オーバーロード 竜の降臨   作:読み物好き

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前回のあらすじ

せばす  :すまぬデミウルゴス
デミえもん:ファッ!?↑↓



記憶

 

「はいはーい!ガンガン運んじゃってー!」

 

小気味良い指示で死の騎士(デス・ナイト)が大量の蜥蜴人(リザードマン)の死体を転移門(ゲート)へ運び込んでいる。

 

「あれ、コキュートス、そいつら凍らせてどうすんの?運ばないの?」

「良イ目ヲシテイタ。戦士ノ死ヲ辱メルハ戦士ノ恥」

「ふーん、よくわかんないや」

 

コキュートスの足元に転がる氷で出来たような剣を見下ろしながらアウラが告げる。

 

「アウラコソ、多頭水蛇(ヒュドラ)ハ殺サヌノカ」

「だって可愛いじゃん!今回のは蜥蜴人(リザードマン)の回収だし」

 

「ソウナノカ?ワカラヌナ」

 

意識を失った多頭水蛇《ヒュドラ》と凍り付いた胸に印のある蜥蜴人(リザードマン)を横目に話をしている。

 

「その剣?氷?どうするの?」

「…低レベルノ武器ダガ、戦利品ニハ変ワリナイ。貰ッテオコウ」

 

「えぇ…そんなのいる?」

「戦士トシテ必要ダ」

 

やっぱわかんないなーと会話をしている所に空からメイドが飛んでくる。

 

「アウラ様ー!順調に進んでるっす!次は私が行ってきてもいいっすか?」

「あのさー、あなたさー。懲りてないわけ?」

 

「うっ!それを蒸し返すのはやめてほしいっす…」

 

涙目になりしょんぼりしているメイドに溜息を吐き出す。

 

「ルプスレギナ、敵ヲ侮ルナ」

「うう…コキュートス様まで…」

 

「それでさ、何か良さそうなのはいた?」

「何か白い個体が居たっすね。勘がいいのか気付かれそうだったんで殺したっす」

 

「あー…そう」

 

レア個体かな?回収した方がよかったんじゃない?と口に出そうだったが引っ込める。

流石に追撃はちょっと可哀そうだ。

 

「ところで殺して気付かれないわけ?」

「あー…一人で小屋に籠ってたし大丈夫じゃないっすかね?」

「小屋に入り込んで何してんのよ…」

 

「もし気付かれて逃げられたらどうすんのよ」

「大丈夫っすよ。今までも既に数匹逃げてるっす」

「はぁ!?」

 

驚きと怒りの表情のアウラに対し、

ちちちと指を動かしルプスレギナが告げる。

 

「あえて逃がしてるっすよ。そしたら他の巣の所に伝えに行くっす」

「そしたら逃げちゃうじゃん!」

 

「違うっすよ。何でか知らないけど、あいつら情報が入ると外に居る奴らを呼び集めるっす」

「そうなの?」

 

「そうすると何故か逃げずに戦おうとするんすよねー。だから少し逃がした方が楽なんすよ」

「はぁ…?そうなの?」

 

「そうっす」

 

「彼等ハ戦士ノ一族ダ。敵ガ来テモ早々逃ゲ出シハシナイ」

「うーん…わっかんないなー」

 

「トコロデ…ルプスレギナヨ、後何カ所ダ?」

「ルプーでいいっすよ!そうっすね、全部で5つだったと思うんで…白いのが居た所含め2つっすかね?」

 

指を折りながら数えるルプスレギナにアウラが答える。

 

「じゃあ先に白いのが居た所からにしよっか。

 最後のとこにも少し送っといてよ。思ったより回収に時間かかるし」

「了解っすよ!」

 

ルプスレギナが手を叩くと死の騎士(デス・ナイト)の群れが一斉に行動を開始する。

コキュートスと巨大な狼の背に乗るアウラもそれに続く。

 

「油断ハ許サレナイ。アインズ様ヘ完璧ナ勝利ヲ捧ゲナクテハ」

 

それを聞き再びしょんぼりとしているルプスレギナ。

やれやれとアウラが声をかける。

 

「ルプー…ところでさ、最後の所って何か面白そうなのっていた?」

「あ!そう呼んでくれると嬉しいっすね!そうっすねー」

 

うーんと頭に指を立て考え。ピーンと指を立てる。

 

「あー…何か腕がでっかい個体と人間が居たっすね」

 

 

 

 

 

 

 

 

湖の畔で仕掛けを見て回る女性──ツアレと蜥蜴人(リザードマン)の子供が数匹居た。

 

「今日は何にもかかってないねー」

 

子供達が口々に言う。

 

「うーん…そうですね。ちょっと残念です」

 

ツアレは蜥蜴人(リザードマン)達と共に過ごすうちに元気を取り戻していた。

彼等は魚が主食である。故にまず覚えたのは魚とりだった。

だが人間であるツアレに機敏に動く大きな魚を取る事は難しい。

 

彼女は考え、幼い頃の思い出を元に筒のような物を作った。

丈夫な蔓を少しずつ編んで筒の様な形にしていく。

そして入った魚が逃げられないように返しを作っていく。

 

中々上手くいかなかったが、結果的に小魚が取れるようになり、今では子供達に教えている。

本来生産性のない子供が、小さいとは言えど獲物を取れるようになる。

これは彼等にとって非常に大きな進歩で会った。

 

そして施行したもう一つの事。

仕掛けにかかった小さい魚を囲いに放ち、育てる事。

まだまだ試行錯誤中だが、これも概ね成功している。

 

今では二人が連れてきた事もあり、竜の叡智等と呼ぶ者も居る。

本人的には全力で否定しているが。

 

たまに遊びに来るワムデュスとも良い関係を築き、幸せに暮らしている。

 

──パシャリ

 

──水音が聞こえる。

ツアレは子供達を背後に隠し、木の棒を手に取る。

今では立派に群れの一員となっていた彼女にとっては守るべき子供達である。

 

「何かいます。皆、そっと村まで戻って」

 

それを受けそろそろと離れていく子供達。

彼女もゆっくりと後退し…音の正体を確認するや、それに向かい駆けだす。

子供達もそれに続き駆ける。

 

「ど、どうしたんですか!?」

 

片腕が無く、傷が深い蜥蜴人(リザードマン)がよろよろと歩いていたのだ。

 

「俺…達の…部族……」

「どうしたんですか!?目を!目を空けてください!」

 

鋭き尻尾(レザー・テール)は…」

 

そう言い残し、彼の瞳から光が失われていく。

彼女達は集落へ向け駆ける。

一刻も早く異常事態を伝えるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございました!モモンさん!」

「いえ、他に依頼が無ければ少し暇を貰いたいのですが」

 

「えー、た、確か組合長が後ほど依頼があるとか!

 戻られましたら呼びに行かせて頂きます」

 

身振り手振りで今は組合長居ませんよとアピールしている受付嬢。

ここ最近はこんなやり取りばかりだ。

 

「そうですか…。では宿に居ますので」

 

「ああ、そうだ。ワ…黒碧は戻っていませんか?」

「長らく見ておりません…私もお会いしたいのですが」

 

アインズは冒険者モモンとしてエ・ランテルに居た。

彼女達が帝都へ向かった事は知っている。

一度アインズとして帝都まで向かったが、エ・ランテルに居るはずのモモンが突如帝都に居るのは不味い。そう思いモモンとして帝都へ赴こうとしていたのだが…。

 

冒険者モモンとして帝都へ向かう事は中々難しい。

組合長アインザックが良しとしないのだ。

 

実際には冒険者には自由があるのだが、何かと依頼等で足を止めてくる。

組合としてはオリハルコンに続きアダマンタイト級。

それも王都を半壊させたような悪魔を撃退するほどの者を、王国外に出すのは難しかった。

 

「…一度…話がしたいだけなんだがな…」

 

誰に言うでもなく空に言葉を発する。

 

誰かと相談したい。守護者達…はダメだ。

話がしたい。聞いてほしい。

助言が欲しい。

誰か…誰かと…。

 

 

 

力なく宿に戻り、ナーベラルに何かあれば報告するよう告げナザリックの玉座へと戻る。

そして付近のメイドに指示を出す。

 

「…パンドラズ・アクターを呼べ」

 

一度会って、色々とキツかったので遠ざけていた。

守護者達に相談するのは難しい。失望されるのが怖い。

失望されるだけならまだいい。もし見限られでもしたら。

あの忠誠心からそれだけはないと信じたいが。

 

「アインズ様!お呼びと聞き参上致しました!私に何の御用でしょうか!?」

 

軍帽を軽く動かし、仰々しく敬礼をする卵のような頭の生き物。

そんなパンドラズ・アクターに向かい思う。やっぱキッツイ。

相談相手にコレを選ぶのは…正直きついが…自分で作った者であれば…

或いは自分の考えを理解してくれるんじゃないかとの希望を持って。

 

「あ…あー…うむ。ご苦労」

「何を仰いますでしょうか!?アインズ様がお呼びとあらば、このパンドラズ・アクター。例えどこであろうと駆け付ける次第でございます!」

 

「う…うむ。ところでパンドラズ・アクターよ。

 お前は…私が作り上げた。その頭脳は設定上…ゴホン。

 …その頭脳はデミウルゴスやアルベドにも引けを取らん…はずだよな?」

Natürlich(勿論でございます)!」

 

うわぁぁぁぁぁぁぁ…キッツイわ…メイド達も引いてないか?

だが…今は仕方がない。

周りの者を下がらせてパンドラズ・アクターに言葉をかける。

 

「パンドラよ、お前は私が作った。そうだな?」

「勿論です!私はアインズ様に御創り頂いたこの身を──」

 

「あ、そういうのはいい」

「はぁ…」

 

「お前は私の…私が口外するなと言えば秘密は守れるのか?」

Wenn mein Gott es so will(私が神がそう望んでいるのであれば)

 

ああぁぁぁぁ…やっぱ俺の選択間違ってるんじゃないのか…?

相談相手にこんなのを選ぶって…。

抑制されながらそう考えていると頭に声が流れる。

 

<<アインズ様。お時間宜しいでしょうか?>>

<エントマか?>

<<はい>>

<構わん。何だ?>

<<セバス様より緊急のご連絡が>>

<セバスから?何だ?>

<<直接お話されたいとの事です。詳細は伺っておりません。最優先で伝えてほしいと>>

<…?分かった。直ぐに会おう。ナザリックで待つと伝えろ>

<<はい。承知致しました。>>

 

「パンドラよ…急ぎの用が出来た。呼びつけて悪いがまた今度としよう」

「はぁ…承知致しました」

 

 

 

 

 

 

 

「あれが白い個体かぁ」

 

死の騎士(デス・ナイト)に運ばれていく真っ白な蜥蜴人(リザードマン)を眺めながら呟く。

 

「やっぱり生きたまま回収が良かったんじゃない?思ってたより真っ白だし」

 

「え”…そ、そうっす…か…?」

「そうっすね」

 

真っ青な顔をして呆然としているルプスレギナを横目に巨大な狼から降りる。

 

「ところでさー、デミウルゴスの計画あるじゃん?あれって本当にいいのかな?」

 

カリチと顎を鳴らす同僚に告げる。

 

「ドウイウコトダ?」

「あたしの勘違いならいいんだけどさ」

 

「何か、アインズ様の様子おかしくなかった?」

「オカシイ?何時モ通リノオ姿ダッタガ」

 

「そういう意味じゃなくってさ」

 

カチカチと顎を鳴らす同僚を見ながら違うんだよなぁと首を振る。

そして、どうするっすかね…。蘇生っすか?とブツブツ言ってるルプスレギナに声をかける。

 

「ルプーってさ、カルネ村だっけ?に居たんでしょ?」

「え?あ、はい。そうっすよ。今はユリ姉と交代制っす」

「その時アインズ様…モモンって見た?」

 

不思議そうな顔をしながら肯定する。

 

「その時のアインズ様、どうだった?」

「どう…っすか?鎧をお召しになられてもかっこよかったすよ!」

 

「いやー、そうじゃないんだって。

 何かこう、楽しそうとか、幸せそうとかさ!」

 

ルプスレギナはアウラが一体何を聞きたいのかと首を傾げる。

幸せそう?楽しそう…偉大な御方が?

 

「…うーん…そうっすねぇ…」

 

「あー、特に何でもないならいいんだけど。あたしの思い違いだと思うし」

「そっすか?」

 

アウラはアインズ様が考えろと言っていた言葉を頭に浮かべていた。

アインズ様が求めてるのは何なんだろ。

世界征服なのは間違いないんだろうけど。

難しい事はデミウルゴスとアルベドに任せとけば良いんだろうけど。

でもそれはアインズ様が求める考えろとは違う気がする。

 

そんな思いでぐるぐると思考する。

うーん、アインズ様って何が好きとかあるのかな。

この世界へ転移した頃の、第六階層での事を思い出す。

正に至高の御方のまとめ役。そうとしか思えない圧倒的なオーラ。

的確な指示と守護者最大の知者の更に上を行く至高の叡智。

最後まで残ってくださった、慈愛に満ちた孤高の我らが死の王。

孤高の…。

 

──あれ?でも昔のアインズ様ってもっとこう、楽しそうだった気がする。

 

考えろ。そう言われ自分なりに考え続けてきた。

その影響か、最近昔の事を思い出すことがある。

ぼんやりと、少しずつ昔の風景に。記憶の海へと漕ぎ出していく。

 

──動けなかった。動く必要がなかったのかな。

あたしとマーレを皆に紹介してくれた。ぶくぶく茶釜様。

 

お茶会…そう仰ってたっけ。至高の御方達が楽しそうに話されていた光景。

素敵な、素敵な笑顔でこちらを見て、一緒に楽しめたらいいのにね。と

そんな事できるわけないじゃない。と楽しそうに笑われていた至高の御方々。

 

…どうしてあの時あたしは言えなかったんだろ。

この身にあり余る光栄です!喜んで参加致します!と

あの時、もしそう言えていれば。もしかしたらぶくぶく茶釜様もまだ…。

 

後から現れたペペロンチーノ様とアインズ様もとても楽しそうだった。

 

そのうち、お一人、お一人とその姿を御隠しになられた。

第六階層に来られる方々も減っていった。

そして──あの夢の様な光景の…お茶会は開かれなくなった。

 

マーレと一緒にずーっとそこに居た。

与えられた命令。第六階層の守護。その為に。

何もない一日。何の変化もない日々。

でも、たまにアインズ様がお一人で参られた。

以前の雰囲気とは違っていた。どこか遠くを眺めるように。少し寂しそうに。

 

そして──アインズ様も第六階層に来られる事はなくなった。

 

 

…でも、トブの大森林で見た、モモンの姿をしたアインズ様はまるで昔のように。

 

 

 

──楽しそうだった?

 

 

 

横から唸り声が聞こえ現実へ戻ってくる。

 

「フェン?何?どうしたの?」

 

巨大な狼──フェンリルは死の騎士(デス・ナイト)達が向かっていった竜牙(ドラゴン・タスク)の集落がある方向を見て唸り声を上げている。

耳に手を当て、意識を集中させる。

聞こえるのは蜥蜴人(リザードマン)の悲鳴と怒号。

 

「何?どうしたのよフェン。お腹でも空いたわけ?」

 

顔を少し撫でてやるが何時もの様に甘える事もなく毛を逆立てている。

これはおかしい。

もう一度、今度は全神経を総動員して様子を伺う。

 

「…止まった?」

「ナニカアッタカ?」

 

「行くよ、フェン。コキュートスも。ルプスレギナ、この集落の回収よろしく」

 

了解と首を縦に振り、回収作業を指揮するルプスレギナを残し二人は駆ける。

最後の蜥蜴人(リザードマン)の集落、竜牙(ドラゴン・タスク)の元へと。

 

 




ざりゅーず:あの…子作り…
あうら  :R15なのでダメ!です!
ろろろ  :ひどぅい!
るぷー  :ひどぅい!
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