中立から内側へ 健全版 作:シオリスキー
『アキラ、ちょっといいかしら?』
義体男の裏にいた徒党の事を教え、アキラをあの場から動かしたのはアルファであった。
『どうした?』
その事に、アキラとしては何の疑問もなかった。
義体男が単独で工作活動を仕掛けてくるとは思わないし、どこかの徒党の指示を請けて行動していたと考えるのが自然だ。
そして、ゼブラの件から予測すれば、義体男が倒れたのだし次は後ろで糸を引いている相手の事をアキラが尋ねると考えるのも不自然な事ではなく――
気を利かせたアルファが事前に教えてきたとしか思っていない。
『これから徒党の制圧をする事になるけど、私のサポートなしで挑んでもらいたいの』
『何かあるのか?』
けれど、この提案にはさすがに疑問を覚えずには居られなかった。
『あまり大した規模じゃないし、大人数の対人戦、しかも室内戦ってこういう機会でもないと少ないでしょう? 私のサポートなしで、どこまでやれるか知っておきたいのよ』
『ああ、そういう事か。了解』
アルファの説明に納得したアキラは、戦いに向けて思考を働かせていく。
『安心して。危なかったらサポートするし、何かあれば言うわ。ただ、出来れば私から何も言わなくていいくらい上手くやれるってところを見せてくれると嬉しいわね』
そんなアキラをからかうようにアルファは付け加えるが――
嘘こそ吐いてないが事情を全て説明した訳ではない。
確かに今のアキラが自分のサポートなしで、どこまでやれるかは気になる。
その上で今回の徒党はゼブラ達を唆した徒党よりは規模が大きく、この敵対徒党をアルファのサポートなしで倒せば少しはアキラの自信に繋がるという理由もあった。
けれど最大の理由は――
(今、シオリの事を考えさせるのはマズイ気がするわ)
とにかく戦闘に思考を集中させ、シオリの事を考えさせない事が狙いだ。
それこそシオリに対してどう思っているか聞くなんて下策だし、反応を見る為にシオリの裸なんて見せようものなら逆効果。
とにかく今はシオリから引き離して、考えさせない。
そうしなければ危険だとアルファは判断していた。
(アキラとしては借りを返したくらいのつもりでしょうが――)
前にシオリとエレナが戦った一件でシオリに味方する形になったアキラは、エレナ達との関係の悪化を気にした事がある。
その際、シオリが関係の確認と修復を申し出た事があり、今回の件はそれに対する返礼のようなものだと考える事は出来た。
(けど、それでもアキラらしくない)
貸し借りでものを考えている部分だけなら、非常にアキラらしい判断だとはアルファも思う。
だが、それでも自分に非がないのにアキラが頭を下げるか?
それも何もなくても揉めるカツヤ相手に、だ。
(危険だわ……)
自分の契約を反故にする可能性。
その因子として、アルファは強くシオリを警戒し始めていた。
『私のサポートなしで戦うのが不安っていうなら、最初から最後まで手取り足取りサポートしてあげるわよ?』
そんな考えなど一切表に出さず。
アルファは、からかうようにアキラを煽る。
『いや、要らん。アルファに何も言わせないくらい楽勝にこなしてみせるさ』
そんなアルファの思惑にアキラは欠片も気付く事なく――
目的である徒党の拠点に辿り着くと、どう攻めるのか考え始めたのだった。
この中で三章に何か言いたい事があれば
-
解像度が高い
-
展開が上手い
-
納得が多かった
-
面白かった
-
本当にアキラ×シオリSSだったんだ
-
アキラの反応が良い
-
シオリの変化が良い