第壱節:乱入者
宗丸をかばう様に、背丈は6尺(約180cm)を優に超え、背中に大きく結ばた
そして、猗窩座の視線は突然の乱入者に釘付けになっていた。
「名前を教えてくれ。俺はお前がすごく気になる」
猗窩座がそう尋ねると、男は
「オイラは怒柱、
乱入者──────治郎吉がそう答える。
対する猗窩座は、先ほどとは見間違えるほど、表情に愉悦が浮かんだ。
「俺は猗窩座。治郎吉、お前ほどの剣士は久々に見たぞ。どうだ?鬼にならないか?」
「ハァ?何言ってんだお前?」
「やはりお前もそう答えるか・・・では、殺すしかないな」
猗窩座はそう言って肩をすくめる。
そして。
「破壊殺──────」
その言葉と共に、猗窩座が構える。
柱二人は直観で危険を察知したのか、すぐさま後ろに飛んだ。
そして、猗窩座が地面を強く踏む。
「──────羅針」
先ほどまで彼らが立っていた場所には、妖艶な雪の結晶のような紋様が浮かんだ。
◇
第弐節:均衡
宗丸と治郎吉は並び立ち、敵をまっすぐ見据える。
そんな中、宗丸は強張った表情を少し緩め、口を開いた。
「助かりました・・・治郎吉さん」
「気にすんな!ネンチョーシャとしてトーゼンのことをしたまでよ!」
「それにしても上弦の鬼、想像以上です。速さには自信があったのですが、一回の技で見切られました」
「きっついなソレ・・・」
治郎吉は、先ほどまでの元気が嘘であったかのように、声の調子が低くなる。
そんな彼らを他所に、猗窩座は勢いよく飛び出す。
凄まじい速度で繰り出される拳、それを治郎吉は的確に受け止める。
そして、隙間を縫うように、宗丸の居合が猗窩座を襲う。
そんな柱二人の連携が、猗窩座に傷を負わせていく。
しかし、負傷させても瞬く間に回復され、決定打を入れることはできないでいた。
とはいえ、曲りなりにも、上弦の鬼と対等に切り結んでいるように見える。
しかし。
その均衡も、すぐに崩れることになる。
◇
第参節:怒り
均衡が崩れる契機となったのは、宗丸の負傷であった。
どうやら猗窩座は、戦いの中で治郎吉の技に適応し、宗丸への反撃が可能になったようだ。
上弦の鬼である猗窩座にとっては片手間の攻撃ではあるものの、人間からしてみればそんなことは関係ない。
宗丸は腹部を抑えながら吐血し、攻撃を中断した。
戦力として劣る方を先に叩き、各個撃破にもっていく戦略なのだろうか。
残るは治郎吉のみ。
彼は、仲間の負傷に表情を一変させる。
だが、怒りだけでは鬼に勝つことはできない。
そして、一度綻んだものが崩れ切るのは、早かった。
「破壊殺・脚式──────流閃群光」
無常にも、猗窩座の蹴りが治郎吉をはるか遠くまで吹き飛ばした。