虹の陰陽師   作:サバ缶みそ味

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 最新話に出てきた敵っぽい人……「ンンンンっ!」って言いながら足をドタドタする身長がデカい某ゲームの陰陽師にみえた


3話 一緒にトレーニング!

「よいか七輝、お前に教えることはもうない」

 

 怪異観測捜査本部元本部長である真田正雄は消滅していく大量の幻妖の屍を背景に一緒に夜食のおにぎりを食べている七輝に告げた。

 

「なんだよ、もう終わり?」

「そうだ」

「まだあんだろ?ほら、こう…『必殺技ぁっ!!』的なもんとか」

「そんなもんないわい」

「―――まじか」

 

 当然の如く即答する正雄に七輝は開いた口が塞がらなかった。もっと大技を教授するかと期待していたのだが全くないことに落胆する。 

 

「言っただろう?教えるのが下手くそだと。わしは()()()()()()()のだから基本しか教えられん。だけどな……」

 

 正雄はにっこりと笑って七輝の肩を軽く叩く。

 

 

「自由に生きるための術は全部教えた。あとはお前の努力しだいだ」

 

 そう話を終えると七輝に地図と1枚のパンフレットを渡す。

 

 

「……篝弥市、北高、入学案内……なにこれ?」」

 

「各地方に点在する観測地を除いて篝弥市に幻妖がよく出現する。そのため篝弥市に陰陽師の機関が集約しておる」

 

「……つまり?」

 

 

「七輝、お前は陰陽師になれ―――」

 

 

「―――めんどくさっ」

 

「面倒くさい言うなっ!後々生きていくためには避けて通れん道だ」

 

 七輝は面倒くさそうにため息をつく。己の力と己の中にいる存在による影響は十分承知している。

 自由に生きていくために戦う術は学んだ、後は戦うための技と常識だけだ。それさえあれば常識やら掟やら覆せる。

 

「――しゃあない。懐に潜り込んで上層部の連中の胃を痛めつけてやるか」

 

「その意気じゃ!北高におる陰陽師の顧問には(無理やり)話をつけとる。入学式当日に配属される手筈になっとる」

 

 入学式、学校生活を体験したことがない七輝にとって興味惹かれるものであった。

 校則に縛られることなく縦横無尽に駆け回り、素敵な先輩か同級生か後輩か誰だかと甘酸っぱいような出会いをし、なんかライバルみたいなモブとの熱い喧嘩、そんな青春を謳歌したいと七輝は願った。

 

「ありがとなじいちゃん……行ってくるぜ!」

 

「あぁ、自由に生きてこい!人生は大博打じゃ!」

 

 

 正雄と七輝は高々と笑いあった。

 

 

 

 

 それは寒い1月のことであった。

 

 

_________

 

 

 

 

「あはっ‼あはははははっ‼」

 

 

 

 昼休み、校内にある食堂にて事の顛末を聞いた周防七咲は大爆笑していた。

 

「もー真田ってば張り切すぎ!あははっ!」

 

 爆笑している七咲をよそに七輝は奢ってもらったラーメンを啜る。ジャージ姿の自分がいてもいいのか最初は気にはなっていたが誰も気にしてないようで安心した。

 

「しっかし…入学式が4月だなんて、だいぶ先じゃねぇか」

 

 気合を入れすぎてしまったか暦や学校行事など全く考えないで山を駆け降り遠路はるばる篝弥市へと来てしまった。

 今は学生にもなれない、陰陽師にもなれない。入学式までどう時間を費やそうか悩みどころである。

 

「ふふっ、気合とやる気があるから問題はなさそうだね」

 

 いつの間に昼食を済ませたのか七咲は立ち上がると手を差し伸べた。

 

「それじゃ行こっか」

 

「……えっ?」

 

 七輝は微笑む七咲と差し伸べる彼女の手を点々と見つめる。どういうことなのか理解が追いつかないうちに七咲が彼の手を掴む。

 

「入学するまで私が教えてあげる!」

 

「―――はへっ!?」

 

 その時七輝に電流走る。

 

 

 まだ入学すらしてない出会ってままならない自分にこんな素敵な先輩が手ほどきを教えてくれるなんて、七輝にとって衝撃的で天にも昇るほどの嬉しさであった。

 

「大丈夫!私、陰陽師だから!」

 

 

「――――先輩、陰陽師だったんすか!?」

 

「ふふん、意外だったかな?」

 

「陰陽師っててっきり……坊さん達と一緒に歌って踊るヒゲのおっさんみたいなもんかと思った」

 

 

 七咲は吹いて爆笑した。

 

________

 

 

「この教室が良さそうだね!」

 

 

 七咲は旧校舎一階の空き教室に入りここを練習場所に決めた。

 

「この学校、何故か空き教室が多いんだよね~!」

 

 空き教室が多い分人目につかないから練習するには丁度いいと七咲は話を続ける。

 

「真田、緊張してる?手汗すごいよ~?」

 

 七咲はにこやかに終始無言がなっている七輝に訪ねた。

 

「お……おっす」

 

「ふふ、私も緊張してる……でも大丈夫、お姉さんがひとつひとつ丁寧に教えてあげるから」

 

 緊張しないでリラックスするよう微笑んでくれる。だが七輝はそれでもガチガチだった。

 

 それもそのはず、七輝はこの空き教室の辿り着いても今もなお七咲と手を繋いでいるのだ。

 

 初めて異性と手をつなぐ―――この不思議で、素敵な感覚に七輝は感動していた。

 

(ああ……俺はいま、感動してる。これが青春なのか―――!!)

 

「それじゃあまずは基本中の基本、『霊衣』を纏ってみよう!」

 

 黒いオーラに包まれたかと思えば七咲の制服が一瞬にして変わった。

 

 黒い長袖のジャケットに少しぴっちりした白い服、そしてえげつないスリットの入ったショートパンツ、黒いロングブーツといった明るい学生と打って変わった大人びた服装だった。

 

「」

 

 七咲の霊衣の姿に七輝は言葉を発せず凝視する。

 

「これが『霊衣』。陰陽師はこれを纏って活動するんだ」

 

「めっちゃかっこいいっすね!(めっちゃエロかっこいいっすね!)」

 

 七輝は本心を殺してでも抑えて目を輝かせる。特にショートパンツとふとももとふとももとロングブーツとふとももを凝視する。

 

(めっちゃエッ‼……陰陽師、すげーな!)

 

「こ、こぉら。まじまじと見つめられると恥ずかしいって!ほら、真田もやってみる!」

 

「えっと……どうやるんすか?」

 

「うーん…………令力、つまり自分の中に秘められてる力を使うの。令力を自分の身に纏う、または服を着るイメージをしてみて?」

 

 

 身に纏うイメージ……七輝は先ほど彼女が黒いオーラか影みたいなものに包まれたのを思い出す。

 

(身に纏う、服を着るイメージ―――)

 

 目を瞑り、暗い視界の中で己の中にある力を練り上げるて纏うイメージをする。

 一瞬にでも勢い良く湧き上がる力を抑えながら慎重にゆっくりと身体に纏わせる。

 

「その調子。令力を身体全体包みこませる感覚だよ」

 

 すぐそばに先輩がいてくれてるおかげか落ち着いて集中できる。

 やがて全体が包みこませるような感覚を掴み目を開く。一瞬にして霊衣を纏えた。

 

「―――これは」

 

 

 自分の霊衣を見つめる。紺色の半袖の上に白い鱗模様の入った黒い半袖の羽織り、ズボンは鳶職が履いてるようなダボダボの灰色のニッカポッカといった姿。

 

 

 

「―――なんじゃこりゃ!?だせぇ!?」

 

 

 統一感のないようなあるような姿に七輝はコメントしづらかった。

 

「そっかなぁ~、私はかっこいいと思うよ?」

 

「この霊衣一生大事にします‼」

 

 

 先輩が褒めてくれたので良しとした。

 

 

「んー……でもおかしいなぁ……」

 

 七輝の霊衣を見て七咲は不思議そうに首を傾げる。何か違うのか、七輝は焦りながら霊衣のあちこちを確かめた。

 

「陰陽師は霊衣を纏えたら『盡器(じんぎ)』も生成されるはずなんだけど………」

 

「………じんぎ?」

 

 きょとんとする七輝に七咲は苦笑いした。

 

 

 

 




七輝も身長が大きく、入学前でありながらも七咲と同じ身長。

 まだ成長するとのこと
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