モンハン世界を旅するハンター(転生者)   作:影後

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リオレウスとライゼクスという空の王者達から、
何とか逃げ切ったのも束の間、
ハンターの運命は動き出した。


メゼポルタ

「じゃあな、ハンターさん。

俺達は最後の物資をギルドに降ろす。

次に合うのは1ヶ月後だ。

分かってるな、死ぬんじゃねえぞ」

 

「ニャー!ハンターさん!またにゃ‼️」

 

船長とミシンに簡単な別れを済ます。

1ヶ月後には会えるんだ、そうこれは最後の別れではない。

俺はミシンの頭を撫で、言葉を繋いだ。

 

「帰りはリオレスに気をつけろよ」

 

「当たり前だ」

 

そう軽口を言い合いながら、広場に出た。

数多のハンター(プレイヤー)がいた場所はがらんとし、

辛うじて酒場と工房、クエストカウンターが生きている状態だ。

 

「すごいな、一体何年経ったんだっけか…なのに」

 

ー変わらないものもある。

 

「あら、見ないハンターさんですね。クエストの受注ですか」

 

「ユニス、悪いがクエストじゃないんだ」

 

「…あの、何処かでお会いしました?」

 

「カトレアは…居ないのか、これじゃG級は」

 

簡単な会話をしていたら、ユニスの顔が歪んでいく。

今にも泣き出しそうで、申し訳無さに襲われてしまう。

 

「クエスト、完了しましたか?」

 

涙ながらにそう話してくれるユニスに俺も涙が出てきた。

 

「終わったよ。クエスト完了しました。

だから…言いに来たんだ。ただいま。メゼポルタってさ」

 

そう話したら、ユニスに手を引かれ酒場に連れていかれた。

 

「皆、英雄が…英雄が帰ってきたよ!!」

 

「そんな」「遅かったな」

 

レジェンドラスタたちが各々、頭を撫でてくれる。

懐かしい、最初はレジェンドラスタ達にかなりお世話になった。酒場のテーブルについて酒を注がれる。

 

「あ!レックスじゃないか、ひさしぶり!」

 

「ぬ?レックス?!懐かしいな!!」

 

「タイゾウ!クロエ!」

 

それは俺がよく契約していたレジェンドラスタの二人だった。

この二人の掛け合いが面白くて、

何度も一緒にクエストに行った。

 

「タイクロ砲って」

 

「うん、クロエが許してくれなくて」

 

「当たり前だ」

 

やっぱり面白いなと笑っているが、俺の目的はレナだ。

 

「なあ、誰かレナを、俺のラスタを知らないか」

 

「……あ〜」

 

「ニャビーとか……その……そうか」

 

「慌てなさんな、見ろよ」

 

俺は酒場の入り口に視線を誘導される。

すると、見慣れない女性ハンターが立っていた。

 

「………」

 

俺と同じ装備をして、俺の記憶にある顔をしている。

 

「えと……クエスト、完了しま」

 

「……今更……なんで……今更戻ってきたの?」

 

「おい…レナ」

 

「先生、でも!来てくれなかった!

手紙を書いても1通の返信もない。

ギルドからも一切の連絡もなし!なのに」

 

「……機密だった。

それに……もう何人生き残ったか判らない」

 

「嘘だ!古龍だろうと辿異株だろうと倒していた貴方達が」

 

「全員が全員そうだったわけじゃないだろ。

そもそも倒せなかった方のハンターが」

 

「それでも、並のモンスターで」

 

「…レナ、それ以上は止すんだ。彼を見てみろ」

 

俺の顔は自分でもわからなかった。

だが、頬を垂れる涙でわかる。

心の底から嬉しさが湧いてでて、止まらない。

 

「遅くなって……ごめん」

 

身体が無意識に抱きしめている。

涙も、何もかもが止まらない。

嬉しさや、悲しさ、全てがグチャグチャだ。

今にも泣きそうになる。

 

「そんなに泣くなら……殴れないじゃないですか」

 

「会いたかった、連絡も取りたかった。ごめん……俺は」

 

「ニャビーにも会いましょう。

だから……だから……そんなに泣かないで下さいよ」

 

レナは聖母のように抱き返してくれた。

優しく、心から安らぐ時間だ。

 

「……他の方は」

 

「判らない……何人いるのか。

それとも…俺以外、誰もいないのか」

 

「………生きて…生きて帰ってくれてありがとう」

 

時間にして数十分、皆が慰めてくれた。

涙を見せたのが恥ずかしくて、酒に逃げてしまう。

 

「マイルームに戻れ、道はわかるだろ?」

 

「勿論、と言いたいけどレナ」

 

「はい、部屋は昔のままです。行きますよ」

 

レナとレックスが去った酒場では、

レジェンドラスタと受付嬢達は重苦しい空気に包まれていた。

中でもタイゾウとクロエが一番だ。

タイゾウとクロエの二人については、

レックスがまだ下位のハンターだった頃からの付き合いだ。

さらに、タイゾウとクロエはレナの師でもある。

 

「あんな顔をするなんてな」

 

「……ギルドに聞いても機密事項。

酷い時にはそんなハンターは居ないとか」

 

「……まだ、残しておいて良かったな」

 

「うん、クロエ。レックスが戻るまでにもし、

メゼポルタが無くなってたら」

 

「……本当に良かったです」

 

「フローラちゃん」

 

「此処に居る皆も、もうすぐ散り散りになるかもしれません。

でも、私達を忘れていない人がいる。

ソレだけが、とても嬉しくて」

 

「……そうだね。今日は飲もうよ!英雄の帰還を祝って!」

 

「「乾杯!」」

 

 

 

 

____

 

レナに手を引かれながら、懐かしい風景を見ている。

レックスにとってこの景色は画面の中にある物だった。

ソレを今、この目で直接見て肌で感じている。

 

「ニャー!レナ!お帰りなさいにゃ!」

 

「ニャビー、ただいま!」

 

レナは優しい声でニャビーに声をかける。

レックスは未だにマイハウスに入る事はできず、

部屋の外でうじうじしている。

 

「……すんすん、この匂い……懐かしい」

 

「ホーク、GO!」

 

「ホー!」

 

「わっ…なにするんだよ!ちょっと!

お前、こっちは襲わな?!」

 

ホルクのホークから襲われたレックスが転びながらマイルームに入ってくる。いや、大きく転び情けない姿につい、

レナは笑ってしまう。

 

「ふっ…ふふっ……格好…いいですよ、レックス」

 

「レナ!」

 

「旦那さん?」

 

「……やぁニャビー、久しぶ」

 

「旦那さん!」

 

ニャビーはレックスの胸に飛び込むとグリグリと頭を擦りつける。

 

「ニャー!信じてたニャ!おかりなさいにゃ!」

 

「ごめんな、遅くなって」

 

ニャビーの身体を優しく撫でる。

画面の中の存在と触れ合い、

それでも何処か判らない感情だったのが鮮明になる。

 

「ごめん……ごめんね……本当に……今の…今の今まで」

 

「にゃ……旦那さん」

 

涙が止まらない。

レックスはただ嬉しさや悲しさがごっちゃになり、

大粒の涙が垂れてくる。

 

「僕の他にオトモはいないんですニャ?」

 

「いないっていうか、仲間は此処に居るし」

 

「にゃ~!駄目にゃ!ハンターとオトモは一心同体にゃ!

今は昔と変わって僕達オトモは人数にカウントされないから、

何時でも旦那さんを援護できるにゃ!」

 

「って事は最大8人で狩りができるのか。嬉しいな」

 

「そんなところにゃ!っと、旦那さん!プロハンなって」

 

「そっ!黒龍ミラボレアスも倒したし!

ヘビィボウガンとかガンナーが多いけど、聞いてくれよ。

この前、テオ・テスカトルの討伐数が200越えたんだ。

ついでにナナ・テスカトリも150超えて」

 

そう言って見せるのはギルドカード。

ニャビーとレナは呆れたようにしている。

 

「いかれてるにゃ」

 

「さっき、自分は英雄じゃないとか

言ってませんでしたか?

少なくとも、古龍3桁狩ってるのにね」

 

「……?いや、ミラボレアスは20しか倒してないし、

正直乱獲以上に地獄だよ?殺しても殺しても終わらない。

彼奴等やっぱり不死身だよ。絶対にミラボレアスも

生き返ってる。

てか、ボレアス、バルカン、ラース、ルーツ、

ハンターズギルも認めれば良いのさ……まったく」

 

「それ駄目ですからね、絶対に話さないで下さいね」

 

「当たり前だよ。

今の所、シュレイドに行く予定なんてもうないし、

そうだ、開発村にイビルジョーが出てさ。

最初はドスジャギィとドスランポスの縄張り争いかと

思ったのに、その後ギルドナイトと話したりとか、

帰ってくる時なんて、飛行船で来たら

リオレウスとライゼクス、あのまつ毛のハンターには

劣るけどかなり頑張ったよね」

 

「まつ毛の人はインナーで

ダレン・モーランと戦った人です。

でも、レックスも」

 

「無理、インナーでクエストとか死ぬ。

てか、ギルドもイカれてるよ。インナー、護石禁止、

ハンターを間引いてるとしか思えないよ」

 

「でも、それをクリアするほうがイカれてます」

 

「それはそう」

 

この日、レックスは夜通しレナ、ニャビーと語り合った。

ホークは肩に留まり、撫でられる。

 

(帰ってきたんだ)

 

転生してきたじゃない、この世界でこの場所こそが、

自分にとっての心の故郷なのだと思い出せた1日だった。

 

 

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