だって動かないし、三人称で書こうとしたら心理描写も薄くしないといけないし……
妖夢は石段を駆け上がっていた。
目を覚まし、一刻が経ち、体力もある程度戻った妖夢は咲夜から春の欠片をもらい、白玉楼へと向かっていた。
巫女が登ってからの時間を考えると、そろそろ幽々子との闘いも終わっているはずである。
勝っただろうか?
負けたのだろうか?
ムゲンは無事だろうか?
ムゲンは無茶をしていないだろうか?
不安だけが妖夢の頭のなかを駆け巡っていた。
もうすぐで白玉楼というところで春の欠片を入れた瓶に異変が起きた。
突如、桜色に輝いていた花びらがより強く輝きだした。
妖夢は足を止め、小瓶を取り出した。
先程よりも遥かに明るく、強く輝く桜の花びらは瓶をすり抜け、上へ白玉楼の方へと向かっていった。
「共鳴してる?」
白玉楼には妖夢が顕界で集めた多量の春の欠片が西行妖と共にある。
もしかするとその西行妖と共にある春の欠片が近くにある春の欠片を吸収し始めているのではないかと妖夢は考えていた。
「こんなの……聞いてない……」
妖夢は重なる不安を胸に足を速めた。
白玉楼では、幽々子と霊夢の弾幕ごっこが続いていた。
「わからないわね」
「あら、何かご不満かしら?」
霊夢が攻めの手を止め、幽々子に語りかける。
「こんなデカい屋敷に住んで、まだ遊び足りないだなんて……本当に御嬢様の考えることはわからないわ」
「簡単よ。持っているということは、それだけでつまらないの。たくさん持っているから、持っていない僅かなものがとても輝いて見えるのよ。まぁ、万年妖怪退治に追われて精神を枯らしてしまったハクレイの巫女にはわからないかもしれないわね」
「で、欲しいのはあの桜なのね」
霊夢が背後に佇む一際大きな桜を指す。その回りには桜色の魔力が取り囲み、その桜が他のものとは違う、異質なものであることを示していた。
「よくわかったわね。あの桜は私がここに来たときから一度も咲いていないの。まるで私がここに来たが為に咲くのをやめてしまったかのように。だから咲かせるの。素晴らしいでしょ」
幽々子は扇を口の前に添えて、上品に笑った。
対する霊夢は、その様子が気に入らなかったようである。
「本当、お嬢様って自分勝手よね。あれは間違いなくヤバイもんだから止めときなさい」
勘がそう言ってるのと付け加える。
「桜の木の下には死体が埋まってるの……」
「は?」
「知らなかったかしら?有名な詞よ。美しい桜色に咲く桜のしたには紅い血があって、桜はそれを吸い上げることで綺麗な花を咲かせるの」
「で、それがなんなの?」
「あらら?貴女は知りたくないの?あれほどにまで立派な桜のしたに誰が眠っているのか」
「興味ないわね。桜が咲けば花を見るだけよ。その下になんか用事はない」
「上ばかり見ていると躓いて転けるわよ」
「桜が咲いて花を見ない阿呆に言われたくないわ」
「美しいものをみたらその起源を知りたくなるものじゃないかしら?」
「私は春が来て、桜が咲いて、花見ができればそれで十分。そして、それを邪魔するあんたが大嫌いよ」
「敵に好かれても嬉しくともなんともないわ」
「初めて意見があったわね」
「じゃあ次に貴女がなんて言うか当てて見せるわ」
「のったわ」
「せーのっで言いましょうよ」
「「せーの」」
「「邪魔よ。桜の木の下に封印して上げる
埋めて上げるわ」」
「外れちゃったわね」
「意味は変わらないから大丈夫よ」
「それはよかったわ。早く続きをしましょうよ。下で貴女の思いの人が待ってるわよ」
幽々子は下に佇むムゲンを眺めた。
「そうね貴女を早々に倒してあいつとの、ムゲンとの闘いの決着もつけないとね」
そう言って霊夢は攻撃を開始した。
西行妖の封印が解けるまであと暫し……