オーバーロード 竜の降臨   作:読み物好き

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前回までのあらすじ

ゼンベルと仲良くなった
仲間が増えた
原作での描写と似た部分は基本的に省いていきます。



冒険者モモン

 

はぁ…溜息を漏らす。

周りを見ると日も落ち、闇のとばりが落ち始める。

ちらりと横を見ると微妙な顔をしながら果実を齧る幼い子がいる。

 

「…こせいてきな味」

 

本来ならもう街中…王国へたどり着いているには十分なのだが。

飛んでいけばあっという間に着くであろう事は分かっていたが、折角の異国(いせかい)ぞ!瞬きの間と言えど時間が全く無いわけでもなし。

空にこれほど広大な土地はない。であればこそ、たまには徒歩で少し行くのも味があろうや?と提案したのが…まずかった。

行く先々でアレは食べられそう。美味しそう。と

目に映る物に興味を示す(へき)に付き合っていたのだ。

しかしもとを正せば見て回ろうと言うのは自分の言である。

 

はぁ…と思いつつも果実を齧る。

確かに美味しくない。というよりは不味い。

酸味が強く、渋いのだ。恐らく好んで食べる者はおるまいて。

咀嚼しながら──遠くに灯りが付く。

──焚火か。

光に吸い寄せられるようにそちらへ歩みはじめた。

 

 

 

 

 

 

「しかし人食い大鬼(オーガ)を両断とは正に人間離れした大技であるな!」

 

「モモンさ──んなら、あの程度当然です」

 

美しい顔立ちの黒髪の女性が、正にあたりまでは?とでも言わんが顔で告げる。

 

「当然…ですか」

 

皆苦笑する。自分より倍以上大きな肉の塊を両断するのが当然。

そんな事あってたまるか。等と思いつつ会話に花を咲かせる。

そんな話を続けるうちに、漆黒の剣リーダーのペテルは少し前に会った女性の事を思い出す。

気付けば口から出ていた。

 

「フェディエルさん…と、どっちが強いんだろうな」

「確かに!あの人も人間離れしていたからな!」

 

「モモンさ──ん、より強い存在等、居るはずがないでしょう」

 

「でもさナーべちゃん!あの人は人食い大鬼(オーガ)の腕を素手で千切るんだぜ!!」

 

 

その言葉に今まで傍観していた黒い全身鎧を着た戦士が興味を示す。

 

「失礼、人食い大鬼(オーガ)の腕を千切ったと?」

 

「そうなんですよモモンさん!あの人は私達の命の恩人なんです!」

「突然空から現れたんだ!まさに天使!って感じだったよなぁ」

「空から…魔法詠唱者(マジックキャスター)…という事でしょうか?」

「それはない…と思うぜ。あれだけの力もあって魔法詠唱者(マジックキャスター)なんて…

 それこそ伝説の十三英雄にも居るかわからないって話になっちまう」

 

 

彼らは出会った時の話を語りだす。

聞いた事のない亜人の話や聞き覚えのない単語──

話を聞きながらモモンと呼ばれる戦士──アインズは思考する。

 

まさか──プレイヤーか?

並外れた力に恐らく<飛行>(フライ)の魔法

間違いなさそうだが…ひくうてい…飛空艇?空を駆ける船かぁ…

そんなのユグドラシルにあったかなぁ…?

 

プレイヤーである可能性は高い…いや、プレイヤーだと断定すべきか。

仮に、もしそうだとしたら…こちらが気が付いたという事は

相手も気づく可能性がある…友好的なプレイヤーなら良いが、そうでなければ…

 

それに『どらふ』とかいう種族も聞いた事がないな。

角がある種族か…悪魔の類か?うーん、俺が知らない種族かぁ…。

それに空に浮く島々…浮く島くらいはあった気がするが…知らないなぁ。

 

うーん…この世界の生物である可能性も…

あー!情報が足りない!…帰り次第最優先で調べるしかないな。

…いや、帰ってからでは遅いか。伝言(メッセージ)でアルベドに指示すべきだな。

外に出ているセバスも情報を持っているかもしれない。

場合によっては守護者達も一度ナザリックに戻す必要が──

 

「!!<警報>(アラーム)に何か掛かりました!」

 

談笑していた穏やかな雰囲気はその一言で吹き飛び、漆黒の剣は剣を抜き警戒を強める。

ここは安全な街ではないのだ。

油断をすれば死ぬ。それを分かっている。

 

「ンフィーレア氏!下がるのである!」

「モモンさん、ンフィーレアさんの護衛はお願いしますよ!」

「隠れてないで出てこい!そこに居るのはわかってんだ!!」

 

 

 

 

「──聞き覚えある声ぞ」

 

「おお!主らあの時のヒトの子であろう!」

 

焚火に照らし出された彼女。横では幼い子がこちらを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「フェディエルさん!!こんな所でまたお会いできるなんて!」

 

再会した彼らを横目にアインズは様子を伺う。

曰く、先ほど話を聞いていた、暫定プレイヤー。

それが急に現れたのだ。

 

こんな偶然があり得るか…?

 

嫌、ない。という事は俺が何処かでボロを出して…?

何時だ…どの時だ…。チラリとナーベラルの様子を伺う。

興味なさそうに何時もの表情(見下して)で眺めている。

あの様子では警戒していない…他の人間と同格と判断しているのか?

そんな筈がない。装備を見ただけで分かる。その辺の一般人とは違う。

気配遮断系の魔法かマジックアイテムで誤魔化しているのか…?

あの服や装飾はマジックアイテムなのか…?高価な作りであろうというのはわかるが…。

わからん!しかし接触をしてくるという事は疑っていると考えていいだろう。

確かめなければ…しかしどうするか。

下手に動けばこちらがプレイヤーだと判断される。

しかも二人だ。仮にフェディエルというデカい女の方はプレイヤーだとしたら…。

あっちの小さい方はNPCか?現地人か?まさか二人共プレイヤーだという可能性も…。

 

「あの、お知り合いですか?」

 

今回の依頼主のンフィーレアが後ろから口を開く。

 

「ああ!すみません、ご紹介します!先ほど話していた我々の命の恩人のフェディエルさんです!」

 

「…この方が…あ、すいません。ちょっと想像と違ったもので。初めまして、ンフィーレアです。こちらは護衛をお願いしています、モモンさんと──」

 

(チャンスだ!!)

 

「初めまして、冒険者のモモンです。こちらは仲間のナーベです」

 

「うむ!此方は六竜の(こく)!フェディエルぞ!」

 

「ワムだよ」

 

 

まずはよし。冒険者として紹介できた。

見た所は疑ってはいない…と思いたい。

しかし、六竜…そんなギルド名は…思い浮かばない。

 

「いい匂い。なに食べてる?」

 

「あ、そうだ!良ければ食べてください!

 と、言ってもただのスープですけど」

 

「おお!いいのかや!では頂くとしようぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいしい!魚もよかったけど、これはなかなか」

 

軽い自己紹介も終え、渡されたスープを一口含み、頬を抑えている。

幸せそうに頬張るワムデュス。場に和やかな空気が流れる。

 

「ところでワムちゃんはフェディエルさんのお子さんでしょうか?」

 

漆黒の剣のメンバー達も不思議そうだ。

街中でもない所で10歳にも満たなそうな小さな子が居れば当然の疑問かもしれない。

 

「ワムはディーエの子供じゃないよ」

 

「であれば…このような所に年端も行かぬ子を連れて歩くのは…」

 

「安心せよ、見た目は小さいが是もまた此方と同じ六竜ぞ」

 

 

「え?」

 

 

瞬きを繰り返しながら顔を見合わせている。

 

 

「あ、あのさ、俺、六竜って冒険者チームとか…の名称…とかだと思ってたんだけど」

 

「チーム…まぁ間違ってはおらぬ…か?

 遠からず近からずといったところかや」

 

チーム?楔であるから…いやチームと言えぬこともないか?

小声で何かブツブツ言いながらフェディエルはうーんと首を捻っている。

 

「あ、あの、じゃあワムちゃんもその…強いんですか?」

 

「つよい?…うーん…つよい。ワム、(へき)だから」

 

 

何とも言えない空気が流れる。

その間もアインズは出来る限り頭を…無い脳を回転させている。

六竜…(こく)(へき)…ダメだ。全く心当たりがない!

見た所こちらを気にしているようには見えない。

まさか本当に…偶然出会っただけなのか?

或いは奴らはプレイヤーではない?

それとも気づいていないのか?

鎌をかけてみるか?危険か…?

 

「そうは見えませんが」

 

横に座っていたナーベが口にする。

ナイスだナーベラル!アインズが内心でナーベラルに親指を立てる。

アインズから探りを入れれば気付かれるかもしれない。

しかしナーベラルは思った事を口にしただけだ、気づかれまい。

 

「よせナーベ。申し訳ない。

 彼女はその……あー…見ないと信用できない質でして」

 

「まぁそりゃそうですよね」

 

うんうんと口にする。皆も同じ意見のようだ。当然か。

自称強い。という年端も行かない子を前にそれを納得しろというのは無理である。

 

「聞くにはフェディエル殿は…人食い大鬼(オーガ)を引き千切ったと聞きました。

 そのチームの一員であるワムデュス…殿のお力、宜しければ是非見せて頂きたい」

 

「確かに!そう言われれば気になるのである!」

 

うんうんと周りからの援護射撃も出る。

彼等も純粋に見たい知りたいという好奇心で聞いている。

完璧な流れだ!

これで隠すようならばプレイヤーである可能性がほぼ確定する!

隠さないなら隠さないでその力が少しでも見る事ができる!

完璧なプランじゃないか。

 

「いいけど、ワム痛いの嫌だよ」

 

スープを啜りながら言う。

 

「なにしたらいい?」

 

 

…と言われて困ってしまう。

モンスターが居るわけでもないし、痛いのが嫌…遠回しに戦いは嫌だと言っている。

うーむ…

 

「ちなみに…ワムちゃんは…魔法詠唱者(マジックキャスター)…なんだよね?」

 

ニニャが声をかける。

まぁそうだろう。この形で戦士です。なんて言われても困る。

小さく幼くても問題なく強く、戦える…となると消去法で魔法詠唱者(マジックキャスター)という事になるのは納得できる。

 

 

魔法詠唱者(マジックキャスター)?……うーん…そう?そうかも?」

 

「ディーエ、どうしたらいいと思う?」

 

「ん?なんぞ?」

 

どうやら話を聞いていなかったようだ。

 

 

「えー…実はワムデュス…殿の力を見たいという話をしていたのですが

 彼女は魔法詠唱者(マジックキャスター)でよろしいでしょうか?」

 

「ワムデュスは水を司る(へき)ぞ」

 

(…つまり、水に特化した魔法詠唱者(マジックキャスター)…か。あまり見ないな…

 というか水特化魔法なんかあったか?脱水(デハイドレーション)くらいしかパッと浮かばないぞ…)

等と考えながら周りを見渡すと岩が目に留まる。

 

「では、どうでしょうか。あの岩へ何か攻撃魔法を使ってもらうというのは」

 

「おっけー」

 

ワムデュスが軽く指を振った瞬間、小さな水の球体が作り出される。

その球体から無数の細い紐のような水が岩に向かい、優しく抱擁するように岩を包み込む。

するとまるで生クリームのように、いとも簡単に岩は寸断され崩れていく。

残ったのは細かくサイコロ状にカットされた岩だったモノ。

──皆一様に唖然と立ち尽くすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし凄かったです!何の魔法なのでしょうか!?見た事もありません!」

 

「ふふん!ワムはすごいので!」

 

 

(アインズ様、アレは危険です。ここで殺しておくべきかと)

 

(危険なのは分かっている。だが情報が足りない。こちらから手を出すべきではない。

 それにお前は先の魔法の正体が分かっているのか?見た事は?射程距離は?

 我々にもダメージを与え得るのか?確実に殺せると確証があるのか?

 何よりよく周りを見ろ。他の人間はどうする気だ。今は冒険者だという事を忘れるな)

 

(…浅慮でした。申し訳ありません)

 

と言いつつも全く警戒を緩めていない。

心の中で溜息をつき、考える。

アレは危険。それに関しては同意見だ。

何も唱えていなかったのを見るに、無詠唱化した魔法という可能性──

しかしあんな魔法は見た事がない。勿論知らない魔法という可能性もあるが…。

 

或いはこの世界固有の魔法か、特殊能力(スキル)か。

待て、生まれながらの異能(タレント)という可能性は…?

プレイヤーである可能性は捨てきれないが、この世界の人間か?

 

「すげぇ魔法だったな!でもよ、こんだけ凄いのに六竜なんてチームはやっぱり聞いた事ないぜ」

 

「そういえばフェディエルさんは気づいたら急にこの辺に居たんだろ?ワムちゃんは何処から来たんだ?」

 

聞き捨てならない事を聞いた。

前言撤回だ、同じプレイヤーである可能性が一気に浮上した。

ここは掘り下げるしかない。

 

「どういう事ですか?」

 

「今聞いた通りよ、此方は気が付けばここに居ったぞよ」

「ディーエはせつめい下手」

「んな!?」

「ディーエが誰かに連れてかれた

 だから探してたらワムも連れてこられた」

 

「つまり…攫われたと?」

 

「ちょっと違う、けどそんなかんじ」

「ディーエと会えたのも偶然。つまりワムはひがいしゃ」

「此方のせいではなかろうが!」

 

その後色々聞いて少し見えてきた。

なるほど…アインズは会話で入ってきた情報を整理する。

つまりこうか。

 

フェディエルという女が突然居なくなった。

本人曰く気づいたら…との事だが、攫われたか、或いは転移でもさせられたか…。

 

消えたフェディエルをこの子…ワムデュスは探し回って…

同じ犯人に同じ手法で攫われた。

 

そして幸運にも再会したと。

だが不幸にも帰ろうにも帰れず、そもそも此処が何処かもわからない…か。

プレイヤー…ではなさそうだな。プレイヤーだとしたら噓の内容がしょうもなさすぎる。

もう少しいくらでも言い訳や理由付けはできるだろう。

わざわざこんな嘘をつく必要もない。

 

となるとこの世界の人間か…。何処に住んでいたのかは気になるところだ。

先ほど見た魔法…?の研究もしてみたい。

など考えているとペテルが口を開く。

 

「ところで…さ、フェディエルさん」

 

「ん?なんぞや?」

 

「その、他の六竜の人ってどんな人達なんです?

 お恥ずかしいですが、ワムちゃんやフェディエルさん見てると気になって気になって」

 

「確かに気になるのである!!」

「良ければ聞かせてください!」

 

「それは私も興味があります」

 

とモモンも続く

情報は多いに越したことはない。

 

「ちょ、ちょっと近いぞ主ら!」

 

憧れのアイドルに出会ったような漆黒の剣とそれに混じったンフィーレアの目はキラキラに輝いている。

フェディエルがちょっと引いているようにも見える。

 

「聞きたいの?ならワムおしえたげよっか」

 

「おお!?ぜひ教えてほしいである!」

 

ふふーんと胸を張る幼女の前に集まる大人5人が正座をしているのは…

はたから見れば異様な光景だ。

 

「イルはー…ん-、料理すき。あと凄いやる気。素材あじがする。

 ルオはやさしーんだけどやさしくないフリする

 ウォンは変な方向にマジメ。あとは──」

 

どちらかと言うと、知りたい話というよりは個人的な情報をバラまいている。

島を投げつけた…とかも聞こえた気がしたが、それはまぁ、子供のいう事である。

身振り手振りで子供が話しているから…というのもあるだろうが

聞いている側もニコニコして聞いているのでワムデュスも受けていると判断し、ニコニコする。

その雰囲気も相まって、聞いているだけで仲が良いのだな…と感じるには十分だった。

 

(…何を羨ましがってるんだ俺は。俺にはかつての仲間たちが居る

 そう、何者にも代えられない。素晴らしい仲間たちが。)

 

ニニャが笑顔で口を開く。

 

「でも、そんなに素敵な仲間達が居るんでしたらきっと…

 きっと直ぐに見つけてくれますよ!」

「うむ!その通りである!!」

「フェディエルちゃんもワムちゃんもきれーだしなー!

 俺もそのウォンちゃんにも会ってみたいぜ!」

「お会いできるときは是非紹介してください!」

 

 

すると先ほどまでしたり顔で話していたワムデュスが困った顔で口を閉ざす。

 

 

「奴らはこの世界にはおらんよ」

 

 

空を見ながら会話を聞いていたフェディエルが独り言のように呟いた。

その一言はやけに大きく響いたような気がした。

 

「え?」

 

少しの沈黙の後、話を聞いていた5人は顔色が変わる。

 

「…っ!…ごめんなさい」

 

「…?何を謝るかや?」

 

「…何も知らず…その…あの…ごめんなさい」

 

「ああ…俺もその…考えなしに聞きたいなんて軽率だった…申し訳ない」

 

「ワムちゃんも!…思い出させたりして…本当にごめんなさい…」

 

 

ワムデュスは急ぎ足でフェディエルに近寄り耳打ちする

 

(ワム、何か変な事いった?)

(此方にもさっぱりぞ!何故謝るんかや?

 しかもさっきまでと違って皆やけに気落ちしとるぞ!)

(わからない。もしかして、ワムの話つまんなかった?)

(此方には面白く聞こえたが…ル・オーの奴がまさかそんな事をしておったとはな

 知らなんだ)

(ワムが話したって、ルオにはないしょ)

(ただちょっと此方は今の雰囲気は苦手ぞ)

(ワムも。好きじゃない)

(ふーむ、ちょっと散歩でもするかや?此方らが場を離れれば元に戻るやもしれぬ)

(いいよ、気落ちしている時はそっとしておくのも大人だって前聞いた!)

 

「さて、ちょっとその辺をぐるっと回ってくるぞよ」

 

そう言い彼らを背にする。

 

「話を聞いて──久々に話したくなったぞ

 特にル・オーの奴とな」

 

独り言のようにポツリと呟く。

ワムデュスの会話を思い出し、笑いそうになるのを堪える。

自分が知らない六竜の意外な一面を知ってしまったのだ。

が、こんなに…何故か急にしんみりした雰囲気なのだ、笑えるわけがなく…

笑ってはいけないと思うとより面白く感じてしまい…。肩が震える。

 

「少ししたら戻るでな」

 

そう言い残し彼女達は闇に溶けていく。

 

 

 

「…本当に楽しそうでしたね、ワムちゃん」

「…ああ…本当に仲が良い…家族のような仲間だった…んだろうな…」

「…もしかしたら、あの力はもう失う事のないように。って思いで身に着けたんでしょうか…」

「…かもしれないな。子供とは思えないような…想像もつかない努力をしたんだろう」

「それなのにあんなに笑っていられるなんて…強いんだなワムちゃんは…」

 

ポツリ、ポツリと彼女の身の上を想像し、誰からともなく口にする。

幼い子供が身に付けていた力の理由や自分たちの軽率さを後悔しながら。

 

 

(モモンさ──ん、追いますか?今なら誰の目にも付かずに始末できるかと。

アルベド様にナザリックより戦力要請をすれば──)

 

(よせ、ナーベ)

 

ナーベラルの提案を聞き終える前に蹴り、アインズは思考する。

先ほど見た力は未知の力。情報が必要だ。捉えて調べるのが最も確実。

我々が行使できるようになればナザリックの利益としては最上だろう。

だが──しかし。

 

(ナーベよ。私は──彼女達が我々に敵対しない限りは害する気はない。

 無論警戒はすべきだろう。だが勝手な行動は慎め)

 

 

──家族のような…仲間か…

 

パチパチと燃える焚火に目を落とし彼女の話を思い出す。

大切な何かを思い出すように。

はぁ…と軽く息を吐き出し無詠唱化した伝言(メッセージ)を発動させる。

 

<セバスか?私だ。気になる事が出来た。少し計画を変更する。シャルティアを使って情報を引き出すのは後に回せ。──そうだ。消えてもいい人間への接触は後に回せ。──わかった。シャルティアには隠密でお前達の警護に回るよう伝えろ。詳しくは追って私から伝言(メッセージ)を送る。そしてもう一つ。現地人にはより警戒して事に当たれ。我々の見知らぬ魔法を行使する可能性がある。そして──「六竜」という情報を探れ。これが最優先事項だ。ただし、内密にだ。>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱわからない。なんで急に皆かなしそうだった?」

 

「やはりヒトの子はわからぬ…いや、きっといつかはわかろうぞ…」

 

彼女達は知らない。何か盛大な勘違いをされている事を。

一方的に小さな好意を抱かれた事を。

 

特に行く当てもない彼女達は彼らに同行する事になる。

なお少しの間、腫れ物に触るような扱いを受けより困惑を深めたとか深めなかったとか。

 





後にエ・ランテルから深夜に馬車が出る──予定だったがその予定はなくなったとかなんとか。






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