ここだけ最強だらけの呪術廻戦   作:筆折ルマンド

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ここだけカッコ良さしか考慮してない新宿決戦

 12月24日 新宿

 

 人外魔境新宿決戦

 

 史上最強の術師と

 現代最強の術師の勝負は

 

 史上最強の勝利に終わった。

 

 しかし、戦いは終わらない。

 

 ◇

 

 *漏瑚

 殺意が羂索>宿儺なので不在

 

 ◇

 

「日車寛見、なかなか楽しめたぞ」

 

 宿儺の斬撃が日車の胴体を裂く。

 

 光を失った処刑人の剣が宙を舞う。

 

 虎杖悠仁、反転術式で身体を修復し走る。

 

 宿儺の背後で、処刑人の剣であったロザリオを虎杖が掴んだ。

 

 致命傷を受けた日車の意地。

『渾身の呪力を込めた物体の術式継承と呪具化』

 

 日車のロザリオが光を取り戻す。

 

 処刑人の剣

 

 日車と悠仁の目が合う。

 

 後を託す瞳。その眼を虎杖は見た事がある。

 虎杖悠仁は力強く頷いた。

 

『後は頼みます』

 

「それでいい」

 

 処刑人の剣を振り下ろす

 

 この一撃で、宿儺の生命を絶つ!! 

 

 処刑人の剣は、正確に心臓の直線上を捉え、伏(・)黒(・)の(・)背中を突いた。

 

「……は?」

 

 処刑人の剣は殺害対象を間違えない。

 

 宿儺の背中から姿を現した伏黒恵。

 処刑人の剣は

 高専組の目論見通り、

 そして

 宿儺の仮定通り、伏黒恵を傷つけなかった。

 

 即身仏となった自身の肉体を取り込んだ両面宿儺に受肉体はもう必要無い。

 

 摩虎羅を失った以上、十種影法術への興味も失せた。

 

 宿儺は、伏黒恵を自身から分離し処刑人の剣に対する盾とした。

 

「返してやったぞ。小僧」

 

 宿儺が嗤う。

 

「満足か?」

 

 伏黒、虎杖、2人を諸共に斬撃で切り飛ばすために振り返り──

 

 

「黒閃」

 黒い火花が3人を引き剥がす。

 

 超音速の一撃が炸裂し、宿儺が吹き飛んだ。

 

 着物姿の男

 最速 禪院直哉

 

「直哉さん」

 

「何やっとるんや、虎杖悠仁! 敵の前で惚けとる場合かっ!」

 

 ──投射呪法……だったか? 速いな

 

 体勢を立て直した宿儺の前に亀裂が走る。

 直後に血液が亀裂から吹き出しカーテンを形成する。

 

「小休止か、まぁいいだろう」

 

 ◇

 

 電撃が迸り日車を癒す。

 

 空を駆けて現れたのは、黄金のマスク。

 来訪瑞獣 麒麟を降ろした猪野拓真

 

 正の呪力を帯びた電気は身体を癒しながら心肺蘇生を同時に行う。

 

「虎杖! 日車と伏黒はこっちで預かる!」

 

「猪野さん……」

 日車を抱えた猪野がグッタリとした様子の伏黒を支える虎杖に手を差し出す。

 

「ほれ、速く!」

 

「は、はい」

 

 伏黒を受け取り、猪野が伏黒と日車を両腕に抱える。

「日車さんは流石に戦線復帰出来ねぇ、伏黒も同様だ。しっかり、俺が預かっておく。五条さんの傷も治したけど、魂が帰ってくるかは分からねぇ」

 

「五条悟に頼るんやない。虎杖悠仁、恵くん、取り返したんやろ。なら後はあの畜生ぶっ飛ばすだけ、さっさと立ちや」

 

 直哉の叱咤激励に虎杖悠仁が立ち上がる。

 

「っ……。押忍!」

 

 

「おい、俺ぁ、日車を1人にするな、っつったろ。この中で一番速いんだからちゃんとカバーしてくれよ」

 

 遅れて到着したのは日下部篤也。

 

「すまん。なんか俺がおる事、気付かれてへんようやったから、どーせなら1発重いの叩き込もうと思うてな。いや、ヤバなったら助ける気はキチンとあったで? ホンマやで?」

 

「はぁ…。ったく。まぁ生きてるなら結果オーライだ。虎杖! 処刑人の剣は『生きて』るか!」

 

 虎杖悠仁の中で、日車のロザリオは今も熱を帯びている。

 

「はい!」

 

「なら良い! 俺たちの勝利条件は変わってない。やるぞ! お前ら!」

 

「押忍!」

 

「一級に仕切られるのは癪やけど、まぁ、そんな事言っとる場合でも無いわ、な!」

 

 カーテンの向こうで待ち構えていた宿儺に、直哉の蹴りが刺さる。

 

 黒閃

 

 反応速度を超越した一撃。

 加速の完了した禪院直哉の攻撃はその全てが黒閃となる。

 

 ──領域展延による、術式の中断、ええ方法見せてもろたわ

 

 一度、会話のために術式を止めても、日車と宿儺の見せた術式の中断を学習した禪院直哉の投射呪法のコンボは継続したまま。

 

「流石呪いの王、硬いわ」

 

「硬いだけではないぞ、俺の切れ味は比類無い」

 

「当たらなければどうにもならんで」

 

 直哉が走る。飛ぶ斬撃よりも速く

 

「山感だけで俺を捉えられるかいな?」

 

「試してみるか?」

 

 禪院直哉、尚もトップギア!! 

 

 ◇

 

 新しい自分になりたいのなら北へ

 昔の自分に戻りたいのなら南へ行きなさい

 

 空港

 

 飛行機が搭乗口にゆっくりと近づいているのを五条悟はなんとなく見つめていた。

 

 夏油傑が五条の肩を叩く。

 

「悟、時間だよ」

 

「は? 時間って何の時間だよ」

 

「はは、そんなの決まってるじゃないか

 

 遠足は帰るまでが遠足だよ?」

 

 夏油が指差す電光掲示板に映るたった一つの文字

 

 北

 

 空港に備え付けられた大型液晶テレビには宿儺と戦う仲間たちの姿が映っている。

 

「……悔いは無いんだけどなぁ」

 

「仕事が残っているのでしょう? 休暇はその後です」

 本の山の中からアロハシャツを着た七海が顔を覗かせる。

 

「恨むなら、綺麗に殺された自分自身を恨むんだね。孤高の侘しさ……だっけ? もう、そんなものいらないだろ? 悟」

 

 

 圧巻の速度で宿儺と渡り合う禪院直哉

 最前線で明らかな致命傷を受けた自分と日車の身体を回復させた猪野拓真

 

 乙骨、日車、高羽は言わずもがな

 

 覚醒した漏瑚の災害としての脅威度は宿儺をも超えている。

 たまたま優先順位が羂索の方が上だっただけで羂索を倒した後、彼がどう行動するかは予想できない。

 

「……」

 

「1人でダメでもみんなで頑張ればどうにかなるんじゃないか? 宿儺の全力、拝めるかもしれないよ。感想は50年ぐらいしたら改めて聞かせてくれ」

 

 袈裟を着た夏油が五条悟の背中を押した。

 

 ◇

 

「龍鱗」

 

 最強の術師 両面宿儺をもってしても呪詞の詠唱を必要とする世界を対象とする斬撃。

 その予備動作。

 

 直哉、日下部、虎杖の猛攻を4本の腕で捌く宿儺。

 口を2つ持っていることによって、呪詞を口ずさみながらも呼吸は確保され近接戦の動きは全く鈍らない。

 

「反発ツ」

 

 宿儺の胸中に去来するわずかな郷愁。

 

 標的は自身を目覚めさせた少年。そして彼の右手に輝く処刑人の剣。

 

 遠くから放たれた穿血を命中箇所の肩の呪力強化を高めるだけで弾く。

 

「ツ番いの流星」

 

 詠唱は終わり、腕を振るうと共にソレは放たれる。

 

 現代最強 五条悟を終わらせた

 

 世界を断つ斬撃

 

「解」

 

 横薙ぎに放たれた一閃

 

 缶の蓋を開ける様に空間が裂ける。

 

 虎杖悠仁、真正面に拳を突き出す。

 

 打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した瞬間 

 

 空(・)間(・)は(・)歪(・)み(・)

 

 呪力は黒く光る

 

『彼は 黒い火花に愛されている』

 

「黒閃ッ!!」

 

 

 世界を断つ斬撃が逸れ、虎杖の後方のビルを両断した。

 

 

 ──術の完成度が低かったか? いや、この土壇場で黒閃を狙った様なタイミングで出せる小僧の勝負強さか

 

「軟派者も、少しは骨が生えたか」

 

 日下部、直哉の攻撃を捌きながらなおも宿儺は不敵に嗤う。

 

「黒閃によって生み出される空間の歪みで俺の斬撃に干渉したのは見事だ。たしか黒閃は一度出せれば暫くは出しやすくなるのだろう? まだまだ行くぞ、どこまで耐えられるか見ものだな」

 

 ◇

 

 虎杖悠仁から距離を取り続ける両面宿儺に、直哉と日下部が喰らいつく。

 

「虎杖が怖いんか?」

 

「ああ、そうだ。日車寛見の処刑人の剣は危険視するに値する」

 

「は、虎杖だけなら問題は無いってことかよ!」

 

「そうだとも。小僧が俺をどうこう出来ると思い上がるなど片腹痛い。核シェルターが、核兵器そのものに勝つと言っているようなものだ。荒唐無稽にもほどがあろう?」

 

「それなら、逃げる必要あらへん、よな!」

虎杖の方へ宿儺を運ぶため、宿儺の背後に回った直哉の蹴り。

 

「貴様の動き、いい加減、慣れているぞ」

 

に対応した宿儺の手刀が直哉の足を捉えた。

 

「グッ」

 

 禪院直哉の蹴りに合わせて放たれた斬撃が直哉の足に傷をつける。

 術式の肉体強化が無ければ両断されていたかもしれない。

 

 直哉が飛び退く。そこに斬撃が追撃し、回避を余儀なくされる。

 

 直後、宿儺の脇をすり抜けた日下部が刀を腰に据える。

 

「シン陰流 閃耀」

 

 日下部、渾身の抜刀術

 

 宿儺の脇腹を薄く裂く。

 

 ──くそ、俺の全力もこの程度かよ

 

「見事だ」

 宿儺の2本の腕が日下部に叩きつけられ、遠くのビルの残骸まで吹き飛ばされる。

 

 宿儺が立ち止まり、虎杖に相対する。

 

「待たせたな小僧」

 

 手印

 

「領域」

 

 絶体絶命

 しかし、虎杖悠仁は宿儺から目を逸らさない。

 

 ──────

 ────

 ──

 

 瞬間、両面宿儺の脳裏に溢れ出す

 

「宿儺」

 

 存在しない記憶

 

「くだらん」

 

 ──────

 ────

 ──

 

「領域キ展開 伏魔御厨子」

 

 直後、宿儺の中の腕2本が破裂した。

 

 ◇

 

 九相図を取り込んだ事により発現した虎杖悠仁の術式

『夢幻呪法』

 対象に虎杖悠仁が友人である白昼夢を観るか

 あるいは直近0.6秒間の記憶を消し、術を受けた事を忘れるか

 そのどちらかを選ばせる術式

 

 その呪術としての無害さ、無意味さを対価とした必中即効の術式である。

 

『虎杖悠仁の友達を増やす』

 ただそのためだけに存在する、

 本当に虎杖悠仁本人の生得術式かすらも怪しい術式。

 

 この術式には上記の効果以上の効果は存在しない。

 基本的にこの術式は戦闘において何の役にも立たない。

 

 ……

 

 だが、

 

 ほんのわずかな一瞬、

 

『必ず』

 

 対象者の記憶が飛ぶ。

 

 

 領域展開は呪術戦における最高峰の技術であり、その緻密さは瞬間的に1から3D空間をプログラミングする事に匹敵する。

 

 ほ(・)ん(・)の(・)わ(・)ず(・)か(・)な(・)ミ(・)ス(・)も(・)許(・)さ(・)れ(・)な(・)い(・)

 

 プログラミングは極めて繊細なものであり、たとえ1文字でも文字が無意味に重複すればそれだけでプログラム全体が動かなくなってしまう。

 

 呪術も同様。

 呪術戦の頂点、領域展開ならば尚のこと。

 

 たった一文字分にも満たないほんの僅かな情報を、

 既に入力したことを忘(・)れ(・)て(・)、重複させてしまうだけで

 たったそれだけで術式は暴発する。

 

 0.6秒の記憶喪失。

 それは構築から発動までに0.6秒以上の時間を要するあらゆる呪術の失敗を意味する。

 

 ◇

 

 両面宿儺と言えど、瞬間記憶喪失の術式を数回で正確に把握する事は難しい。

 しかし、虎杖が能動的に術を失敗させられる事は理解した。

 それだけ理解できれば十分。

 

 ──たかが術式が一時的に使えなくなっただけだ

 そもそも肘まで残っていれば打撃の使いようもある

 

 宿儺の戦意は毛ほども揺らがない。

 

 処刑人の剣を持って虎杖が走る。

 

 領域不発の反動は宿儺の身体に大きな影響を与えている。

 反転術式で脳を修復しているが、それでも数秒間、術式が使えない。

 

 宿儺に五条悟戦に匹敵する緊張が走る。

 

 虎杖悠仁の愚直なほどに、真っ直ぐな突進。

 

 その動きを乱すため宿儺が足を浮かせ、

 

 ……

 

 足が

 

 地面に

 

 着かない。

 

「これは……っ」

 

 腕がだんだんとゆっくりになって、止まる。

 

 行動が、完結しない。

 

 

 

「僕はさ、火山頭に言ったことがあるんだ『無限は本来至る所にある』って」

 

 

 緊迫の状況下、まるで世間話をするような声色で男が言う。

 

「それなのに実際の僕は自分自身と自分の呪力を起点とした場所にしか無下限呪術を発動できていなかったんだ。我ながら過大評価だよね」

 

「五条悟」

 

 元気ピンピン、泣き別れとなったはずの身体は見事に元通りとなり、半裸となった五条悟がそこにはいた。

 

「術式対象の拡張。空間・存在・世界そのものまで術式対象を拡張して、至(・)る(・)所(・)に無限の遅延を発生させる。物凄く難しい技だったけど、良い手本になったよ」

 

 五条悟の無下限バリアの結界

 それは宿儺の周囲空間に置かれており、全ての動きに無限を挟まれた両面宿儺はもう身じろぎすることしか出来ない。

 

「僕、目の良さには自信があるんだ。一度見た技なら真似てみせるさ」

 

 虎杖悠仁が走る。

 

 処刑人の剣が煌めく。

 

「宿儺ァァァァァァァ!!」

 

 

 虎杖悠仁の突き出した処刑人の剣が両面宿儺の心臓を貫いた。

 

 

 ◇

 

 

 両面宿儺が目を閉じる。

 

 しかし、腹の口は未だ閉じず、なおも呪詞を紡ぐ。

 

「領域」

 生得術式は回復した。

 

 ──往生際が悪いっちゅうねん!! 

 俺が時間を稼げば、五条悟の領域でチェックメイトや! 

 

 禪院直哉、超音速の領域展開

「領域展開!」

 

「展開」

 

「伏魔御厨子」

「時泡月光宮」

 

 俺の領域は投射呪法の研究の副産物や

 効果がしょっぱい代わりに早い! 閉じひん領域相手でも数秒は待たせてみせる!

 

 直哉の領域を、宿儺の領域が押(・)し(・)除(・)け(・)る(・)。

 

 直哉の領域よりも宿儺の領域の方が速く、そして強かった。

 

 直哉を、否、虎杖悠仁や日下部も含めた周囲の物体全てを押し除け

 

 宿儺の姿がその場から消える。

 

 んな阿呆な、俺の領域が純粋に押し負けたやと!? 

 

 領域は無害であればあるほど速度と強度は強まる。

 自身の生得術式が焼き切れるというリスクに加えて、相手を傷つけない縛り。

 宿儺は、今回の領域の術式効果をあえてカラにすることで押し合いに特化させていた。

 

 必要なのは固有空間の生成。

自(・)身(・)を(・)主(・)体(・)と(・)す(・)る(・)亜(・)空(・)間(・)を展開し、領域の解除時に可能となる結界内の座標移動。

 それだけを目的とした領域。

 

 すなわち、この一手はただ五条悟の無下限空間から脱出するためだけの領域展開。

 

 ◇

 

 両面宿儺はビルの残骸の上に立っている。

 

 修復した内側の腕2本を使い、心臓を抉り出し、反転術式で再生させる。

 

 呪術師たちはそれを見て、処刑人の剣が両面宿儺を殺し切るに至らなかったことを悟った。

 

 腸相が虎杖に駆け寄る。

 

「悠仁! 大丈夫だったか!」

 

「俺は大丈夫だけど、ごめん、処刑人の剣でも宿儺は倒せなかった」

 

「おいおい、処刑人の剣は死刑対象を例外なく死に至らしめるんじゃなかったのかよ」

 

「人間死んでも数分は身体の機能は生きてる言うやろ。猪野のアレと同じや、完全に死ぬ前に反転術式で死ぬのを無理やり蘇生させたんとちゃう?」

 

「ったく、なら呪力切れでも狙えって事か? 途方もない話だぜ」

 

「それならそれで、やるだけっすよ」

 

「ええな、好きやで。その脳筋」

 

 前線組の楽しい会話の後ろで五条悟が次の一手を打つ。

 

「九綱

 

 偏光

 

 烏と声明

 

 表裏の狭間」

 

 宿儺が距離を取った事で出来た隙。

 そこに再度、五条悟最大の一撃が放たれる。

 

 引き寄せる順転と弾く反転

 

 それぞれの無限を衝突させることで生成される

 

 仮想の質量を押し出す

 

 

 虚式 茈(むらさき)

 

 

 ◇

 

 両面宿儺、笑う。

 

 茈が到達するまでのわずかな時間で出来うる限界まで呪力を練り上げる。

 

「◼️」

 

 両面宿儺の腕の中で炎が湧く。

 

「開(フーガ)」

 

 炎を矢の様に加工し構える。

 

 迫る紫色の極光に、炎の矢が放たれる。

 

 炎と極光が激突する。

 

 みるみるうちに炎が押し込まれていく。

 

 劣勢

 

「だろうな」

 

 茈が炸裂した。

 

 ◇

 

「処刑人の剣。効いていない訳じゃないみたいだ」

 

「へ? どういう事ですか、五条先生」

 

「宿儺はキッチリ半分は死んでるってこと。たぶんそのうち復活するだろうけど、10分、いや5分ぐらい斬撃の方は使えない」

 

「半分、っすか」

 

「うん。腹の口は知らないけど、4本腕と頭の4つの目。アレ、自前だね。両面宿儺、その名の通り、呪術的に宿儺は2人とカウントされているらしい」

 

「……なるほど、そういうことか……ッ!」

 

 日車寛見に天啓

 全員の通信機から日車の声が響く。

 

「結合双生児。宿儺は2人の人間が産まれながらにして合体しているのか」

 

「そら、忌み児とか呼ばれるわな。言っちゃあ悪いかも知れへんが、いわゆる奇形児やし」

 

 結合双生児

 細胞分裂の不備により双子の身体がつながった状態で産まれてくる現象。

 この事象は生育不全であり「頭が二つ形成される訳ではない」。

 つまり、片方の身体の一部が正常に産まれた側にくっついているだけという状態になり得る。

 短命になる場合もあるが、大きな問題もなく生きた例もある。

 

 海外の記録には下半身が二つある女性の記録があり、

 女性は60歳まで生き、下半身の両方が生物として生殖能力すらも正常に機能し、3人と2人の子宝に恵まれたという。

 

 両面宿儺の結合した双子の片割れは完全な人間として誕生できなかった。

 しかし、双子の身体は確かに宿儺と共に生きている。

 

 禪院真希・真依姉妹とは真逆。

 

 自我は一つ

 

 科学的には1人

 

 だが、

 呪術的には2人

 

 生得術式も2つ

 

 ◇

 

 宿儺はその結合した双子の肉体が融合していることによって、4本の腕に加え心臓を二つ持っていた。

 

 故に「処刑人の剣」で「宿儺」を死に至らしめたとしても、自我を持たない双子の心臓は「宿儺」ではないため処刑人の剣の効果から外れ、

 その心臓が宿儺の生命機能を維持していた。

 

 ◇

 

「さぁみんな、第3ラウンドだ。なに、処刑人の剣で宿儺の呪力の50%を消し飛ばせる事が分かったんだ。あと2回ぐらい悠仁が宿儺にタッチすれば僕らの勝ちだよ」

 

 ◇

 

 一方

 

 生涯初の死の予感を

 

「面白い」

 

 両面宿儺は楽しんでいた。





はい、見たい景色を描いただけです。
スッくんのフーガの情報が開示されるまで続きは無ェです。
虎杖の精神入れ替えとか、九想図食べたっぽいとか、何も考慮してません。
私は好きにした、皆も好きに書こう。

猪野拓真は貴重な高速高耐久前線ヒーラーとして裏方に回っています。
この世界の設定上、竜は上から5本に入るぐらいの瞬間火力の想定してるんですが、ヒーラーが貴重すぎて前線に出れません!残念!


夢幻呪法
虎杖悠仁と友人だったという白昼夢を観るか
直近0.6秒間の記憶を消し、この呪術をかけられた事を忘れるか
という二択を相手に選ばせる術式。
どちらかを必ず選ばなければならないが、術そのものに加害性は皆無。
物理的な影響力の低さを縛りとして、この術式は即着弾かつ必中となっている。
強制力も皆無であり、初めから拒絶の意志を持っていれば即座に棄却される。
ただし、その場合でも直近0.6秒間の記憶は失われる。
どちらを選んでもその後、白昼夢の上映時間の10秒間は術式の重ねがけは出来ない。
『虎杖悠仁の友達を増やす』という術式であり、記憶消去は術式を断られた際に交友関係に支障をきたさないためのもの。
肉体強化のために九想図を取り込んだ際に発現した術式で、その性質上、本当に悠仁の生得術式か怪しい。

戦闘的な使い方として0.6秒の短期記憶消去により、術式のプログラムのバグを誘発し威力の低下や暴発を誘発させる事が出来る。
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