ヨウムチャンプルー   作:まっまっマグロ!

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一件落着

「で、あんたたちの目的は何だったの?」

 

霊夢が妖夢へと問う。

 

今は花見の席、異変を起こしたもの、異変を解決したもの、異変をただただ傍観していたもの、知らず知らずのうちに異変の引き金となったもの、人間、妖怪、外来人……多くの人が桜に囲まれ、酒を囲み、つまみを囲い騒いでいた。

 

「私は主の命に従っただけ。まさかあんな事態になるなんて知るはずがないわ。ただ……」

 

そう言って妖夢は白玉楼の敷地のなかで一際大きな桜の木を見上げた。

 

桜の季節だというのに、花も葉もついていない不思議な桜の木を見上げた。

 

「あの桜が咲けばこの花見がより楽しくなったのかも……とは思うわ」

 

「そんな動機で異変を起こさないでちょうだい。里では作物も育たなくて大騒ぎだったんだから」

 

霊夢がお猪口を空にしながら諭すように言う。

 

その頬は僅に桜色に染まっていた。

 

「しょうがないでしょ?私は主に仕える身、その主の暇潰しに全力を以て応えるだけ」

 

「答える?応える?それとも堪える?」

 

霊夢が妖夢に絡む。異変解決を生業とするハクレイの巫女としてではなく、博麗霊夢として妖夢と話していた。

 

穏やかな雰囲気で親睦を深める二人の対局に座る白玉楼の主、西行寺幽々子とその友人であり幻想郷の賢者、八雲紫は静かにお猪口を傾けていた。

 

「貴女も本当に無理が好きね。そんなに桜が見たかったのかしら?」

 

「その件は不問にしてくれると助かるわ。私はただの好奇心であの桜の咲く姿が見たかったの。結果については私の想定外よ」

 

紫は目の前の宴会料理が見る見るうちに減っていくのを見ながら口角を上げた。

 

「貴女は何か知っているの?あの桜のこと、そして……私のことも」

 

「そこは不問にしてくれると助かるわ。私は白玉楼の主である西行寺幽々子の友人。それでよくなくって?」

 

「それで十分よ。どうやらあの桜について、私について知るのはもう少しあとの方が良さそうね」

 

「そうしてちょうだい。貴女は白玉楼の和室で扇の裏に口元を隠しながら樮笑んでいる方が自然よ」

 

「そんなラスボスみたいなのは私に向かないわよ。私にふさわしいのは精々1面のボス程度よ」

 

幽々子はそういって笑いながらながら扇で口元を隠した。

 

「ところで……」

 

紫が視線をずらす。

 

「何かしら?」

 

幽々子はその視線を追った。

 

「彼はどうするおつもりで?」

 

「んー、彼にはもう少しだけ、白玉楼のために働いてもらうわ」

 

「白玉楼のため?それは貴女のため?それとも……」

 

幽々子は扇をつきだし、紫の口を止めた。

 

「私は主なんて向いていないわ。だってこんなに優しいんですもの。主たるもの、たまには厳しくしないと……」

 

「貴女は主に向いているわ。だってそんなにも強欲なんですもの。主たるもの、自分の欲望のままに動いて然るべきよ」

 

「貴女ならそういうと思ったわ」

 

「彼を返すときは私に言ってね。ちゃんと然るべき場所に返してあげるから」

 

幽々子は「お願いするわ」と言いながら紫に徳利を差し出した。

 

紫もお猪口を差し出し、それに応える。

 

注ぎ終わると、紫は幽々子から徳利を受けとる。

 

互いに注ぎ終わると顔を会わせながらお猪口を空にした。

 

「これから永い付き合いでしょうけどよろしく頼むわね。貴女を失うのはまだまだ先でいいわ」

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