遊戯王 ビルドモンスターズ   作:最近の虫野郎

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11ターン目 「遊戯王バカの後始末」

「「すいませんでした……ゴリ(ラ)先(輩)」」

「オイお前ら、一体誰がゴリせ――」

 

 べぎぃっ! ばきぃっ!

 

「改めて申し訳ありません、ゴンダ先輩。今黙らせましたので」

「いやミヤノ君そのえっとその辺にしてやってくれ、その……二人も顔が床にめり込むくらい反省しているようだし……な? な? 私は、その、大丈夫だから……」

 

 顔と後頭部が割れるように痛い。ついでに、さっきまで滾々とお説教を喰らっていたので心も痛い。要するにグロッキー。ライフポイントはとっくに100。鉄壁越えてデッドラインな気がする。辛い。

 

 ……いやまぁ、当然ではあるのだ。

 二階から飛び降りて、周りを置き去りにしてガンプラバトル開始。お騒がせしまして申し訳ない、と言うレベルをとっくに超えている。んで、ゴンダ先輩の青筋も限界を迎えていた所で、いやーいい勝負したなーとか呑気してた俺達は委員長にボッコボコにされて、皆様への謝罪行脚へと連れ出された。ゴンダ先輩は委員長の勢いに青筋引いてた。

 

 んで、今は改めてゴンダ先輩以下、バトルの関係者諸君の前で正座――からの、背後からケリ二発を貰って今は体育館の床にキス……というかめり込んでるの俺ら。

 まぁ兎も角、反省いたしております。痛い位に。ちょっとやんちゃし過ぎました。

 

「彼の言う通りだ、ミヤノくん。それくらいで」

「――ユウキ先輩」

「久しぶりに、君の惚れ惚れするようなアーム捌きを見れたのだから、私個人としては彼らに感謝したいくらいだからね」

 

 とはいえ痛いもんは痛いので助けの手はありがたく……土下座みたく顔面叩きつけられてた状態から、何とか頭を起こすと。苦笑いを浮かべているユウキ先輩の姿が見えた。

 その右奥にはイオリ先生とレイジが控えているのが見える。あ、レイジの奴、『お前らも負けてるじゃんか』みたいな面しやがって。後で覚えとけよこんガキャア……!

 

「それで、イセタ・マリク君にリュウザキ君……であってるかな。君たちが、ミヤノくんの言っていた『問題児』二人組、だね」

「あん?」

 

 ……それは兎も角。

 どうやらこの先輩。俺と面と向かって顔を合わせるのは今回が初、なのだが。向こうは此方の事を御存じらしい。しかも委員長伝手に、と来た。

 別に仲が悪いって訳じゃないが、そんな先輩にも紹介する程の莫逆の友具合だっただろうか俺ら。多分違うと思うけど。

 

「誰が問題児や」

「いや、ミヤノくんが何時も模型部で『バカ二人にいつも振り回されて大変です』と、本当に楽しそうに君たちの事を話すものだから――」

「ユウキ先輩」

 

 うぉっ、委員長目ぇこわっ! ユウキ先輩若干ドン引きしてるぞどうした、なんでそんな目で睨んでる。というか尊敬する先輩をそんな……いや睨んでねぇなただの真顔だ。ただの真顔でなんでそんな怖いんだよ!!! 可笑しいだろ! なんだその迫力! 一歩近寄るな圧をかけるな!

 

「取り敢えず、このバカ共は私の方で引き取ります。私の家で聞きたい事も色々ありますし反省させなきゃいけない事もあるので」

「「えっ」」

「おや――ふふ、そうか。成程。であればこれ以上私から何か言うのも、野暮かな。ではこれで……最後に。実に、良いガンプラだった。君たちとも、改めて競いたい所だな」

 

 ……あー、ユウキ先輩が行ってしまうなぁ。というか、あのユウキ・タツヤから褒められたのか。まぁ、悪い気分じゃねぇなぁ……じゃなくて!

 

 えっ。まって、この後、この状態の委員長に俺らは引き取られるの。まって。明日の朝刊に哀れな犠牲者として写真載らない? あれじゃん。幼馴染との痴情のもつれか、とか言われるヤツじゃん。

 い、いやこれは冷静に考えて命を守るためと言うか、反省会的な事を考えてイオリ先生の所で反省会をしないと……いや、それが敵わなくてもせめて第三者が見ている所じゃないと消される!!

 

「い、いや委員長! 今回のガンプラバトルにはあーの、いろんな方のね! ご協力がありまして! はい! そう言った方にも色々とね!! お礼とかを言わないといけませんしだからその、お呼びになるなら、そちらの方も一緒に――」

「せっ、せやせや! やっぱこういうもんの反省会っちゅうんは人呼んでパーっとやった方がええやろ!!」

 

 流石我が相棒リュウザキ。一発で俺の意図を見抜いたか。話を合わせるタイミングも完璧だ。いや、というか委員長の謎の迫力はどれだけ鈍くても分かるか。

 という事で、色々と言葉を尽くし、委員長に納得して頂こうとした所で……委員長は一つ溜息を吐いて。親指でユウキ先輩の立ち去った方向を指し示して……えっ?

 

「イオリ君でしょう」

「へっ? あっ、はい」

 

 あ、やべ、あっさり答えちゃった。

 いやそうじゃなくて!

 

「い、言ってないぞ俺! リュウザキなんか言ったか!?」

「いいやなんも言っとらんで!?」

「聞いてないわよ別に誰からも」

 

 そ、そうですよね。俺達がこのガンプラ業界に参入したのってホントごく最近だし。特に委員長にはこう、なんか、サプライズ的な意味で隠してたし。知ってるわけないんだよな俺達がイオリ先生に師事してるの。

 

「アンタみたいな素人がここまでビルダーとしてレベル上げるなんて、それこそ優秀なビルダーに師事するしかないでしょう」

「あ、はい、まぁ……そう、ではあるとは思いますけれども……」

「アンタ達が知り合えるとして、聖鳳学園の関係者な可能性が一番高い……ユウキ先輩はアンタ達と知り合った様子も無し。後は消去法でイオリ君しかいない」

「左様で……」

 

 あー流石委員長ですこと。実に論理的かつ、キッチリした筋立てした結論ですなぁ。話が早くて助かるぜ本当に。

 

「うん、だから、アレだ。イオリ先生をね? 一緒にお招きして、今回の一件の、その、もろもろをだね……」

「そしてあんたが誘いたいのがイオリ君であるならば……止めておきなさい。今の彼を誘うのは。これから忙しくなるんだから」

 

 が。その話の早さは俺達に利するものだったのかと言えば……ちらりと、委員長に指差されたイオリ先生を見る。

 バトルシステムの向こう、何処か暗い顔をしているイオリ先生は……どうやら、ユウキ先輩と話しているようだった。

 

 なんだろう。ビルドストライクガンダムが未完成だとか話してらっしゃるけど……えっあれ未完成!? 冗談だろ、現状だって俺のウォドム・リボルヴより完成度高いのにアレで未完成とか何のジョーク?

 

 あぁ、そちらを選手権までに完成させて改めて戦いたい、と。はー、何というか理想的な先達者兼ライバルムーブというか……ああいや待ってこれマズくない? 本当にこれから忙しくなりそうだよ。誘う暇とか無さそうだよ?

 

「だからアンタは私が引き取るって言ってるの」

「いいいいいいいやまって委員長!! あのっ! お世話になった方、他にもあの、ちゃんといるから!」

 

 こうなればレイジを――ダメだ多分イオリ先生とおんなじ理由で却下喰らう! あの二人チームっぽいし! 何だったら今にも二人して帰りそうだし! もう遅い! 待て、後誰か、巻き込めそうな人は……人は……っ!?

 

「――マリク君! リュウザキ君!」

「はっ!?」

「見ていたよ! 素晴らしいガンプラバトルだった! 特訓に付き合った者として、実に誇らしく思う!」

 

 声をかけられた方向に視線を向ける。一緒にいた眼鏡の女の子と離れ、此方に歩いてくる人の良さそうな、恰幅の良い、と言うかガッチリとした壮年の男性――見覚えがない訳がない。レイジと知り合った時に、あのおじさまとも知り合っていたのだ。

 

「ら、ラルはん! 来とったんですか!」

「うむ。ガンプラバトルの気配がしたもので、つい、な」

 

 ラルさん――通称は『ラル大尉』、らしい。一言で表すと……謎のガンプラおじさんと言えば良いのか。

 レイジが、あの店で初めてガンプラバトルを行った時、イオリ模型店にやって来ていて。そしてその縁で知り合って……俺達の目標を聞いた時も、『若気の無茶、大いに結構! 若人の成長、手を貸そう!』と快く力を貸してくれた人だ。

 

 ガンプラへの造詣は、多分イオリ先生に勝るとも劣らない程だと思う。その豊富な知識を活かして、色々と俺達のガンプラ制作、そしてファイターとしてのテクニックとか、アドバイスをくれた。

 

「しかし、君の機体、ウォドム・リボルヴは見事な出来だったな! 力強い見た目に反しての超遠距離仕様とは、中々に渋いカスタマイズをじゃないか!」

「いやぁそんな……」

 

 ――はっ、待てよ。

 

 この人も、俺達のガンプラ制作には関わってた人だ。ラルさんと言う大人がいれば、流石に委員長も下手な事は出来ない筈。であれば……!

 

「あのミヤノくんにここまで食らいつけるとは、実に目覚ましい成長だ!」

「えっ……『あの』?」

「しかしミヤノくんのファイターとしての腕、久しぶりに見せてもらったが全く衰えていないな! いや、大会優勝した時よりさらに磨き上げられている様にすら見える!」

「恐縮です。ラル大尉」

 

 えっ……すっげぇ礼儀正しくお辞儀するじゃん、委員長。さっきの迫力は何処。

というかお知り合いなの? お二人って。意外な繋がり……いや、委員長が地方の大会優勝してる事とか考えると、熱烈なガンプラおじさんのラル大尉がチェックしていても不思議でも何でもない、のか。

 

「影鬼に関しても、更なるディティールアップを施していたと見える。見違えたよ」

「いえ。あの後、ラル大尉のグフと手合わせして、自分の未熟さを思い知りましたから。自分なりに精進していただけです」

「そうかそうか――そう言えば、マリク君と、リュウザキ君は……」

 

 ……いや、今はそれは良い! 否、知り合いなら寧ろさらにデカい! 委員長も、尊敬しているであろうラルさんが一緒に来るとなれば、絶対に大人しくしている筈だ! ここでチャンスを逃す手はない――!

 

「――なるほどな! コレは、私がいてはお邪魔になるか! では早めに失敬するとしようか! 頑張りたまえよ、ミヤノくん!」

「……えっ」

 

 あの、ラルさん? ちょっと待ってください。俺、まだ何も抵抗してないのに、いきなり希望を断たないで……い、行かないでください。まだ俺、何にも成していないんです。ラーの翼神竜が環境デッキになるまで、俺は死ねないんですよ! 待って委員長、しずしずと頭下げてお見送りしないで。引き留めて。お願いします……!

 

「あ~……リュウザキ君は、私の方で引き取っても」

「「えっ!?」」

「いえ。今日は……大丈夫です。久しぶりに友達と、話がしたいだけなので」

「ほう! 作戦決行はまた何れ、と言う事か。であればうむ。ゆっくり話すといい!」

 

 えっ、あのー……ラルさーん……あぁ~……

 

「「……」」

「行くわよ馬鹿共。話したい事も……いっぱいあるし」

「「……ウス」」

 

 どうやら我ら、天運と人の運にも見放されたらしい。アルデク降臨時の時のようなお通夜みたいな空気だが……うん。アレだ。もしかしたら、手元に最強の除去カードであるガダーラ君が来ることもあるかもしれない。それを祈ろう。

 低い可能性ではあるけれども……

 




ガンダムビルドファイターズと言えばラル大尉。という事でこのタイミングで顔見せしました。
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