母親を死喰い人に殺されたセルウィン家最後の生き残りは、カロー家の養女になる。   作:蕩けたバター

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今回の話には賢者の石に欠かせないあの怪物が出てきます。
原作と少し変わっている点がありますが、ご了承ください。
それではどうぞ!


3階の謎

夕食を終え、寮に戻ろうとした時マルフォイとポッター、ウィーズリーの言い争いが聞こえた。

おおかた、ポッターがクディッチの選手に選抜された事にマルフォイが腹を立てたのだろう。

マルフォイの傍にはパンジーやビンセント、ゴイルの姿もあり、とりま機をはべらせてポッターを煽っているようだ。

 

 

「相変わらず懲りないわね、マルフォイは。」

 

 

「まあ、ルールを歪めてまでポッターを選手にしたあの古狸は最低ね。」

 

 

「そうね...少し幼稚な気がするわ。悔しいのも分かるし、グリフィンドール贔屓が良くない事だというのも理解できるけど、毎度毎度よくもまあ飽きないわね。」

 

 

ヘスティアやフローラ、グリーングラスがマルフォイに冷たい視線を送る。

私も彼女達に同意し苦笑しながら、歩き始めた。

寮に戻ると、課題のレポートを書き始める。

 

 

「魔法史の参考資料って何ページだっけ?」

 

 

「確か24ページの右上の絵じゃなかった?」

 

 

「あー、それね。ありがとうヘスティア。」

 

 

ヘスティアもフローラも真面目な性格なので、課題は先に終わらせるタイプだ。

時間ギリギリになってから取り組むのではなく、余裕を持って終わらせるタイプだ。

そして私も彼女達同様に嫌な事は早めに終わらせるタイプなので、彼女達との勉強時間は静かで捗る。

人に監視されているという意識のおかげが、手は進むし学習意欲も高まっている気がする。

 

 

課題は15分程度で終わり、私達は明日の予習を始めた。

空から約2時間が経過した頃、フローラが教科書を閉じたタイミングで私達も予習を辞めた。

 

 

「そろそろシャワーを浴びましょう?今日はもう疲れたわ。」

 

 

「そうね。」

 

 

フローラの言葉にヘスティアが頷き、教科書類を片付ける。

私もすぐに教科書を仕舞う。

 

 

「順番はフローラ、私、エスメで良い?」

 

 

「それで良いわ。」

 

 

フローラがシャワールームに向かう。

私とヘスティアは杖を振り、カップとティーポットを浮かしてティータイムを始める。

 

 

「あれ?ミルクが切れてる。」

 

 

「本当ね。明日談話室から貰ってくるわ。」

 

 

紅茶を飲みながらくつろぐ。

 

 

「そういえば、貴方最近ノットと一緒にいる事が多いんじゃない?」

 

 

「そう?まあ、騒がしい人と話すよりは疲れなくて良いから、彼の近くにいるだけよ。彼神経質そうだし、あのマルフォイですら彼の近くではあまり騒がないでしょ?」

 

 

ノットはマルフォイの幼馴染らしいが、マルフォイとは違って真面目な性格だ。

マルフォイに言われて渋々グリフィンドールを煽る事はあるが、積極的に貶したりはしない。

そして、この寮ではマルフォイと対等である時点で、一目置かれる存在となる。

ノットにしろ、ザビニにしろ、マルフォイの腰巾着と馬鹿にする者は少ない。

だから、彼の近くにいれば面倒事に関わらなくてすむから楽なのだ。

ちなみに、ザビニは女好きなので苦手だ。

家柄自体は旧家なので認めている。

 

 

着替えの洋服を準備する為にトランクを開けると、持参してきた本が目に入る。

古代魔法について書かれたものが多いが、数冊恋愛小説も持って来ている。

 

 

「あ、それ"ロゼッタ"の3巻よね?」

 

 

「そうよ。家から持ってきていたの。良かったらヘスティアも読む?」

 

 

「良いの?じゃあ貸してもらおうかしら。」

 

 

私はヘスティアに3巻を手渡した。

彼女はソファーに腰掛け、読み始める。

 

 

"ロゼッタ"とは魔法界で有名な作家、レイチェル・ガーランドの著書で、思春期の少女に大人気の恋愛小説だ。

一月前、新刊が発売されたのだが、各地の書店で売り切れが続出し、どの店でも入荷待ちらしい。

 

 

主人公は英国貴族の血を引く少女ロゼッタで、彼女は妾腹の子で家族から疎まれ蔑まれてきた。

そして11歳になった時、魔法の力が覚醒しホグワーツに入学する。

しかし、ホグワーツに入学しても魔法を上手く使えず馬鹿にされてしまう。

しかし、いじめられている彼女の目の前をたまたま通り掛かったエドウィンという少年が、彼女を救う。

そして彼女は実は有名な魔法族の血を引いている事が分かり、エドウィンに支えながら立派なレディを目指す、いわゆるシンデレラストーリーだ。

 

 

マグル生まれを嫌うスリザリン内でも、この作品は人気で、パンジーやダフネもこっそり読んでいるところを見た事がある。

 

 

私も何か本を読む事にした。

今日の変身術の授業前の休み時間に読んでいた小説を探すが見つからない。

どうやら、変身術教室に置いて来てしまったようだ。

 

 

「忘れ物をしちゃったから、持ちに行ってくる。」

 

 

「明日にしたら?消灯まで後30分しかないわよ?」

 

 

「30分あれば十分だよ。行ってくるね。」

 

 

私は急いで教室に向かった。

教室は開いており、授業を受けた席を確認するとお目当ての本を見つけた。

本を持って教室を出る。

スリザリン寮へは幾つかの階段を降りる必要がある。

しかし、ここの階段は意外と気まぐれで、なかなかやってこない。

その時、ふと上を見上げると3階に続く階段画私の元まで移動してきている事に気付いた。

 

 

『ああ、それと3階右側の廊下には入らぬように。』

 

 

入学初日にダンブルドアが話していた。

3階に行くな、とはどういう意味なのか。

あの時は入学したてで緊張していた事もあり深く考えなかったが、入学して数日経った今ならあの言葉の意味を冷静に考えられる。

3階に向かう階段は滅多にやって来ない。

だから私も気にしていなかったが、今こうして階段が私の目の前にやって来た。

もうすぐ消灯の時間だが、今なら4階に行く事が出来る。

私は好奇心に負け、階段を上がる事にした。

その時、後ろから見知った声が聞こえてきた。

 

 

「おい?何しているんだ?エスメラルダ。」

 

 

振り返ると、本を持ったノットとマルフォイがそこに立っていた。

彼らは慌てた様子で私の元までやってくる。

 

 

「あら、マルフォイ、ノット君。ちょっと、3階が気になって。3階に上がれる階段は滅多にやって来ないし、好奇心には勝てないわ。」

 

 

「だが、3階は禁じられている。それにもうすぐ消灯時間だぞ?」

 

 

マルフォイが咎めるように私を見るが、私は苦笑しながらも階段を上がる。

 

 

「ごめん、すぐに帰るつもりだったの。ちょっと見るだけだから。」

 

 

「それでスリザリンが減点されたらどうするんだ?」

 

 

「そうだ。早く戻ろう。」

 

 

マルフォイの発言にノットも同意し、私にスリザリン寮へ戻るよう促す。

だが、次にいつ3階に続く階段がやってくるか分からない為、私は首を横に振り歩き続ける事にした。

一段、また一段と階段を上っていく。

その時、階段が動き、足場から離れていく。

 

 

「う、うわぁ!」

 

 

「…このままじゃ、寮に戻れない。」

 

 

階段に足を乗せていた2人も寮に戻る事は出来なくなってしまった。

消灯時間も近いため、見回りの先生が歩いているかもしれない。

バレたら、何かしらの処分がある。

私達は急いで階段を駆け上がると、右側に部屋を見つけた。

扉を開けようとしても鍵がかかっていて開かない。

 

 

「アロホモーラ」

 

 

私を杖を振り、扉を開ける。

 

 

「クソ、一体どうなっているんだ!この学校は…え?」

 

 

マルフォイがそう愚痴った瞬間、背後に大きな気配を感じた。

私達は恐る恐る振り返ると、恐ろしいものを見てしまった。

マルフォイは震え固まり、普段表情の乏しいノットも目を見開いて驚いている。

私も恐怖で声すら出ない。

 

 

「さ、三頭犬…ケルベロスか?まさか、何かを守っているのか?」

 

 

ノットが冷静に正体の名を告げる。

本で読んだ事はあるが、見るのはこれが初めてだ。

それは3つの頭を持ち、大きな体で下に続く扉を守っているように見える。

 

 

「と、とにかくここは危険だ。早く戻ろう。」

 

 

ノットの言葉に私達は頷き、入口へ向かうが、扉の向こうから足音が聞こえる。

 

 

「ど、どうしよう?誰か来たよ?」

 

 

「やむを得ないな…」

 

 

ノットとマルフォイがローブから杖を取り出し、入り口の扉に向ける。

 

 

「うわぁ!逃げろ!」

 

 

外から間の抜けた声が聞こえる。

その声の持ち主はウィーズリーだ。

マルフォイとノットは少し肩の力が抜けたのか、杖を下ろすが、扉の向こうを注視していた。

扉が勢いよく開かれ、グリフィンドールのポッター、ウィーズリー、グレンジャーが姿を現す。

 

 

「な、マルフォイ?!おい、どうして決闘に来ないんだ?僕達はずっと待っていたんだぞ?」

 

 

ウィーズリーがマルフォイに詰め寄るが、私達の背後の存在に気付いたのかその場に崩れ落ちる。

ウィーズリーの異変に気付いたグレンジャーとポッターも私達の背後のものを見ると、目を丸くして驚いていた。

 

 

「い、いや「叫ぶな。」…っ、そ、そうね。落ち着きましょう。」

 

 

グレンジャーが叫ぼうとした瞬間、ノットが低い声で制止する。

彼の制止により、グレンジャーは少し落ち着きを取り戻した。

 

 

この怪物が起きたら、私達は全員お終いだ。

何人かは生き残れるかもしれないが、必ず怪我人は出るだろう。

入学しまばかりで、対処法はおろか、攻撃魔法すら習っていない。

今の私達には何も出来ない。

 

 

「それで?これはどういう事なの?」

 

 

「分からない。僕達もここに来たくて来たわけでは無いからな。」

 

 

そう言い、ノットは恨めしそうな顔で私を睨む。

私爆笑しながら、状況を説明した。

 

 

「つまり、マルフォイ!お前は、決闘をする気はなくて、僕達が罰則処分を受けるように仕組んだんだな?」

 

 

「ハッ、学校のルールを理解していない君達が悪いんじゃないか。」

 

 

「ハリー、ロン!今はそんな事置いておきなさい。それで、この三頭犬は何かを守っているのね?」

 

 

グレンジャーが言い合いを始めたポッター達を諌め、状況確認を続ける。

 

 

「そつなるね。でも何を守っているんだろう?」

 

 

「そんな事気にしても仕方ないだろう。それより、流石にそろそろフィルチも行ったんじゃないか?早く寮に戻らなければ。」

 

 

ノットの言葉に私は頷き、ゆっくり三頭犬を起こさないように入り口の扉を開ける。

その時、ガタンと何かが落ちる音がした。

慌てて振り変えると、三頭犬の目が見開いた。

そして大きな声で吠え始める。

 

 

「いやああっ!」

 

 

「うわあ、逃げろ!」

 

 

グレンジャーの悲鳴に、ポッターとウィーズリーが走り出し、マルフォイもふらつきながら入口へ向かって走る。

私も慌てて走ろうとするが、なにかに躓いて転んでしまう。

三頭犬の涎が私の横の地面を濡らす。

 

 

「あ、ああ…」

 

 

このままでは襲われてしまう。

何とか足に力を入れようとするが、体が言うこと聞かない。

迫り来る恐怖にぎゅっと目を閉じる。

 

 

「ステューピファイ!」

 

 

後ろから声がし、目の前からバタンと何かが倒れる音がした。

目を開けると、三頭犬は床に倒れていた。

 

 

「ほら、今のうちに行くぞ。」

 

 

ノットの差し出した手を握り、私は彼に手を引かれて部屋を出る。

丁度階段がスリザリン寮に続く廊下に移動していたので、私達は転ばない程度に急いで階段を駆け下りた。

普段家に篭もりきっりだからか、急に走った事で私は息切れを起こした。

 

 

「はぁ、はぁ…タイム、少し待って。」

 

 

「大丈夫か?エスメラルダ。」

 

 

「だ、大丈夫?セルウィン。」

 

 

先に階段を下りていたマルフォイとポッターが私に声を掛ける。

私は肩で息をしながら縦に首を振った。

少し休んで落ち着くと、私は立ち上がった。

 

 

「ごめん、もう大丈夫。ありがとう、マルフォイ、ポッター。」

 

 

そう言い、私は歩を進める。

2人に礼を言いながら寮に続く道を歩く。

そしてグレンジャー達が足を止める。

どうやら、グリフィンドールとはここで別れるようだ。

 

 

「とりあえず、お互い今日の事は忘れましょう。貴方達も減点されたくはないでしょう?」

 

 

グレンジャーが私とマルフォイ、ノットを見て話す。

マルフォイが何か言いたそうな顔で口を開くが、ノットが静かに制止し頷いた。

マルフォイは不満そうな顔だが、渋々といった様子で頷いた。

 

 

見回りの教員にバレないようスリザリンの談話室に帰ってくると、ヘスティアとフローラ、パンジーが驚い様子で駆け寄ってきた。

 

 

「もう心配したのよ!どこに行ってたの?エスメラルダ!」

 

 

「一体何をしたらこんなに遅くなるの?」

 

 

「顔色が悪いわよ?エスメ。本当に大丈夫?」

 

 

3人が私を取り囲み抱きついてくる。

心配をかけてしまった事に申し訳なく思いながらも、彼女達を強く抱き締める。

 

 

「ごめん、色々あったんだけど。心配をかけてしまったわよね。本当にごめん。」

 

 

「もう!私怒ってるのよ?フローラ達に貴方がいないって聞かされた時、どれほど心配だったか分かる?」

 

 

パンジーは怒った口調でそう言うと、私の鼻を軽く摘んだ。

 

 

「い、いひゃい、やめへ…」

 

 

鼻を摘まれて話しにくいが、謝りながら何とかパンジーを宥める。

ヘスティアもフローラも心配そうに私を見ていた。

ヘスティアが私の後ろに立つマルフォイとノットに気付き、ギロリと睨んだ。

 

 

「で、こんな時間にマルフォイとノットはどこに行っていたの?特にマルフォイ、貴方が大事なスリザリンの点数を減らされる可能性があるというのに、それよりも大事な事だったのかしら?」

 

 

「い、いや、それは…その…」

 

 

ヘスティアの鋭い視線に怯えながら、マルフォイはノットに助けを求める。

 

 

「…はぁ。カローの忘れ物を探していたら、こんな時間になってしまったんだ。」

 

 

「そ、そうなの。」

 

 

グレンジャー達に状況説明をした時、話した内容を覚えていたノットがフォローを入れてくれた。

そしてそれは半分事実なので、ノットの話に乗る事にした。

 

 

「ほら、魔法ミステリー小説を置いてきちゃったから。てっきり変身術の教室だと思ったんだけど、結局呪文学の教室に置かれていたんだね。」

 

 

そう私が言うと、マルフォイもうんうんと頷く。

パンジーはその話を信じたようだが、ヘスティアとフローラは訝しげな顔で私を見つめていた。

そしてヘスティアがノットをじっと見つめ、数秒後ため息をついてからこう言った。

 

 

「ふーん?まあ、そういう事にしておいてあげる。」

 

 

渋々納得した様子で、ヘスティアは自室に戻る。

私とフローラもその後を着いて歩く。

その後、私はシャワーを浴びて、ナイトドレスに着替えた。

寝る為にベッドへ向かおうとした時、ヘスティアとフローラが私のベッドに座った。

 

 

「…これじゃあ、眠れないんだけど?」

 

 

「エスメ、貴方が本当の事を話してくれたら眠らせてあげるわ。」

 

 

「そうよ、早く話しなさい?真実薬を飲みたいわけじゃないでしょ?」

 

 

どうやら2人は全く納得していないようだ。

 

 

「誰にも言わないって約束してね?」

 

 

「「勿論よ。」」

 

 

2人の声が綺麗に重なる。

 

 

私は微笑ましく思いながら、スリザリンらしい2人に苦笑し、ついさっき起きた出来事について話し始める。

 

 

本当に小説を忘れて取りに行ったら、たまたま3階へ続く階段が目の前にやってきた事。

3階に着いて右の部屋に入ったら三頭犬が床下の扉を守るように座っていた事。

マルフォイと決闘予定だったグリフィンドールとその部屋で出会った事。

犬が起きて慌てて逃げ出してきた事。

 

 

「へぇ?マルフォイ達とはいつ会ったの?」

 

 

「3階に続く階段が私の目の前に移動してきた時よ。」

 

 

「へぇ?」

 

 

彼女達は私の突拍子もない話を疑うこと無く最後まで聞いてくれた。

こういうところが少し変わっていると言われる理由なのだろうが、そのミステリアスな性格が2人の魅力をより引き立てている気がする。

 

 

「三頭犬が何かを守っている…そして3階に近付いてはいけない。これが意味する事は…誰かが三頭犬の守っている物を狙っているってことね?」

 

 

ヘスティアの考察はおそらく正しい。

何故なら、ノットもその仮説を立てていたからだ。

しかし、世界一安全とされているホグワーツでわざわざ守らなければならない物とは、一体なんなのだろうか。

 

 

「何を守っているのかしら?」

 

 

「気になるわね。そういえば、先月だったかしら?それとも7月?まあ、とにかくグリンゴッツに強盗が入ったってお父様が言っていた気がするの。天下のグリンゴッツに、よ?」

 

 

グリンゴッツとはダイアゴン横丁にある銀行で、厳しいセキュリティは、ホグワーツに次ぐ安全な場所と言われている。

中は地下空間で、鍾乳洞や滝のある複雑に入り組んだ道をトロッコで疾走して金庫へ向かうそうだ。

最奥にはドラゴンが守る金庫も存在しており、セキュリティの高さはピカイチとされている。

 

 

「そのグリンゴッツの金庫に保管されていた物が狙われたと知って、強盗に入られる前にわざわざホグワーツに移していたんだとしたら…」

 

 

フローラの憶測にヘスティアは「有り得ない話じゃない」と返しており、彼女の立てた仮説は真実に近いように感じる。

 

 

「色々気になるけど、グリンゴッツに詳しい人はいないし、あそこには色んなヤバい物が保管されてるって話よ。私達には到底思いつかないような物もあるでしょうね。」

 

 

「そうね。まあ、今日はもう寝ましょう。明日も授業はあるし。」

 

 

「そうだね。」

 

 

ヘスティアとフローラは納得したのか、涼し気な表情でベッドから立ち上がり、自分のベッドに移動して行った。

 

 

「おやすみ、エスメ、ヘスティア。」

 

 

「おやすみ、エスメ、フローラ。」

 

 

「おやすみ、フローラ、ヘスティア。」

 

 

就寝の挨拶をし、私達は夢の中へ舵をきる。

 

 

ホグワーツには不思議な事が沢山起こる。

怖い事もあるけれど、私はスリリングなこの学校が少しだけ好きになっていた。

それでも、家族に会えない寂しさは募る。

 

 

美しい声が聞こえた。

振り返ると、綺麗なブロンドの髪を靡かせた女性が私に微笑んだ。

その女性に手を伸ばそうとした時…

 

 

目を開けると朝になっていた。

どうやら夢を見ていたようだ。

ベッドから立ち上がり、カーテンを開ける。

窓の外では魚がすいすいと泳いでいた。

 

 

「あの人は、誰なんだろう?懐かしい感じがするなぁ。」

 

 

そう呟いて、ヘスティアとフローラを起こし、着替えを始める。

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