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38日目
状況を確認しようと思う。現在、スフィーダ王国は安定期に入った。食料問題も解決し、国の防衛に関しても黒色火薬爆弾が全て解決してくれた。目下、カルド王は内政とウォームとの外交に精を出しているそうだ。
ウォーム王国。ドミーナ王国との戦争に勝利し、ドミーナの鉱山資源を利用した武力の増強、国の防衛能力向上などの作業を、設置した特区にて管理されているドミーナ民を条件付き雇用で行っている。
ユグドラシル。土地の開拓が進んでいる。モントーネ村及びシャラの住人のおかげで作物の栽培が進められている。更に、モントーネ村から提供された家畜の繁殖体制を形成中。この2つが順調に進めば、食料をウォームに頼ることなく自給自足出来るようになると思われる。
ユグドラシルの兵力。現状、ユグドラシルの兵力はスフィーダからの出張に頼っている。量産体制に移った黒色火薬爆弾のおかげで、多少の魔物の進軍程度であれば問題なく排除出来るようにはなっている。しかし、不安は拭い切れない。
鍛冶工房。ウォームと協力し、銃の量産をするために開発されたが、弾が作れないという致命的な問題が発覚してしまったため、現在は人間の鍛冶師によって、スフィーダ、ウォーム、ユグドラシル3国の武器の量産が行われている。
その他。先日アンジェが発見した温泉を娯楽施設として機能させるために温泉街の建築を構想中。現在は無料での利用としているが、温泉街が完成した際には何らかの料金徴収体制をとって国の運営費とする。
ユグドラシルも安定したといえば安定した。が、こんなものでは俺の野望は止まらない。
次に行うべきはかねてより予定していたドワーフの誘致だ。ヒゲもさもさの筋肉モリモリマッチョマンの変態を連れてくる。これによってユグドラシルで行われている兵器開発及び量産は大幅に進む。
そして、そ、し、て、むさいおっさんを連れてくるだけじゃ悲しみしか生まれないので、私は見目麗しい女の子達を我が国に移民させたいと思います。
魔狼。別名フェンリル。ヴァルキリーと同じく北欧神話に名を連ねる怪物。怪物といってもそこら辺にいる魔物とは違い、人間と変わらない知性を持ち、群れでの集団生活を営んでいる。
では何故私がフェンリルを移民させたいと思っているか。それは単純です。可愛いからです。
ある日暇な時間を見つけた私はハウトゥーファンタジーを読んでいました。すると、フェンリルは女系であり、頭に狼の耳を生やしていると知りました。そして、狼らしくバリバリの戦闘民族であると知りました。
可愛くて戦闘も出来るなんて、一石二鳥もいいところだぜ! という訳で我々いつものメンツは馬車に揺られていた。目的地はドワーフが監禁されている国、ネピーア。
ネピーアはドミーナ王国と同じく他国からの略奪で成り立っていた。そのため、何よりも武力を必要としていた。
そこで目をつけたのがドワーフだ。彼らの優れた冶金能力を活かして兵器を大量に量産させようとしたのだ。そうしてさらわれてきたドワーフ達は現在奴隷のような扱いで兵器を作らされているらしい。俺達は奴隷解放という大義名分を掲げて彼らを救出する。
戦力的な話しをすると、ネピーアはドミーナ以下だ。小国から生かさず殺さずの略奪を行い生計を立てている国というには微妙な存在、それがネピーアだった。
故に、俺達だけでも殲滅は容易であると判断した。念のために黒色火薬爆弾と俺用にレイジングブルの弾も潤沢に用意したが、そもそもがカンナのダスクエリア侵入以来、俺は意識して2人との交流を深めていた。そのおかげで既に人間如きでは彼女たちにはどうやっても勝てないようになっているのだ。
「はい。と、いうわけで着きましたネピーアです」
俺達は総勢30人はいるだろう武装した集団に熱烈な歓迎会を開かれようとしていた。
「おーおー殺気立ってるねえ」
そりゃそうだろう。馬車にのって、それも正面から堂々と来たわけだからな。侵略民族さんからしたら完璧にケンカ売られてると思うだろうな。
「んだてめえら!? やんのかコラ!?」
うわー超頭悪そう。話が通じるのであれば生かそうと思ったけど、こんな人達生かす価値ねえや。
「はい、ボーン」
さらば1500経験値。俺は啖呵を切ってきた頭悪そうな人に向けてレイジングブルを撃った。綺麗に頭に吸い込まれた弾は、彼の頭ごとはじけ飛んだ。
「ヘッドショット! ってね」
「……う、あ。てめえなんじゃおらあああ!」
「はいはーい。アンジェ、カンナ頼んだ」
先制したのはカンナだった。考えもなしに突っ込んで来た10人くらいの敵を凍らせた。アンジェはそれを確認し、歩を進める。そして、凍った敵を蹴りで砕き、銅のハルバードが壊れないように力の加減をしながら敵を切り裂いていく。
「なあ公平、毎回思うんだが……俺いらなくね?」
「んなこたーない。少しでもアンジェとカンナに楽させるために我々は一旦この場を離れて増援が来るであろう場所に黒色火薬爆弾を設置します。するとどうでしょう」
「あら不思議。敵が木っ端微塵」
「てことで設置しに行きましょう」
間違ってもドワーフに被害が出ないように、と。低い城壁の中に、ハウトゥーファンタジーを用いて予め用意しておいた地図に従って黒色火薬爆弾を投げ入れていく。
騎士長と共に最後の一個を放り投げた。どうやら、アンジェとカンナもさっきの敵を片付け終えたらしい。と、なれば後は放り投げた黒色火薬爆弾を適切なタイミングで起爆するだけ。
「今だ! カンナ、ファイヤー!」
「……!」
俺の声と同時にカンナの魔導書が赤く輝いた。そして、空にいくつもの小さな魔法陣が生まれ、そこから小さな炎の固まりが地に落ちていった。その下にあるのは黒色火薬爆弾。
「おーおー盛大に燃えとる」
「すごーいまっかかだー。ボーンだって! すごいねー」
メアリーがとてもはしゃいでいた。定位置である俺の右肩で飛び跳ねていた。
火の手が弱まった。アンジェを先頭に、俺達はネピーアへと入っていった。先程の黒色火薬爆弾のせいで大半の建物が崩壊していた。ちょっとやり過ぎたかもしれない。まあでも奥の方にあるドワーフの収容施設は無事だったから結果オーライ。
「……まあ予想はしてたけどさ」
奴隷というのは主人に乱暴にこき使われるというのが一般的な認識だ。今回もその認識に漏れず、ドワーフ達はやせ細り、傷だらけだった。
どうしてこう侵略国ってのはどこもかしこも同じ事しかしないんだろうか。こういう事しか出来ないから侵略国なのか? 全く、愚かですねえ。
「なんだお前らは? またわしらをこき使うのか?」
「んーまあ働いてもらう事には変わりはないけど、ご飯もちゃんとあげるし、ここよりも遥かにいいところで働かせてあげるよ? 来るでしょ?」
「なんでもいい。わしらは腹が減って動けん。何か食べるものをくれ」
「そう言うと思ってちゃんと用意してるよ。ただ、一つだけ約束してくれ。俺の下につくと」
「今よりもマシなんだったらなんでもいい。早く、早く飯を。このままでは餓死してしまう」
「おーけーおーけ。契約成立だ。そんじゃ、騎士長とカンナはここで火起こしをしてて、俺とアンジェは食料を持ってこよう」
ウォームのおかげで食料に余裕が出来たからな、今回はちゃんと流動食もどきを用意する事が出来た。まずは内蔵に負担の少ないものから始めさせて、十分に回復したら工房で働いてもらおう。
「美味しい?」
「美味い。久しぶりのちゃんとした飯だ」
ドワーフ達は用意した流動食を涙ながらに食べていた。こんだけ筋肉モリモリだったらそりゃ腹も減るよな。人より食わなきゃいけないのに人より食ってなかったんだろう。
「お前につけば飯が3食ちゃんと食えるんだろう?」
「もちろん。肉だって食べれるよ」
「本当か!?」
「君達が元気になってからだけどね。最初の内は療養期間だ。俺の国に着いてからしばらくは休んでくれ」
「何!? ちゃんとした休みまでくれるのか!?」
どんだけ可哀想な環境で働いてたんだよ。ヒゲもさもさのおっさんだけど、なんか可愛く見えてきた。
「ちゃんと休みも与えるし、美味しいご飯もあげるよ。……そうだな、俺の国に着いたら雇用条件について話し合おう。双方の利益を尊重した契約にする事を約束する」
「ありがとう……ありがとう!」
「ああ……うん。当然の事だからね?」
おっさんの涙なんか見たくねえよ。そもそも俺は泣き顔が嫌いだし。どうせ見るなら可愛い女の子の笑顔がいい。
「食べ終わったら人から順番に必要な物を持って荷台に乗って行ってくれ。俺の国への片道切符だ。一応強制じゃないぞ? 自分で考えて、俺についてくる気のある奴だけついてこい!