「ハッ!お兄ちゃんだぁ?随分巫山戯たこと抜かすじゃねぇか」
「……」
先程自身に対しふざけた自己紹介をした目の前の男に対し、ネルは言葉を投げるが……警戒は1ミリたりとも緩めていない
(こいつ……強いな。今までで1番かもしれねぇ)
見た目は温厚な青年という言葉が似合うが、反対に、感じる気配はどこまでも強者のものだ。
一体何者なのか。ネルがそう考えていると……
「ちゃんと自己紹介しようか」
あちらから言ってきた。自分から名乗るのならば、こちらが止める道理はない。ネルは続けるように目で促す
「僕は乙骨憂太っていうんだ。君を足止めする為に来た。よろしくね」
「ッ!なるほどなァ……テメェが現代の異能か!」
乙骨憂太。その名は有名だ。特に、裏社会だと、その名を知らない者は居ないだろう
乙骨憂太が関わる仕事に手を出すな
と言われている程だ。もちろん、ネルもその名前は嫌という程聞いてきた。曰く、1人でキヴォトスを転覆できる。曰く、最強……と。その上で、ネルが思っていたのは
気に入らない
という事だった。なるほど、確かに強いのだろう。だが、未だに戦った事が無いのに、その者が自分より強いと決められている事が、ネルは気に入らなかった
だが……
(ようやくだ……ようやく……テメェと戦える)
今目の前に居るのは、例の男。ならば
「C&C所属!コールサイン"00"!美甘ネル!」
(今日で潰す!)
コールサイン"00"
ーその名が表すのは……約束された勝利
……
…………
………………
(一先ず様子見って所だな……)
一先ず相手の戦闘スタイルを見極める事にしたネルは、ある程度のスピードで接近しようとし……考えを改める
(いや、待てよ?確かコイツ……足止めって言ってたな。……なら、あんま相手の出方を伺ってる余裕もねぇな)
心は熱くなっても、頭は冷静。相手の勝利条件が、自身と違う事を理解したネルは……
(最初から全力で行くかァ!)
よくキヴォトスでの強者として名が上がるもの達が居る。中でも、乙骨憂太を除いた中での強者といえば
剣先ツルギ
空崎ヒナ
そして……美甘ネルだろう
しかし、ネルにヒナやツルギ程のパワーは無い。だが……
(最高速でぶち抜いてやる!)
スピードがある。彼女のスピードは、同等の強さと謳われる彼女らと比べても、頭1つ抜けている。そして……
「行くぜぇ!」
「っ……!」
そのスピードは乙骨をも凌駕する
(速い……それに、体が一般より小さいから、狙いがつけにくいな。……やりづらそうだ)
(流石に私の最高速には着いてこれねぇ……いや、目では捉えられてるな。巫山戯た野郎だぜ……!)
乙骨の懐に入ったネルは、自分の最高速に目が追いついている乙骨に賞賛を覚えるが、戦闘において情けは要らず。的確に頭に向けて愛銃を発砲する。マガジンの半分を一瞬で使い切ったタイミングで、乙骨の胴体に蹴りを入れ、その反動で自分の身体を後ろに飛ばす……が
(まあ……効いてねぇだろうな。さっき蹴った時に感じたあれ……まるで鉄の壁を蹴っている様な感覚だった)
ネルが感じたのは、手応えの無さ。それに加え、蹴りによって乙骨の身体の強度を確認できたため、先程までの攻撃が効いていないというのは理解していた
「痛いなぁ……顔を狙うとか、ちょっと容赦無くない?」
「はっ……効いてねぇんだから変わんねぇだろ」
やはり効いていない。まるで何も無かったかの様に話しかけてくる乙骨に対し、ネルは内心舌打ちする
(クソが……あれ程のチャンスはそうそうねぇ。今ので効いてないとなると……少しマズイか?……いや)
「それでこそ潰し甲斐があるってもんだ!」
「……良いね。そういうのは嫌いじゃない。なら次は僕から行こうか」
さて、先程ネルのスピードは乙骨を凌駕していた。しかし……それは今の乙骨だ
(っ……コイツ……!)
乙骨は、いつも自分の力をセーブしている。そして、それを解放するのは、そうするに値すると決めた者のみ。美甘ネルの、自身に対する執念を感じた乙骨は、ネルがそれに値すると判断した
それに加え、今の乙骨の頭にあるのは、成り行きとは言え、自分を兄と呼ぶアリスの姿。その相乗効果により、今の乙骨のコンディションは……
「行くよ!」
最高だ
僕はお兄ちゃんだぞ!はまだ温存。でもちゃんと使うから安心してね
使って欲しい技とか組み合わせ、あとは呪具でも良いんで募集してます。あったら↓まで
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=306635&uid=434359