楽園開拓即興戯曲   作:怪童外套

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時間軸は特にありません。強いていうならリヴァイアサン関連の内容が含まれているためコミカライズ勢アニメ勢はご注意ください。


水晶巣崖の一日

 

 

ここは水晶巣崖。フォスフォシエからエイドルトへの道のりである奥古来魂の渓谷を囲む崖に位置する危険地帯である。なぜ危険かというと、そこにいるモンスター、『水晶群蠍』が群れを成して襲ってくるからであり、侵入者の悉くを仲間諸共鏖殺してくることから『水晶地獄』とも揶揄されている。

 

しかし強力な敵MOBがいるところほどレアなアイテムが獲れるというのがゲームの常であり、水晶巣崖もその例に漏れずラピステリア星晶体を始めとした稀少な鉱石や水晶群蠍の素材といったレアアイテムが獲れる。

 

そのため、何度でも死ねる開拓者がワンチャン狙いで訪れることも珍しく無いのだ。(そもそも開拓者以外の立ち入りは禁止されているが)

加えて、ある有名プレイヤーがここを攻略出来ているという情報が戦利品という確かな証拠とともに広まって以降、この場所に来る開拓者の数はより一層増えている。

 

 

今日はそんな水晶巣崖の一日を見ていこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AM9:00

 

水晶巣崖には一人の男が立っていた。

 

「やっと着いた……。ここが水晶巣崖、ツチノコさんの力の源泉か…。きっとここにユニークの秘訣があるに違いない!」

 

男はユニークに飢えていた。リア友に自慢するために、最近シャンフロを始めた思い人に尊敬の眼差しを向けてもらうために、己の武器であるランスを片手に今まさに水晶巣崖に挑まんとしていた。男はトップクランに所属しているわけではなく、ジョブも上級職であった。しかし男にとってそれらは己の欲望に歯止めをかけるほどの力を持っていなかった。

 

 

 

「うおおおおぉぉぉぉ!!!!」

 

 

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<<うわぁぁぁぁぁぁぁ

 

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PM1:00

 

水晶巣崖には四人の男女が立っていた。

 

「着いた〜!」

 

「すっげーきれーだなぁ」

 

「ここでいいんだよな?」

 

「うん…あってるはずだよ。」

 

四人は初心者であった。同じ学校に通っており、ちょうど同時期にシャンフロを始めていたがキッカケで行動を共にするようになっていた。彼らは皆インターネットにあまり精通していなかった。そのため掲示板で吹き込まれた「水晶巣崖は楽に稼げる良い狩場」という嘘を間に受けてしまっていた。

 

 

 

「行くぞー!」

 

「「「おー!」」」

 

 

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<<やばいってこれ!やばあああああっ!?

<<死にたくなぁぁぁぁぁぁぁぁ

<<ちょうど良い狩場って嘘じゃんよぉー!!!

<<ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

PM2:00

 

水晶巣崖には何人もの人間が立っていた。

 

「今日はお集まりいただきありがとうございます」

 

「冷静に考えて裸一貫にツルハシって相当ヤバいですよね」

 

「言わないでくださいよ意識しないようにしてるんですから」

 

「……ともかく。恨みっこなし、拾った者勝ちでいいですね?」

 

「「「「「「異議なし!」」」」」」

 

彼らは皆生産職だった。市場に出回らない、出回ったとして高すぎて買えない彼らは、各々使用用途は違えど水晶巣崖のアイテムが欲しいというただその一点で一致団結していた。彼らはこの場所に挑む無茶を正しく理解していたが、それでも引くという選択肢は持ち合わせていなかった。

 

 

 

「逝くぞぉ!!!!」

 

「「「「「「「ウオォォォォ!!」」」」」」」

 

 

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<<一人轢かれた!!

<<構うな進めぇ!

<<ああっ!ツルハシがぁ!

<<素材を踏み壊すなぁぁぁ!!

<<ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

 

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PM8:00

 

水晶巣崖には三台のロボが立っていた

 

「え〜それでは、タイプメンの性能検証を始めます。」

 

「ねぇわざわざここでやる必要あった?」

 

「何を言ってる。どこまで無茶をできるかを測るのが検証というものだろう。」

 

「いや検証する前に壊されちゃ世話ないでしょう。」

 

「まあそれも含めて検証ってことで」

 

ロボに乗る者たちは皆ライブラリというクランに所属していた。未だ全容の見えない神代の技術の一端を知るため、そしてあまりに多くの未知を抱える男の見ている景色を知るために己が身を賭した実験を行おうとしていた。彼らは未知を解き明かすためならば、そこが地獄であろうと立ち向かう情熱を持っていた。

 

「検証開始だ!」

 

「「応!!」」

 

 

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<<いけいけぇ!

<<案外やれるぞタイプメン!

<<えなんで壁n

<<あるぇ!?ちょ待っぶべぇ

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

PM10:00

 

水晶巣崖には一人の変態が立っていた。

 

「遊びに来たぜ親友ー!」

 

変態はハシビロコウを模した頭に半裸という格好をしていた。水晶群蠍を親友と呼び、彼らの素材とレアな鉱石を獲るために独りで水晶巣崖に向かわんとしていた。今から地獄が如き場所に行かんとする変態の顔に、恐怖は一ミリもなかった。まるで本当に慣れ親しんだ友の家を訪ねるが如きその様相は、まさしくもってゲーマーであった。

 

「最近は何かとラピステリアが入り用なんだ……頼むぜ親友!」

 

 

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<<四等!三等!四等!二等!五等!五等!

<<いいねぇ豊作だ!そのまま一等も落とせ!

<<おい親友また腕あげたか?だがまだ甘い!

<<あっエルダー君にゴールディ君………

     ………………………ご機嫌いかぐべぇ

 

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これが水晶巣崖の日常。輝かしい鉱石と透き通った殺意で彩られた美しい地獄の日常である。

 






人の欲とは恐ろしいものですね。

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