊戦技、射撃、連携の綿密さ……上げればキリがありませんが、そのどれもが徹底され完璧に実行されていました」

 

「ほぉう、そこまで評価してもらえるとは、指揮者冥利に尽きるね。とは言え、我々の仕事は終わってはいない。他の戦線では義勇軍が帝国軍相手に奮戦している」

 

 

 ヤンは指揮車の中からバリアス砂漠の地図を持ち出し、地面に広げる。

 

 そこにはまだ未成熟な分野ながらも、日々精度を上げ続けている衛星測量によって測量された、バリアス砂漠の精密な地図だった。

 

 その精密さにクルトは一種の悪寒を感じた。ガリアに訪れて2ヶ月も立たない他国の軍隊が、自国領内の精密な地図を保有している事に対して、言われようもない危機感が生まれていた。

 

 訳あってガリアの味方をしている連邦という超大国の力、その一片をまじまじと見せつけられていた。

 

 

「どうしたんだい?クルト少尉」

 

「いえ、大丈夫です。それよりも、今後の我々の行動方針をお聞きしたい」

 

「そうか、ならまずジョン・ドゥ改め、ネームレスの諸君には引き続き側面攻撃を行ってもらいたい。後30分前後で、我々の本隊が遺跡西部に展開する。まず我々の機甲戦力が帝国軍とが砲火を交え、敵主力を押し留める。その隙にネームレスは遺跡と稜線を使い帝国軍の側面に回り込み、攻撃を仕掛ける」

 

 

 ヤンは帝国軍の配置から、遺跡の瓦礫や残骸、砂漠の砂丘を考慮し帝国軍から見えない位置を正確に見定め、ネームレスが移動する進出路を設定していた。

 

 その進出路の情報、帝国軍の配置とその構成まで地図に書き記し、クルトへと手渡す。

 

 

「敵砲兵は確認できなかったから、火力支援はそつなく行えるだろう。戦闘になればもっと”直接的”な火力支援も行える」

 

「”直接的”?」

 

「まぁ私に任せておけ。期待外れな事にはならないはずだ。あそうそう!こいつを忘れていた」

 

 

 ヤンは一旦指揮車に戻り、数分後に一つの通信機器をクルトへ手渡す。

 

 

「連邦軍が使用している野戦通信機器だ。何かあればこの無線機を使って我々に要請を送って欲しい」

 

「良いのですか?」

 

「君なら悪用はしないだろう。存分に使って欲しい」

 

「感謝します」

 

「さぁ急ごう。ヒルデにもあまり負担を負わせたくない」

 

 

 ヤンは負傷者と捕虜の後送後、再編成した機械化部隊を、クルトはネームレスをそれぞれ率いて次の戦場へと動き出す。

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

 

 義勇軍は帝国軍相手に苦戦を強いられていた。

 特にガリア侵攻軍マクシミリアン・ガイウス・ファン・レギンレイヴが座上している、ゲルビムと言う大型陸上兵器相手に苦戦していた。

 

 正面60度と言う限定旋回だが、艦載砲から転用され車体上部一門、車体下部に埋め込む形で二門、計三門の340mm砲の威力と、死角を埋めるように配置された機銃座、そして後部にしか向けられない癖に何故か天高く伸びたクソ雑魚副砲塔、そして正面は勿論、側面背面共に重戦車クラスの主砲を受け付けない装甲によるハリネズミの様な兵器である。

 

 それに加えて歩兵の随伴による隙のない布陣が取られていた。しかしそこは第7小隊、ウェルキン・ギュンターの指揮の元、遺跡の瓦礫による足止め、歩兵と機銃座を排除、義妹のイサラ・ギュンターの観察眼の元、ゲルビムの構造上の欠点(ガバポイント)を見抜き、遂に行動不能と言うところまで追い込んでいた。

 

 

「よし!このまま畳み掛ける!」

 

「……兄さん!マリーナさん達から報告です、東から帝国軍の新手が来ています!」

 

 

 ウェルキンは言葉よりも早く東を向く。蜃気楼の向こう側で、微かに見えたのは、夥しい数の帝国軍部隊と、その前面に蒼いオーラを纏いこちらを凝視してくる帝国のヴァルキュリア、セルベリア・ブレスだった。

 

 その直後、エーデルワイスに蒼い閃光が近づいてくる。ウェルキンにはそれが敵の攻撃だと気付いた。気づいた頃には、その光は眼前にまで接近し、エーデルワイスを飲み込もうとしていた。

 

 

「隊長ぉ!!」

 

「ウェルキン!」

 

 

 その光景を見ることしかできない第七小隊の面々は悲鳴を上げる。

 

 当のウェルキンはすぐ様車内に入り、義妹を庇う様に被さる。ハッチから身を乗り出していたウェルキンなら、そのまま車外に脱出できただろう。

 

 しかし、ウェルキンにとって父親亡き今、唯一の肉親であるイサラを置いて行ける程、薄情ではなかったし、彼の性格がそれを許さなかった。

 

 

「イサラ!対ショック!」

 

「へ、あ!はい!」

 

 

 エーデルワイスの車内で、最後を覚悟する。

 耳を劈く凄まじい轟音と衝撃がエーデルワイスを襲う。まるで崖を転がり落ちているかの様な揺れと轟音。

 

 イサラは悲鳴を上げず、ただウェルキンの胸の内で堪える。ウェルキンは今、従軍してから初めて明確に死を感じた。

 

 ハッチから入ってくる蒼白い閃光によって視界も奪われ、ただこの災害が終わる事を祈ることしかできなかった。

 

 

「……生きてる」

 

 

 イサラの口からそう溢れた。

 ウェルキンはすぐに外の、特に自身の父親の形見でもあるエーデルワイスの状況を確かめるべく、すぐ様ハッチから身を乗り出す。

 

 最初にウェルキンの目に入ってきたのは、帝国軍でも、自分達を攻撃したセルベリアでも、第7小隊の面々ではなかった。

 

 

「すまない、少し遅れた様だ」

 

 

 旧世紀の帝国軍の軍服に身を包み、紅い瞳孔に夕日に輝く銀髪、それらを包む蒼い光と、蒼く輝く軍刀を片手にエーデルワイスの砲塔に仁王立ちを決め込む連邦のヴァルキュリア、ブリュンヒルデが立っていたのだ。

 

 

 





 
 ステイツ
「どさくさに紛れてワイの国民で何してくれとんじゃ(半ギレ)
 えぇ度胸しとるのぅ?この落とし前は高くつけてもらうけん覚悟せぇや」

 エディカス
「五月蝿いんじゃい!こうでもしなきゃ戦争に勝てないんじゃ!」(開き直り)

 フランス
「なんで国失ってるわたくしが丁重に扱われてカス(直球)の扱いが酷いんでしょう?普通逆ですわよね?」(それはそうとエディカスは批判する)
 
 ドイツ
「なんか知らんがヴァルキュリアの力がうんたらかんたらってのはよく分かった(分かってない)
 量産できたら強いやろなぁ」()

 アイルランド
「ここで極太の戦争特需を啜るぅ!!殺すぞー!(エディカスへのヘイト)
 あ、連邦はんうち補給の中間地点にどうすか?コーク港とかオススメっすよ!ステイツの兄貴のダチって聞いたから安くしときやすんで!」(さり気ないダイマ)

 カナダ
「メープル(支援物資)、メープルは要らんかねぇ?」(後方国家の鑑)

 イタリア
「(戦争に勝つ為とは言え年端も行かない少女の兵器化とか)いかんでしょ」(女性に対して紳士の国並感)

 スイス
「どっちもどっちも……どっちもどっちも!」(毒ガスのドイツ、非人道のエディカス)


 コロンビア
「あぁ^〜アルゼンチンくんいけませんねぇ〜こんなに地下資源を蓄えていちゃ!南米の発展のために諸外国に解放ダァ」(外貨は一切アルゼンチンには入らない)

 ブラジル
「あぁ^〜たまらねぇぜ!」(利用者その1)

 チリ
「あぁ〜(パタゴニアの油田が)うめぇなぁ^〜」(利用者その2)

 アルゼンチン
「悔しい、でも感じちゃうッ(ビクンビクン)」(コロンビアに国家運営されブラジルに鉱物資源を掻っ払われてチリに石油利権を握られた哀れな元先進国)


 日本
「お客様逃げてはダメです」(国境に軍隊を積み上げながら)

 帝国
ワァ〜(WAR)ワァ〜(WAR)‼︎」(急いでシベリア国境へ軍隊を展開させ始める)

 モンゴル
「お、開いてんじゃ〜ん!」

 チベット
「オイ何やってんだぁ!?オイ!」

 大韓帝国
「楽しそうだね~! オイ俺らも混ぜてくれや~!」

 タイ
「ねーお兄ちゃ~ん。混ぜてほしいんだけど~。ワーーーイ(無邪気)」



 シベリア
死んで♡」(純粋な殺意)

 帝国
「嫌です……」(大国の意地)

 シベリア
なんで?」(明確な殺意)
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