結局、解はゴリラ廻戦に収束する


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 殴りプリっていいよね


マイナスがプラスでプラスがマイナス

「今は機嫌がいい、頼むから興を削ぐなよ」

 

 五条悟と両面宿儺のタイマン。

 最強と最強の戦いは宿儺の勝利に終わった。

 

 五条悟の死を悼む暇もなく戦地に投入されたのは、

 

 “雷神”鹿紫雲一

 

 ()()()()────

 

「五条君ほどの派手さ無いけど、退屈はさせないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瞬きよりも速く宿儺の懐へと間合いを詰め拳を振るう。

 その速さに感嘆しながらも防御するが殴り飛ばされ、防御に使った腕の肘から先が失くなったことに驚く。

 呪力で強化し、防御のタイミングも完璧だった。にもかかわらず、殴られた腕が消し飛んだのだ。

 反転術式で腕を再生しながら今の一瞬について思考をめぐらす。

 

「(…くらった感触ではただの殴りだが、様子見だな)【解】」

 

 相手の術師の情報は無い。

 今の一撃が術式によるものか単純な呪力強化によるものかはまだ判断出来ない宿儺は相手の出方を見るために、五条悟に死を齎した世界を断つ斬撃ではなく、通常の斬撃を飛ばす。

 術式を使って防ぐか、回避するか。

 前者ならば術式の情報が、後者なら不可視の斬撃が見えているという情報が手に入る。

 どちらにせよ何らかの情報は手に入るが相手が選んだのはどちらでもなかった。

 

 正面から突っ込む

 

 斬撃を受けた胸元から血が噴き出るがすぐに止まる。

 呪力による防御でダメージを大幅に軽減し、傷を負った直後に一瞬で再生したのだ。

 そのまま振るわれる拳、先程の倍ほど呪力込めて強化した腕で防ごうとするがやはり消し飛び、そのままボディへと拳が突き刺さりダメージを負う。

 

 呪力を鎧のように身に纏い斬撃を軽減した。

 受けた傷は反転術式によって即座に治癒。

 呪力による強化で重い一撃を繰り出した。

 

 どれも単純な理屈で反転術式はともかく、できる者が殆どだ。

 だがそれぞれの質が違いすぎる。

 宿儺の斬撃は、たとえ【解】であろうと生半可な呪力じゃ防げず、反転術式による治癒は早すぎる。身体強化も宿儺のそれを凌駕する。

 

 ただの呪力センスだけではない。

 そんな宿儺の思考を中断する相手の言葉。

 

「俺の術式はかなり変でややこしくてね。術式の名前が反転術式なんだ」

「ほぅ(術式の開示…!)」

「呪力を術式に通すと本来は負のエネルギーの呪力が正のエネルギーとして出力される、だからその呪力を纏って呪霊殴ると消し飛ぶ。そして術式に反転術式を流し込む、つまり術式反転ではプラスの呪力がマイナスとして()()()()()()()()出力される。」

 

 マイナスがプラスでプラスがマイナス、ややこしいし地味でしょ?

 そう言って彼は笑う。

 

 ややこしく地味ではあるが、その効果は凄まじいものだ。

 最初から反転術式を使え、反転術式が使えるということは術式反転も使える。

 術式に通す呪力量を増やせば、増やした分だけ反転術式の出力も増える。

 呪力をかけ合わせる手間も倍の呪力消費もないそれは、圧倒的な取り回しの早さとコスパの良さを誇る。

 取り回しの早さは治療の早さに、コスパの良さは継戦能力に。

 成る程、たしかにこれは──

 

「ケヒッ、退屈せずに済みそうだ」

「それは良かった。ガンガン行くよ」

 

 宿儺は、続く戦闘によってダメージを受けた肉体を修復するために奥の手を、中断していた受肉による変身を再開する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真の姿を見せた宿儺。

 四本の腕は掌印を結びながらも拳を振るうことを可能とし、腹の口は心肺に負担をかけずに呪詩の詠唱を絶え間なく続けられる。

 これだけの異形の身体を持ちながら一切の身体機能を損なっていない、完全無欠の呪術師。

 まさに『呪いの王』

 

 その姿を目にした彼はしかし、臆する事なく攻めたてる。

 術式は実質、身体強化や治癒などにしか使えないが、それを抜きにしても攻めたてる事こそが最善手である。

 彼が右の拳を振るえば、宿儺は左の腕を2本で防ぐ。

 宿儺が右の2つの拳を振るえば、彼は左の腕で防ぐ。

 

 そう。

 彼の拳による一撃は、宿儺が2本の腕で漸く防ぐことのできる威力。

 身体能力の強化に使う呪力の出力が違いすぎるのだ。

 瞬発力も相応に強化されてる故、文字通り手数の違う宿儺と渡り合えている。

 

「これはどうだ?」

──龍鱗、反発、番の流星

──【解】

 

 僅かな間隙を縫って繰り出されるは、世界を断つ斬撃。

 相手を世界ごと両断する防御不可の一撃は避けなければ敗北は必至。

 

 即座に身を捩って辛うじて被害を腕一本に抑えるが、ただでさえ負けてる手数がさらに不利になる。

 

 普通ならば

 

 切り飛ばされる筈の腕は、斬撃が通り過ぎると同時に反転術式による治癒をかけて繋ぎ止め、斬撃が完全に通り抜けたそこにあるのは何事もなかったかのように傷一つ無い腕。

 斬られた袖だけが唯一、腕に斬撃を受けたことを示している。

 

「!ケヒッ、認めよう。お前の呪力操作は俺を遥かに凌ぐものだ!」

「呪いの王から褒められるとは光栄だ!」

 

 相手が倍の力ならこちらも倍の力で、倍の手数なら倍の速さで無理やり応じる。

 攻撃を食らっても、受けたそばから回復する。

 脳筋。ゴリ押し。

 なんとでも言え、この戦闘スタイルが1番合理的で性に合ってる。

 殴りプリだ。

 

 宿儺が動きを変える。

 左腕2本、右腕2本で組み合わせ動かしていたそれを、上側の左腕と右腕、下側の左腕と右腕の組み合わせで動かすようになり

 やがて上側の左腕と下側の右腕、下側の左腕と上側の右腕の組み合わせで動かし、ついにはランダムな組み合わせになる。

 その不規則さに対応が遅れ、その遅れた隙を狙って斬撃が放たれる。

 

──龍鱗、反発、番の流星

──【解】

 

 放たれる斬撃をその度に、腕や脚を犠牲にして避ける。

 頭と腹だけはなんとしても守る。

 呪力を練る腹は勿論、いくら術式によって取り回しとコスパが上がっていても頭をやられては反転術式は使えなくなる。

 このままではジリ貧だ。

 仕切り直す。

 踏み込みで地面を割って宿儺の体勢が僅かに崩れたところへ、踏み込んだ勢いを利用して体当たり。

 だが、宿儺は体当たりの勢いを利用して後ろへ大きくさがる。

 十分な距離を空けた宿儺は今までより多く呪力を込めて斬撃を放つ。

 

──龍鱗、反発、番の流星

「さぁ、これはどうする」

──【解】

 

 幾重にも放たれる斬撃の雨。

 避けられないほどの密度、防御は不可。

 だが、宿儺に呪力を込める時間があったということは、相手も同じだけの時間があったことを意味する。

 

 

 

 呪力が膨れ上がる。

 

 呪力を術式に通すと反転術式に

 反転術式を術式に通すと増幅された呪力に

 この増幅された呪力全てを術式に通して反転術式に

 反転術式をまた術式に通すとさらに増幅された呪力に

 

 これにより莫大な呪力を一瞬で生み出し、繰り返し続ける間は呪力は無尽蔵になる。

 こうして生まれた莫大な呪力から負のエネルギーと正のエネルギーを確保してかけ合わせ直径1cmほどの球体にして飛ばす。

 かけ合わされたエネルギーは反発し増大、状態が不安定になった球体に宿儺が放った斬撃が触れる。

 衝撃で球体のバランスが崩れて解き放たれた莫大なエネルギーによって、ほんの僅かな時間だけ世界が崩壊する。

 

──【極ノ番】

──【反発術式】

 

 世界を断つ斬撃がその世界ごと崩れる。

 僅か1秒にも満たない時間だが世界が崩壊した影響は凄まじく、球体があった場所を中心に半径5mほどのクレーターが出来上がっている。

 瞬間火力は五条悟の無下限呪術の虚式:紫を凌ぐほどだが、その代償は大きい。

 

「大した技だが、いつまで持つ」

「わかるんだ。流石だね」

 

 極ノ番“反発術式”は発動すると膨大な呪力を生み出すが多大なデメリットが存在する。

 1つ、発生する膨大の呪力に術式が耐えられなくなる。

 2つ、術式が焼き切れるまで“反発術式”は止まらない。

 3つ、焼き切れたら少なくとも5年は回復しない。

 

 術式が焼き切れるまでのタイムリミットは約111秒。

 

「それまでにお前を殺す」

「やってみせろ、凡夫」

 

 

 




ちなみに鹿紫雲はジャンケンと模擬戦で負けたので3番手になった

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