嫁を育てて世界を救え!~異世界転移物語~   作:妖怪せんべえ

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27話 GOOD LUCK MY WAY

ブリッツ王から渡された資料の内容を簡単にまとめると、ドミーナ国内の設備及び、領地を含む土地で採れる鉱山資源について書かれていた。

 

「……なるほど。だから、ドミーナは強かったのか」

 

 ドミーナは食料の生産に向かない土地だった。なぜなら鉱山資源が豊富に採れる土地だったからだ。鉱山資源が豊富であるという事は作物にとって致命的となる土の栄養バランスが崩れているという事を意味する。

 

 その代わりに豊富な鉱山資源を使って武器や鎧を大量に生産する事が出来る。だからこれまでの、他国を侵略し食料を強奪するという状況が成り立っていたんだ。

 

「そうだ。既に発掘済みの鉱山資源についてはいいが、問題はこれから発掘されるであろう鉱山資源についてだ」

 

「何にしても、兵士が足りないな……」

 

 既に発掘済みの鉱山資源は、大量の馬車かなんかでウォームなりスフィーダなりに運び出せばいいが、これから発掘されるものに関してはどうしようもない。

 

 今はまだ他国にドミーナが崩壊したという情報は広がっていないはずだが、一度広がってしまえば、ドミーナの豊富な鉱山資源を求めて再び戦争が始まってしまう。その時に再びこちらの陣営が勝利を収める事が出来るという保証はどこにもない。どうあがいても兵力が足りないのだ。

 

 アンジェやカンナは1人で兵士何百人くらいの強さを持っているけど、それでも人海戦術でこられたらどうしようもない。隙を突かれてやられるという未来しか見えない。

 

 かといって鉱山を守るためにドミーナに兵士を送れば、今度はスフィーダとウォームの守りが薄くなる。それでは本末転倒だ。

 

 いくらハウトゥーファンタジーがあるとはいえ、圧倒的に不利な状況である事には変わらないか。ウォームが想像以上に食料に特化しているからなあ。

 

「そうなのだ。何か案はないか?」

 

「行商人がいましたよね? 彼らに袖の下を握らせてドミーナが滅んでいない事を、うわさ話として流させましょう。それで、とりあえずの間時間稼ぎは出来ます」

 

「わかった。早速手配しよう。だがなあ……」

 

 ブリッツ王は肩を落とした。当たり前だ。根本的な解決策が浮かんでいないのだから。

 

 案がないわけではないのだが、スフィーダとウォーム、更には手にしたばかりのドミーナの民を使う必要があるし、何よりも、アンジェとカンナが危ない目にあってしまうからあまり良案とはいえない。問題ばかりだ。

 

「お前お得意の取り引きでもすればいいじゃないか。ドミーナの一部の土地をあげるからドミーナの護衛を手伝ってくれ、とかさ」

 

「騎士長の案は方向性としては間違っていないけど、現実的じゃない。取り引きは同等の立場、お互いの利害関係、信頼関係なんかがなければ結べないんだ。仮に騎士長の言う取り引きを行ったとして、護衛に来た人達はドミーナが滅んだ事がわかってしまうし、何よりそこから鉱山資源を巡って戦争に発展する可能性もある」

 

「難しいもんだなあ」

 

「呪術で結界を張る、という方法もあるわ。代償が必要だけど……」

 

「代償って?」

 

「この場合は防衛結界だから、魔法陣を書くのに血が必要ね」

 

「範囲としてはドミーナ全体を考えてるんだけど、どれくらい必要になる?」

 

「ドミーナの端から端まで魔法陣を書くことが出来るだけの血の量……無理ね」

 

「一時的に鉱山の入り口を塞いでしまうのはどうですか?」

 

「んー、微妙だな。後々大変だし、鉱山だけ守っても意味ないしなあ」

 

「無理か……。鉱山資源は諦めるしかないのか」

 

 んー。もったいないな。今後の展望的にも鉱山資源は必須だしなあ。ここで入手出来ないとなると、色々と問題が出てくる。という事は……やっぱりやるしかないか。

 

「ブリッツ王、私になんもかんも預ける度胸はありますか?」

 

「ん? 内容によるな」

 

「成功したら鉱山資源を得られるだけじゃなく、兵力の増強も望めます。ただし、失敗すれば多大な被害を被ります」

 

「賭けか。伸るか反るかは話しを聞いてから判断する」

 

「今ある鉱山資源を半分使って、最新の鍛冶工房を作ってください。そして、ドワーフ側に好条件を提示してそこに誘致してください」

 

「なっ!?」

 

「大量の人手が必要になります。スフィーダからもウォームからも、もちろんドミーナからも労働力を提供してもらう事になります。ああ、それとそれらの防衛に兵士も欲しいな」

 

「冗談だろう?」

 

「冗談でもなんでもありません。本気です」

 

「そんな事をしてどうするつもりだ」

 

「この世界の兵士の概念を変えます」

 

「は?」

 

「今まで存在しなかった武器を作らせます。それさえあれば、ごく少数の人員でも国を防衛する事が出来るようになります」

 

「存在しなかった武器とは?」

 

「銃というものと簡単な爆弾を」

 

「なんだそれは? 本当にそれでなんとかなるのか?」

 

「なります。これさえあれば兵力はかなり上がります」

 

「実物を見せてもらわなければなんとも言えんな。いや、お前を疑ってる訳じゃないんだ。ただ、それだけの人員を割くとなると、それなりの見返りが約束されると確信しないと動かす訳にはいかない」

 

「わかってます。銃に関しては2、3日の内にお見せする事が出来ると思います。後は爆弾ですが、これは鍛冶工房がなければ難しいです」

 

 銃はひたすら経験値を稼いでお買い物スキルを利用して買えばいい。銃にはちょっとこだわりがあるから大体7万くらいするトーラス・レイジングブルを購入しよう。

 

 現在の所持経験値はなんだかんだと、移動の道中魔物を倒したりしていたから、8万くらいはある。7万という事は、経験値は70万稼がなければならないという事だ。

 

 爆弾に必要な硝酸カリウムの値段も高くないし、硫黄は多分この世界にあるだろう。なかったら買えばいい。硫黄も安いしな。

 

 総計で必要な経験値は75万といったところか。ダルいけどいずれ必要になる時はくるとわかっていた。ついでに今後の分も今回で経験値を稼いでしまおう。

 

「わかった。そうだな……とりあえず1つ工房を作れるだけの人員は手配しよう」

 

「あ、場所を指定したいんですけど」

 

 指定する場所とは当然、我が12畳のキングダムがある俺の土地だ。他部族連合国家を作るんだ、当然鍛冶工房も必須となってくる。と、なればこれは好機。利用出来るもんはなんでも利用しなければ。

 

「了解した」

 

 これで、当面の間ドミーナの扱いに関する協議は停止だな。代わりに、俺の野望が一気に進む事になる。ありがたい。怪我の功名ってやつだ。

 

「それじゃ、俺達は行くか。アンジェ、カンナ、頼んだよ。君たちが頼りだ」

 

「はい」

 

「わかったわ……」

 

 彼女達の頷きが、俺にはとても頼もしいものに見えた。加えて、二人とも笑顔がやっぱり可愛いかった。

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