●姫榊 花奏
学校:秀華高校1年
誕生日:1月3日(山羊座)
年齢:16歳
身長:150cm
体重:41kg
好物:オートミール、クランブル
趣味:乗馬、ボードゲーム
●白雪 花澄
学校:秀華高校1年
誕生日:2月2日(水瓶座)
年齢:15歳
身長:148cm
体重:46kg
好物:豆大福
趣味:スノボ
新しい風が吹いた
姫榊 花奏side
行き交う人々の足音、街中を通り抜ける風音、信号機から発せられる警告音、雑多な話し声……どれも皆にとっては取るに足らない日常的な風景。
けれども私にとっては新鮮な風景。
私は少し前まで、耳が聞こえず音を何も感じ取れなかった。
日常生活を送る上では過酷すぎるハンデだ。
……と言っても、実際に困った事はあんまりない。
クラスメイトの人が何だかんだで気にかけてくれたし、手助けしてくれたから。
もっとも……その人たちが私の友達なのかと言うと、はっきりとNo。
耳が聞こえないだけじゃなく、私は言葉も話せない。
全緘黙……トラウマ性緘黙。
所謂1つの失声症ってヤツだ。
特定の人物や場所では話せる場面緘黙とは違い、全く話せない病状。
そんなヤツの友達になってくれる人なんているわけが無くて……。
「おはよ〜、姫榊ちゃん!」
「あっ、お、おはようございます」
背後から聞こえてくる2つの声を聞き、私は振り向く。
まあ、さっきのは過去の話。
今はトラウマを克服して耳は聞こえるようになった。
『おはようございます、喜多さん、後藤さん』
声の方は……頑張れば出せるけど、すぐに疲れて声が枯れてしまう。
「どう、リハビリは順調?」
『このままリハビリを頑張ればキチンと喋れるようになるのも遠くないそうです』
結束バンド。
私が憧れ、音楽の道に戻るキッカケを与えてくれた……私の大切な友達。
彼女たちのお陰で私の閉じた世界は開かれた。
『最近はリハビリのせいでスタ練に遅れてしまって申し訳ないです』
「謝る事じゃないわよ、伊地知先輩とリョウ先輩もそう言ってだでしょ〜?」
みんな、とっても優しい人たちだ。
みんなに報いる為にも……早くちゃんと声を出せるようになって、もっとキーボードの腕を上げないと。
「おはようございます、お姉様!」
「わ……」
背後から急に抱きつかれた。
私の大切な……最愛の妹、花澄。
私は振り向いて彼女の頭をポンポンと軽く叩く。
「えへへっ〜……あっ、先輩方もおはようございます!」
「おはよう、白雪さん。今日も元気ね〜?」
「そりゃあもう!」
「……………………」
「……?」
後藤さんの視線に気がついた。
何か言いたげな表情をしている。
『後藤さん、なにか?』
「あっ、えっ、いや……あの……」
腕を触手のように振って狼狽える。
そこまでビビる必要ある……?
「や、やっぱり……陽キャって、こういうのが普通なんですか……?」
何を言ってるんだこの人は。
「私、別に陽キャじゃないですよ後藤先輩」
『右に同じく』
「え……?」
「ぶっちゃけ私、クラスに友達とか居ませんし」
私もコクコクと頷く。
別に隠キャのつもりもないけれど。
「でっ、でも2人の距離感って……その……あぅぅ」
溶け始めた。
「ちょっ、後藤先輩!?」
「あー、いつもの事だから」
喜多さんが手慣れた様子で散らばったピンク色の粉をかき集める。
『手伝います、喜多さん』
「ありがと〜、1人じゃあ修復するの大変なのよね」
「……なにこれ、怖っ」
いずれ慣れるよ、花澄。
*
白雪 花澄side
お姉様や先輩方と別れ、教室に入る。
とても名残惜しいけれど……私はお姉様と違うクラスだ。
それに2年に進級しても恐らく、同じクラスになれない。
そう考えると憂鬱だ……ああ、なぜ私とお姉様は姉妹なのだろうか。
……いや、姉妹だからこそ今の距離感や関係がある、そう考えよう。
……さて、朝のHRまで時間もあるし……適当に本でも読んでよう。
そう思って鞄に手を伸ばそうとした時……1人の女子が私の席に近づいて来るのが視界の端に映った。
「おはよー! 白雪ちゃん!」
「んっ、おはよう。大山さん」
クラスメイトの大山 猫々さん。
相変わらず声がデカイ……それにしても何の用だろうか?
別段、私と大山さんは交友関係があるわけではない。
私は姿勢を戻し、背筋を伸ばす。
「んで、何か用? 宿題なら見せないけど」
「宿題の話は後で! ……最近、ヒッピー先輩や映え先輩と一緒にいるのを見かけるけど何かあったのかなー、って!」
ヒッピー先輩? 映え先輩?
誰の事だ……いや、知り合いの先輩なんてあの2人しかいないな。
「後藤先輩と喜多先輩?」
「そうそう! 後藤先輩と喜多先輩!」
なんというか、まあ……独特だけど的確なあだ名だ。
「あっ、あと隣のクラスのかなちゃんも!」
……かなちゃん?
……えっ、誰?
「かなちゃんって……誰?」
「姫榊 花奏ちゃん!」
「は?」
お姉様?
お姉様が……かなちゃん?
「カナデだから?」
「うんっ!」
「……えっ、大山さんって、おね……姫榊さんと知り合いなの?」
「あんまりお話しした事ないけど、顔を合わせる機会は多いからね〜!」
えっ?
「ウチ、STARRYでバイトしてるから結束バンドの人たちとよく会うの!」
STARRY……結束バンドの活動拠点だったか。
この前のライブはFOLTというライブハウスで行なっていたけど、基本的にはSTARRYでライブをしているという事は聞いた事がある。
「はあ……それで、要件は?」
「STARRYで一緒にバイトしない!? それとウチのバンドに入ってよ!」
「は?」
何言ってんだこの人。
「イヤだけど」