オーバーロード 竜の降臨   作:読み物好き

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前回のあらすじ
恐怖公   :シャルティア嬢?参謀殿?
しゃるてぃあ:う↓ああ↓ああ↓↓
デミえもん :う↓あ↓あ↓ぁ↓ぁ↓↓↓↓
まーれ   :うあー?


真実

黒の一夜が明け、ナザリック地下大墳墓の玉座の間に守護者達は集められた。

 

皆困惑の表情がその顔に現れている。

まず第一に、玉座にアインズが座っていない。

玉座の前に複数用意された一つの小さな椅子に座っている。

 

「ア、アインズ…様…?」

 

守護者達から困惑の声が上がる。

 

「…座ってくれ。話があるんだ」

 

戸惑いが場を支配する。

口調の違いもさることながら、この異常な光景に。

アインズが座っているのは安物の人間が使う古い椅子。

その横にはナザリックの小さい椅子。

そしてアインズの正面に並ぶナザリックの7つの椅子。

 

「ア、アインズ様がそのような椅子にお座りになられるなど!!」

 

状況に混乱しながら悲鳴の様に口々に皆が口にする。

特に顕著なのはデミウルゴスとアルベドの2名。

 

「…アウラ、頼む」

 

力なくそう告げるアインズの言葉に少し躊躇し──アウラは隣の小さな椅子に座る。

 

「アウラ!?あなたどういうつもりで!!」

「お、お姉ちゃん!?」

 

口火を切ったのはアルベドであった。

当然の疑問である。守護者達からも疑問と不敬だと視線が突き刺さっている。

座ったアウラも居心地が悪そうに視線を泳がせている。

 

「いやー…あたしは別に…ここに居たいわけじゃ…。あ!アインズ様の事は大好きですよ!?」

「ま、まさか…!抜け駆けしたんじゃありんせんでしょうね!?」

 

「──アウラに此処に居てくれるよう無理を言ったのは俺だ」

「ア、アインズ様…?」

 

「…聞いてほしい。その為に集まってもらったんだ。どうか、座ってほしい」

 

ざわめきが部屋に木霊する。

 

「そして、今から俺が話す事は…全て真実だ。どうか、聞いてほしい」

 

徐々にざわめきが止まり、静粛が流れる。

そう告げた主人は顔を落とし、それ以上何も言う気はないようだった。

 

普段と余りにも違う主人の言葉。その雰囲気に暫くの間は困惑と混乱が止まなかった。

言葉を投げかけても反応を示さない主人。

何を聞いてもはぐらかすアウラ。

暫くのざわめきの中で沈黙を保っていた一人がアインズの正面に座った。

 

「アインズ様、では失礼致します」

「パンドラ!?てめぇ!何やってんでありんすか!」

「アインズ様は何か大切なお話をされたいご様子。であればそのお心に寄り添うのは当然」

 

少しずつ静かになり、皆思い思いの椅子へと座る。

 

「ありがとう」

 

主人がそう呟くように告げる。

 

「アインズ様がそのような!」

 

それを聞きアインズは苦笑する。

ああ、これが俺のやってきてしまった事なのかと。

暫くの沈黙が流れる。言わなければ…。今こそ。

 

「きっと大丈夫ですよ、アインズ様!」

 

小声でアウラがそう伝えてくる。

それを受け、アインズは大きく息を吐き、言葉を発する。

 

「まずは…」

 

「まずは謝らせてほしい。ほんとうに…申し…。違うな…」

 

 

──ごめんなさい。

 

 

そう口にし頭を深く深く下げた。

 

「ア、アインズ様!!?お顔を!お顔をお上げください!!」

「何を!何をアインズ様が謝られる事があるのですか!?」

 

悲鳴が玉座に木霊する。

 

「アウラ!?アインズ様のお顔をお上げして!!」

 

当のアウラもその光景には固まっている。

 

「皆様方は本当にアインズ様のお言葉を聞く気があるのですか?」

 

卵のような頭から発された、妙に大きく響いたその一言で静まり返る。

 

「アインズ様は何かお考えがあっての事でしょう?そうでなければ至高なる御方で在らせられるアインズ様がこのような事をするはずがございません」

 

「ありがとう…パンドラ」

 

「勿体無きお言葉。このパンドラズ・アクター、創造主たるアインズ様のお言葉、一言たりとも聞き零すような愚かな真似は致しません」

 

その言葉に静まり返る。

我ら守護者、間違ってもお言葉を聞き零すのような事はあってはならない。

その思いから。

 

「…何から話すべきかな…。皆も色々と聞きたい事があるよな…」

 

「まずは…アルベド、デミウルゴス」

「はっ」

 

「今進めている計画…全て破棄させてくれ」

「は…破棄…でございますか…。な、何か…我々に至らぬ所が…」

 

二人の顔色は悪い。

特にデミウルゴスは顕著だ。

先の計画でも突如そのお姿で現れ計画を中止し、多くを救ったと聞く。

 

「違う。違うんだ…。お前達は…俺なんかより、比べ物にならない程優秀なんだ」

「世界征服…国起こし…俺は…。…そんな事したくないんだ…」

 

その言葉に全ての守護者達が唖然とし言葉を失う。

一体何を…皆がデミウルゴスとアルベドを交互に見つめる。

卵頭の一人を除いて。

少しの沈黙の後にデミウルゴスが口を開く。

 

「…申し訳ございません。私の様なアインズ様の叡智の一端すらに届かぬ愚かな身では、そのお考えの一端すらも…理解できておりません」

 

「じ、時間をください。必ずやデミウルゴスと共にアインズ様のお求めになられている事を…」

 

アルベドが続く。

二人共顔色は悪い。

 

「違うんだアルベド…。デミウルゴス…。そういう話ではないんだ…俺は…」

 

アインズがそう呟くと沈黙を保っていたパンドラズ・アクターが口を開く。

 

「お二人共、アインズ様の真意は既にそこにあるのではないですか?」

「パンドラ?一体どういう…」

 

Gottes Wille ist bereits da(神の意志はすでにそこにある)。そういう事でしょう!?アインズ様!?」

 

「アインズ様は世界征服。国起こし。そんな事はしたくないと申されました。

 であればそれこそがアインズ様の意思!私はそう考えますが」

 

そんなわきゃあるかと声を上げる守護者達。

それを横目に、少しだけ気持ちが軽くなったアインズが語る。

 

「パンドラ。お前の言う通りなんだ」

 

ピタリと騒動が止まる。

それを見ていたアウラが告げる。

 

「アインズ様…その…あたしが言うのはおこがましいんですが…」

 

「あたしに話してくれたみたいに。最初から全部ちゃんとお話しされないと…その…。伝わらないと思うんです」

 

「…その通りだな。俺は…本当にダメな奴だ…」

 

そしてポツリポツリと語る。

一人で寂しかった事。

あの二人との出会い。

友となった事。そして約束した事。

世界征服等する気がなかった事。

多くの惨状が恐ろしかった事。

仲間達の子供達を失望させたくなかった事。

何一つ理解できていなかった事。

そんな俺にも、まだ友だと告げてくれた事。

──本当にしたかった事。

 

玉座の間は静かに、そして長い長い静寂に包まれていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では──私は…全て…アインズ様のお言葉を勘違いしていた…と…そういう事…ですか…?」

 

長い沈黙の後にデミウルゴスがか細く告げる。

 

「ア、アインズ様を…く、苦し…苦しめていたと…」

 

そう口にするアルベドの表情に生気はない。

共に力なく語ったその身を軽く小突けばそのまま倒れるであろう。

話を聞いていた他の守護者も同様である。

 

「わた…わらわは…アインズ様の…ご友人を殺そうと…?」

 

シャルティアは目が虚ろになりふらついている。

アインズの語ったそれは充分に脳のキャパシティを超えていた。

 

「アインズ様ノ大切ナゴ友人ニ刃ヲ向ケタト…」

 

コキュートスもその巨体が心なしか小さく見える。

 

「全ては…俺が、絶対者のフリをした事が始まりなんだ…」

「ア、アインズ様は…」

 

何も謝る事など…そう言葉が続かなかった。

何と声をかけたらよいのかが想像もつかない。

 

「…皆、俺に失望しただろ?本当に悪かった…俺が悪かったんだ」

「そのような事はございませんとも」

 

一つ声が上がる。

 

「このパンドラズ・アクター。アインズ様のお考えを共有頂き、光栄の至りにございます。至高なる御方々がお隠れになられてもお一人残ってくださった、アインズ様のそのお心に感謝は在れど失望等あろうはずがございません」

 

「そ、そ、そうです!あの、えっと。ありがとうございます!」

「アインズ様の慈愛溢れるそのお心に気が付く事のできなかった我らをお許しください」

 

マーレ、セバスとパンドラに続き、深く頭を下げる。

 

「アインズ様…知恵者等と呼ばれていたにも拘らず…私は…死してお詫びを…」

「守護者統括等と…アインズ様のお心に…気が付く事すら……」

 

「やめてくれ二人共…。お前達は何一つ悪くないんだ。全て…俺が…悪かったんだ…。間違っても自害等しないでくれ…」

 

「俺は…この古びた椅子と同じだ。俺は…何もない。何の価値もない。

 アウラが気付いてくれなければ。ただ流されていっただけだろう。

 苦しくなって、きっと何時か逃げ出していた…。

 お前達のような輝きは持っていない。ただの弱く卑怯な凡人だったんだ…」

 

そう言い切り、暫くの沈黙が流れた。

守護者は完全に沈黙している。

絶対的な存在であるはずの主人から出たその言葉と胸に抱えていた苦悩。

そして何より、何と声をかければよいのかわからなかった。

 

 

「恐れながら、それは違います。アインズ様」

 

口を開いたのはセバスであった。

 

「──椅子とは、寄りかかる物。体を支えるために使われます。

 そしてその価値は古さに関係はございません」

 

「古びた椅子はその分長く支えられた歴史を持っているのです。

 アインズ様は長くの間ただお一人で残ってくださりました。

 長くの間、我々を支えてくださったのです。

 何も出来ない、価値がない等と仰らないでください。

 我々はアインズ様が居られる。ただそれだけで幸せなのでございます」

 

それに続く様にパンドラズ・アクターが口を開く。

 

「アインズ様を椅子に例えるのは…それは…さて置いてですが…。

 お話を聞く限り!アインズ様にはまだやり残した事があられるはず!」

「パンドラ…?」

 

「お約束されたのでしょう!そのご友人と!今までの分善い行いをと!」

 

「そう…そうだ。パンドラ。俺は…あの時誓った。二度と約束は破らない」

「それがアインズ様のご意志とあらば。しかし…善い事…とは難しいですな」

 

「…そうだ。自分に都合がよい事、片面から見ればいい事。それでは今までと何も変わらない。それではダメだ。俺は…もう二度と約束を破りたくない」

 

「だが…俺一人ではそんな事は考えつかないんだ。一体何をすればいいんだ。皆が笑っていられる。誰も傷つかず、誰も悲しまず、皆が幸せに生を全うできる。そんな世界は…ありえるのか?」

 

Wenn mein(我が神が) Gott es so will(そう望んでいるのであれば)。今こそ我ら一丸となりアインズ様にお力添え致します!」

 

その言葉を聞くもデミウルゴスやアルベドの表情は暗い。

 

「私のような愚か者は…主人の意を己の都合の良いように解釈し…盲目的に行動する…真の…真の愚か者はここに居たのですね。…私は…最早何もせぬ事が一番でしょう」

 

「参謀殿!我々皆が気付けなかったのです。真意を知った今こそ!今こそ!その智謀を使わず何が知恵者でしょうか。知者で在れ!そう創造して頂いたはずです!今すべき事、それは後悔ではございません」

 

 

 

「…──それを…アインズ様が今でもお望みならば。…計画を…練ろうじゃないか」

「デミウルゴス、また妙な事考えてないよね?」

 

「…それこそまさかだよアウラ。我々は至高の御方に尽くす事こそが喜び。…自分自身の愚かさが嫌になるがね。だがそうだね…後で少し付き合ってくれるかいコキュートス」

 

力なくそう告げるデミウルゴスに項垂れていたコキュートスが顎を引く。

一つ息をつきデミウルゴスが続ける。

 

「…まずはアンデッドを使用し壊れた帝都の瓦礫の撤去がいいと思うが…それに、残った恐怖公の眷属の死体を何とかしないとね…近く病が発生してしまう」

「お待ちくださいデミウルゴス。このような状況でアンデッドは宜しくありません。人間達は疲弊し怯えています」

 

「そうかね?セバス。…まぁ…君が言うならそうなのかね。疲れ知らずのアンデッドは便利なのだがね…」

 

「え、えっと。ゴ、ゴーレムとか…じゃダメなんですか?」

「ソレナラバ…良イ…ノデハナイカ?ダメナノカ?」

「…そうね…アイアンゴーレムならかなり用意できるかしら」

「わ、わらわの眷属はどうでありんすか?吸血鬼(ヴァンパイア)なら力もありんすよ。人型でもありんすし」

 

そんな光景を目にアインズは目を細め遠く過去を見る。

もっと…もっと最初から…。

話し合う事ができていれば…。

 

「──アインズ様!何とか言ってやってください!」

 

アウラがデミウルゴスを指さし告げる。

 

「…?理解しかねるが…?何故いけないのかね…?大型蝿(ジャイアント・デポジットフライ)巨大昆虫(ジャイアント・ビートル)の群れに眷属の死体を全て食わせてしまえばいいだろう?病の発生は確実に防がねばならないだろう?」

「何で急に察しが悪くなんのよ!さっきからわざと提案してるでしょ!」

「何故貴方は悪意ある提案しかできないのですかデミウルゴス」

 

「悪意?語弊を呼ぶ言い方はやめたまえよセバス。そもそも皆が笑っていられる世界を。そうアインズ様が仰っただろう?その最低条件は健康である事。ならば病は防がねば。

 君の言う善い行いというのも曖昧だよセバス。例えばだがね、権力者が私腹を肥やす。その者を殺せば多くの者は喜ぶだろう?しかし権力者の関係者にとっては不幸だ。それは善い事かね?或いは獣同士で争っている。片方を殺す。そうすれば片方は生き残る。これは善い行いかね?」

 

「え、えっと。それはちょっと…あの、その…違う気が…します」

「でも殺せば喜ぶでありんすよ?」

「…それでは今までと変わらないではないですか。ここまで仰って下さったアインズ様のお心がわからないのですか?」

「私は何が善い行いかと議論しているのだよセバス。そういう君ならどうするのかね?殺すのかい?仲裁かい?根本的な解決にはならないと思うがね」

「…そうね…でもアインズ様はそれを望まれないわ。…有力者や獣自身の考え方を変える…のが一番かしら?クフフ」

「守護者統括殿!?また邪な考えをしておられませんかな!?アインズ様が悲しまれますぞ!?このパンドラズ・アクター、それは見過ごせません!」

 

「結局何ヲスレバアインズ様ノオ役ニ立テルノダ?」

「コキュートス。君もたまにはアイディアを出したまえ」

 

そんな光景を目にアインズは思う。

本当に…俺には過ぎた者達だ。

もし…もしも最初から…俺がしっかり話をしていれば…。

──皆で話し合う。意見を述べ合う。その大切さは知っていたはずなのに。

それすらする事ができなかった。話し合う事の大切さなんて知っていたはずなのに。

アインズ・ウール・ゴウン。皆の名前を名乗っておきながら──

そんな中、パンドラズ・アクターが振り返り口を開く。

 

「ところでアインズ様。アインズ様ご自身は今後何をされるのでしょう」

 

「そう…そうだな。俺は…」

「今度こそ…必ず約束を守る。そして二人に話すよ。全てを…」

 

「全て…つまり出会いからでしょうか。モモンはアインズ様であるとお告げになると?」

「そう…そうか…」

 

少し遠くを眺めるようにして口を開く。

 

「俺は…。──俺に皆の名前を背負うような資格はなかった。

 俺…俺は…一人の…。…そうだ。俺は…」

 

 

 

──俺の名前は…モモンガだ。

 

 

 




デミえもん :モ↑モ↑ンガ様↑↑世界平和↑笑顔溢れる世界↑お任せください↑↑
あるべど  :出番がない
あうら   :アニメと原作で活躍してるからいーじゃん
まーれ   :メタァ…
しゃる   :何したらいいかわがんね
ぱんどら  :ンァインズ様↑違う↑↑モモンガ様↑否↑↑父上↑↑↑
せばす   :父上!?
こきゅーとす:良イ響キダ
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