第壱話:鳴柱
第壱節:最速の剣士
鬼殺隊が結成されてから百年以上が経った現在。
初の上弦撃破や、早すぎる下弦の入れ替わりなど、際立った功績を残している当代の柱たち。
中でも主力とされていたのは、故人や現役引退者も含めれば
岩柱──────善覚
水柱──────ながれ
炎柱──────
羽柱──────
の四人である。
始まりの剣士の代を例外として、上記で列挙した剣士たちの実力は歴代でも上位に位置していた。
そんな彼らの中においても、"最速"と呼ばれる剣士が一人。
名は
齢十三で鬼殺隊に入隊し、一年後に鳴柱になった天才。
若さゆえの経験不足が目立つが、数年後には間違いなく善覚やながれに並ぶであろう人物である。
◇
第弐節:下弦の壱
享和2年 12月24日(西暦:1803/01/17)──────
下弦の鬼と上弦の鬼──────。
同じ十二鬼月であっても、その差は天と地ほどある。
さらに、前代未聞の上弦討伐が起きた際の動揺の大きさの違いから、両者の違いは実力だけではないことが伺える。
上弦の鬼は鬼舞辻無惨からの発破により、一層精力的に動いた。
しかし、下弦の鬼の活動は、柱との遭遇を避けるかのように、消極的なっていた。
それは、下弦の壱である
「俺は運が悪い・・・なんで鬼狩りが俺なんかのところに来たんだ・・・俺は繰り上がっただけなんだよ・・・」
ぶつぶつと独り
中肉中背で、それほど高くない身長は、猫背な姿勢により、一層小さく見えた。
──────だがしかし。
鬼の足元には、
その光景が、男が十二鬼月であるなによりの証拠であった。
隊士の体は真っ二つに切り裂かれていたが、その切傷は鋭利な得物によるものというより、目の粗いやすりで削ったようなものであった。
そして何よりも異様なのは、鬼の周囲に、ぎりぎり肉眼で捉えられるくらいの大きさで、血のように赤黒い粒子が漂っていることだ。
「柱が来たら終わりだ・・・すぐにこの場所を離れて・・・」
そう言って、剽鼠は隊士の死体を粗雑に踏みながら、その場を後にしようとする。
しかし。
「お~い、どこ行くのさ?」
どこか刺々しい子供の声色が響くと、剽鼠の肩がビクリと動く。
そんな鬼の様子を気にもかけず、少年は続けた。
「このまま帰すわけないでしょう。私の大事な隊士をこんなに殺して。それと何?さっきの」
"さっきの"とは恐らく、剽鼠が隊士の死体を足蹴にしたことだろう。
それは彼自身も理解しているようで、すぐさま少年の方に身体を向け、跪いた。
「頼む・・・許してくれ!もうしないから!」
「良いよ。その首を差し出したら許してあげる」
「勘弁してくれ・・・命だけは・・・まだ死にたくないんだ!」
みっともなく、地面に額を押し付ける剽鼠。
そんな彼を、少年は冷たく見下ろした。
「ああもう、うるさいな・・・もうこr」
少年は、言葉を言い切る前に、突如として上に飛んだ。
「ちょっと・・・話してる途中でしょうが」
「くそっ・・・なんで今のが当たらないんだ・・・!?」
どうやら剽鼠は、少年の背後から攻撃を仕掛けたようだ。
もちろん、鬼と少年は向き合った状態であったため、背後からの攻撃は剽鼠の血鬼術、もしくは第三者によるもの。
真相はすぐに分かった。
「俺の血鬼術を簡単に・・・そうか、お前柱だな・・・!?」
「よく分かったね。あ、言っとくけど名前は名乗らないよ」
そう言って、少年は木の枝に掴まると、得意げに言葉を続けた。
「お前の血鬼術は、細かい粒が高速で循環する刃を生成、操作するものだろ?確かに当たれば一溜まりもないだろうね。でも、発動時の空気の動きや音が、"今から攻撃しますよ"ってくらい分かりやすいよ?」
「つまり何が言いたいんだよ・・・!?俺頭悪いからもう少し分かりやすくしてくれ!」
鬼の台詞に対して、少年は不敵に嗤った。
「私の"最速"の前では、"無意味"だって言ってんの」
いつの間にか、刀を抜いた状態で鬼の背後で立っていた少年はそう言ってのけた。
そして、鬼の首が胴から落ちる瞬間を
今回敵として出てきた下弦の壱
当初は実力も位相応に高く、期待株だったのですが、半年前に突然人間が食えなくなりました。
(響凱みたいに)
それと、盲点だったのは頭が悪いこと。
血鬼術は強力なのに勿体ない・・・
それでも十二鬼月に残り続けているのは、下弦のレベルが低いからです。
剽鼠の血鬼術は以下の通りです。
「
→砂を高速で循環させたブレードを生成、操作する
「
→砂を高速で循環させたドリルを生成、操作する