虹の陰陽師   作:サバ缶みそ味

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今週の鵺の陰陽師……わたしは蜘蛛か松明になりたい


 





2話 七輝、入学式する

「自由に生きたい……大いに結構。だが今のお前じゃ無理だ」

 

 身体中傷だらけで肩で息をし体力の限界に陥っている子供、真田七輝を見下ろす。

 

「お前も自覚しているだろう?己の力と己の体に宿す化け物の力、それがどういう意味かを」

 

 返す言葉もないか、今できる反抗しているのか、七輝は無言のまま息を荒げながら睨みつける。

 

「幻妖だけでない、人間達もお前の首と力と欲しさに集り喰らおうとする。いくらお前に力があろうがその程度の実力では自由を掴み取れんぞ」

 

 ならばどうすればいいか、そんな眼差しを向ける七輝に答えるかのように拳を構えた。

 

「自由に生きたければ強くなれ。お前が自由に生きるための術をわしが教えてやる」

 

 

 消滅しかけている幻妖の屍の山の上で怪異観測捜査本部元本部長、真田正雄は優しくにっこりと笑う。

 

「……言っとくがわしは教えるのが下手くそでな、後から文句を言うでないぞ?」

 

__________

 

 

 ここ最近校内に現れる幻妖の数が増えた。

 

 

 周防七咲は早朝一階の空き教室に現れた幻妖を退治して薄々と感じていた。

 生徒に取り憑いたり、纏わりついたりと大きな被害には至ってはいないが時として今退治したような被害をもたらす大物が出現する頻度が多くなっていた。

 

 周防七咲は幻妖を退治する役目を担う陰陽師の一員として日々活動はしているが限度がある。

 

(調査と派遣要請の手紙、ちゃんと届いたかなぁ……)

 

 この学校には何かある、と考えているが一人で調査するのも難しいので陰陽師本部と怪異観測捜査本部に派遣要請の書類を書いて送ったのだがそれは数ヶ月前のこと。

 書類は届いたのだろうか、または忘れられたかあるいは聞き入れられなかったのだろうか、心配であった。

 一人では難しく時間がかかる故にどうしたものかとため息をこぼし外を眺める。

 

「……え?」

 

 外に見えた光景に七咲は目を見張った。グラウンドに数えて十体もの幻妖が一人の青年を取り囲むように蠢いていた。

 見たところ力の弱い幻妖ではあるがあの数で一斉に取り憑いたりでもしたら命に関わる。

 

(助けないと…!)

 

 

 霊衣を纏い、瞬足で駆けてグラウンドにいる青年を助けようとした。

 

 

「―――うおっ、めっちゃ美人じゃん」

 

「っ⁉」

 

 

 

 上下紺色のジャージを着た灰色の髪で赤眼の青年の一言に七咲は驚愕しその場で止まってしまった。

 

 霊衣とは陰陽師が最初に習得する術でこれで幻妖と闘いやすくなり、気配を消すことができるため人に見られることはない。

 だがその霊衣の姿を青年は視認できていた。陰陽師の姿が見えるということは、まさかと七咲は見開く。

 

(もしかして、幻妖も見えている……!?)

 

 青年は不敵に笑うと右から近づいていた幻妖を力強く殴った。拳を受けた幻妖が風船の様に破裂して消滅する。

 

 

(うそ……幻妖を素手で倒した―――!?)

 

 本来、幻妖は()()()()()()()()陰陽師の術や力でないと退治することができない。青年が術や陰陽師の力無しにただの殴る蹴るの攻撃で幻妖を倒したことに驚きを隠せなかった。

 

 一体の幻妖が消滅したことを皮切りに一斉に襲い掛かる幻妖達。だが青年は幻妖達の攻撃を躱して殴る蹴るなどで軽々と幻妖を退治していく。

 最後の一体が背後から襲い掛かるも青年がノールックの裏拳をかまして敢なく消滅する。

 

「うーん、超楽勝すぎだな」

 

 青年は大きく背伸びをして退屈そうに欠伸をする。

 

 

「ねえ君!」

 

 七咲の声に青年は反応して振り返る。七咲は距離を取って警戒態勢に入っていた。

 素手で幻妖を倒すというのは異常だ。強化された人型の幻妖か、あるいは……

 

「君……何者なの?」

 

 

 七咲の問いに青年はニッと笑うとシャキッと姿勢を正して頭を下げた。

 

「今日から北高に入学します1年生っ‼真田七輝です、よろしくお願いしますっ‼」

 

「………はい?」

 

 先ほどの戦闘と打って変わってビシッとした態度に急変したことに七咲はきょとんとする。

 

「えと……1年生?」

 

「おっす!ここに入学して陰陽師になるつもりっす!!まだまだ未熟なんでよろしくお願いしますっ‼」

 

「あのー……「いやぁまさか入学する前に初っ端からめっちゃ美人でめっちゃかっこいい先輩に会えるなんて、北高最高かよ!」あ、ありがと……」

 

 七咲が話しかけようとするが七輝は目を輝かせて声を大にして楽しく話を続けていく。

 

「ここで青春を謳歌して!サイッキョーの陰陽師になるんで!!先輩!頑張りますっすよ!!ところで先輩!入学式の会場ってどこっすかね!一緒に探してくれませんか!!」

 

「ストップ!ストォォップ!!」

 

 一方的に話を続けていくので落ち着くように止めた。

 

「えっと、真田七輝くんだっけ?」

 

「おっす」

 

「話を聞くところ、ここに入学するんだよね?」

 

「おっす」

 

「制服も教科書もまだ貰ってないよね?」

 

「……おっす」

 

「えーと……」

 

 

 

 七咲は話の整理をしようと腕を組んで考え、少し困った顔をして苦笑いをする。

 

 

「あのね………まだ、2月なんだ。入学式はまだまだ先の話だよ?」

 

 

「………ん゙゛んっ!?」

 

 

 真田七輝、フライングであった

 

 




真田正雄(さなだ まさお)

 怪異観測捜査本部元本部長。唯一陰陽師の上層部にケチつけることができる好々爺。
 真田七輝に自由に生きるための術を教える。

見た目と声のイメージは俳優、草刈正雄さん。大河やドラマの演技がめっちゃ格好良くて好き


 鵺の陰陽師、どういう展開なるか。

呪術みたいに人がばったばた死ぬ、人の心とか無いんかストーリーか、ゆらぎ荘みたいにラブな展開はあるけどしっかりとしたバトルもあるストーリーになるか……楽しみ
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