嫁を育てて世界を救え!~異世界転移物語~   作:妖怪せんべえ

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はむたろー。はむたろー!
ミカワヤのえびみりん焼はとても美味しい(ダイレクトマーケティング)
小説家になろうでの深刻なポイント不足。ご協力ください。


42話 ハム太郎とっとこうた

「びゃあぁうまひいぃぃぃ!」

 

 夜になった。ユグドラシルの大半の人間が中央、つまり俺の家の近くに集っている。その全員がハルの作った料理に舌鼓を打っていた。

 

 料理スキル持ちは伊達ではないといったところか。食べていると力が湧いてくるし、テンションが上がってくる。

 

「しかし、ホントにハルは料理が上手いな」

 

「そうですか? 使わせてもらってる材料がいいんですよ。ここは調味料も豊富に取り揃えられてますし、道具もいいのが沢山あります」

 

「その内料理屋でも開いたら? この味なら連日大混雑間違いなしだ」

 

「ふふ、考えておきます。そういえば公平さんって――」

 

「おーい! ハルさん! ちょっと来てくれー!」

 

 エルフの女の子達とモントーネ村の男達だ。楽しそうに話している。部族が違っても言葉さえ通じればあんな風に仲良くなれるもんだ。

 

 正直、他部族連合国だから部族同士の争いが起きてもしょうがないと思っていたんだけど、今のところ何も起きていない。

 

 通説だと仲が悪いとされるエルフとドワーフですら、ガハハと酒を飲み交わす仲になっている。もっとも、ガハハと笑ってるのはドワーフだけだが。

 

「いいよ。行っといで」

 

「すみません」

 

 ハルは軽く頭を下げると、小走りで彼らの許へと向かっていった。

 

「旦那様……」

 

 いきなり耳元で囁かれた。耳にかかる吐息に背筋がゾクッとした。何事かと思い、後ろを見ると、いつの間に近寄っていたのか、フェンリスがいた。

 

「なんだフェンリスか。いきなりだからびっくりしちゃいましたよ」

 

「ふふふ。また、敬語になってますわ」

 

「ああ。ごめんごめん、気をつけるよ」

 

「料理、美味しいですね」

 

「そうだね。作ってくれたハルに感謝だ。そういえば、フェンリルって料理をするイメージがないんだけど、実際のところどうなの?」

 

「んー、そうですねえ。出来ない事はないですが、特に味付けせずに焼いて食べる事が多かったかしら」

 

 わお、野性的。流石戦闘部族、伊達に狼の耳をつけてない。といっても、俺の目から見れば獣耳など可愛さ倍増アイテムでしかないんだけどさ。

 

「旦那様が望むなら、私も料理を作りますわ」

 

「楽しみにしてる。そうだな、今度料理対決とかするのも面白いかも」

 

「まあ。それは面白そうですわ。私、やるからには勝ちにいきますよ?」

 

「お、乗り気だね。じゃあ、落ち着いたら開催するよ。どうせだから、食材もウォームから飛び切りのものを取り寄せて、国全体を巻き込んだ大きな大会にしよう」

 

 きっと盛り上がるぞ。今はまだユグドラシルは大国とはいえない。だけど、小国には小国なりのやり方がある。

 

 皆で楽しんで皆で仲良くなる。そうすれば。結束が生まれて作業の効率が上がる。結果どんどんと国は大きくなっていく。これは小さなサークルでしか成し得ない事だ。

 

 活気と共に時は流れていく。余興としてドワーフが腕相撲をやっている。エルフが弓でどれだけ正確に的射る事が出来るかを競っている。きっと、祭りっていうのはこういうのをいうのだろう。

 

 祭りの本質は、人々の活気である。とは、昔俺が呼んだ小論に書いてあった事だ。なんというタイトルだったかはもう忘れてしまったが、中々に的を射ている表現だと思う。

 

 実に楽しい。が、腹がもう一杯になってしまった。美味しいからといって調子に乗って食べ過ぎた。腹が重い。

 

 こんな時は風呂だ風呂。今なら温泉は貸し切り状態だろう。あのだだっ広い温泉を独り占め出来ると考えると心がウキウキだ。

 

 そう思い、居ても立ってもいられなくなった俺は、フェンリスとの会話を早々に打ち切り、部屋に戻って着替えとタオルを取って温泉に向かった。

 

「ひゃっほおおおおおい!」

 

 俺はタオル片手にフルチンで温泉に飛び込んだ。

 

 旅館とかで湯船への飛び込みは他のお客様のご迷惑になりますのでおやめくださいとかって書いてるけど、早朝とか深夜に入ると人がいないからやっちゃう現象。

 

「うぼっ! 何じゃあ!?」

 

 1人だと思ったが、どうやらそうではなかったらしい。湯けむりで全然気が付かなかった。まあでも、声で相手が誰かわかったしな。もう1回やるか。

 

 俺は一度湯船から出て、わざわざ入り口まで戻り、タオル片手にフルチンで温泉に飛び込む準備をした。

 

 目的地はさっきと寸分違わぬ位置にいる騎士長の側。思い切り近くに飛び込んで、湯柱を立たせて溺れさせてやる。

 

「とうっ!」

 

 ばしゃーん! 

 

「うげっほっ! ゲホゲホッ! ウッホッホ!」

 

「ゴリラかよ」

 

「てめえ公平! 何しやがる!」

 

「何って温泉入ってるだけだけど?」

 

「1回ならまだわかる。なんでわざわざ戻って2回も飛び込む必要がある!?」

 

「騎士長の、苦しむ顏が、見たいから。キラっ」

 

「何そのなんかの宣伝に使われてそうなキャッチフレーズ的なセリフ。めっちゃ爽やか顏で言ってるのがめっちゃ腹立つ」

 

「だろう? 俺もそう思った」

 

「はあ……。お前相手に真面目な対応しようと思ったのが間違いだった」

 

「ほう。それは聞き捨てならないな。なんか俺に話し振ってみ? めっちゃ真面目な話しに発展させてやるから」

 

 どうも騎士長は最近俺の事をギャグキャラのように見ている節がある。これはここらで1つ、その認識を改めさせねばなるまい。

 

「じゃあ、お前の家の防衛設備に関してだけどさ」

 

「うんこうんこー!」

 

「嘘つけや! 何が真面目じゃ! ……まあいい、元々期待してなかった。前から聞きたかったんだけどよ。ぶっちゃけお前誰が一番好きなの?」

 

 ガタガタっ!。

 

「ん? なんか今ついたて倒れた音しなかった?」

 

「気のせいだろ。風だ風。で、どうなんだよ?」

 

「えー。それ普通聞く? 聞いちゃう?」

 

 これ程答えづらい質問はないだろう。なんだかんだとなんも考えないで女の子ばっかり手に入れてきたけど、最後は中に誰もいませんよエンド。なんてオチだけは勘弁だ。

 

 あーいうのは一番を決めようとするから争いに発展するんだ。だから、そもそもこの手の話題はNGなんだ。

 

「当たり前だろう。多分表に出さないだけで。あいつら水面下ではめっちゃ牽制しあってるぞ」

 

「そうかなあ? 仲良いとはいわないまでも普通にうまくやってると思うんだけどな」

 

「うまくはやってるな、うまくは」

 

「だろう? てかそんなの答える必要ねえよ。俺は俺の事より騎士長の話しが聞きたいよ」

 

「俺にそんなもんある訳ねえだろ! まともに話した事もないわ!」

 

 騎士長……なんて不憫な。てかユグドラシルにこんだけ女の子いるのに誰とも話した事ないってある意味すごいな。

 

「言ってて悲しくなったわ!」

 

「あ、やっぱり?」

 

 それでも言わずにはいられないっ! 本当に段々と芸人根性が身についていくな、騎士長は。もう一人くらいギャグキャラがいるとより楽しくなりそうだ。

 

「うるせえ! まずはアンジェだ。一番最初の、お前が言うところの嫁な訳だが、どう思ってんだ?」

 

「あー。可愛いし俺の言う事よく聞くし、いい娘だよね」

 

「はんにゃでもか?」

 

「うん」

 

「そうか。次はカンナだ」

 

「カンナは……そうだなあ。まず可愛いし何よりもスタイルがいい。俺の事を一番に考えてくれるのもポイント高いね」

 

「なるほどな。お前に対する執着心は確かにすごいものがある。だが、お前以外はゴミにしか思ってない、という点についてはどう思ってる?」

 

「そこはカンナの良いところでもあり、悪いところでもあるよね。せめて敵意だけでもなくすように言わないと、とは思ってる」

 

「ほう。じゃあハルは?」

 

「料理が美味しいってポイント高いよね。可愛いし。じーさんが溺愛する気持ちはよくわかる」

 

「でもあれだよな。キャラが薄いよな。ハルから料理取ったら何が残る、っていう話しだ」

 

「……。いや、待て! じーさんという強力なキャラが付属品として付いてくるぞ! それで問題は解決だ!」

 

「でもそれって結局根本的な解決になってないよな。まあいいや。次はフェンリスさん」

 

「あれ? 騎士長がさん付けなんて珍しい」

 

「なんかな。彼女の場合はさんを付けたくなるというか……」

 

「わかーるわかるよ、君の気持ち。でもそこがフェンリスの魅力の1つだよな。近所の綺麗なお姉さんにからかわれる、みたいなのがまた……たまらん。そして、何よりも特筆すべきは獣耳だろう! あれは素晴らしい」

 

「それには俺も同感だ。獣耳は素晴らしい。だが、戦闘部族だ。あれで実はすごい凶暴だったりして……」

 

「……考えたくないな」

 

「同感だ。で、だ。話しを聞くにさっきからお前は可愛い可愛いしか言ってない。次のステップへ行こう」

 

「なーにが次のステップへ行こう、だ。1人なんて決められる訳ないだろう」

 

「バカ野郎! お前はいい女を1人で囲み過ぎなんだよ! 俺にも寄越せ!」

 

「要するに、俺が1人に絞ったら他の3人が俺のところに来るかもーなんて淡い幻想を抱いてるんだろ? 無いから。安心しろ」

 

「ち、ち、違えし! 俺はあくまでもあの娘達の事を思ってだなあ」

 

「うるせえよ、立ち上がるな。お湯が跳ねただろ。てか、お前ち○こちっちゃいな」

 

「は、ハア? ちっちゃくねえし!」

 

「だってほら、俺のと比べてみろよ」

 

 立ち上がるのを億劫に思った俺は、湯船から腰を突き出す格好でち○こを騎士長に見せた。ブリッジ的な感じだ。

 

「お前のがデカすぎるんだよ!」

 

 俺のち○こは勃起時に約20センチある。一般的な日本男子のサイズが13センチである事を考えると、大きい。しかしあれは、ものすごく小さい人のも混ざっているから実際はもう少しあるだろう。

 

 ちなみに俺のち○こは綺麗に剥けているが、皮を被っている人は入浴時に皮を剥いてしっかりと洗う事をおすすめする。

 

「まあ、確かによくデカイとは言われるが、騎士長のはどう考えても小さい。しかもお前、皮被ってんじゃねーか。ほーけーかよ」

 

「ほ、包茎じゃねえし! あれだし、今日はちょっと恥ずかしがって隠れてるだけですー」

 

「うんうん。わかったわかった。そんな日もあるよな。てかのぼせてきた。俺らどんだけ話してんだよ」

 

「言われてみれば確かに。なんか吐きそうになってきた」

 

「ここで吐くなよ。吐いたらゲロプールの出来上がりだ」

 

「吐かねえよ! もう、いいからとっととあがるぞ!」

 

「そうしよう」

 

 生死をかけた戦の前日だというのに、全くもって普段と変わらない。それどころか、終わってみれば、普段よりもふざけていたように思える。

 

 俺はいつまでもこの日常を続けさせる。つまらない毎日なんてもうごめんだ。

 

 

『実は』

 

「聞きましたか? 公平様ははっきりと私の事を可愛いって言ってましたよ?」

 

「……あんただけに言った訳じゃない。私にも可愛いって言ってくれた」

 

「……私ってキャラ薄いのかな……?」

 

「ふふふ。モテモテですね、旦那様」

 

「まあ、なんにしてもです」

 

「……ええ」

 

「そうですね」

 

「そうね」

 

「「「「騎士長許すまじ!」」」」

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