魔理沙と妖夢が戦いを霊夢と咲夜が眺めていた。
「そろそろ起きるかしら?」
咲夜が、霊夢に語りかける。ムゲンが眠りに落ちてからかなりの時間が経過している。
「できるだけ早く終わらせておきたいのだけどね」
霊夢が見上げる。
妖夢と魔理沙が未だに戦闘を続けていた。
「心配しなくてもすぐに終わるわよ。二人とも疲れきっているしどちらかが諦めるわよ」
「あの脳筋魔法使いが諦めるとは思えないのだけど?」
そう言うと、霊夢はくくっと小さく笑った。
「冗談が言えるようならもう大丈夫ね。この異変貴女にいいとこ取りしてもらうことにするわ」
咲夜はそう言ってゆっくりと下へと降りていった。
「あんたたち何か勘違いしているみたいだけど、異変解決は私の仕事なのよ。元々あんたたちが出る幕はないの」
霊夢は言いたいことをいい終えると下を、ムゲンが眠る辺りへと視点を下ろした。
そこには立ち上がり、元より鋭いその眼差しをさらに尖らせ一直線に霊夢へと向けるムゲンがいた。
ムゲンは刀を霊夢の方へと向けるとその鋭い眼差しのまま、大きく口を開けた。
「降りてきやがれ紅白!おれは負けちゃいねぇぞ!」
「残念ながら一回戦はあなたの負けよ、ムッシュー・サムライ。ここからは二回戦。あなたの得意分野で戦ってあげるわ」
「誰だ、てめぇは?」
「そうです。私が完全無欠のメイド長十六夜咲夜です。以後、お見知りおきを」
咲夜はスカートの裾を持ち上げながら軽く会釈をした。
「知ってたか?物事は完成すると崩壊が始まるんだよ。お前はいつ崩れるんだ?」
ムゲンは刀の鋒を霊夢へと向けながら咲夜を睨み付けた。
「私は永遠に紅いレミリアお嬢様に使える身。私も同じく永遠に完璧よ」
咲夜は平然とさも当たり前の様に返した。
「世の中には諸行無常って言葉もあるんだよ。俺が、用事あるのはそこの紅白だけだ。邪魔物は切り伏せる!」
そう言って、鋒を咲夜へと向け直した。
ムゲンが構える間もなく咲夜がナイフを投げる。
しかし、ムゲンは難なくこのナイフを弾く。
「やはり、正攻法では無理なようね。次で終わってくれれば苦労しないんだけどね!」
そう言って、咲夜は能力を行使した。
瞬きする間もなくムゲンの周囲にムゲンのナイフが仕掛けられた。そして、それらは全てムゲンの方へと向かっている。
「しゃらくせぇ!!」
ムゲンが刀を、下駄を、手を使い、ほぼ全てのナイフを弾き返した。しかし、いくら化け物といえども限界はある。いくつかのナイフは弾くことができず、肩や足に切り傷を受けてしまった。
「この程度か?」
切り傷を負いながらも、ムゲンは余裕を見せた。まるで痛みを感じないかのような忍耐力、決して敵を見失わない精神力。それらの全てに咲夜は感心していた。そして、同時にムゲンのそれらの出所に疑問を持った。
「あなたは何のために戦うのかしら?主を守るため?銀髪のレディを守るため?」
「戦うのに強くなりたい以外の答えがあるのか?」
「少なくとも私たちはそう。霊夢は幻想郷の秩序の為、魔理沙は父親への対抗心から、そして、私はお嬢様の望みのために」
「かったるい理由なんか必要ねぇんだよ。俺は俺のために、俺が強いことを証明するために戦う」
「まるで悪役の台詞よ。仮にも主人公のものとは思えないわね」
「だったらなんだ?勝ったやつがヒーローなんだよ」
そう言ってムゲンは咲夜の方へと大きく踏み出した。
「でも、私が勝ったところでヒーローにはなれないわ」
咲夜はそう言いながらムゲンの斬撃をナイフで受け止めた。
「私がなれるのはヒロインだけよ」
ムゲンの頭がいいのは気のせいです。
原作風の台詞回しを意識してみたらこうなったとかそういうわけではないです