海賊戦隊の世界で、天下御免の侍戦隊! 作:ウルトラマントリガー
「これでよし。じぃ、頼みがある」
「なんでしょうか?」
「この手紙が入った箱を蔵にしまっておいてくれ」
「かしこまりました」
「あと開けるのは、千年後の今日と書き記しておくようにしてくれ」
「かしこまり………は?今、なんと?」
志葉家十九代目当主、志葉丈瑠こと、俺は可能な限りのモヂカラを使うことで、千年後まで残るようにした手紙が入った箱の保管を、じぃに頼んだ。
「どうしても、未来の子孫に伝えなきゃいけないことがあるんだ」
「か、かしこまりました。では、そのように手配致します」
いやはや、どこにしまっておくかと呟きながら、俺の部屋をあとにするじぃ。
「あとは、運を天に任せるしかないな」
まぁ、アラタに麗さん、鶴姫さんに、一甲さんに、鷲尾さんもなんとかするって言っていたし、誰かのメッセージは届くだろう。
千年後の未来にいる未来戦隊タイムレンジャーに。
○
「ふぅ。やり過ぎよ。先輩に後輩達」
「なんですか?」
目の前のデスクに積まれた過去からの手紙と、彼女に、タイムレンジャーに当てた伝言を伝える為にやって来たガオの巫女テトムの姿を見て、インターシティ警察から時間保護局に転属していたユウリは、深い深いため息を吐いた。
「いえ、なんでもないわ。それで、千年前の今日から数えて、数日以内に宇宙帝国ザンギャックが来るのね」
「はい。その戦いには貴女達、タイムレンジャーの力も必要だと、当時のガオイエローが伝えて欲しいと」
「わかりました。確かに、ザンギャックによる侵略行為を許してしまうと、歴史が大きく変わる可能性があります。時間保護局としては、その様な事態を避ける為に、タイムレンジャーを派遣して、ザンギャックに対抗するべきと判断致します」
「ありがとうございます!でも、それって、貴女が判断していいんですか?」
「大丈夫です。この十年で、私も隊長に出世しましたから。タイムレンジャーを派遣する権限ぐらいはあります。というより、ザンギャックとの戦いにいましたよね?タイムレンジャー」
そんなユウリの問いに、笑顔で頷くテトム。そんな彼女に笑みを返しながら、ユウリはかつて共に戦った仲間達を集める為に、手元の端末を開いた。
「ついに、この時が来た。転生者としての私の使命を果たす時が……竜也とまた一緒に戦う時が!」
そんな彼女の呟きは、テトムにすら聞こえない程に小さかった。
○
宇宙帝国ザンギャック本星。その軍総司令部にある親衛隊長室に、部屋の主である親衛隊長デラツエイガーと、参謀長ダマラスの姿があった。
「地球侵攻部隊の指揮官は決まったのか?」
「無論だ。これまでの功績と能力を考慮して、この者を指揮官とした」
「親衛隊員シュバリエⅡ世か。まだ若いが、大丈夫なのか?」
「確かに若いが、功績はある。さらに、個人としての戦闘能力に加え、作戦立案能力、戦闘指揮能力、そして、思考の柔軟さ。それらを総合的に評価して、今回の地球侵攻部隊の指揮官には最適だと判断した」
「お前がそこまで言うならば、異存はない」
デラツエイガーから渡された資料に目を通し、納得の声を挙げるダマラス。そんな彼に、デラツエイガーは説明を続ける。
「それに、奴と地球には少々、因縁がある」
「なに?………なるほど。【銀帝軍ゾーン】の初代艦長の息子なのか、この男は。
それならば、地球とシュバリエⅡ世には、確かに因縁があるな。【銀帝軍ゾーン】は地球で壊滅の憂き目にあっているのだから」
「それだけではない。奴と個人的な付き合いのある武器商人がかつて、地球で大損をしている」
「武器商人と個人的な繋がりがあるだと?」
デラツエイガーの発言の中に、聞き捨てならない一文を聞き取り、険しい声を挙げるダマラス。しかし、デラツエイガーはそれを意に介さなかった。
「シュバリエⅡ世が反乱を企てていないかを心配しているなら、問題ない。奴が付き合っている武器商人は、金儲けにしか興味がない。我らに歯向かおうなどとは欠片も思ってはいないさ」
「だが……」
「仮に何かしてきても、すぐに捻り潰せる」
デラツエイガーのその言葉に、ダマラスは開きかけた口を閉じた。それ以上の問答は無意味と考えたからだ。
「それで、その武器商人の名はなんというのだ?」
「貴様も知っているはずだぞ、ダマラス?地球で死んだことにして、表舞台から姿を消し、裏で密かに再起を図ったあのしぶとい死の商人を」
「ああ。奴だったのか。確かに、奴ならば、我らに歯向かうよりも、自身の金儲けを優先するな」
その後、地球侵攻作戦に関するいくつかの打ち合わせを終えると、ダマラスは親衛隊長室をあとにするのであった。