リスタート外伝 バハルス帝国二人旅   作:リセット

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500年ぶりの再会

 どこぞの主従は友達百人出来るかな計画を打ち立てたが、二人にはそれとは別に今の生活がある。

 

 ベッドの上での乱れようや蕩けた顔は何処へやら、いつものニコやか笑顔に理知的な澄んだ赤目のアイリスは皇城に資料作成に。

 

 サトルはいつものように帝国騎士団の強化計画に着手する。ジルクニフがなんか怪しいかもしれないとなっても、あくまでも怪しいだけで事実かどうかは不明。サトルからの心情云々を抜きにすれば、ジルクニフはサトルへ良き皇帝として接している。そしてサトルは彼の部下。友達がどうとか、個人的な恩情なりを排したとしても、サトルとジルクニフは部下と上司の関係だ。

 

 上司がどんな思惑であれ、部下である以上は定められた仕事をこなすのがサトルだ。個人的に何か疑わしいと思っても、それを仕事に持ち込むのは御法度。小卒から培われた鈴木悟のサラリーな精神は、仕事を途中で投げ出す事を許さない。

 

 それを抜きにしても、豪邸やら地位やらを下賜されているので、その分は返すべきなのがサトルの思考だ。アイリスの考えを抜きにすれば、現状ジルクニフはサトル達に良くしてくれてしかいない。別に仇になるような行動は取っていない。ならば恩には恩で報いるべき。

 

 なので部下として……あるいは帝国に勤める公務員的な立場として、サトルは熱心に騎士団の教育係に徹していた。

 

「そこまで! ご苦労だった諸君。今日の訓練はここまでだ」

 

 漆黒の鎧を着たモモンスタイルにボコボコにされたり、召喚された悪魔や天使にボコボコにされたり、魔法詠唱者スタイルになったサトルに蹴散らされたりと散々な騎士団の面々。だが、彼らの顔にはやり切った清々しさだけがある。

 

 騎士達の顔には、自分達をボコボコにしたサトルへの恨みなどは見られない。これで本当に叩きのめされただけなら恨むかもしれないが、彼らは自分達が着実に強くなっているのを実感している。

 

 訓練の傍ら、先輩騎士達に混ざり哨戒に出かける事もある訓練兵達。彼らはサトルとの楽しいボコボコタイム前は、ゴブリン相手でも多少苦戦するレベルにあった者も珍しくない。しかし今は違う。

 

 超パワーレベリングにより最低でも白金級に到達した彼らにとって、ゴブリンやオーガなど敵ではない。

 

 アダマンタイトや英雄級の猛者すら生まれつつあるのだ。仮にギガントバジリスクのようなモンスターが出現しても、今や帝国騎士団にとっては普通に狩れる程度の難度でしかない。

 

 だから、誰もサトルに恨みを持ったりはしていない。結果が伴っている限り、人間は現金な物なのだ……そして訓練兵は、自分の強さを鼻にかける事もない。なにせ英雄級に到達した兵士でも、サトルが手遊びに呼ぶ力天使(ヴァーチャー)能天使(パワー)に本気で挑んでも転がされるのだから、増長のしようがない。圧倒的なんて言葉すら生温い、絶対的な格上を知っている以上……自分が強いのだと言ったところで、何の自慢にもならなかった。

 

 そんなこんなでサトルは、多少ジルクニフへの不信感を持ちつつも、仕事を放りだすなと社会人としてあり得ないと言う彼なりの常識で仕事をこなしていた。

 

 仕事が終わればアイリスを連れて、ユグドラシルⅡへと赴く。サトルにしろアイリスにしろ、個としての戦力は突出している。仮に群が相手でも、地上世界の生物ぐらいなら消し飛ばせるかもしれないが……単体の強さには限界がある。だからサトルは軍隊を結成する。

 

「超位魔法! <星に願いを(ウイッシュ・アポン・スター)>!! 俺の召喚の仕様を一時的に変更しろ!!」

 

 召喚の時間制限。召喚系能力のセオリーに則れば、魔法だろうが、スキルだろうが、権能だろうがモンスターを呼び出せる時間には制限がある。

 

 サトルの持つスキル『アンデッドの副官』のような経験値を消費するスキルであれば、一体に限るが永続的な召喚が可能になる。しかしそう言った方法以外では、どうしたって時間制限が存在する。

 

 その時間制限を<星に願いを>で一時的に消去した。<星に願いを>による召喚効果仕様の一時変更。これにより、約三時間ほどの間に召喚したモンスターの時間制限が消滅する。つまり───

 

『我ら一同! 御身の前に!!』

 

 権能による御供の大量召喚を使用すれば、レベル80以上のモンスター───天使・悪魔・ドラゴン・その他諸々をこれでもかと呼び出せる。

 

 現時点でも魔将(ロード)級の悪魔が数万。課金竜級が数千。熾天使(セラフ)数十万と凄まじい事になっている。

 

 さて。

 

 サトルが軍団結成をしている間、アイリスが何をしているかと言うと───

 

「防衛機構はこれでポジティブとして……食料の自動生成と、ポップモンスター周りも調整が必須……ふっ。脆くてちょろいシステムなのです」

 

 ギルド武器と世界級エネミーが持つシステム掌握能力を組み合わせて、浮遊要塞のシステムをリビルドしていく。通常はギルド長を変更することは出来ないが、アイリス特製のデーモンやワームにトロイも併用すれば、マスターソース絡みのシステムを好き勝手に弄ってしまえる。この辺りのシステムどうこうに関しては、アイリスが尤も得意とする分野だった。

 

 ドヤ顔で空中投影型操作端末を叩き、恐ろしい速度で基幹システムが再構築されていく。それを横目でサトルは見るが、何をやっているのか全く分からなかった。

 

 そうして数時間ほど時間をかけて色々と仕込みを済ませ、帝都の自宅に帰り閨を共にする。そんな感じの数日を過ごした後───

 

「ルーファス達が、ようやくエ・ランテルに到着したみたいだ」

 

 サトルは九曜と天主の権能で、法国の動向を常に把握している。そのおかげか陽光聖典と、スルシャーナのNPC(従属神)であるルーファスの動向もリアルタイムで知っているが……サトルの声にはやる気がない。

 

 ジルクニフへの不信感が、対法国へのやる気を大いに削いでいた。そもそもの発端は、ジルクニフに罪を被せようとする法国への怒りだったのだ。しかしジルクニフがもし内心ではサトルもアイリスにも憂いを抱いているとなれば……それはやる気もでない。

 

 しかし始めたのはサトル達なのだから、今更やる気が無くなったので法国への嫌がらせの中止とはならない。

 

(どんなプロジェクトであれ、責任者は俺なんだよなぁ……あー、やだやだ。全部ほっぽり出して、アイリスと一緒に友達作りしてたい。それかこの世界の未知を探す冒険)

 

 今の仕事が嫌いなわけではないし、生活も安定しているので特に不満はない。ないのだが、自然が豊富なこの世界の旅行に行きたいなーなどとサトルは思ってしまうのだ。ついでに存在Xがこちらの世界に招来したらしい、世界級アイテムも回収できたら一石二鳥だ。

 

(まっ、そんな上手く行くわけがないが)

 

 結局今の生活があるのだから、あまり好き勝手にやるわけにも行かない。法国絡みで投げやりになっているサトルは───

 

「おいで」

「ポジ!」

 

 アイリスを呼んで、自分の膝の上に座らせてから映像を開き、二人でエ・ランテルの様子を閲覧するのだった。

 

 

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

 

 

 十日ほどかけてエ・ランテルへと到着した陽光聖典一行。ルーファス単独なら一日で事足りたが、今回は人間種である彼らに合わせた為、これだけの時間がかかった。……時間を掛けたのは、ルーファス自身に覚悟が欲しかったからだが。

 

 ───ここに……本当に主様が?

 

 少し前。宝物庫に訪ねて来た()()の言葉を全て鵜呑みにしたわけではない。それでも……500年前に死に別れた創造主との再会。それを無視できるほど、ルーファスは枯れてはいなかった。

 

「従属神様! あのアンデッドは一体? ……」

 

 道中、従属神様万歳従属神様万歳と煩わしかった陽光聖典と違い、多少は引いた場所から見れるのか大人しかったニグンの問いに、ルーファスは鷹揚に構えながら答える。

 

「ありゃぁ、死の騎士(デス・ナイト)魂喰らい(ソウルイーター)じゃの。おんしらは近づくなよ。漆黒の坊どもでも、きっつい相手でな」

「!? 漆黒聖典の……英雄や逸脱者の方達でも……ですか!」

「そうじゃよ」

 

 強敵だから近づくなよと言うルーファスだが、むろん彼女にとっては別に敵と呼べるほどの相手ではない。ちょっと強めに殴ったら消し飛ぶ案山子でしかないが……彼女の目は、懐かしそうに。あるいは……見たかった光景を見た乙女の目で、二体のアンデッドを眺めていた。

 

 ───デス・ナイトとソウルイーターが自然発生することはあっても、タッグを組むことなぞありえん。ならばやはり───

 

 この世界における伝説のアンデット。それを2体も使役する誰かが、エ・ランテルにいる。そして、そんな事を出来る力の持ち主がいるとすればそれは……

 

 ルーファスははち切れんばかりの期待を胸に沈め、エ・ランテルの城門に向かって歩いていく。

 

 そんな従属神に付いていくべきか、それとも近づくなの命令を守るべきなのか。陽光聖典は後方で悩みながら、様子を伺う。

 

「……おんしらは、我が主様の呼び出したアンデッド……でおうておるかの」

 

 目の前に立った小さなルーファスを、ソウルイーターとデス・ナイトが見下ろす。通常であれば、この距離に立った敵を攻撃するのだろうが……二体のアンデッドは観察するだけで、手を出そうとはしない。

 

 このアンデッド達は、なんとなく程度だが。目の前にいる小さな存在が何なのかを捉えていた。自分達と同じく、偉大なる主に産み出されたしもべ。自分達より強大なしもべ。自分達よりも遥か前に産み落とされたしもべ。

 

 それを理解しているからこそ、何も手を出さず。両アンデッドの視線は、後方にいる陽光聖典に向けられる。デス・ナイトのフランベルジュが彼らに向けられる。

 

 あれはなんだ?

 

 そう問いたいのだと気づいたルーファスは───

 

「主様の生還を讃える生者じゃよ」

 

 とだけ返す。それで納得したのかデス・ナイトは剣を降ろし、ソウルイーター共々城門の脇に退く。

 

「良き哉。……おんしら! こっちにこい!! エ・ランテルに入れるぞ!!!」

 

 ルーファスの声が届いたのか、陽光聖典のメンバー達はおっかなびっくりと言った風にこちらに近づいてくる。

 

「じゅ、従属神様! このアンデッドらを滅されないのですか!!」

「せんよ。こやつらは敵じゃなか」

「何を言っているのですか! アンデッドを滅ぼすのは、我らの国是で───」

「わっちもアンデッドなのにかや?」

「……え?」

 

 空気が冷える。陽光聖典の隊員達からは疑惑の空気が流れ、ニグンも目を剥いてルーファスを見ている。

 

「何を驚いとる? わっちはスルシャーナ様の筆頭従者。闇と死を司る主様の従者が、種族としてはアンデッドなのはおかしか?」

 

 ルーファスはおどけたように喋るが、隊員達は未だに固まっている。しかし驚いたままでは従属神に対して失礼だと恥じたのか、ニグンが代表として声を上げた。

 

「い、いえ! しかし……ルーファス様がアンデッドなどと……我々には人間にしか見えませぬ」

「主様がそう創られたからのを……見た目は人間。種族は死神(グリムリーパー)。本質と内面のギャップこそが萌えらしいぞ?」

「も、もえ? もえとはその……なんでしょうか?」

「さぁ? わっちにも良く分からん。尊い! とか、俺嫁! やらの類語らしいがの。この数百年考えてみたが、結局答えはでんかったわい」

 

 その答えも今日出るかもしれんがな。寂しげにそう呟いたルーファスは、デス・ナイトらの傍を抜けてエ・ランテルへと入っていく。

 

「ほれ、早う来い。そこでボッと突っ立てても、日が暮れるだけじゃ」

 

 ちょいちょいと手招きをするルーファスに連れられて、陽光聖典もエ・ランテルへと入り込む。

 

 後ろから敵ではないと告げられたものの、それでも法国の理念───この世界の常識として、滅ぼすべき不浄なる存在がすぐ後ろにいるのに、それを無視して都市内に入る。まずありえない事態であり、そもそもルーファスがアンデッドなのも仰天しかない。さらに驚きなのは、都市内に入った陽光聖典達は───

 

「これだけのアンデッドが出現しているとは!」

「でも……こいつら襲ってこない……ぞ?」

「な、なぜだ? 不死者どもは生者を憎み、いつでも命を奪おうとしている筈なのに───」

 

 エ・ランテルには多くのアンデッドがいた。それらは見た事があるアンデッドもいれば、初めて見るようなアンデッドも多い。共通しているのは、生者である陽光聖典の隊員達に危害を加えるような素振りが見られない事。最初は身構えて武器を構えたり、天使を召喚しようとしたニグン達だが───

 

「動くな戯け共! こやつらも敵じゃなか! 不用意に攻撃すれば、おんしらの命を縮めるぞ!!」

 

 ルーファスにそう喝破されて、渋々隊員達は矛を収めたのだ。彼女の判断は間違っておらず、今のところ陽光聖典は全員が無傷だった。

 

「これは! これはどういうことなのでしょうか!? この都市は明らかに異常です!! 従属神様は……このことを御知りだったのですか!!?」

「───知っておったよ。知っておったからこそ、今回わっちはおんしらに同行したんじゃ……わっちにとって、今回ばかりは無視できぬ案件でな。……おんしら六色聖典、ひいては法国の民にとっても、これは最重要案件じゃわい」

「それは……どういった意味で───」

「すぐに分かる。すぐにな」

 

 言葉では冷静なルーファスだが、彼女はニグンとの会話に力を入れていない。

 

 それは都市に入ると同時に感づいたから。すぐ傍に、自らの主がいる。偉大なる創造主の力を感じ取れる。グリムリーパーには心臓が無い筈なのに、鼓動が鳴りやまない。本当は駆け出したい。けれど、急ぐのは淑女らしくない。

 

 そんな自分の中の常識と戦いながら、ニグンらを連れてルーファスは歩く。歩く。歩いて───元都市長宅へと辿り着いた。

 

「ようこそおいで下さいました、ルーファス様。それと法国の皆様方」

 

 そこには一人のエルダーリッチが佇んでいて、腰を折り全員を出迎える。聖典隊員達は、アンデッドに出迎えられる奇妙な感覚に気味が悪くなり……ルーファスは目を細めてリッチを見やる。

 

「……ここに居られるのか」

「はい。我が主様は、ルーファス様をお待ちしております」

「そう、か。……あい、分かった」

 

 それ以上の言葉はいらない。ルーファスの後ろで「お待ちとはなんですか!?」とニグンが喚いているが、その言葉は彼女に届いていない。

 

 屋敷の中に踏み入り、直感に任せて彼女は歩く。後ろから陽光聖典が付いてくる。隊員達には不安があり……ルーファスには歓喜だけがあった。

 

 そして───

 

「久方ぶり……と言うところなのだろうな」

 

 都市長の執務室に座る、豪奢なローブを着た骸骨。エルダーリッチにも見えるし、ナイトリッチにも見えるスケルトン。けれど、それらとは隔絶した圧を放つアンデッドにニグン達は身構えて……ルーファスは動きを膠着させた。

 

「あ……ああ……あああ……あああああ───」

 

 言葉にならない。言葉なんて出てこない。事前まではルーファスは冷静でいられると、そう思っていたのに───本当は、彼女はこう言う筈だったのだ。

 

「おかえりなさいませスルシャーナ様。御身の帰還、しもべ代表として心から歓迎致します」

 

 でも無理だった。そんな冷静な言葉なんて出てこない。だって───数百年前に。自分をあの八人から逃がす為に力を振り絞った姿が最後で───それから何度も創造主であり、自らの主に会いたいと願って───叶わず───

 

「どうしたルーファス? そんなところで固まって───」

「スルシャーナ様ぁあああああ!!!」

 

 何度も願った。もう一度聞きたいと。その声が届いて……我慢なんて出来るわけなかった。

 

 ルーファスは全速力でスルシャーナの懐に飛び込む。あまりの早さにニグンらは反応できず、スルシャーナも反応が間に合っていない。

 

「わっち、わっちぃ! スルシャーナ様にあいたく……でも無理で、でも会いたくて、それでこんなこと。わっちは……」

 

 支離滅裂な言動のルーファスに最初スルシャーナは困惑するが───

 

 ───そうか、そうだよな。僕の主観では一年も経っていないが、この子の主観では五百年以上が過ぎているんだ。ならきっと……寂しかったんだろうな。

 

 スルシャーナにはその気持ちが良く分かる。この世界に降り立った時は六人だったのに、最後は自分だけになってしまった時を思い出す。自分一人だけが生きている。孤独な寂しさに打ち拉がれる時もあった。それをルーファスは何百年も味わったのだ。だから自分は久方ぶりなんて言葉は使わずに、彼女にこう言うべきだったのだ。

 

「ただいま、ルーファス。とても寂しい思いをさせて、すまない」

「■■■■■■■■■■────────────」

 

 その言葉に、今度こそルーファスは声にならない声を上げる。グリムリーパーには涙腺がない。それでも……彼女は泣くように声を張り上げる。

 

 その姿を見て、数百年経ってもこの子は変わらないのだなとスルシャーナは昔を思い出す。それはこの世界に来る前の記憶。スルシャーナの主観では、百年と少し前の記録。

 

 ……ナザリック地下大墳墓の大規模討伐隊。その記録映像には、ナザリックのNPCが何名も写り込んでいた。そして───スルシャーナはギルド長であったモモンガに憧れて……同時に一体のNPCに興味を持った。

 

 それは階層守護者の一人。紅い鎧を着た、見た目が麗しいNPCだ。それを見て、当時のスルシャーナは「良いなぁ……」と思った。当時のスルシャーナは年齢的にそう言ったのに憧れる年であり、外見の年齢が近いそのNPCを良いと思うのはそんなにおかしなことではなかった。

 

 そして月日が流れ───ひょんなことから、スルシャーナは世界級アイテムを手にする。NPCを製作可能とする世界級アイテムを、だ。

 

 そこで彼は、かつて良いなと思ったNPCをモチーフとしたNPCを製作しようとした。オマージュである。

 

 さて……ではオマージュにするにしても、せっかくの世界級なのだからとスルシャーナは拘った。これでもかと拘った。まずナザリックのNPCがどんな種族なのか。誰が、どんなコンセプトで、どんな思惑で作製に至ったのか。それらを調べ上げた。

 

 良くも悪くも、悪名高いアインズ・ウール・ゴウンの情報は手に入れやすい。多方面から調査されていたので、すぐにそのNPCの情報は手に入った。

 

 名前は()()()()()()()()()()()()()()()()。彼女を作った人物は、ゲーム内コミュニティの一つ『エロゲ同好会』の会長にして怪鳥。

 

 それを知ったスルシャーナは早速その同好会に接触。より詳しい設定などを知るには、やはり製作者を訪ねるのが一番だ。

 

「君も最高のエロゲ嫁を作りたいんだな!!」

「違います。違わなくもないかもしれませんが、多分違います」

 

 無駄にハイテンションな怪鳥は、恐ろしく協力的な態度でスルシャーナのNPC作成を助力した。多分同士が出来て嬉しかったのだろう。

 

 ともかく。エロゲーバードはアインズ・ウール・ゴウンのメンバーにも協力を求めた。シャルティアのイラストを起こしたギルドメンバーにも助けを請い、これでもかと設定を詰め込んだ。

 

 シャルティアをベースに、スルシャーナがいらない要素を削ぎ落し、逆に彼が欲しいと思う要素をふんだんに詰め込む。

 

 そうして彼女はこの世に誕生した。スルシャーナの記憶の中にあった、あの紅い鎧にちなみ、ラテン語で赤のルフス。それを英語読みしたルーファスの名を与えられて。

 

 誕生したのだった。

 





エロゲ同好会怪鳥:あの人。このバードマンが関わったからこそ、サトルのルーファスに対する対応はかなり甘め

ルーファス:シャルティアの姉妹機。ある意味腹違いの妹
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