妖夢は霊夢を睨んでいた。
「どなたか存じませんが、私達の邪魔をするのであれば容赦はしませんよ」
妖夢は気を失ったムゲンを地面に優しく寝かせ、霊夢の方を向き、刀に手をかけた。
「どなたか存じませんが、私たちの邪魔をするのであれば容赦はしませんよ……ね、そっくりそのまま返すわ」
霊夢はさも余裕があるかのように返したが、肩で息をしているのを妖夢は見逃さなかった。
霊夢も既にムゲンとの戦いでかなり疲弊している。霊夢自身も自分が限界に達していたのを感じていた。
「二人とも、私が連戦だとあんた達に悪いからどっちかに譲るわよ」
精一杯の強がりである。『ハクレイの巫女』は最強でなければならない。弱さを見せてはいけない。勝ち続けなければならない。
「逃げるんですか?」
「逃げじゃないわ。二人ともここに来るまで私に相手を獲られまくってイライラしてるのよ。だからこれは優しさよ」
上では魔理沙と咲夜が出番を争っていた。
「どっちが行く?」
「あなたに譲るわ」
「いいのか?」
いつもなら二人とも我先にと出てくるはずである。しかし咲夜は自ら機会を魔理沙に譲った。
「いいのよ。私じゃ役不足だし」
「あの銀髪そんなに強そうに見えないけどな」
「違うわよ。あの男が気付いたら誰が相手するのよ」
「二人のうちのどっちかだろ?霊夢は無理そうだしな」
「私よ。私は貴女よりも近接格闘なら強いのよ。」
咲夜がそう言うと、魔理沙は理解したようでわかったとだけ言い下へと降りていった。
「霊夢、交代だ」
魔理沙はそう言うと右手を挙げた。霊夢も頼んだとだけ返し、魔理沙が挙げた右手に自分の左手を合わせた。
「やい、ちっこいの!お前の相手は私だ!」
魔理沙は箒を立て、妖夢を指差し強い語気で宣言した。
「私よりも小さいのにちっこいのとはどういう了見ですか?」
ちなみに魔理沙は妖夢のデコの高さに頭が来る。そして二人は霊夢の目の高さに頭が来る。はっきり言ってドングリの背比べである。
「うるさい!私はまだ成長期なんだよ」
「それなら私もですよ。私は肉体的にはまだ十代前半ですから」
「とっととお前を倒して宴会に参加するとするか」
「死んでからなら歓迎しますよ」
二人が浮かび上がり、弾幕ごっこが始まった。
「咲夜、どう思う?」
「霊夢は?」
「6:4で魔理沙。あんたは?」
「55:45ね。半々でもいいと思ってるわ」
「それは実力のはなし?」
「もちろん。精神状態も加味するなら7:3 ってとこかしら?」
「どっちが?」
「わかってるでしょう?」
「それもそうね。どっちにしても」
「『鍵はあの男』でしょ?」」
咲夜が遮るように言う。その目は下で横になっているムゲンを見ていた。
「悪い目が出ないように祈るわ」
そう言って二人は弾幕ごっこの方に目を移した