海賊戦隊の世界で、天下御免の侍戦隊! 作:ウルトラマントリガー
侍戦隊のメンバー達のキャラに戸惑う転生者の殿様(影武者)であった。
※第一話の丈瑠の年齢と第三話のラストを修正しました。
戸惑いと覚悟
話しは、爺により招集されたシンケンジャーのメンバーと合流する少し前に遡る。
俺は、志葉家の屋敷の庭先でシンケンマルを振るっていた。
このところ、やたらと二刀流を使いまくっていたせいで、変なクセがついているのではと不安になったので、基本の型を強く意識して剣を振るう。
「お見事」
一通りの型を確かめたところで、爺から声をかけられる。
「本当か?」
「ええ。基本に忠実なクセの無い型です。その基本があるからこそ、実戦において、あのような変則的な剣を振るえるのでしょう」
「その変則的な剣、まぁ、主に二刀流だが、これからは控えようと思う」
「ほう。それは何故?」
「一つは腕への負担だな。本来なら2本の腕で振るう剣を、腕一本で振るうんだ。腕にかかる負担は倍かそれ以上。長期戦には向かない。もう一つは型が崩れるおそれがある。今は大丈夫だが、使い続けるのはやはり不安だ。最後はモヂカラの消耗だな。シンケンマルをもう一振り出すのに使うモヂカラと、二振りのシンケンマルを扱うモヂカラ。その消耗は、最初の腕の負担と同じく、長期戦に響く」
「なるほど」
「まぁ、大技を出す時だけ使うのなら有りだな」
「殿。その様に今後の戦いのことを見据えるのであれば、そろそろ、シンケンジャー招集のご決断をされるべきと存じ上げます」
「それは良い。限界まで一人でやる」
「またそのようなことを。外道衆を侮ってはなりませんぞ。いずれ、お一人では手に負えぬ時が必ず参ります。その時の為に育てられた侍が四人。忠義の家臣として、戦う日を待っております」
「だが、俺は違う!」
「殿!」
「俺は志葉家十八代目当主じゃない!そんな俺が、こんな戦いに巻き込んで良いのか!?会ったこともない奴らを!」
俺は影武者だ。本物の志葉家十八代目当主が、血祭ドウコクを止める唯一の方法、封印の文字を習得し、十九代目、二十代目と志葉家の血筋を未来に残す時間を稼ぐ為の偽物だ。
そんな俺が、戦いとは無縁の暮らしをしている会ったこともない四人の侍を、外道衆との戦いに招集して良いのか?
「亡き父上の言葉をお忘れか?」
忘れるはずがない。
「忘れるな!今日からお前がシンケンレッドだ!決して、逃げるな!外道衆からこの世を護れ!」
「落ちずに飛び続けろ」
前世の記憶が残る転生者として、侍戦隊シンケンジャーのシンケンレッド 志葉丈瑠になった俺が、本当の意味でこの世界を守る決意をした時。
現世の父と過ごした日々、そして、その最期の瞬間。
「侍として生まれた者の宿命。みな覚悟は出来ているはず。そして、それは殿も同じ。辛くとも背負わなくてはなりません。志葉家十八代目当主として」
「っ!」
爺とそう話していると、屋敷の中から隙間センサーの鐘の音が鳴り響いてきた。
数人の黒子がかけてきて、外道衆が現れた場所の地図を開く。さらに、そのうちの一人が、爺に耳打ちをする。
「殿!外道衆ですが、ナナシ連中よりも力のあるアヤカシまで現れた模様!最早、一刻の猶予もありません!侍達を呼び出しまする!」
「………わかった。先に向かう」
「はっ!殿のご出陣!」
そうして、俺は他のシンケンジャーの分のショドウフォンを持って、屋敷を飛び出した。
「これは!殿が女性だったとはつゆ知らず!」
「だから、違うって!てか、何その顔?」
「ああ!大変失礼致しました!」
「あっ!殿様!」
「え?いや!あ!違う違う!私は!」
「なぁ?あんたたちが、お仲間?何か、すげぇな……」
全く同感。
何、この組み合わせ?
エプロン女子に、歌舞伎男子に、風呂敷女子に、高校生男子?
シンケンジャーって、こんな感じなの?
え?マジ?
って、俺も人のこと言えないか。だって、モヂカラで出した馬に乗ってるし………。
うん。話しかける前に、馬からは降りよう。そして、消しておこう。
「お前達が侍か」
エンブレムモードの獅子折神を見せながら、そう話しかけると、四人の視線がこちらに集中する。
「貴方が殿!」
その中で、歌舞伎男子が一歩前に出て、頭を下げようとするが、俺はそれを遮るように、話しを続けた。
「最初に言っておくぞ。この先に進めば、後戻りする道は無い。外道衆を倒すか、敗けて死ぬかだ!」
四人が息を呑む気配が伝わる。
「それでも戦うって奴にだけ、ショドウフォンを渡す。ただし、忠義とか家臣とか、周りからの教えで決めるな!覚悟で、自分の意志で決めろ!」
少しの間、葛藤する様子の四人の侍達。
そうして、歌舞伎男子が真っ先に口を開いた。
「殿!ここに来た以上、覚悟は出来ています!戦わせてください!殿と共に!」
「ま、子供の頃から、そのつもりでいたし」
「一生懸命頑張ります!」
「あ〜、大袈裟なんだって。さっさと終わらせれば良い話だろ。なぁ?殿様?」
エプロン女子、風呂敷女子がそれに続き、面倒くさそうな様子の高校生男子がそう話すと、歌舞伎男子が高校生男子に詰め寄る。
「お前!殿に向かって、そういう言い方は!」
「だったら、初めに言い渡しておく」
俺がそう言うと、歌舞伎男子は口を閉じて、四人の視線がこちらにまた集まる。
「無理はするな。自分の命を守ることを最優先とし、決して死ぬな」
俺のその言葉に、四人が何か言う前に、俺はショドウフォンを四人に投げ渡した。さらに、黒子達が駆け寄ってきて、着付けを始めたので、それ以上の会話は続かなかったのであった。
「そこまでだ。外道衆」
「その家紋!まさか、お前ら!」
「そのまさかだ。ショドウフォン!」
「「「「「一筆奏上!」」」」」
俺が『火』、歌舞伎男子が『水』、エプロン女子が『天』、高校生男子が『木』、風呂敷女子が『土』のモヂカラを身に纏うことで、俺達の姿は戦う為の姿へと変わった。
「シンケンレッド!志葉丈瑠!」
「同じく、ブルー!池波流ノ介!」
「同じく、ピンク!白石茉子!」
「同じく、グリーン!谷千明!」
「同じく、イエロー!花織ことは!」
「天下御免の侍戦隊!」
「「「「「シンケンジャー!」」」」」
「「「「「参る!」」」」」
侍戦隊シンケンジャーとして、初名乗りを上げたこの瞬間、本当の意味での外道衆との戦いが幕を上げたのであった。