海賊戦隊の世界で、天下御免の侍戦隊! 作:ウルトラマントリガー
「ここか」
俺の名前は志葉丈瑠。三途の川から現れる外道衆から、この世を守る侍の一族、志葉家の現当主だ。
本来、俺は本物の志葉家当主を守る為の影武者だったのだが、その本物の志葉家当主である志葉薫姫と結婚することで、正式に志葉家の当主となった。
そんな俺には、ある秘密がある。
それは、俺が前世の記憶を持つ転生者であることだ。
そう。俺は知っている。この世界が、難易度が高めに設定されている海賊戦隊ゴーカイジャーの世界であることを。
そして、この世界を守る為に、俺以外にも34人の転生者がいることを。
今日はその中の一人に呼び出されて、あるビルの前までやって来ている。
「このビルは先週、隙間センサーが反応したビルだよな?」
外道衆は、三途の川からこの世に現れる時に、隙間を通ってくる。その反応を探るのが隙間センサーであり、反応があった場合には速やかに調査をする必要がある。
まぁ、ほとんどの外道衆は、この世に現れるとすぐに暴れだすので、調査ではなく討伐になるのがお決まりのパターンなのだがな。
そんなことを考えているうちに、指定されていたビルの屋上に到着した。
そこには、既に数名の人の姿があった。
「来たか」
まずは、俺を呼び出した張本人。宇宙警察地球署の署長にして、特捜戦隊デカレンジャーのデカマスターこと、ドギー・クルーガーさん。
「久しぶりだな、丈瑠」
次に、炎神戦隊ゴーオンジャーのゴーオンブラックこと、石原軍平さん。彼とはVシネの事件時に知り合った仲である。
「殿様まで呼んでたのか?まいったぜ……」
そう話すのは、獣拳戦隊ゲキレンジャーのゲキバイオレットこと、深見ゴウさん。この人とは初対面である。
「彼は今回の事件の当事者だからな」
そういって、ゴウさんの肩に手を置くのは、轟轟戦隊ボウケンジャーのボウケンレッドこと、明石暁さん。彼とは、ドギーさん主催の忘年会で顔を合わせたことがある。
「ええ。それに私の占いでも、彼が今回の事件の鍵を握ることになるって出てるわ」
水晶を片手にそう話すのは、魔法戦隊マジレンジャーのマジブルーこと、小津麗さん。彼女ともドギーさんの忘年会で顔を合わせたことがある。
「揃ったみたいね」
そんな言葉と共に、突然その場に現れたのは、忍者戦隊カクレンジャーのニンジャホワイトこと、鶴姫さんだった。
「いや、あと1人来る」
「よっと!お待たせ!」
ドギーさんのその台詞の後に、空から現れたのは、天装戦隊ゴセイジャーのゴセイレッドこと、アラタであった。
「なっ!?署長!流石にゴセイジャーはダメだろ!?」
「いや、呼べたということは、彼にも事情を話しても良いということだろう?そうじゃなかったら、声すらかけられないはずだ」
「確かにな」
「俺もダメ元で呼んだんだが、呼べたということはそういうことなのだろう」
アラタが来たことで、軍平さんがドギーさんに抗議をするが、そんな軍平さんに対して、明石さんが声をかけた。すると、ゴウさんがその明石さんの言葉に納得し、ドギーさんがさらに説明を続けた。
「あの〜、確認なんだけど、ここにいるのは、みんな転生者ってことで良いのかな?」
そんな状況で、アラタが一同にそんな問いを投げかけた。俺は、その問いに手を差し出しながら答える。
「ああ。その通りだ。知っていると思うが、俺は志葉丈瑠。侍戦隊シンケンジャーのシンケンレッドだ」
「そうなんだ。良かった〜。俺、他の転生者に会うの初めてでさ。俺、アラタ。天装戦隊ゴセイジャーのゴセイレッドさ」
そう言いながら、俺の差し出した手を握るアラタ。そんな俺とアラタの手に、麗さんが手を重ねた。
「私は小津麗。魔法戦隊マジレンジャーのマジブルーよ。よろしくね。みんな、やっぱり、この2人が今回の事件の鍵を握っているわ」
麗さんのその言葉に、アラタが疑問を口にした。
「今回の事件って、いったいどういうこと?俺と丈瑠が鍵を握ってるってことは、Vシネの事件?」
「当事者には、Vシネを含めた原作に関わることは教えられないし、当事者以外の戦隊は関与出来ないはずでは?」
「そのことは、私から話すわ。みんなも聞いて。実は、私と一甲くんのある行動がきっかけになって、ゴセイジャーVSシンケンジャーで起こる事件が、全く違う内容になってしまったみたいなの」
「「えっ?」」
「「は?」」
アラタと俺の疑問に答えるべく、鶴姫さんが説明を始めるが、その内容にアラタと俺は固まってしまった。さらに、同じ話を聞いていた軍平さんとゴウさんも驚いている。
顔と声には出さなかったが、ドギーさんも驚いた様子だ。
「始まりは先週のことだ。ダークシャドウの風のシズカが、国の研究所から、ある物を盗んだ」
「ある物?」
説明役が鶴姫さんから、明石さんに変わり、彼の説明を聞いた俺が発した疑問に答える様に、明石さんは説明を続けた。
「ある城の欠片だ。………これだけで、アラタ以外のみんなにはわかるんじゃないのか?」
「ある城の欠片だって?………っ!?おい!まさか!その城って!?」
「………?」
明石さんの説明を聞いて、ゴウさんがそう叫ぶと、その場にいる他の面々も驚愕の表情を浮かべた。ただ、アラタだけは話の要点がわからずに戸惑っている。そんな中、明石さんは険しい表情で説明を続けた。
「そう。黒十字城だ」
「「「「「黒十字城だって!?」」」」」
「黒十字城って、ゴレンジャーさんのラスボスが変身したやつだよね?」
俺、軍平さん、ゴウさん、麗さん、ドギーさんが驚き、アラタが首を傾げていると、明石さんが詳細な説明を始めた。
「そうだ。かつて、秘密戦隊ゴレンジャーさんが死力を尽くして戦い、そして、倒した敵、黒十字総統。その真の姿が黒十字城だ」
「その黒十字城の欠片が、風のシズカの手に渡ったのか………」
「マズいわね。確か、ダークシャドウの首領は、古い「何か」と最新式の「何か」を融合させる事で怪人を生み出せたはずよ」
ドギーさんがそう呟いた言葉に、麗さんがそう続いた。さらに、麗さんが話しを続ける。
「欠片とはいえ、あの黒十字城を媒介に使ったのなら、相当に強力な怪人が生み出せるはずよ」
「なるほど。麗さんの言う通りなら、黒十字城の欠片が、風のシズカに盗まれたことが、アラタと俺のVシネの内容に影響するというのにも、合点がいくな」
「もしかして、元々は、俺達のVシネのキーアイテムだったりするの?」
「いや、ゴセイジャーVSシンケンジャーのVシネには、黒十字城の欠片は関係ない。いや、関係ないはずだった」
麗さんの言葉に俺が納得していると、アラタがさらに問いを発した。そんなアラタの問いに、明石さんがそう答えると、鶴姫さんが説明の続きを引き取った。
「黒十字城の欠片を盗んだ風のシズカを、私と一甲くんが捕らえたのよ。彼女、正確には、彼女が所属するダークシャドウのせいで、カクレンジャー、ハリケンジャー、ゴウライジャー、シュリケンジャーの活動に支障が出てたから、原作的にも問題無い今のタイミングで、ダークシャドウを壊滅させようと思って………だけど、それがマズかったみたい」
「鶴姫さんと一甲さんが、風のシズカを捕らえたタイミングで、ナナシとビービの妨害を受けたんだ。そのどさくさで、風のシズカには逃げられた。だが、逃げたはずの風のシズカは、ここから少し離れた路地裏で意識を失って倒れていた。しかも、風のシズカは、その時にはもう黒十字城の欠片を持っていなかった。この意味がわかるか?」
「……まさか!」
「ブラ……いや、今はまだブレドランか……奴の仕業か」
鶴姫さんと明石さんの説明を聞いて、軍平さんが驚きの声をあげる。その横では、ドギーさんが小さく呟く。アラタを除く他の面々も同じことを考えている様子だ。
「え?ブレドラン?ちょっと待ってよ。ブレドランは俺達が倒したよ?」
「いや、生きているはずだ。何故なら、奴は〇〇〇〇〇〇〇〇。やっぱり、言えないか」
戸惑うアラタに、ネタバレを言いそうになったが、そのネタバレは言葉にならなかった。どうやら、今回のVシネ案件は特例らしい。
「じゃあ、ブレドランは生きていて、黒十字城の欠片で何かしようとしているってこと?」
「おそらくな」
アラタのその問いに、ゴウさんがそう答えると、明石さんが自らの懸念を口にした。
「問題は、ブレドランが何をしようとしているかだが………アラタ以外のみんなはもう予想はついているよな?」
その明石さんの言葉に、俺はようやく、ここにいる転生者達が集められた理由を悟った。
確かに、これはゴセイジャーVSシンケンジャーではすまないな。これは、もうゴセイジャーVSスーパー戦隊だ。