嫁を育てて世界を救え!~異世界転移物語~   作:妖怪せんべえ

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29話 アンパンマンのマーチ

 銃なんてものは対象に狙いをつけて引き金を引く。ただそれだけでいい簡単なものだ。ましてマグナムなんて機構自体が簡単だ。

 

 そして、よくマグナムを女子供が撃つと骨折するだの脱臼するだの言うが、あれは嘘だ。しっかりと構えて、衝撃に身を備えれば何も問題はない。

 

 ちなみに、さっき嘘だと言ったけど、S&W M500は例外だ。あれは普通に怪我をする。海外に行って撃つ機会があってもオススメしない。

 

「獲物はそうだな……アンジェが捕まえてきたカエルでいいか」

 

 カエルといっても俺の常識外のものだが。見た目がどことなくカエルに似ている気がするからカエルと表したけど、実際は人間大のサイズに乾いた体表、ギョロッと飛び出た目を持つグロテスクな生き物だ。

 

 打ち付けられた丸太に縛り付けられているカエルに目をやった。距離は約5メートルといったところか。これくらいならば俺でも外しはしないだろう。

 

「音うるさいと思うから気をつけて」

 

 少し体を右にずらし、左足を半歩前に出す。銃をしっかりと両手で握り、狙いを定める。手のひらにわずかな汗がにじむ。

 

 撃鉄を起こす。引き金を引いた。ズパン! という音と共に金属の固まりが発射された。弾はカエルの額にピンポイントで吸い込まれ、派手に飛び散った。

 

「…………」

 

 全員言葉を失っていた。当たり前か。今まで人間が使える飛び道具は精々が弓矢程度のものだった。数少ない魔法を使える人間もいるがそれは例外だ。

 

「と、まあこんな感じに銃さえあればどんな人間でもある程度魔物と戦えるようになると思う」

 

「なあ、それ俺にも撃たせてくれないか?」

 

「ええよ。気をつけて、打つ直前になるまで引き金に手をかけないで。暴発するから」

 

「わ、わかった」

 

 騎士長は俺からレイジングブルを受け取り、見よう見まねで先程の俺と同じ姿勢をとった。

 

「弓と同じように狙いを定めて、引き金を引くだけだ。反動があるから気をつけて」

 

「お、おう」

 

 ズパン! 既に息絶えていたカエルの胴体に再び金属の固まりが吸い込まれた。完全なオーバーキルだ。胴体も大半が飛び散ってしまった。

 

 肉質の軟らかいカエルだから飛び散ったけど、これが熊とかイノシシとかになってくるとこうはならないだろう。急所を外せばたたらを踏む程度で済んでしまうだろう。

 

「ね、簡単でしょう?」

 

「すげえ……。こんなものが……」

 

「俺が大分前に俺の部屋に人を入れないでって言った意味がこれでわかったと思う。間違って俺達よりも先に他の国がこれを量産してしまったら、圧倒的な戦力差でどうしようもなくなる」

 

「なるほどな……」

 

「見せて……」

 

 カンナがレイジングブルに興味を示していたので、万が一を考えて弾を抜いて手渡した。カンナはひっくり返したり横にしたりして、じっくりとレイジングブルを観賞していた。

 

「……公平はこれを量産するつもりなの?」

 

「ああ。一応その予定だけど、ドワーフでも量産が難しいようなら別の手を考える。爆弾の方は確実に作れるから、最悪そっちに頑張ってもらうさ」

 

「その、爆弾というのはどういったものなんですか?」

 

「そうだな、なんて説明すればいいかな。今は俺が銃を撃ったらカエルの頭が吹っ飛んだだろ? あれを広範囲にして、火属性をつけた感じかな」

 

「つまり、擬似的なファイヤーボールという事ね……」

 

「そうだな。カンナのイメージが一番近いと思う。ただ、これまではそれを使えるのは一部の人間だったけど、爆弾はファイヤーボールを誰にでも使えるようにしたものだと理解してもらって構わない」

 

 爆弾の一番の利点は誰にでも使えて、大きな効果を持つというところだ。導線に火をつけて投げる。ただそれだけの動作で敵を一網打尽にする事が出来る。

 

 加えて、同族を殺すという罪悪感を薄れさせる。ちょうど、花火が火に対する恐れを薄らせるように。この利点を理解するのは俺達と一部の頭の冴える人間だけでいい。バカには理解させても逆効果にしかならない。

 

「なんだか、私自信がなくなってきます……」

 

「大丈夫だって。アンジェにはアンジェにしか出来ない事があるし、そもそもアンジェの場合は銃を喰らった程度じゃ致命傷にならないと思う……」

 

 アンジェはここ最近更に人間離れしてきている。というか最初から人間ではなく戦乙女だけど。まあそんな事はどうでもいいんだ。

 

 この前の経験値稼ぎで、アンジェは熊のような魔物に、思い切り爪で切り裂かれた。どう考えても重傷だったはずなのだが、傷口はすぐにふさがり、ご飯を食べたら傷跡すらなくなっていた。

 

 戦乙女という生物がどういうものなのかわからないからなんとも言えないけど、とりあえず、現段階で既に人間とは身体能力諸々比べ物にならない。剣先から光波を出す日も近いのかもしれない。

 

 何にしても、今重要なのは兵力の増強だ。スフィーダとウォーム、後は俺の国で完結するレベルまでに国力をあげなければ話しにならない。

 

「それじゃ、ウォームへ行こうか」

 

 俺達は馬車に乗り、ウォームへと向かった。




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