本来の世界線
本来なら大臣が毒物を食べて大事になり、壬氏は混乱を収める為時間を取られる。+里樹妃の虐め問題等で猫猫と夕暮れぐらいまで仕事。
この世界線
大臣が場を収めて壬氏が自由行動できた。+虐め問題等がない。結果として猫猫と事件について語り合った後、通常業務で仕事場に向かった。
羅漢→本来ならまだ様子見段階だったが、大臣事件がなく邪魔が無いため壬氏との接点を理由にパパだよぉぉをしたくなった。そして里樹妃に捕まった。
大臣が運命の鍵だったんだよ。
「これは里樹妃、どうなさったのでしょう?まだ今回の犯人が捕まっておりません、危険ですのでお連れの軍師を護衛に金剛宮にお戻りください」
他の者が見たらキラキラと輝いて見えるほど清々しい笑顔で言い放つ。その様子を見ていたジンシの付き人、
そんなシンジの態度を受け流し、リーシュ妃は笑いながら待機させていた侍女を中に入れる。その顔を見たジンシは園遊会でリーシュ妃の毒見だとわかった。
「今回の事件で私の毒見も関わったでしょ?早めに聞き取りでもと思って訪ねに来ましたのに、お酷い人ですね壬氏様」
露骨にうろたえる様に顔を隠す。
その態度に苦虫を噛み潰した顔になりかけるが、ジンシは何とか耐える。
「・・・ありがたいご配慮、感謝いたします」
ジンシの我慢が限界だと悟るとガオシュンは話をそらした。
「ところで…羅漢軍師とどこでお知り合いに」
「私が金剛宮に帰る道すがらですわ」
様子を見守るように眺めていたラカン。普段の底を見せない態度で言い退ける。
「人探しをしていたら、捕まりましてな。残念ながら間が悪かった、また改めて」
そう言いながらそそくさと外に退出していく。その背中を流し目で見るリーシュ妃は、どこか呆れたようにしていた。
普段と違いあっさりと退出していく人物に呆気に取られたジンシ達…一早く復活したジンシは思った。
(あいつ、擦り付けて行きやがった!)
「あらあら残念。互いに探し人がいなかったようで」
ガオシュンに毒見から聴取するように命じ、退出させる。
目の前の人物と嫌々ながらその間会話する。
「誰をお探しに?」
その問いを投げかけた時、ジンシは嫌な予感がした。
「玉葉妃の毒見を探しています」
「理由を聞いても…」
「興味が出たからではご不満?」
当たり前だ!…と口には出さず、理由を述べた。
「事件の立証者であり、犯人からの恨みを買う恐れがあります。私としても、安全を配慮した上での対応だとご理解ください」
「うふふ、その言い方だと私が犯人みたいに聞こえるわ」
「失礼を徳妃。役職者としての立場から平等に見ている故」
違うだろうとわかってはいるが、本当に犯人なら絶対捕まえたいとジンシは思った。リーシュ妃は政治的立役者達と繋がりを持っている。
前皇帝の妃であり、現皇帝の妃でもあるリーシュ妃は当初、他の者達から節操の無い人物として見られていた。しかし、この幼子は嘆きもせず笑ったのだ。
『ああ、楽しい舞台の幕開けね』
妖艶に舞、男女問わず酔いしれる。幼子の如く近づきながら懐に入り込み、気づいた時にはもう遅い。今ではリーシュ妃を裏で支援する派閥ができる程、政治的介入を許してしまった。
ここまで気づかなかった理由は、リーシュ妃の人心掌握が以上に上手いせいだ。相手の心に入り込む様に言葉巧みに誘導、調教…ジンシとしての仕事を増やす元凶の一人、それがリーシュ妃なのである。
「あの毒見を特別視していません?」
「何のことでしょう」
答えたそばから笑われた。こいつは確信犯だとげんなりした。
「まあいいでしょう。彼女に興味を持った理由は三つ、一つは毒に対して並々ならぬ行動、二つはあの玉葉妃の毒見だという事、最後は…女の勘ですわ」
毒とわかっていながら更に摂取しようとする精神性。少数精鋭と言ってもいいギョクヨウ妃の信頼を受けた毒見である。そして、ジンシが露骨に庇う異性のお相手。それらを含め、興味が出た事柄に前進したくなる好奇心が加わって、今の状況である。
どう答えたらいいか迷っているジンシを隠そうとしないニヤニヤ顔で見守る…そうしていると足音が聞こえてきた。
「あら残念、今日はここまでのようですね」
侍女の聴取が済み、主が弄られたとわかるとガオシュンは一早く動いた。
「お待たせ致しました」
扉を開け、失礼のない範囲で催促する。その涙ぐましい行動にリーシュ妃は肩を落とす。
「どうもありがとう。壬氏様も犯人探し頑張ってください」
やっと解放されると思いながら、リーシュ妃が外に出ようとした時、ジンシも緊張を解く瞬間…「ああ、最後に一つだけ」と口ずさみ振り返った。
…簪を渡すより、
その言葉を聞き、ジンシはついに顔を顰めた。薄笑いが聞こえなくなった仕事場で、今度は大きな子供の叫び声が木霊したという。
この世界の里樹妃は原作の受け身ではない。サドである。