オーバーロード 竜の降臨   作:読み物好き

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前回のあらすじ

こきゅー:戦利品イッパイ
あうら :それほんとに要るぅ!?
るぷ  :それ武器じゃないっす。食器っす


沼地の戦い

──少し前

 

「おめぇら!俺らの誇りを見せつけるぞ!!」

 

ゼンベル率いる竜牙(ドラゴン・タスク)の戦える者全てが武器を持ち戦いに備えている。

先に他の部族が命を賭してツアレ達に伝えた事。

 

──鋭き尻尾(レザー・テール)は──

 

ゼンベルはその死体を見て一目で分かった。

こいつは戦士階級。

 

そして、そんな戦士の腕は肩から切り落とされていた。

戦士階級が致命傷を受けてでも命を持って他部族に伝える事態。

 

死体の残した言葉を聞いたゼンベルは直感した。

これは鋭き尻尾(レザー・テール)だけではない。

 

これは蜥蜴人(リザードマン)を…全蜥蜴人(リザードマン)部族に対しての攻撃。

 

「何処の誰だか知らねぇが…後悔させてやる」

 

怒りに燃えた彼らは武器を取り、警戒網を広げ戦いに備えている。

横には木の棒を握りしめたツアレの姿が見える。

 

「おい、おめぇはどっか行ってろ」

「い、嫌です」

 

ツアレは頭をブンブン振りながら答える。

 

「私は…皆さんに助けられました。だから、逃げるなんて嫌です!」

 

その目には以前の彼女とはとても思えないような強い意志を感じる。

友達を、家族を、仲間を守る。そんな意志。

 

「その意気は買うけどよ、おめぇ何が出来んだ?」

 

実際問題彼女に戦う術はない。

木の棒をぶんぶん振り回すくらいだ。

 

小さな猫や犬ならそれでも追い払えるかもしれない。

が、山猫や大型犬であればあっという間に殺されてしまうだろう。

 

「そ、それは…あの…」

 

彼女も自覚はしているのだろう。

声が徐々に小さくなっていく。

 

「わかったよ。じゃあよ、あいつらを守って逃げてくれ」

 

そう言い指を指す先には蜥蜴人(リザードマン)の子供たちの姿がある。

 

「俺達は勝てるかわかんねぇ。だけどよ、あいつらはまだ一人じゃ魚も取れねぇ」

「だが他の部族を滅ぼすような奴だ。一人でも多く戦力が必要だろ?」

 

ゼンベルは森を眺めながら続ける。

 

「本当は雌と雄も逃がしてやりてぇ。戦士階級じゃねぇからな」

 

「だがそうも言ってられねぇ。敵はつえぇだろう。俺達は竜牙(ドラゴン・タスク)。敵を前に逃げ出すような事はできねぇ」

 

「だけどよ、おめぇは違う。俺が気兼ねなく戦えるようにあいつらを守ってやってくれよ」

 

要は逃げろだ。ツアレは悲痛な顔を浮かべながらも子供達を見つめる。

確かに誰か居なければあの子達は生き残れない。それは間違いない。

そして──自分は戦う術を持たない。

 

「…で、でも──」

 

言い切る前に声は別の声にかき消された。

 

「族長!!狩猟班が敵を見つけた!気付かれた!ほとんど死んだ!」

 

応じるようにゼンベルが大声を上げる。

 

「何処から来る!敵は何だ!?」

 

 

「アンデッド!アンデッドだ!!巨大な盾と剣を持ったアンデッドが!!森から!!」

 

 

その言葉を待っていたかのように。森から邪悪な気配を持ったアンデッドの影が姿を見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くぞおめぇら!!」

 

怒号の様に叫ぶ。敵は一体。だが戦わなくても分かる。強い。

ゼンベルに続き蜥蜴人(リザードマン)達が駆ける。

 

「ぶっ潰してやらぁ!<アイアン・ナチュラル・ウェポン>!」

 

その拳が死の騎士(デス・ナイト)の頭部を狙う。

 

「なに!?」

 

ゼンベルの拳は鉄であろうと簡単に変形させる。

長く長く、ひたすらに鍛え上げられた自慢の拳だ。

 

例え防がれた所でそのまま叩き潰す。

その…はずだった。

 

巨大なタワーシールドはへこみ一つ残さず、嘲笑うようにその拳を受け止めた。

その腕を一振りするとゼンベルはそのまま遠くへ吹っ飛ばされる。

 

悲鳴が木霊する。

 

もう片方の腕に持った巨大な剣が一振りで何人もの蜥蜴人(リザードマン)を真っ二つにしている。

だが──それに怯む者は居なかった。

 

「足だ!足を狙え!」

 

そう叫び足に突撃をした蜥蜴人(リザードマン)はそれを最後の言葉として。

 

「回り込め!!背後を狙え!」

 

そう叫んだ蜥蜴人(リザードマン)はそれを最後の言葉として。

足場は赤く染まり、小さな湖の様になっていった。

 

「ふ、ふざけんじゃねぇ!!」

 

そう叫び、再び拳をゼンベルは振り下ろす。

いとも簡単にタワーシールドがそれを防ぎ、吹き飛ばされる。

 

死の騎士(デス・ナイト)の暗く瞳のない目が、お前は最後だ。そう告げているように感じる。

 

実際の所は死の騎士(デス・ナイト)からすると、ダメージを負う可能性がある個体を吹き飛ばし、優先的に数を減らしているだけなのだが。

ゼンベルにそれを知る術はない。

 

「クソッタレ!!俺を無視してんじゃねぇ!!!」

「族長に続──」

 

そう叫んだ蜥蜴人(リザードマン)が真っ二つになり転がる。

数百は死んだだろうか。

 

飛び込んでは飛ばされ、飛び込んでは飛ばされる。

周りの同胞は見る見るうちに数を減らしていく。

 

「ぐおおお!!」

 

死の騎士(デス・ナイト)の振るった巨大な剣が正面の蜥蜴人(リザードマン)を真っ二つにし、ゼンベルの胸に巨大な傷を付ける。

血が溢れ出す。タワーシールドで吹き飛ばされる。

 

俺は──こんな、こんなにも弱かったのか?

 

フロストペインと呼ばれる武器を持つ蜥蜴人(リザードマン)に負けた。

強さを求めて旅人となった。

色々な経験をして戻った。その拳で族長となった。

 

竜を自称する奴が現れた。

強く、手も足も出なかった。

驚きと、自分の弱さを自覚して、より一層磨きをかけた。

 

死の騎士(デス・ナイト)の足元に転がった山と積まれた同胞達。

 

俺は──族長だろ?一番強いんだろ?

誰一人守れねぇのか。相手にもされねぇのか。

 

怒りの咆哮を上げるが、怒りで敵は倒せない。

巨大な剣で胸を切り裂かれ吹き飛ばされる。

 

その姿を見た蜥蜴人(リザードマン)達の足が止まる。

自分達の信じた族長が。あの偉大な男が。

 

それは彼らの心を砕くのには十分だった。

巨大な剣がゼンベルの頭上高くに振り上がる。

 

「ゼンベルさん!!!」

 

ツアレが駆けた。見ている事ができずに。

ゼンベルに覆いかぶさるように抱き着き、固く目を閉じる。

死ぬとわかっていたから。

 

 

 

 

 

…痛みがない。

ツアレはうっすらと目を空ける。

死の騎士(デス・ナイト)は剣を振り上げたまま固まっている。

 

この死の騎士(デス・ナイト)にされた命令は、先発として蜥蜴人(リザードマン)の数を減らせ。であった。

ツアレは蜥蜴人(リザードマン)ではない。対象外。

その為、手を止め別の個体を狙うべく一瞬停止したのだが、誰もそれを知る術はない。

 

「き、きせ…き?」

 

蜥蜴人(リザードマン)の誰かがそう呟いた。

直後に彼らは絶望した。

 

遠くの森から、この化け物のようなアンデッドが。

更に無数にこちらに向かって歩いてきていた。

 

我らは今日、死ぬ。

確信したその時、ゼンベルの前に居たそのアンデッドが真っ二つに割れた。

 

「まにあった?」

 

その声は誰もが知っている。

遠くから来た、偉大な族長の小さき友の物だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これはちと難儀よな」

「血は止めた。ゼンベル、生きてる?」

 

後から現れたもうフェディエルに抱えられたゼンベルに意識はない。

 

「既に風は弱い。灯も近く消えるであろうや」

「ディーエ」

「わかったわかった。そう睨むでない」

 

溜息をつきやれやれとフェディエルは肩をすくめる。

 

「ゼ、ゼンベルさんは大丈夫ですか?」

 

震えながら声を出すツアレをちらりと見て大きくため息を吐く。

 

「安心せよ。安寧は要らんと言うておる。

 主もよう戦ったのであろ?心意気は受け取ろうぞ。下がるとよい」

 

「あ、姉さん後ろに!!」

 

蜥蜴人(リザードマン)がそう叫ぶや否や死の騎士(デス・ナイト)が一斉に襲い掛かってくる。

それに応えるように死の騎士(デス・ナイト)の群れにふよふよと飛んでいくワムデュス。

 

 

──emuzis(沈め)

 

 

声が二重に重なるような声がポツリと響く。

そう口にすると彼女の背後から多数の巨大な水の柱が現れる。

暴れる竜のように水の柱は死の騎士(デス・ナイト)の群れに向かい進む。

盾を構えた死の騎士(デス・ナイト)をその盾もろとも圧し潰し砕いていく。

そのまま大地を大きくえぐり取ると死の騎士(デス・ナイト)達だった物は欠片も残っていなかった。

 

その光景を前に蜥蜴人(リザードマン)達は唖然と立ち尽くしている。

そんな中フェディエルはポツリと言葉を口にした。

 

「…あれは少し怒っておるな」

 

 

 

 

少し離れた森の中でアウラ達は様子を伺っていた。

アウラの優秀な感覚が、前衛として送り出した死の騎士(デス・ナイト)が消滅したことを知る。

 

「やられちゃったみたいだけど、どうする?コキュートス?」

「今回ハ蜥蜴人(リザードマン)ノ殲滅ト回収ガ任務ダ」

 

「そうだけどさ。多分アインズ様も気付いたと思うんだよね。死の騎士(デス・ナイト)がやられた事。

 ちょっと待機した方がよくない?」

 

「──敵ノ数ヤ構成ハワカルノカ?」

「多分だけど一人。急に現れたっぽい」

 

「転移ノ類カ」

「うーん。あのさ、あたしの予想だけどさ、例の二人じゃないの?転移するってデミウルゴス言ってたし。だからもう一人居ると思うんだよね」

 

「…面白イ、強者ト戦ウハ武人ノアルベキ姿」

「コキュートス、あたしの話聞いてた?それにアインズ様は…手を出すなって言ってたじゃん」

 

「デミウルゴスガ、ソノ意ヲ我等ニ伝エテクレタデハナイカ」

 

まだ見ぬ強敵への闘志を燃やしている同僚を横目に考える。

 

「デミウルゴスハ情報ヲ集メルト言ッテイタ。デアレバ、ココデソノ実力ヲ垣間見ル」

 

「そりゃ言ってたけどさ…アインズ様は──」

「アインズ様ハ己デ考エヨトモ言ッテイタ。

 何ヨリ死の騎士(デス・ナイト)ハアインズ様自ラガ作ラレタ至高ノアンデッド。

 ソレヲ撃破サレタママ逃ゲルハ戦士デハナイ」

 

強敵に胸を躍らせ4本の剣を手に、森を駆け行く同僚の背を見ながらアウラはため息を吐く。

しかし確かにコキュートスの言う事も一理ある。

アインズ様自らが作り出されたアンデッドに手を出したのは問題だ。

少し思考し、アウラを待つフェンリルに小声で告げる。

 

「フェン、戻ってルプスレギナにこの事伝えて。人狼だし話せる…よね。

 伝言(メッセージ)でアインズ様に状況の報告…コキュートスが戦ってるって。

 あたしは──様子を見るよ。その後直ぐにルプスレギナも連れてきて」

 

そう告げると巨大な狼──フェンリルは森を縫うように駆けていく。

 

「ちょっとコキュートス!一人で行動するなってデミウルゴスに言われたじゃん!」

 

離れていく同僚の影を追いアウラも駆ける。竜牙(ドラゴン・タスク)の集落へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

「セバスよ。どうしたというのだ?」

 

緊急で直接報告したい事がある。

そう聞いたアインズはセバスと対面したのだが、様子がおかしい。

普段通り跪いたセバスだが、顔色は悪く、その表情には後悔と悲壮が漂っている。

しかし目は決意を感じさせる強い意志を感じる。

 

「セバス!何を黙っているの?アインズ様がこうしてお会いしているのよ!」

 

アルベドから怒りの声が飛ぶ。

至高の御方に急ぎ時間を作れという、守護者に有るまじき願いを申し出た上沈黙している事に激怒している。

 

「よい。アルベドよ」

 

手を上げアルベドを制す。

 

「どうしたのだセバスよ。私に何か話したい事があったのだろう?」

 

心から優しく、諭すように声をかける。

それに応え、沈黙を守っていたセバスが口を開く。

 

「…アルベド様には、どうかご退出を」

「セバス!!?貴方何を言ってるのかわかってるの!?」

 

激怒を超えた感情。守護者統括にアインズ様の元から下がれだと?

余りの怒りに、逆に彼女からは恐ろしく冷たい感情が生まれた。

 

「死にたいの?」

 

天井に居る八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)もメイドも凍り付く。

氷に触れたような錯覚を起こすような殺意。

 

「よせ!!」

 

大きく杖を鳴らし、大きな声が玉座の間に響く。

 

「も、申し訳ございません…」

 

我に戻ったアルベドは深く頭を下げる。

 

「よい。間違っても私の前で仲間達の子であるお前達が争うような真似をしてくれるな」

「アルベド、皆も頼む。下がってくれ」

 

アインズのその一言で皆が部屋を後にする。

 

「さぁ、セバス。これで良いか」

「ありがとうございます。そのお心に感謝致します」

 

神妙な面持ちをしたセバスは、帝国での事を少しずつ話していく。

アインズは驚愕と、様々な感情が浮かび抑制される。

 

「結果的に私は…ナザリックを…至高の御方々を…裏切ってしまいました…」

 

言い切るとセバスはアインズを見つめる。

もう心残りはない。喜んで罰を受ける。

死で許されるのならば喜んで受け入れる。

追放…であっても受け入れる。そんな心構えでアインズを見る。

 

「セバスよ」

「はっ」

 

「話してくれた事に感謝する。そして──確かにそれは裏切りとなる行為だ」

 

セバスは深く頭を下げる。

取り返しのつかない事をしたのだと。

長い沈黙が流れる。

 

そして、アインズは口を開いた。

 

「お前はナザリックの計画を──仲間の情報を漏らした。それは…我々に対する裏切りだ」

 

深く頭を下げたセバスは動かない。

死をもって償えるのであれば。その決心の表れでもある。

 

「──だが、私は嬉しいよ。セバス。

 お前は…たっちさんの遺志を継いで助けられる命を助けた。そうなんだろう?」

 

勢いよく顔を上げたセバスには驚愕の色が見える。

死すら生温いであろう裏切りを…今この御方は何と?

 

「だがこの件は…流石に不問にはできない。

 どうするかは…少し時間が必要だ。まずは帝国の屋敷を引き払え。何一つ痕跡を残すな。

 それに蜥蜴人(リザードマン)襲撃の中止命令を出さなくては──」

 

そう告げているとアインズは何か遠くで繋がりが切れた。そんな感覚を感じる。

 

死の騎士(デス・ナイト)が死んだ…?方角は…トブの大森林…。ああ…間に合わなかったのか…。

 あの二人は無事か?死の騎士(デス・ナイト)が傷つけていないといいんだが…。蜥蜴人(リザードマン)と知り合いだったなんて…)

 

(何て謝ればいいんだ…いや…まずは撤退命令を…。本当に…守護者達には手を出すなって伝えておいて…本当によかった…)

(森の中に居る蜥蜴人(リザードマン)なら人間に被害が出ないだろうと許可さえ出さなければ…。)

 

そう考えた時にアインズは自分自身に大きなショックを受けた。

 

(…俺は何を考えていたんだ?人間じゃないから?見た事がないから問題がない…?

 それじゃ…まるで…あの頃に俺を襲ってきた連中と…)

 

遥か昔、たっち・みーによって助けられた頃の記憶。

異業種だから。アンデッドだから。人間じゃないから。そんな理由でPKされ続けた記憶。

 

(俺は…俺は一体…何を…。俺は…どうしたらいいんだ…もう…わからない…)

 

力なく項垂れたアインズに頭に言葉が流れ込んでくる。

 

<<アインズ様、お時間よろしいでしょうか。急ぎ報告が>>

<…ルプスレギナか?…今は…。いや…よい。どうした?>

<<例の二人組とコキュートス様が交戦状態に入ったとの事です。アウラ様は潜伏中です>>

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ありゃあ…一体…何なんだ?」

 

森から一つの影が姿を現す。

青く光る甲虫が4本の剣を携えこちらへ歩いてくる。

その足元は凍り付き、泥水や血を凍らせる。

 

「我ガ名ハコキュートス。手合ワセ願オウ」

 

4本のうちの1本の刀を振り、コキュートスがそう告げる。

 

「さっきのの、親玉?」

 

無言のコキュートスにワムデュスは肯定と取る。

 

「ワム、ちょっとだけおこってるよ」

 

それを合図に巨大な水の柱がコキュートスに向かう。

 

──フロスト・オーラ

 

「…トマラヌカ」

 

一瞬で水の柱が凍り付く。が、即座に氷が割れコキュートスを襲う。

 

──風斬

 

コキュートスが駆け、剣を振りかざすと水の柱が真っ二つに割れる。

 

「いたい!!」

 

そのままの剣圧が幼い体に傷を付ける。

コキュートスは素早く接近し剣を振り下ろす。

 

eamisettook(凍ってしまえ)

 

瞬間、彼女の周りを球体状の水が包み込み、剣が弾かれ円状に氷の輪が弾ける。

氷の礫を剣で弾きながらコキュートスは大きく距離を取る。

 

ianasagin erook(逃がさない、凍れ)

 

宙へと舞ったコキュートスに小さな手を振りかざす。

着地と同時に足から胴までが氷つきコキュートスの動きを止める。

 

「コレハ…固イ…」

emuzis(沈め)

 

小さな両手を振り下ろす。

すると6本竜のような太い水の柱がコキュートスを襲う。

 

──不動明王撃(アチャラナータ)

 

コキュートスの背後に後光のような光が現れ、不動明王が姿を現す。

不動明王の瞬きの一振り。その一振りは水の柱と己を固める氷を切り払う。

 

 

iokutis!orito!inikannisoneisokot!(しつこい!落ちろ!永久の深海に!)

 

 

ワムデュスは高く浮き上がり、その目は深海のように暗く沈んでいく。

そして巨大な──湖のような巨大な水の球体が頭上に作り出される。

 

「アレハ…」

 

水の球体の中には雷が暴れ狂い、中央は深海の如く黒い。

竜のように暴れ狂う雷はまるで水の中に雷雲がいるかのようにも見える。

 

「おい!その辺にせぬと是も死ぬぞ!」

 

その声にワムデュスがはっと視線を移す。

地上ではその光景に固まっている蜥蜴人(リザードマン)達を指さすフェディエルが見える。

 

「あ…」

 

それとほぼ同時に森から声が聞こえる。

 

「コキュートス!今直ぐ帰って来いって!い・ま・す・ぐ!!アインズ様の命令だよ!!」

「…勝負ハ預ケヨウ」

 

そう言い残しコキュートスは森へと駆け消えていく。

 

 

 

 

「ケガ、してない?」

 

水の球体を消し去り、ふよふよと戻ってきたワムデュスが皆の様子を見て回る。

 

「無事ではあるが今の行い。褒められんぞ?」

「反省してる」

 

ワムデュスはしょんぼりと肩を下ろす。

 

「あ、あの、助けてくださり本当にありがとうございました!」

 

ツアレが礼を口にし、それを合図と言わんがばかりに蜥蜴人(リザードマン)達が口々に礼を告げる。

徐々に大きな歓声となり、歓喜の声となり、徐々に大きく。長く、長く続いた。

 

 

怪我人の治療や今後の事で駆け回る蜥蜴人(リザードマン)達を背にし、二人の竜が空を見上げている。

 

「あれでは二度と番が見れなくなるであろう」

「反省してる」

 

「主にしては珍しいではないかや?」

「…水辺に居たから…どーぞくいしき」

 

そんなわけあるかと苦笑する。

暫くの沈黙の後にフェディエルが口にする。

 

「ところで、あの者達が口にしておった、アインズとはどこかで聞き覚えないかや?」

 

 




ぜんべる  :あれ?生きてる

ももんが  :どぼじで…
デミえもん :情報↑収集とは↑↑素↑晴↑らしい↑活躍↑↑↑
こきゅーとす:ワァイ!
あうら   :はぁ…(クソデカ溜息)

せばす   :帰ります。ほらほら急いで急いで
そりゅしゃん:今度は何したんですカァ!?
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