オーバーロード 竜の降臨   作:読み物好き

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前回のあらすじ

ももんが :不死者創造不死者創造不死者創造……
デミえもん:ま↑だ↑ま↑だ↑ございます↑↑↑



思惑

 

「久方ぶりじゃな」

 

老婆が口を開く。

 

「何じゃ。呼び出しておいて挨拶も無しか?挨拶すら忘れてしまったか?」

「…遠路すまないね、リグリット」

 

老婆をリグリットと呼ぶ巨大なドラゴンは重く口を開く。

 

「どうしたツアー。お前らしくもない」

「少し、問題があってね。王国の事件は知っているかい?」

「ああ、聞いておる。100年の揺り返し…そういう事じゃろ?」

 

「今回は世界に味方する者ではなかったようじゃな」

 

その言葉を受け、巨大なドラゴン──ツアーは目を閉じる。

100年の揺り返し…恐らくプレイヤーが出現した。

それは間違いないだろう。

だがそれ以上に気になる事がある。

 

「…ああ。本質は悪…悪だと…思えるね」

「歯切れが悪いいいようじゃな」

「何とも不思議な感じがしてね」

 

何というか。一つに二つが混じっているというか。

陰と陽。そんな予感。ただ王国を見れば悪か。

 

「リグリット、君に頼みたい事があるんだ」

「何じゃね?」

 

リグリットを見つめ、少しの間をあける。

かつての仲間に頼むのは少しだけ気が引けて。

 

「…二つの情報を集めてほしい。

 一つはヤルダバオト…いや、ユグドラシルの情報を集めてほしい。

 そしてもう一つは…あの日、城下に居た者」

 

「前者は分かるが後者はなんじゃ?」

 

「…気のせいかもしれないが──あの日感じたんだ。」

 

「私と同じ…恐らくだが、私の様に何か仮の姿をした者が居たはずだ」

「あの鎧のような者がおったと?」

 

リグリットは純白の鎧に目をやる。

 

「恐らくね。王都にドラゴンが居たという話は聞いていない。

 リグリット、気を付けておくれ。今回は今までの揺り返しとは少し違う」

 

暫く何か考えていたリグリットだったが、一つ頷きツアーの元を後にする。

その姿を見送り、感じた気配を思い起こす。

 

──同族…なのかな…あれは。いや…違うね。本質が違う。

 

…まさかね。…アレはずっと…。

軽く頭を振り考えを追い出す。

 

まずは王都に居た何かと接触してみないとね。

まるで世界そのもの──そんな気配の持ち主と。

 

 

 

 

 

 

 

 

「面を上げよ」

 

集まった守護者達が敬愛の眼差しで主人を見る。

 

「先ずはセバス、ソリュシャン、前へ」

「はっ」

 

彼女達の情報収集、そして引き続き行っている帝国での情報収集の労を労う。

ソリュシャンへ褒美を──そこで彼女が求めた物、生きた無垢な人間。

それに嫌悪感を感じながら…却下し、他の望みを考えておくよう告げる。

 

「セバス。お前には聞きたい事が幾つかある」

「はっ…」

 

セバスの顔色は悪い。

デミウルゴスから粗方の報告は聞いたが…何でも人間の娘を助けたとか。

 

「…まずは命令に準じなかった事

 これは今回の褒美を無しとする事で罪をない物とする。引き続き励んでくれ」

 

「ははっ…慈愛深きお心に感謝いたします」

「それと…後ほど直接聞きたい事もある、後ほど直接私の部屋へ来い」

 

「次にルプスレギナ、前へ」

 

彼女にも労いの言葉をかけ、無事でよかったと声をかける。

感動と自責の念で涙を流す彼女をなだめ、皆にも伝える。

 

「皆も敵を侮るな。弱い敵であろうが数は脅威となりえる」

 

皆が深く頭を下げる。

さて、ここからだ。

 

「では──先の…リ・エスティーゼ王国の一件、そして今後のナザリックとしての方針の話だ。まずはデミウルゴス、現状を皆に説明せよ」

 

(これで今回の一件について知ったかぶりをする必要もなくなる。

 今後の方針か…第一にナザリックの存続。第二に…──仲間達に届くよう名を広める…

 これは仲間達がこの世界に…本当に居るという事が前提だが…居るんだろうか…

 …仲間達は──今の俺を見て、よくやったと──そう、言ってくれるのだろうか。)

 

デミウルゴスが口を開く。

 

「諸君、今回の一件で王国は混沌と混乱に陥っている。

 これに乗じ、必ず八本指がより大きな混乱を呼ぶことだろう。

 そして人間達が信じる神という信仰の先に一石を投じる事にも成功した」

 

「これによって、アインズ様の主なる目的の…世界征服への足掛かりが得られた!」

 

(は?)

 

「分からなかった愚か者はいないね?」

 

(えぇ…?)

 

守護者達を始め、多種多様のしもべ達が頭を下げる。

瞳から赤い光が消え、ピカーピカーと発光を繰り返す骸骨がそこには居た。

 

 

 

 

デミウルゴスが色々な説明をしていた気がするが…

余りの衝撃と過剰な情報に…頭に入ってこない。

 

「──以上だ。皆理解したね?」

 

(はい!わかりません!!)

心の奥底から心の中で叫び声を上げる。

 

「──故に、私は、ナザリック大墳墓という国を作り上げる事を提案致します!」

「皆に念のために伝えておくが…これはアインズ様が計画されていた事だよ」

 

(あええええぇぇぇぇ!?)

 

その後暫く発光していたが、無論アインズに国起こし等考えられるわけもなく。

デミウルゴスとアルベドが生き生きと説明していた事の半分程度も理解できずにいる。

 

アインズはそんな中考える。国…国か。

あの王国は酷い所だったもんな…魅力を全く感じなかった。

子供は痩せていて、富は一部に集中して…。

モモンとして見た王都を──鈴木悟の生きていた世界を思い出す。

 

誰も泣かなくて皆が笑顔な国…そんな夢の様な国なら、あってもいいかもしれない。

世界征服…アインズ・ウール・ゴウンの名を世界に響かせる。

皆が笑顔の素晴らしい国…アウンズ・ウール・ゴウン…か。

 

あの人々はその為の犠牲という事か?そんな事が許されるのか…?

そんな思いが口から出ていた。

 

「デミウルゴスよ…無駄に犠牲を出すような事はするな」

 

その言葉にハッとした顔をしたデミウルゴス。

アルベドと顔を見合わせ深く一礼し言葉を告げる。

 

「海よりも深い慈愛に満ちたそのお言葉。このデミウルゴス、王を殺すなと命を受けたその時より、そのお心深く承知しております。アインズ様の深遠なるお考えに至らなかった私をお許しください」

 

深々と頭を下げるデミウルゴスを見て少し安堵を覚える。

よかった。わかってくれてたのか。

暫くの間を空け、デミウルゴスが口を開く。

 

「──では次に、我らに対抗しうる可能性、脅威について話そう」

 

「アインズ様が警戒されていた黒碧。その能力についてだ」

 

(はい?)

 

アインズの光が止まる事は暫くの間なかった。

 

 

 

 

「シャルティアよ…念の為にお前の口からもう一度聞かせてもらう。今のデミウルゴスの報告に間違いないのだな?」

「はい」

 

デミウルゴスの報告を聞き、守護者やしもべ達は皆驚愕する。

無論アインズも聞いている間は顎が開ききっていた…気がする。

 

デミウルゴスとの戦闘情報。

そしてシャルティアの戦闘情報。

 

更にもう一つ。ニグレドによる調査が失敗に終わった事。

能力やレベル、現在地等が割り出せないという衝撃的な情報。

 

 

「シャルティアよ、嘘偽りなく述べよ。戦闘になった場合…倒せるのか?」

 

アインズとしては…当然の如く戦う気など毛頭ない。

しかしアインズから見た二人と、実際に戦ってしまった者の見立てを知っておく必要がある。

戦う気がないのと、情報を知らない事は全くの別問題だ。

 

シャルティアは思考する。

戦った感じ、戦闘用の装備(フル装備)であれば勝てるだろう。

変装用(未装備)でも負けはしなかった。

他の守護者が共に居れば間違いなく殺せる。

が、それは前半戦での話。

 

撤退命令が出る直前。あの時の感覚を思い出す。

死が迫ってくる。そんな──危険な感覚。

だがその力を見る事はなく撤退している。あれに…勝てたか?

しかし…その力は見ていない。

 

「一人でも恐らく殺せはしんす。二人以上の守護者が居ればほぼ間違いなく。

 ただ、まだ力を隠し持っている事は間違いありんせん。

 …それを考えると確実に殺せるとは言い切れないでありんす」

「何?シャルティアあんたビビったの?」

 

アウラから軽口が飛び、口を開き─閉じる。

あの時。不覚にも感じた感情。

 

「…シャルティア?あんたマジでビビったわけ…?」

 

その様子を見た守護者達も気を引き締める。同格の強者。

 

「皆に改めて伝える。彼女達には絶対に手を出すな」

 

深く頭を下げる守護者達を後に、アインズは計画書や報告書に目を通すから自室に戻ると告げる。

セバスへ後ほど来るように。と指示を出し自室へと歩みを進める。

自責の念と、彼女達の事を思い浮かべながら。

主人の姿が見えなっても暫くの間、深く頭を下げていた守護者達が立ち上がる。

 

「皆、アインズ様の慈悲深いご命令は聞いたね?」

「無駄に犠牲を出すな…ああ…アインズ様…下等生物にもそのように慈愛の御心をお持ちだなんて…はぁ…私にも──」

 

自分の世界にトリップしているアルベドを横目にデミウルゴスが口を開く。

 

「少し考えてみれば当然の事に気付けなかった自分に嫌になるよ」

「あ、あの計画は不味かったでありんすの?」

 

「違うよシャルティア。アインズ様は無駄な犠牲を出すな。そう仰っていただろう?」

「今回の計画ではナザリックは財宝、死体と多大な利益を得た」

 

皆が首を縦に振る。

 

「そして想定通り人間達の国家間に不信感を植え付ける事にも成功した。これで人間同士が結託する事は早々ないだろう。この件は今後も続けていくがね」

 

「本来であれば…王を失った王国はそのまま瓦解し、帝国あたりが戦争を仕掛け吸収する予定だった」

「帝国が吸収…それがアインズ様の世界征服と何か関係あるわけ?」

 

疑問を投げかけるアウラ達へ現実へ帰ってきたアルベドが告げる。

 

「貴女は沢山ペットを飼っているでしょう?

 一匹の面倒を見るのと複数匹の面倒を見るの、どちらが楽かしら?」

 

「より扱いやすい方を残すの。対立の種をばら撒き、ヤルダバオトを使ってそれを繰り返す。そして最後の一匹を支配する。恐怖で支配しても良いけれど…アインズ様はそれを望んでいないでしょうから。最終的にはヤルダバオトを打倒した英雄として…かしら?そうすれば一匹の面倒を見るだけで良いというわけよ」

 

なーるほど。と理解の色を示すアウラ達にデミウルゴスが続けるように口を開く。

 

「助かるよアルベド。だが今回、アインズ様は一度捕らえた人間を解放するよう指示を出された。王の殺害も止めるよう仰っていた」

 

「これは何故か。アインズ様はあえて先ほども仰った。無駄な犠牲を出すな…と。先の計画では人間同士の戦いでどうしても無駄な犠牲が多く出てしまうからね。それは望んでいないと我々に今一度そのお考えをお伝えくださったのだよ」

 

「考えてみれば、カルネ村をアインズ様ご自身で支配された時から決められていたのだろう。つまりその時から世界征服の実験をされていたのだね」

 

「つまり、最も犠牲の出ない方法。アインズ様は建国され、直接全ての国を支配されるおつもりなのだよ!」

 

おお…と皆が声を上げる。

 

「それはそうと、あの二人がまた邪魔してきたらどうするの?」

「あ、アインズ様はそ、その。手を出すなって…えっと」

 

闇妖精(ダークエルフ)の二人が疑問を口に出す。

 

「それは安心したまえよマーレ。アインズ様が仰っていたじゃないか」

「え?えと?あの?」

 

「アインズ様は彼女達を不要と判断されたようだね。或いは邪魔だと思われたのか」

「え?そうなんでありんすか?」

 

シャルティアは頭にクエスチョンマークを浮かべている。

指を立てデミウルゴスが説明を続ける。

 

「アインズ様はシャルティアに倒せるか?と問われただろう?そして手を出すなと改めて仰られた」

「まず「手を出すな」これは、こちらから仕掛けるな。という意味に相違ないだろう。

 もし、彼女達の同格存在が存在した場合、我々から仕掛け殺すのと、彼女達から仕掛けてやむなく反撃し殺すのでは意味が違ってくるんだよ」

 

「あ、あの?な、何が違うんですか?」

 

「例えばだがね、マーレ。獣に襲われたとしよう。自衛の為に殺すのは仕方のない事だ。

 もし、彼女達の同格クラスの仲間が多数居た際にはこの事実を利用する。アインズ様はそうお考えなのだろう。我々はむしろ被害者だとね。戦うにせよ交渉にせよ、こういった事実というのは大変役に立つ」

 

「え、えっと。な、何となく…わかりました!」

「でもさ、前はあの二人を手下にするつもりだろうって言ってなかった?」

 

アウラが疑問を投げる。

隣ではコキュートスがカチカチと顎を鳴らし疑問を表現している。

 

「その通りだよアウラ。しかしアインズ様は倒せるのかと問われた。

 今までは少しでも時間があれば、モモンとして彼女達を操っておられただろう?しかしアインズ様は先ほど自ら報告書や計画書をご覧になられたいと自室へ戻られた。」

 

「そして今回の計画での妨害。恐らく彼女達に失望されたのだろうね」

「えぇ、所詮人間如き下等生物では仕方もないけれど。

 今回わざわざモモンとして自ら動かれ多大な名声を得られた…アインズ様なら当然だけど。

 つまり、モモンがあれば十分という事よ。余計な駒は不要だと判断されたのね」

 

「その通りだねアルベド。倒せるのか。その問いは、お前達で処理できるか?と問われているのだよ。アインズ様は慈愛に満ちた御方。我々に難しいようであれば、恐らく自らの手で刈り取るというお心での問いだったのだろう」

 

「アインズ様のお手を煩わせるなんて事出来るわけがないわ!」

「そうでありんす!あのデカ女は絶対にぶっ殺すでありんす!」

「あ、あ、あの!ぼ、僕もが、がんばります!」

「だが侮ってはいけないよ。まずはより情報を集める事だ。

 彼女達は同格…と考えねば。であればより情報は必要だろう。

 可能であれば戦闘情報が望ましいね」

 

そんなやり取りを見ているアウラは自分の中に何か小さな違和感を感じていた。

腕を頭の後ろに回して隣の同僚に口を開く。

 

「コキュートス、あのさー」

「ナンダ?」

「アインズ様が…あー…いやごめん。何でもない」

 

アウラには何か引っかかっていた。

アインズ様が仰りたかったのは、もしかしたらちょっと違うんじゃない?

そう出かかった言葉を引っ込める。特に根拠等なかったから。

 

トブの大森林で見た、モモンと名乗る敬愛すべき主の姿。

何だか楽しそうで──少しだけ、幸せそうに見えた気がした。

 

それに比べると先ほど見た背が。ほんの少しだけ、悲しそうに見えた気がしたから。

 

 

 

 

 

 

書類の山に目を通している、骸骨が一人。

アルベドとデミウルゴスに丸投げしていた結果、多くの人を犠牲にしてしまった。

たまに上がってきた重要な物であっても、あの二人だから大丈夫だろうと。

その自責の念から逃げるように書類に目を通している。

 

「何…?実験体の確保…?却下だ」

 

…はぁ…溜息を吐き出す。

内容だが…簡単に言ってしまえば

 

『アインズ様であれば利点は十分にご理解頂けていると思います。許可ください』だ。

 

こんな計画書があるか!と心の中で拳を振り上げ…しょんぼりと下す。

俺のせいだしな…俺が絶対者のフリなんかしなければ…。

 

「布石作戦」

 

何だコレは…。

書いてある事を読んでもよくわからん…

何だか嫌な予感がするから却下。

 

「こっちは…ドラゴン回収計画」

 

ふーん、ドラゴンか。ドラゴンの素材は捨てる所がないし、回収できるならいいんじゃないか。

ただ高レベルのドラゴンは簡単には倒せない。保留だな。

 

 

「…第二ゲヘナ計画…こっちは黒棺計画…」

 

 

…目を通しておいて…本当に良かった。

黒棺ってなんだよ!どう考えてもいい計画ではないだろ!

却下だ。

 

「…現地鉱石をナザリックで加工による販売」

 

わかりやすい!全部こうしてくれよ…。

ただ、加工の際に技術とかが流出しないかが不安だ。

内容は…これならいいか。大丈夫だよな?多分。

疲弊した心がほんの少し軽くなる。

 

「…蜥蜴人(リザードマン)回収計画。こっちは…暁の夜計画?」

 

蜥蜴人(リザードマン)か。この世界では見た事ないな。まぁ、いいんじゃないか。

こっちの暁の夜ってなんだよ…内容もよくわからない…全部に却下を出すわけにもいかないし…

でも嫌な予感がするし…きゃ、却下…。で、いいのか?

 

深くため息を吐き考える。

人間の死体を死の騎士(デス・ナイト)にするのは正直、かなり嫌だった。

最初は何の感情も沸かなかったのにな。

淡々と書類に判子や却下を降しながら考える。人間か…。

はぁ…ポンポンポンと判子を押しつつ自分の身の振り方を考える。

 

NPC達は人間の事を嫌っているが…俺はどうしたらいいんだろう。

仲間達の事を思い出せば思い出すほど、NPC達への愛着や彼らの面影を感じる。

だからこそ、彼らの望む自分を演じてやりたいという気持ちが強くなる。

 

だがこの世界で出来た繋がりと友人の事を思うと心が痛い。

仲間達を思い出させてくれて、俺なんかと友達になってくれて…。

 

悪い事はしない。約束…か。守れなかったな…。

 

ああ、いかん。またろくに見ないで判子を押していた。

これのせいであんな悲劇が起こったんだ。俺がしっかりしなくては──

 

「アインズ様、セバス様が参られています」

「ん?ああ。通してくれ。セバスが入ったら全員下がれ」

 

セバスを通してメイド達が部屋から出て行く。

青白い顔をしたセバスに少し苦笑しながら声をかける。

 

「さてセバスよ。何故呼ばれたかは分かっているな?」

「はっ。私の勝手な判断によりご命令を遂行できず、アインズ様を失望させた事、心よりお詫びいたします」

 

跪いたセバスからは滝のように汗が流れ出ている。

 

「よい。それより聞かせてくれ。何故だ?何故娘を助けた?」

 

セバスから言葉は帰ってこない。

 

「…セバスよ、私はお前を罰したいわけではないのだ。

 お前達の考えを知りたい。だからこそ聞いているのだ。

 私はお前達の…仲間達が残した子供達の考えを知りたいのだ」

 

暫くの沈黙の後にセバスが口を開く。

 

 

──困っている人を助けるのは、当然でございますから。

 

「…私は…たっち・みー様に創造されました…

 この気持ちは…ある意味では…呪いの様なものなのでしょうか…」

 

自傷気味に顔を落とすセバスは…普段より、少しだけ小さく見えた。

 

 

「そうか…そうだな。困ってるから…助けてあげる…か」

 

 

「セバス、お前は正しい」

 

 

驚きの表情を浮かべ困惑するセバスに伝える。

自分自身にも言い聞かせるように。

 

「たっちさんも、必ずそうするだろう。確かに私は目立たず諜報活動を行えと命じた。だが、それは…目の前で救える者を救わず、意思を持たず、盲目的に従えという話ではない。たっちさんがそう望むのなら。そう望んだろうと思うのなら──そう在ろうとするお前は正しい。私は──そう思うよ。セバス」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれで良かったのかや?」

「ルールは守ってるから」

「まぁ…そうか?災害みたいなものであったか」

 

馬車に揺られながら空を眺める二人の竜は言葉を交わす。

青く、何処までも続くような空を見上げ。

 

蒼の薔薇やガゼフ達がヤルダバオト撃退後に彼女達を探し回っていたが、彼女達は面倒事に巻き込まれる前に王都を去っていた。

竜王国を目指していたが…今はとある馬車に乗っている。

 

エ・ランテルに立ち寄った際、バハルス帝国の使者と名乗るその者が彼女達にこう告げた。

 

『竜や神の伝承をお探しだとか?可能な限り提供致します。

 一度帝都にお越し願いたい。詳しくはこちらの書状にて』

 

『読めぬ』

 

その一言で使者が固まっていたのは少し面白かった。

少し迷うが、使者の熱量で首を縦に振ったのだった。

 

「そういえばディーエ、落ちてきたモモ、少し変だった」

「あ奴は元々変であろうや?」

「そうじゃなくて。あの悪魔と話ししてるモモ、何だか──」

 

馬車は駆ける。バハルス帝国へ向けて。

小さな灯が灯った地、リ・エスティーゼ王国を後にして。

 

 




デミえもん :アインズ様↑流石↑素晴らしい↑↑ご慧眼↑↑
まーれ   :素晴らしー!
あうら   :ほんとに?
こきゅーとす:ホントニ
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