虹の陰陽師   作:サバ缶みそ味

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 今週の陰陽師……ようやく夜島達は因縁の相手と戦うようで。    相手は……えーと、誰だっけこの人。(オイ


14 話 七輝、チームを作る

「なあフシミン、なんで俺呼ばれてんだ?」

 

 七輝は伏見に連れられ校内の廊下を歩いていた。

 

 月詠との試合から1週間が経過した。あいも変わらず七輝は授業をサボって町内を散策し、校舎にくるのは食堂で昼食を食べる時のみで、上級生に絡まれては返り討ちにする毎日であった。

 

「七輝くん、九条さんとの約束は覚えてますか?」

 

「ん?」

 

 なんだそれはとけろっとした顔をする七輝に伏見はため息をこぼす。

 

「やはり忘れてましたか……」

「あれか?再戦の打ち合わせか!んだよ、いつやるのかずっと待ってたんだぜ?」

 

 気さくに笑いながらシャドウボクシングをする七輝に伏見は再びため息をこぼす。

 

「違います。試合の後、君の処遇について話し合いました。今回は九条さんがその結果をお伝えするそうです」

「ほーん……もしや、北高に帰れるってか!!」

「そう隙あらば帰ろうとしないでください。ほら、着きましたよ」

 

 伏見は生徒会室と書かれたプレートが貼られたドアの前に立ち止まる。伏見がノックをしてドアを開けて入ると幾つかのファイルが収納された棚に大きめのデスクと淡々とした部屋に月詠と複数の生徒がいた。

 書類整理の最中だったようだが入ってきた伏見と七輝に気づくと笑顔で出迎えた。

 

「やあ真田君、待っていたよ」

 

「おっすー、ツッキー元気してたー?」

 

 飄々と挨拶する七輝に月詠の隣にいた彼女と同じ身長くらいの淡い銀髪の女子生徒はブフッと吹いた一方、茶髪の濃い茶髪の長身の男子生徒はムッと睨んで七輝に突っかかる。

 

「お前……九条先輩に失礼だぞ!」

 

「なんか呼ばれたんだけどさ、再戦の打ち合わせ?」

 

 七輝は突っかかってきた男子生徒をスルーして月詠に尋ねた。相手を無視する態度に頭にきた男子生徒は殴りかかろうとしたが月詠に制止される。

 

「服部、そう怒るな。私は気にしていない……真田君、紹介しよう。こちらが生徒会副会長の倉光神那(くらみつかんな)

 

 淡い銀髪の女子生徒はニッと笑って手を振る。

 

「よっ!あたいもあん時の試合を見てたけど大爆笑だったぜ!結界ぶち壊して帰る奴なんて初めてだよ」

 

「いやー、褒めてもなんも出ないすよ」

「次に黙々と書類整理しているのが会計の火口滉平(ひぐちこうへい)

  

 七輝に興味ないのか黙々と書類整理をしていた灰色のやや髪の長い小柄の男子生徒はペンを止めてチラッと七輝を見ると直ぐに作業に戻る。

 

「そして君をずっと睨んでいるのが書記の服部範丞(はっとりはんすけ)だ」

 

 紹介された服部はふんと鼻を鳴らして敵意剥き出しで七輝を睨む。

 

「試合の後、伏見さんと私そして校長と今後の君の処遇について話し合ったのは聞いてるかな?」

 

「あー、さっき。ほんで再戦するの?」

 

「この…!試合放棄して逃亡したくせに調子に乗るなよ!」

 

 業を煮やした服部が声を荒げて七輝に再び突っかかるが七輝は面白そうに笑う。

 

「あはははー、あれは試合中断だぜ?つうか試合よりも『参謀』だし?」

「確かに博識の左京さんと脳筋の兎山のコンビは面白いよね」

「あたいは井民かなー。兎山と口喧嘩しながらも協力する所とかけっこう好き」

「火口くん、倉光先輩……!」

 

 書類整理しながら頷く火口とニシシと笑う倉光に服部は項垂れる。話が路線から離れてしまい月詠は咳払いして話を続けた。

 

「君にとっては試合中断のようだが、服部のように試合放棄をしたと見なしている生徒もいる」

「あーだからか。最近、『腰抜け』とか『土下座しろ』とか言いながら喧嘩振っけてくる輩が多いわけだ。わからせてやったけど」

 

「校長も君が敵前逃亡したと見なしている。約束通り、全生徒に謝罪すべきだと言われたが……私は君の実力は凄まじく突出していると感じている。この校舎にて君と並ぶ実力を持つ生徒は数えるよりも少ないだろう」

 

 七輝の実力を認めている月詠の話に服部はそんな馬鹿なと目を丸くして驚く。

 

「私は校長を説得させて試合は中断により無効、謝罪の件は不要にしてもらった。ただ、私としては君の実力はもっと伸びてほしい。だからちゃんと通学して勉学と陰陽師の技術向上に励んでくれないだろうか」

 

 月詠の頼みに七輝はやや面倒くさそうな顔して悩んだ。

 

「ええー、再戦はないのかぁ……授業受けた方がいいの?」

 

「ああ、出席していけば君にも仲間、親友ができる。君にとってかけがえの無い存在になるはずだ」

 

 微笑む月詠に対して七輝は唸りながら腕を組んで考え込みだした。ごねる七輝に服部は苛立ち睨みつけるが月詠は服部を制止させる。

 

「なあフシミン、授業面倒くせーんだけど?俺に必要?」

 

 頑なに面倒くさがる七輝に伏見はため息をこぼした。このままでは月詠の寛大な沙汰を無碍にしてしまう。こうなったら奥の手を使うしかないと伏見は意を決する。

 

「七輝くん……これまでの君の活躍を手紙に書いて周防さんに送ろうかと「っしゃあ!!ツッキー先輩!俺バリバリに頑張って頂点目指しますんで!!」……ほんと私に対する態度と全然違いますよね」

 

 急にやる気に満ち溢れて張り切り出す七輝に伏見は大きなため息をこぼした。七輝が快諾してくれたことに月詠は満足気に頷く。

 

「よかった。これからの授業は今後陰陽師として―――」

 

 月詠が説明を聞かずに七輝は生徒会室を飛び出していった。

 

「よーし!そうと決まれば善は急げだ!行くぜフシミン!!」

 

「七輝くん、廊下は走らないでください。周防さんには謝らなければいけませんね……」

 

 猛ダッシュで自分のクラスへと向かった七輝とあたふたと彼を追って出た伏見に月詠達はポカンとした。

 

「あははは!ほんと面白い奴だな月詠!」

「まったく、うらやましいくらい自由すぎるな…」

「………」

 

 七輝の実力を認め笑い合う月詠達であったが、服部だけは七輝を憎らしく感じていた。

 

「あいつ……調子に乗りやがって……今に見てろ」

 

____

 

 

「フシミン!俺のクラスは何処だ!」

 

 ドタドタと走りながら教室を疾走する七輝を伏見は肩で息をしながら必死に走って追いかける。

 

「な、七輝くん…ゼェ…ハァ…き、君のクラスは……1年3組です……」

 

 それを聞いた七輝は更にスピードを上げて走り、目的の教室を見つけるやいなや扉を蹴り開けた。

 

「オラァっ!授業を受けに来たぜ!!」

 

 突然の七輝の乱入もとい出席に教室にいた教師と生徒達がギョッとして一斉に七輝を見る。

 

 授業か何かの最中だったのか、生徒達は4〜5人の班に分かれていた。その中で3人だけの班があるのを七輝は見つけた。その班の中にルームメイトの結城がいたのだ。

 

「な、七輝くん!?ようやく授業受ける気になったんだね!」

 

「はっはっはっ!ゆっきー、俺は頂点を目指しに来たんだぜ!」

 

「うん、やっぱり平常運転なんだね……」

 

 自由すぎる七輝に結城は苦笑いをする。

 

「つうかなんで班つくってんだ?今頃いるのか?」

 

「これはね、陰陽師の小隊を組むための訓練だよ。陰陽寮も怪異観測捜査本部も各隊長の下には幾つかの小隊が存在しているんだ。この学校ではこの作ったチームで卒業まで共にし、今後小隊の一員になるために特訓するんだ」

 

「ほーん……てゆうか俺とゆっきーだけでよくね?」

 

 七輝は面倒くさそうに首をかしげる。確かに彼は集団行動とは無縁そうだと結城は心の中で納得する。

 

「七輝くん、そうはいきません。君にはチームを組んでもらいますよ」

 

「フシミン?どういう事だ?」

 

「なんとしてでもこのチームで授業を受けてもらう……校長の要望です」

 

 伏見はキリキリ痛む胃のある辺りのお腹をさすりながら思い出す。

 

____

 

 

 それは校長室にて、月詠が試合は無効にする代わりに七輝を授業を受けさせるようにすると説得して帰った後のことであった。

校長の武藤二郎は大きなため息をこぼしてジト目で伏見を睨む。

 

「大の大人が、しかも校長が、生徒に言いくるめられるんだろうね……私ってそんなに信頼されてないの?私校長だよ?舐められてるの?」

 

 どう答えたらいいのか、伏見は愛想笑いで何とかその場をしのぐ。

 

「あのもんだ……あの真田君を言う事聞かせるようにしないと……そうだ!」

 

 何か閃いたのか校長はクラスメイトの名前が書かれた一覧表を取り出す。

 

「1年生はそろそろ小隊訓練の最初、チーム作りの段階だ。彼が唆るクラスメイトのチームにしたらきっと言う事を聞くはずだ」

 

「と、いうと……まさか無理やり他のクラスの生徒を入れて彼に押し付ける気ですか?」

 

「言い方悪いよ伏見君。真田君も男子だから強くてかわいい子がいたらきっとやる気になるはず。てゆうかそうあるべき。そうじゃなかったら退学にさせるし。うん、よし、まずはあたかも狙ったことがバレないようルームメイトを入れて……」

 

 もはや職権濫用ではと言いたかったが、もう校長の暴走を止められなかった。

 

____

 

「まじか。校長くそだな。クソ校長だな」

 

「それ絶対に校長の前では言わないでくださいね?と、言うわけで七輝くん…よろしくお願いします」

 

 

 七輝はチラッとチームを組むこととなった女子生徒2人の方へ目を向ける。

 

 ピンクのインナーカラーのはいったショートカットした黒髪の女子生徒は面倒くそうにジト目で睨む。

 

「なんでこの問題児と……はあ……あたしは鮫島愛蓮(さめじまえれん)。ったく、クソ校長のせいであんたと組むなんて面倒ね」

 

「ですから鮫島さんも校長の前では絶対に言わないでくださいね」

「確かにクソ校長なのは同意するぜ。んで、もう一人は……」

 

 淡く長い金髪を後ろにまとめた女子生徒はにっこりと明るい笑顔を見せて挨拶する。

 

「真田七輝殿でごさるね?拙者、波佐間彩葉(はざまいろは)でごさる!皆殿よろしくお願いするでごさるよ」

「おう!てかなんでごさる?」

 

「あー……それは盡器とか式神の影響で、話が長くなるでごさるよ……」

 

 和気あいあいと話合う七輝達を見て伏見は無理やり組まれた彼らが今後うまくやって行けるか不安だったが杞憂であったとホッとした。

 

「まあ組むことになったんだからしゃあねぇ、俺がリーダーでてめえらを引っ張るからよろしくな!」

 

 

「は?」

「えっ」

「承知でごさるよ!」

 

 愛蓮はギロリと睨み、結城は目を丸くし、彩葉は快諾する。いきなり不穏な空気に伏見は嫌な予感が過ぎる。

 

「なにいきなり仕切るわけ?勝手にリーダー決めないでくれない?」

「あ?俺が一番強いんだから当たり前だろ?やるか?」

「ふ、2人とも喧嘩はよくないよ!?」

「そうだ皆殿、今朝クッキーを焼いてきたから食べるでごさるか?」

 

 愛蓮と七輝ががんを飛ばし合い、結城はあたふたと喧嘩を止めようとし、彩葉はマイペースに行動する。

 

 これで大丈夫なのか、不安になってきた伏見は胃が痛くなってきた。

 

 

 




 登場人物のモデル

 副会長、倉光神那……エーテルゲイザーより、クラミツハさん。太ももがいい

 会計、火口滉平……エーテルゲイザーより、カグツチさん。大太刀がかっこいい。

 書記、服部範丞……さすおに、劣等生より服部刑部少丞範蔵。最初のカマセ感があるけどいい人なんよ

鮫島愛蓮……ゼンゼロ、エレン嬢。最押し。サメメイドといい、アクションといい、スタイルといい、最高

波佐間彩葉……とあるホロの侍Vチューバー。めっちゃ最押し。スタイル、歌、清楚、すんごい好き
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